ハイランダー・プロミナー Kowa High Lander Prominar
抜群の機動性と脅威的な性能

 公開:2011年8月6日〜
更新:2015年7月28日 *
第1回双眼狂祭 を追加しました

Kowa  High Lander Prominar

驚異的な望遠鏡/双眼鏡

 口径70〜150mmの大型双眼鏡が存在する。多くは天文用で、かつては宮内が頑張っていたが、大変残念な事に生産中止となってしまった。フローライト仕様などは、憧れの機種だった。星雲・星団を見るのには、大型双眼鏡がとても便利だ。双眼のメリットは絶大で、何といっても、出してすぐ見れる。眼視派には赤道儀なんて重くて面倒なだけで、何もメリットが無い。

 大型双眼鏡を代表するKowa High Lander Prominar 。圧倒的な光学性能で、見る者を魅了する。口径82mm(焦点距離450mm f5.47)で防水。双眼の威力も相まって、とても有名な同価格の10cmアポクロマート屈折を超えてしまう。純正アイピースは3種あり、アメリカン・サイズなので、他社の天体用アイピースが使える場合もある。

アイピース 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径
21XW 21mm 21 63° 17mm 3.9mm
32XW 14mm 32 2.2° 70° 20mm 2.6mm
50X 9mm 50 1.3° 67° 15mm 1.6mm
Meade UW 4.7mm 95.7 0.86° 82° 4mm 0.86mm

 実視界3°(21倍)から、実視界0.86°(96倍)をカヴァーし、惑星、月を拡大して見ないのであれば、これ1台で網羅できてしまう。本体重量、わずか6.2s、専用トランクに、アイピースやファインダー、フィルターが全て収納できて11.4sだから、もう凄いとしか言いようが無い。公共交通機関で移動して見る時は、High Lander だ。

左下は Vixen XYスポット・ファインダー (現在は、EMS対空双眼鏡に装着)、
下は純正アイピース群、上は
笠井のSuper Nebula Filter HT
、右上は、Meade UW 4.7mm (上下積み重ね)。

 本体の取っ手のミゾが照準線になっているのでファインダーは不要だが、格好が良いので取り付けてみた。選んだのは、Vixen XYスポット・ファインダー。ベースはデザイン優先で、ケンコー/クイックカメラアングルシステム QS-50 を両面テープで着けた。

 エンコーダーは、このままでは装着できない。導入補助には、SkyScout を使用している(注:その後手放し、現在は使っていません)。実視野3°あれば、まあまあの精度で導入でき、視野から大きく外れる事は無い。純正三脚は、独Berlebach 製。頑丈で良いのだが、本体に比べ、大きすぎるし重過ぎる。もう一回り小さい方がありがたい。ベルボン/ネオストーンバッグメッシュを装着した。我が家の屋上で使用すると、家の微振動(エアコン等)を拾うので、Meade のショック・アブソーバーを入れる事もある。公共交通機関で移動して見る時は、仕事で使っているGitzo のカーボン三脚にセンター・マウントを取り付けて使用。

 昨年7月、北硫黄島の皆既日食のため、ソーラー・フィルターを用意した。ジズコ社扱いの米ORION太陽用白色減光フィルター#20000 (双眼鏡用セット)が割安。本来はレンズに被せてネジ留めするのだが、ネジを外すとフードの内側にピッタリ収まる。付属の固定用クッション・シールの薄い方をフィルターの外側・ネジの位置に貼ると、実に具合が良く固定される。外す時も、フードを縮めれば良いので、着脱も迅速だ。ケースは、これまたジズコ社のバーゲンで購入したCORONADO のがピッタリ。

   

 高倍率で優れた像を提供する望遠鏡は素晴らしいが、焦点距離が長いと、低倍・広視野が得られない。高倍率の像と同様、低倍率も極めて大切だ。何かと話題の “高倍率・望遠鏡ランキング” があるが、低倍率・望遠鏡ランキングを作ったら、順位はだいぶ入れ替わるだろう。

  High Lander といえば、Nstar さんのsite を抜きには語れない。大変参考・勉強になるだけでなく、写真も素晴らしい。必見!

     

 ファインダー交換 (2010年4月2日)

   

 国際光器が、Baader Planetarium Sky Surfer III の取り扱いを再開した、という情報を耳にし、さっそく注文した。以前から、ガラス面の透過度とLED の暗さに定評があった機種である。ケンコー/クイックカメラアングルシステム QS-50 に、そのままドンピシャで装着できた。またしてもカッコ良く納まっている。結局、いつもファインダー無しで使ってきたのだが、これからは夜空でもファインダーが活躍しそうである。

 ファインダーの収納には、一工夫必要だ。結局、本体の接眼部のくぼみの所に、クロスをはさんで収める事になった。 メデタシ、メデタシ。

  

 フィルターの使用法

 ちなみに、笠井のSuper Nebula Filter HT を使う場合、単純にアイピースの上へ置いて使うようにしている。この方法は、Nstar さんと同じ方法。天頂付近は落下して危ないので、注意が必要。また、周囲が暗くないと、フィルターで面で光が反射するので見えにくい。また、結露防止は、観望小物で紹介したKendrick 社のものを使っている。

 

架台の軽量化 (2011年8月初旬)

 純正の三脚と架台は立派すぎて安定性は抜群だが、相当重い。公共交通機関で移動して見る時は、仕事で使っているGitzo のカーボン三脚にセンター・マウントを取り付けて使用しているが、それでも架台だけで数sある。そもそも、センター・マウントが2.7sあるので、ここをダイエットしたら、架台の機動性は、格段に向上する。ハイランダーの重量に対応するヴィデオ雲台となると、そこそこ重く、高価だ。

 そう思いつつ年月が過ぎていったが、先日、松本さんのところに小型望遠鏡用の旧中軸架台ユニットが余っている、という話を耳にしたので、これを利用してハイランダー用の 軽量センター・マウントを作ってもらう事になった。アームの形は純正マウントを踏襲、可能な限り、軽量にしてもらった。

 

  軽量マウントの重量は、何と835g しかない。純正マウントを持ち上げた後、これを持ち上げると、拍子抜けする位軽く感じる。 大きなネジは水平回転部の固定ネジだが、六角レンチで回転時のフリクションも可変できる。また、このマウントは、三脚に固定される基部をすっぽり覆うように作られている(見えている円筒形のほとんどの部分は、アームと一緒に回転する)ので、このままでは三脚底ネジでしっかり固定できない。そこで、わずかに顔を出している基部に六角レンチが挿入できる穴を開けてもらい、これでマウント本体が回転しないようをしっかり 保持し、確実に三脚に固定できるようにした。

  注:この超軽量架台は、時折限定で何台か製作されているようです。 ただし、純正のマウントに付属しているマウント・ホルダーが必要なので(これだけパーツ売りされていない)、一旦、これの購入が必要です。納期・価格 等は、松本さんに、問い合わせて見てください (2013年5月20日追記)。

 

  
HAKUBA レンズポーチL と Gitzo GT1542T

 軽量マウントは、HAKUBA のレンズポーチLに収納するようにした。袋状のクッション・ケースもあるが、これだと自然と頭が出てしまい、先端の保護は難しい。また、このレンズポーチなら六角レンチも同梱できるし、ショルダー・ベルトも付いているので、便利だ。

 三脚は、Gitzo のトラベラー GT1542T。本体の重さはたった1sなのに耐加重が7sもあって、しかも 足を上方向に反転させると、全長42.5cmという超コンパクトに収納できる。一つ前のモデルGT1541T は耐加重8sだったが、脚の付け根部分が改良され、安価となった。オマケに今年(2011年)はキャンペーン中で、三脚下取りで1万円のキャッシュバック付き。35年前に必死になって買ったベルボンの三脚が錆びて放置していたが、ここで役に立った。

 三脚 + マウントの総重量は1.8s! トート・バッグに入れて、普通に持ち運びできる。さあ、これで原村へ行くぞ、と張り切っていたら、私が参加する2日目夕方からはずっと雨のよう。急遽中止 し、天気予報では「晴れ」の東伊豆へ行く事となった。

 

  ところが、ほとんど曇りで夜半は雨。関東地方は、いったいどうなってしまったのだろう。でも、たまに顔を出した空を少しだけ楽しんだ。軽量マウントの水平方向のフリクションは純正マウントより軽くなっていたが、それでも三脚が軽いので、抵抗を感じた。そこで、さっそくメンテループで軽くした。では、垂直方向はどうか、というと、自分で少し削って、標準型よりスムーズにした。
 立ったまま天頂付近を見る場合、三脚のセンター・アームを上まで伸ばして使ってみたが、これだと安定性がやや損なわれ、96倍で木星を見る時など、振動が収まるまで何秒か待たなければならない。やはり、ここは一番下にして椅子を使うのが良いようだ。移動用の椅子は、
GCI Outdoor パックシート \3150 が便利。椅子の高さが55cmあって、重さはわずか700g。ケースにはベルト・フックも付いている。
  標準三脚+マウントだと、
96倍でもピタッと揺れも止まり、ストレスが無い。軽量三脚+標準マウントでは揺れる。結局三脚次第なので、用途によってどれを選ぶか、という事になる。

 空は存分に楽しめなかったけれど、友人達と合流できて、星、機材談義に盛り上がった。一人で黙々と楽しむも良し、天気に恵まれない時は、友人達と過ごすも良し。結局どっちも楽しいのであった。でも、こんな消化不良が続くと、本当に困る。こうなったら満月でも出撃だ!

 

本体のケースは? (2011年8月中旬)

  架台一式は軽量化が成功したが、では、本体のケースの軽量化は? 純正トランクは、それだけで3.6sあるが、この手はどれも似たような重さだ。ナイロンのリュックに入れれば、アイピースやフィルター、ファインダー全て込みで8s台になるが、トランクの場合、アイピースの交換が楽だし、ケースの中に、キャップ等を広げられるのは、便利だ。また、各種交通機関を乗り継いで行く場合、ショックからの保護は、極めて大切だ。本体は堅牢に作られているが、やはり光学精密機器、光軸の狂いなど生じかねない。純正トランクなら、飛行機で荷物としても預けられる。

 という訳で、純正トランクをそのまま使っている。ここは1〜2sダイエットするより、機材の保護を優先。

 

北海道・恵山に行ってきました (2011年8月26〜28日)

 

  今年の夏は凄い。曇天続きで、遠征に行っても最長観望時間は3時間が良いところ。8月末、胎内星祭りに行こうと夏休みを取っていたのだが、これまた曇天の模様。せっかくの夏休みで星も存分に見れていないし、9月の天気も期待できない。10月は超多忙で、月末まで観望は絶望的。 これで夏の空とお別れなんて、ひどすぎる...

 26日朝、溜まっていた怒りが炸裂し、GPV気象予報で晴れている所を探した。八丈島か沖縄、あるいは北海道位しかないが、8月最後の週末、という事で、八丈島は帰りの便が満席。沖縄は飛行機代が高い。北海道で2日快晴の所は函館周辺。よし、こうなったら函館に行ってやる! ハイランダー一式が味方だ。さて、函館の東に行くか西に向かうか... 東端は、恵山という山もあり、温泉もあるようだ。検索したら恵山温泉旅館というところがヒットしたので、すぐここに決定。あれこれ考えている時間は無く、すぐに用意し て羽田に向かった。 羽田は大混雑、駐車場は3時間待ち、とか。飛行機に間に合わない人達はどうするのだろう。

  

 函館からは一番安いレンタカーで恵山に向かった。写真左に写っているのが恵山。活火山で、昔吹き飛んだ噴火口側に登山口があり、噴煙も出ている。あまり考えずに 恵山温泉旅館を選んだが、これがウルトラ大正解だった。とうのも、チェック・インして観望の事を話したら、旅館から通じている道が恵山の登山道で、トイレ付きの広大な駐車場がある (写真右)、という。しかも、夜間は高山植物の保護のため、通行止め。夜間の通行の許可は、降雪時以外、林野庁の臨時職員をしている宿の女将さん(昼間は常時、山の中で 管理活動をして働いている。偉いっ!)が出す。2日目で雲がなかった地域はここだけ。という訳で、1人でこの山を2晩、独占した。

 

  そういえば、北海道、といえば熊だ。聞けば、生息している、という。ただし被害者はいまのところいない、との事。宿のご主人がラジオを貸してくれてた。広大な駐車場は南側に山があり、視界が少し遮られる。そこで、駐車場の少し手前にある岬の展望台で観望した。写真手前の光は、恵山の漁村の光。津軽海峡を挟んで、対岸の光も見える。観望ポイントは少し後へ下がった所なので、この光は視界には入らない。南側は、さそり座の下がやっと見える位、西側は函館の光で、夕暮れ時でかみのけ座は厳しい。実質アークトゥールスより上が観望対象だった。北天は山に少し遮られるが、そもそも北天が高いので影響は無く、富士山・新五合目よりずっと視界は良い。ここは、海抜325m。いつも行っている所よりは高度は低いが、星座は全て全景が端の星までしっかり追える。だから、導入はSky Surfer III で狙いをつければ面白いようにスパスパ導入できた。

 観望は、7時半には開始していた。沈み行く土星やM64あたりを皮切りに、3時過ぎのオリオン座、ふたご座あたりまで。ただし、初日は夜半の風と寒さで、1時頃まで。2日目は風も無く、3時半頃まで見ていた。観望メモを見ると、メジャー天体ばかりだけれど、初日には66の対象を見、2日目は98観望した。ただ、High Lander でいつも感じるのは口径不足である。系外銀河を見ても、星雲のようにしか見えない時も多いし、APM-Bino のように、星々がカラフルではない。でも、飛行機で手荷物で持ってこんな所にまで遠征できるのだから、もの凄い事だ。感謝!

 

 明け方まで観望して冷え切った体は、格別な温泉*が迎えてくれる。地元の豊富な魚がお腹を存分に満たしてくれる。そして、 贅沢な空。最高の夏休みとなった。

*珍しい強酸のお湯なので、石鹸は機能せず、手で顔を拭くと、目にしみてしばらく目は開けられない位。そういえば、以前仕事で行ったイスラエル-死海でもそうだった。ここは海抜下400mなので、 快晴の真昼の天頂でも空は水色。ここでは星は最悪だろうなあ。

 

 昼間、漁村を散策し、恵山に登った。運動不足がたたったが、登山道往復約4km、噴火口コース往復約2kmを走破。山頂は618mだが、侮ることなかれ、山頂からの眺めは絶景だ。汗だくになったが、このまま夜の観望を迎えると恐ろしく体が冷え切ってしまうので、しっかり着替えるのが肝心だ。

 帰郷の朝は、函館の朝市に出かけた。十数年前に行った時は、お客さんも沢山いて活気に溢れ、お腹いっぱいになる位盛大に試食させてくれたが、今回は何か活気が感じられず、寂しかった。原因は思い当たるが、ここではその話題は避けよう。 函館空港の裏には、函館牛乳のプラントがあり、牛乳を飲み、アイスクリームを食べた。

 

 横浜、再び高温・超多湿で曇天。また、明日から仕事だけれど、またまた心の財産を糧に頑張ろう。ありがとう恵山! ありがとう恵山温泉旅館!!

    追記 (2011年8月31日)

 ちなみに、High Lander や、双眼鏡は防水、とされているが、海風にさらされた時、温泉地での観望後は、機材を軽く水拭きした後、乾燥したタオルで拭き取り、一晩以上乾燥させている。この手の影響はずっと後になってから出てくると思われ、気づいた時には、もう遅い。

 それと、書き忘れたが、
High Lander の凄いところを一つ。それは眼鏡をかけていても、全くそれに気が付かない程ストレスが無く観望が続けられる点である。アイピースも含め、総合的に入念に設計されつくされている点が流石である。 単純にアイ・レリーフや見かけ視界をもう少し欲張ったりしたら、こうはならないだろう。

 

太陽導入用ファインダーも装着しました (2011年9月21日)

 先日、Obsession 以外総動員、という超大量機材を持って、ななつがたけ北天文台へ遠征してきた。あいにく天気・空は今一〜曇天だったが、それでも数多くの収穫があった。ハイランダーの付属品も一式持参。P.S.T.双眼だけでなく、ハイランダーにもソーラー・フィルターを付けて供覧 してみた。ところが、黒点の表情が豊かなのに驚いた。皆既日食の時に購入し、見ていたのだが、のっぺりした太陽に、虫食いのような小さい黒点がわずかに見えるだけで、こんなものでしょう、と思っていた。その後も見る事はあったのだが、印象は同じ。

 ところが今回は、盛大に黒点は出ているは、ダーク・フィラメントはそこら中に良く見えるは、プロミネンスは巨大なアーチを作るはで、このソーラー・フィルターを通して見ても、実に魅力的なのであった。だいたい、太陽の像が大きいので、迫力が違う。ずっと極小期だったので、知らなかった... 
 しかし、導入が思ったより大変。照準線に合わせようとすると、ほとんど目潰しだ。そこで、「ああ、これは良い! 使える。」と思って、昔アメリカで格安で購入していた
TeleVue 太陽導入用ファインダーの出番となった。このファインダーは、前面に空いている小穴を通して後面の白いアクリル・スポットに太陽を投影すればOK、という優れもの。 収納は、純正トランクの、左下角の所(以前、Vixen XYスポット・ファインダーを収めていた所)にすっぽり収まる。

 ケンコー のクイックカメラアングルシステム QS-50 は高価だけれど、もの凄く優秀。加工精度が素晴らしいので、スッと装着するだけで、指先に快感が走る。こんな良いものは無くなってしまう恐れがあるので、買うなら今の内かもしれない。で、このシューに、太陽導入用ファインダーを装着した。シュー・ベースはカメラ・ネジなので、ファインダーのベースの既存の穴を利用して、カメラ・ネジ用のタップを立てた。

 しかし、ハイランダー恐るべし! 極小期でなければ、太陽も楽しめる双眼望遠鏡なのであった。

 

金環日食 (2012年5月21日)

   私を含め、ある程度年齢が行っている人には、金環食という名前の方が馴染みがあると思うが、用語としては、やはり全行程を表す場合は金環日食が正しいと思う。皆既日食は3度体験しているが、金環日食は、まだ見た事が無い。横浜の自宅は中心蝕線の真下にあり、金環食の時間も5分、と最高に恵まれているので、屋上でハーシェル・プリズムPST双眼、そしてこのハイランダーで見られたら最高だ。金環日食を観る事も大事だが、こんな珍しい事が自宅で体験できるなんて凄い事だ。という訳で、特に遠征は考えず、晴れる事を祈り、また、快晴でなくても、薄雲を通して見れれば良し、と考えていた。

 ところが、どうも雲行きが怪しい。やはり遠征しようか、いや、曇った時の日食の暗さも見てみたい、いや、見なくてどうする、と悩みだした。各種天気予報やGPV気象予報、Astro GPV、気象衛星写真等を何度も見たが、結局自宅観望、初志貫徹、と結論。ところが、当日朝4時に起きて外を見てみたら、厚い雲が立ち込めていた。


我が家の屋上 6:00am

 30分おきに気象衛星の雲の流れをチェック。雲は動いていて、また、風で比較的早く流されているのが見える。隙間から見えるかな、と思っていたら、6時になって、雨が降り出してきた。程なく止んで、少し明るくなってきたが、再び雨。今度は雨足が強い。これでは薄雲を通してどころか、太陽がどこに出ているのかもわからない。横浜が雨なのは、唯一GPV気象予報だけが的中していた。これによれば、埼玉県、江戸川区、足立区にいけば何とかなりそうだ。見なくてどうする! 急遽、ハイランダーとNikon 7×50 SP (+フィルター)を車に積んで飛び出した。時間は6時40分を回っている。金環食(ここでは、金環になった時を金環食、全行程を金環日食と呼称)まで、40分しかない。湾岸から首都高に入り、葛西ジャンクションを北上。朝の混雑で気持ちばかり焦るが、欠けた太陽が少し見え隠れしてきた。これなら何とかなりそうだ。もう部分日食の光になっている。陽は差しているが、光量が足りない独特の明るさだ。埼玉は無理にしても、行ける所まで行こう、と向かっていたが、荒川の堤防が長く続いている所があったので、船堀橋で降りて、土手に向かった。ところが大回りしないと土手に行けない。何とか土手の道路に止めたのが、金環食2分前。そのまま機材を両手に抱え、土手を駆け登って..... 薄雲を通して、見えた!!

 それにしてもきれいな円だ。幸い、ここ江戸川区も中心蝕線の真下で、絶好のポイントだ。基本は薄雲越しで 、たまに雲が途切れ、たまに厚い雲に遮られる。しかし、適度な薄雲越しで肉眼で見るのが、意外と良かった。太陽フィルターを通すと、遮断されたような、一つ向うの世界の出来事のように感じるが、適度な薄雲を通して肉眼で見ると、風景ときれいな 真円が同時に見れて、これぞ現実の金環食!といった感じだ。ただ、ベイリー・ビーズは雲がかかってしまい、確認できなかったのは残念。また、PSTで見れなかったのも残念。 ピン・ホールでリングが投影できなかったのも残念。皆既と違って、かなり明るく、部分日食の時と同じだ。

 私の場合は眼視派で撮影はどうでも良いので、雲越しでも喜んで撮影した。むしろ、雲越しでアンダーで撮ったら、ハッブルで撮影したどこかの星雲・天体みたいな写真になって、相当きれいだ。天体写真をやっている人達が見たら、何だ、この写真は! 失敗だらけじゃないの? と眼をひん剥きそうだが、そもそも観点が違うし、こんな風景写真があっても良いと思う。という訳で、あえて雲越しの写真の方を何枚か掲載してみた(経時順)。 フィルター無しで普通の手持ち撮影、現像で色の強調等は行っていない。家内がこの写真を見て、人工的に丸印を合成した、と勘違いした位のきれいな円だ。やはり金環食はこれが大事で、偏心した金環食は、結局部分日食の要素が強くなってくるように思う。





 金環食が終わり部分日食になると、人がどんどん減っていく。部分日食だって面白いのに、ああもったいない。いつもは欠け始めからしっかり堪能するのだが、今回はそれが出来なかったので、最後まで見届けて頭の中で逆回しだ。部分日食は、このハイランダーで堪能。黒点が月から顔を出して行くし、天体の運行が感じられる。気付いたら、土手にあんなに沢山人がいたのに、三脚を立てている4人しか残っていなかった。最後の食が終わる瞬間も良いものだ。わずかな凹みがわかるのは、ハイランダーならではだ。最後まで見届けて、金環日食は終わった。次は是非、Hαでプロミネンス絡みで見てみたいし、ハーシェル・プリズムでも見てみたいものだ。

 さて、6月6日は??

  

金星の太陽面通過 (2012年6月6日)

 金星の軌道は地球の軌道から3.4°傾いているので、太陽、金星、地球が一直線に並ぶのは、8年、105.5年、8年、121.5年間隔になるという。人類が望遠鏡を手にして、観測記録は、1639年、1761年、1769年、1874年、1882年、2004年の6回しかない、という。今回を逃すと、次は105年後の2117年になるという。こんな珍しい現象が見られる時に生きていて、たまたま天文ファンであったなら、見ないわけにはいくまい。ところがあいにく悪天候続きで、6月4日の部分月食だって、ほとんど厚雲に遮られ、たまに何となく?かなあ、程度。金環日食は是非自宅で見たかったが、今度は積極的に動こう、と最初から決めていた。

 今回の観望の目標は、第1〜2接触を最高の条件で見る事だ。惑星がらみの蝕を優れた望遠鏡で良い条件で見ると、太陽系の運行を感じ、太陽系を旅するような間隔に陥るので、特に蝕の始まりと終わりは是が非でも見ておきたい。金星は地球と同じくらいの大きさだから、何か分身のような気がして、また、2004年には見ていないので、個人的にはけっこう盛り上がっていた。また、オレオール現象(金星の大気によって、外縁が輪状に明るく見える)や、ブラック・ドロップ現象(太陽の縁と金星がつながったように見える)も確認してみたい。理想はハーシェル・プリズムで、 そしてPST双眼でも見てみたいところであるが、悪天候どころか、台風3号が北上してくる始末。2日前までは、新潟や金沢などの北陸が有力候補であったが、前日の感じでは、絶対大丈夫なのは、広島〜九州。6日午後は仕事なので、車の遠征は無理。かといって、当日の飛行機代はあまりにも高いので、新幹線での移動、ハイランダーで出撃だ!

  
ハイランダーとトート・バッグ1個で、どこへでも出撃。こんな芸当ができるのも、松本製軽量架台
とGitzo GT1542Tのお陰。
*本体に取り付ける“マウント・ブロック(写真右)”は、純正マウントとセットでしか入手できないので、注意!

 前日の仕事が終わったら、その足で新幹線に乗らないと間に合わないので、5日の朝の出勤はハイランダーとトート・バッグがお供。さて、どこに向かうか? 岡山や姫路あたりでも大丈夫そうだし観望時間も長くなるが、薄雲がかかりそうで、肝心の第1〜2接触は確約できない。せっかく遠征して中途半端な結果では情けない。という訳で、出発1時間半前に広島に決定。 大イベントの観望は、場所を選ぶ時点で、もう既に始まっている。品川で18時57分の新幹線に飛び乗り、全ての天気予報で、唯一晴れマークが輝いていた広島へ向かった。しばし、まったりとした時間が過ぎて行った頃、隣に座っていた方が岡山で降り支度を始めた。見ると、憧れのSachtler の雲台が! これはただ者ではない。話しかけてみると、同じ横浜の方で、金環日食の時は三浦半島に行って涙をのんだ、との事で、今回は岡山で写真撮影をするという。もっと早く気付けば良かった、とお互いに挨拶し、幸運を祈って別れた。

 広島は、月が眩しく輝いていた。快晴! 宿は、南東の空が開けた川沿いのビジネス・ホテルで、偶然部屋も東向きだった。ホテルの裏に回ったら、ちょうどベンチに座ってゆっくり観望できる所 があった。4時に眼が覚めたが、セッティングは6時頃から。


左:CANON EF70-200mm F4L IS USM/200mm + EXTENDER 1.4×III + ND-100000 + EOS-5D III  F:8, 1/4000, ISO:800 手持ち撮影
右:Highlander 9mm 50×with ORION #20000, Leica D-Lux 4 F:4.5, 1/320, ISO:400 手持ちコリメート撮影

 第1接触は、7時11分。日食とは異なり、随分ゆっくりと始まり、進行して行く。金星が2/3程太陽に入ったところで、金星全景のリングが見えた。ただし、リングは常時見える訳ではなく、見えたり見えなかったり。脳が補充している可能性もあるが、オレオール現象ではないかと思う。第2接触では、ブラック・ドロップ現象(ただし、オシリがちょっとダブる程度)がしっかり確認できた。ハーシェル・プリズム(APM/LZOS の優秀な光学系)だったら、どう見えるのだろうか。とにかく進行がゆっくりなので、写真も撮ってみた。左側は望遠レンズ・手持ち撮影、右側は、ハイランダーのコリメート撮影だ。 眼視派で写真はどうでも良い、などと言っておきながら、最近は記念写真は撮るようになった。金星の視直径は太陽の1/30程度だが、実際に太陽をバックにしてみると、思ったより大きく感じる。ND-100000 フィルターを通して、肉眼でも容易に位置が確認できる。金環日食の時は、好奇心旺盛なお婆さんに捉まって、ちょっと大変だったが、今回は見渡す限り、私1人。ちょっとほっとしたり、せっかくのチャンスで見せて上げれるのに、とも思ったり。

 金星の動きは、SkySafari が実にいい! Searchで太陽を選択し、Centerボタンで画面中央固定。Time→Min→ボタンでアニメーション表示させると、動きが把握できるだけでなく、弧状に動くさまが面白くて、何度も見てしまう。もし、天候不良で見れなかった方々は、是非これをご覧あれ!

 そうこうしている内に、8時37分の新幹線で帰郷するため、引き上げる事となった。駅には少し早く着いたので、今度はホームでハイランダーを広げようかとも思ったが、お土産購入のため諦めた。新幹線の中では、 時折ND-100000 フィルターで肉眼で金星の位置を確認した。富士山を通り過ぎるまでは晴れていたが、新横浜では曇り、東京は雨だった。 午後は仕事で大忙し。頭の中では、ずっとクレモンティーヌの歌う、けだるい「天才バカボン」の歌が流れていた(CMで流れていますね)。「これで〜いいのだ〜〜。これで〜いいのだ〜〜。ボンボン、バカボン、バカボンボ 〜ン。」

 次は7月15日の木星食、食続きだ。梅雨明けしているだろうか。

  

西臼塚への遠征とパンスターズ彗星 (2013年3月17日)

  鳴り物入りで、今年の前半の目玉として大々的に取り上げられていた、パンスターズ彗星(C/2011L4)。ようやく見れるようになってきたが、日没直後なんて仕事で見れない。近くの高層ビルにだって行く時間も無い。ようやく16日(土)に時間が取れたので、観望を兼ねて西臼塚へ行ってきた。天城は今週も風が強そうだったので、パス。

 諸事情でアイピース2本が手元に無いので(もう少しで戻る予定)、双眼視できないAPM-Bino はお留守番で、ハイランダーとObsession にて観望。パンスターズは、ハイランダーとCANON 防振双眼鏡で狙った。たいして期待もせず、しょぼいのか、と思いきや、意外と楽しめた。やはり、この2つの優れた機材が見え味に貢献しているかもしれない。CANON の防振双眼鏡は相当良く見えるので、これから持ち歩いて、都心のどこかで見るようにしてみたい。右の写真は、皆さんの素晴らしいものとは比較にならない、単なるワン・ショット。今度はもう少しちゃんと撮りたい。ヘール・ボップ、とまではいかなくとも、これから見事なテイルを見せて欲しいものだ。

 空は相変わらず明るく(といっても横浜とは段違)、また、星はお団子だったけれど、春の系外銀河を中心に、明け方の夏のdeep sky、そしてωまで十二分に楽しんだ。自作のdeep skyガイドブックは、秋・冬編は完成したが、春・夏編はあまりの多忙のため、ほとんど手付かずの状態だ。でも、おおくま座の観望対象リストはあるので、ここは重点的に観望した。この星座にはやたらと見るところが多いようで、77も候補に挙がっている。今宵は、この中から69訪れ、58制覇した。

 Obsession メインの観望だったが、ハイランダーでもあれこれ覗き、TSN-883TE-11WZ でも楽しんだ。9cmのフローライトなのだから優秀なのは当然としても、球状星団をしっかり分離し、見事。ズームでピントのズレが大きいのが欠点だが(メーカーに問い合わせたら、ズーム・アイピースでは、必ずフォーカスがずれる。ズームでのアイ・ポイントの差を無くすべく設計した、との事)、ドブ用ファインダーとしては、圧倒的に最強。

    

iPhoneフォルダー (2014年7月23日。27日に内容を追加)

 先日、傾斜センサーのテストをしたが、これは、エンコーダーと同じように、きちんと導入できるのが確認できた。次に、この垂直軸だけのin putで、SkySafari を使って導入できないかも試してみた。つまり、正確な垂直軸の表示があれば、手動で水平方向を動かしてSkySafari で導入できないか、というもの。しかし、これは徒労に終わってしまった。けっこう面倒くさいのと、水平方向の補正に時間が取られ、これならSkySafari の画面を見ながら自分で導入した方が早い、と思った。

 この事を松本さんに 伝えたら、「iPush To も使えますよ」、との事。随分昔にダウンロードしていてたが、実際に使うことは無かった。そこで、これも検証してみた。これが登場するのはハイランダー以外に無いので(他の望遠鏡は、全てエンコーダー付き)、ハイランダーにiPhone を取り付けてみる事にした。iPush To は、メシエやNGC 天体を選択してPush To ボタンを押せば、天体の方向を矢印で示してくれるソフト。かつて持っていたSkyScout と同じだ。iPush To は無料(今は\100)だけれど、Amazon で見たら、SkyScout は\65000(現地価格は100数十ドル)だった。

星光産業 EC-126 フリーテレキャッチ2 BK (星光産業という会社の名前は偶然)

 iPhone は、スマートにカッコ良く取り付けたい。ゴテゴテしたアームは避けたいところ。最初に考えたのは、取っ手の先、対物レンズの間の直角面に、ヴェルクロでアクリルの板を取り付け、この板の延長面にiPhone のケースを接着する、というもの。つまり、取っ手の先に、iPhone が直立している感じだ。iPush To は、iPhone の画面が縦方向のみで、横使いはできない。しかし、ヨドバシで、星光産業のEC-126 フリーテレキャッチ2 BK \1218というものを見つけたので、これを使ってみる事にした。


 取り付けの位置は、ご覧の通り(両面テープ)。この位置だと、関節のネジを外して、そのまま専用ケースに収められる。関東は梅雨明け、とか言っているが、空は梅雨空。半明けとしか思えない。薄雲の中、動作を確認してみた。

 残念ながらiPush To は誤差が大きく、使い物にならなかった。松本さんによると、3°以内程度の誤差、との事だったが、iPhone のセンサーに個体差はあるのだろうか?

 次に、SkySafari のコンパス機能を使って導入を試みた。曇り空で、ヴェガ、アークトゥルス位しか薄雲の間から顔を出していないような空だったが、ヴェガでiPhone の位置を調整して校正。それでも、アルビレオやイザール、ヘルクレス座の95番星などが導入できた。誤差は、4〜1°位。ろくに星座も見えないような空では、役に立つかもしれない。しかし、常に近くの恒星で校正しないと、誤差はどんどん大きくなるので、あくまで導入補助程度。また、バッテリーはすぐに無くなるので、外部バッテリは必要。

 垂直軸のセンサーは、かなり正確。水平方向の正確なセンサーが登場すれば、エンコーダー不要の時代が来るかもしれない。

    

水平方向のエンコーダーの装着方法 (2014年9月5日)

 松本特製軽量マウントは、835g という超軽量だが、エンコーダーは付いていない。垂直方向は、傾斜センサーがエンコーダーと同様に動作するのがわかったので、今度は水平方向だ。現在のセンサーでは水平方向はまだ使える状態ではないので、現時点ではエンコーダーを使うしかない。蒼い星さんは、何とチタン製のマウントにエンコーダーを内蔵させた。

 超小型のエンコーダーもあり、内蔵は不可能ではないが、小型のものではステップ数10000は得られない。NEXUS のエンコーダー・ステップ数の変更はトラブルが付き物なので、ここは他のステップ数にはしたくない。また、せっかく完成度の高い特製マウントには加工を加えたくない。では、どうするか?

 一番手っ取り早いのは、エンコーダーを外付けにしてプーリーで回転させるという方法。特製マウントは、外側が回転するので、こことプーリーをベルトで繋ぎ、エンコーダーは特製マウントと三脚穴の間に板をかませて、ここに固定すれば良い。手持ちのエンコーダーはステップ数10000の他、今まで使っていて外した4096、4000、2160がある。10000のものを使えば誤差は少なくなるが、プーリーの外径が70mm必要になり、ちょっと邪魔。ステップ数4096のものならプーリーは28.7mm、ステップ数4000のものならプーリーは28mmで、10000が得られる。ステップ数2160ならプーリーの径は15.1mmになるが、エンコーダー自体が30mmあるので、これでは誤差が大きくなるだけで、メリットは無い。

 という訳で、プーリーの径が28mmのものを探してみた。検索すると、相当数のプーリーがヒットするが、6mmの軸でベルトが接する外径が28mmのものが見当たらない。では、特注するか、という所まできたが、結局今迄の私のハイランダーの使い方ではエンコーダーはさして必要ないのと、イザとなったらAOK 社のAYO 経緯台があるので、結局見送ってしまった。

 やっぱりハイランダーはスッキリ使いたいので、私の場合は傾斜センサーに何らかの水平方向感知センサーが組み込まれるのを待つとしよう。

  

第1回双眼狂祭 (2015年7月24〜26日)

 本機も第1回双眼狂祭に参加した。詳細は、こちら

       

    続く.....!

 

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