125SD Binoで、テカポ遠征 2013年12月〜2014年1月
トラベル望遠鏡 その4

  公開:2014年1月8日〜
更新:2014年3月9日 * 文字が小さく表示されてしまう現象を修正

テカポといえば、やはりこの教会の写真。教会の屋根の上にポインター(α&βタケンタウリ)、左上に南十字(星の色の違いに注意)とコールサック、その上にダイヤモンド・クロス
(下の角は南のプレアデス、その下にエータ・カリーナ)、その上に、にせ十字、写真上には大マゼラン雲、また、教会の屋根の左下横にはω(NGC5139)が写っている。
撮影:2013年12月.30日23時17分。EOS 5D Mark III + EF24-70mm f4 IS ISM (29mm)。f4.0/15sec. ISO:12800。Lee No.4ソフト・フィルター使用。*後述の撮影状況を参照。

  

  一度テカポに行ってみたかった

 数年前にテカポを知り、一度行ってみたい、と思っていたが、そうすぐに行ける所でもない。2011年のGWにはテカポに行こうと思っていたらクライスト・チャーチが大震災で、結果的に西オーストラリアの遠征となった。2013年の年末〜年始は新月+9連休という絶好のタイミング! 南半球は夏なので夜は短いが、テカポでの星見+ニュージーランドの大自然に触れてみたい、ということで、行って来た。

 というと簡単そうだが、夏のニュージーランド、特にテカポは大人気で、7月(5ヶ月前)に計画し、予約を取ろうと思ったら、便は予約は相当入っていて残少、ホテルに至っては、満室。旅行業者がかなり予約を入れているのだろうけれど、これには参った。便はオークランド経由でクライスト・チャーチに行くのしかない。やっと見つけて予約が取れたホテルは2箇所しか無く(というか、連泊できなくて2箇所になった)、選択の余地無くそこに予約を入れた。ホテルには、キャンセルすると全額戻ってこなかったり、高額なキャンセル料がかかる場合がある。実は、Mantraグループのホテルに仮予約を入れ、翌日便の関係で変更したら、それだけで3万円近くもキャンセル料を取られてしまった。まだ5ヶ月前だ!と散々文句を言ったが、全く聞く耳が無い。予約した時点で宿泊費全額が引き落とされるので、キャンセル料を払わないと、残金が戻ってこない。「残額は返して欲しくないの〜?」等と相当強気な商売で、相当腹が立った。

 便は、ニュージーランド・エアー。ANAとの共同運行便も多く、スター・アライアンスに入っている私としては、ありがたい。オーストラリアはJAL、ニュージーランドはANAの管轄域か。ちなみに、訪問国内を飛行機で移動する場合、日本との往復便と同時に予約すると(日付が違っても、一筆書きで辿れればOK)、 個別に予約するより安上がりになる。また、今はエコノミー・クラスの預け荷物は23s×1個(以前は2個の時もあった)で国内線も23s×1個だが、プレミアム・エコノミーだと23s×2個まで無料、また同時予約の国内線も2個まで無料になるので、その都度超過料金を払ったり(事前にネットで申告すると安くなる)する煩雑さから開放される。ただし、国内線でセルフ・チェックインすると、追加料金支払いのメッセージが出るので、係りの人に言って無料手続きをしてもらうか、Premium check in カウンター(奥でわかりにくい)でチェック・インする。

 レンタカーは、英語のsiteからだと便と同時に予約できる。ナビのオプションをお忘れなく。空港内の道は分岐が沢山あるが、レンタカー返却の案内掲示が細かく表示されているので、 迷わず返却できる。

 

 機材

 125SD Bino一式。Binoは専用トランクで1個。取り扱い注意!と必ず告げる。海外の空港の場合、Fragile 扱いの荷物は、ドロップ・イン・カウンターの場所が異なる場合も多い。三脚、架台はトランクに収納。アイピースは、今回Nikon NAV-HW 17mm とNagler Type 6 5mm の2系統4本のみ。ほとんどはNAV-HW 17mm、44倍、実視界2.3°で、たまに150倍、実視界0.55°となる。フィルターは、笠井のSuper Nebular Filter、OIII、Hβ の3種類6枚。双眼鏡は、自作テレコン・ビノCANONの防振で、いつものセットだ。これにNEXUS とバッテリー、iPad、iPad mini が加わる。アイピースや双眼鏡はトート・バッグで手荷物で運んだが、どのセキュリティーでも引っかからなかった。

 夜露防止に、自作フードファインダー曇り止めセット、さらにホッカイロも多数持参した。向うは夏、といっても、夜は数℃だから、防寒対策も日本の晩秋と同じものを持参。けっこうな荷物になる。ニュージーランドでは、噂どおり、荷物重量のチェックが厳しい。いかにもお堅い感じのおばさんが、一つずつ、きっちり重量を測定し、OKが出ないと荷物が預けられない。オークランドでは、1sオーバーしたインド人が支払いを命じられていた。これには、MAQUINO のラゲッジ・チェッカー 071020 が便利。

 オークランド経由でクライスト・チャーチへ

 黒塗りの飛行機(NZ90)でオークランドへ向かう。18:25 成田発、9:15オークランド着。時差は、ニュージーランドが4時間進んでいるので、飛行時間は、約10時間だ。10時間というと、モスクワに行くのと同じ位で、ニュージーランドは近いようで、けっこう遠い。そこから11:30オークランド発、12:50クライスト・チャーチ着の便(NZ0517)に乗り継いだ。一旦、入国審査を受けてから荷物を引き取り、近くにある荷物預けカウンターに荷物をドロップ・インして国内便に乗りかえる。

 翌朝着の便だと時間が有効に活用できる。翌日は、レンタカーでマウント・クックの国立公園内のホテルまで322km運転しなければならないので、しっかり寝なくてはならないのだが、飛行機に18時半に乗って、いきなり現地時間22時半。夕飯も出るし、すぐには寝れるものではない。映画は1本だけ見た。「あまちゃん」で、抜群に冴えわたっていた宮藤官九朗の「中学生 丸山」。ネタばれになるので内容には触れないが、これは残念ながら不発であった。

 

 HERMITAGE

 いきなりテカポへ滞在するのではなく、まずマウント・クックの国立公園内のホテル:ハーミテージ(HERMITAGE)へ向かった。ここでは氷河が見れるので、是非行ってみたかったのだ。レンタカーで322kmの運転だが、日本での322kmはげんなりだけれど、オーストラリアやニュージーランドでは、風景が新鮮なのか、さほど負担にはならない。市街地を抜ければ制限速度は100km/hなので、途中、食事をしても4時間程で着いてしまう。

 ハーミテージへは、1号線をずん、と南下してから79号線に乗りかえ、少ししたら、8号線に乗り換えてテカポを経由しプカキ湖へ、そこから80号線で北上すれば終点 がゴール。ハーミテージのsiteには経路の案内があるが、これだと1号線の一部を山形に通るようになっていて、距離が長くなってしまうので “?” と思っていたら、ホテルの人によると、こちらの方が30分早いのだそうだ。試しに帰りはこの道にしてみたが、たしかに車はガラガラで、飛ばせば時間は短縮できる。しかし、分岐がわかりにくいのと、結局は制限速度は100kmなので、私個人としては、単純に1号線経由がおすすめ。慣れない道で飛ばして何かあったら旅は台無しだ。

 

 クライスト・チャーチでは大雨だったが、テカポに近づと晴れてきた。晴天率が高いのは本当か? せっかくなので、ヴィレッジ・センターに立ち寄ってみたら、テカポの名所「善き羊飼いの教会」に虹がかかっていた! 何というタイミング。歓迎されているみたいで嬉しかった。結局、ハーミテージに着いたのは何だかんだで19時半だった。家を出てから丸24時間。ちょっと遠いなあ...

  小学校では、マウント・クックがニュージーランドを探検して云々、と習ったが、1000年前にはマオリ族が住んでいた。ニュージーランドでは、先住民に敬意をはらい、地名にはマオリ語のものも多い。マウント・クック山は、アオラキ Aoraki Mount Cook と表記される。勝手に国を乗っ取り先住民を迫害する、某国(複数)とは大違いだ。ここを訪れるなら、ハーミテージに滞在するしかない。ここも年末・年始の夏は大人気で、7月に予約を入れた時には、これまた空きがあまりなかった。ここでは、セフトン山 Mount Sefton の懸垂氷河が正面に見え、感動的だ。


朝食のレストランの窓からの眺望。セフトン山の懸垂氷河。

 
懸垂氷河・上側のアップ


懸垂氷河・下側のアップ。氷河は、青色の光以外を吸収するので、青みがかって見える。

 ここでは、翌日1日が自由時間。朝から雨だが、中高年の日本人達が、次々とトレッキングに出かけて行く。雨のトレッキングの装備は無いので、11時に氷河ツアー Glacier Explorers に参加 した。これは、フッカー・バレー Hooker Valley を歩いて行き、ミューラー氷河湖 Mueller Glacier Lake でボートに乗り、湖に浮いた氷山を間近に見て、フッカー氷河の湖に接している先端まで見に行く、というもの。幸い、ツアーの時は無視できるほどの小雨だった。

 氷河の氷は、長年圧縮されて密度が濃くなっていて、青色以外の光は吸収するので青く見える、との事。また、氷山の水面に接している所は解けてえぐれているが、水面に出ているのは氷山の1割で、90%は水面下にある。


 氷山には、氷の結晶:氷晶そのものが集合してできた氷山もある。かけらは透明で、食べてみたら、美味しい。これで飲むオン・ザ・ロックは有名。フッカー大氷河の先端までは、危険だ、という事で離れて見学。パンフレットの写真は、ちょっと誇大広告気味だ。ちなみに、湖面は乳白色。氷河が地面を削って湖に流し込む。水温は数℃で、数秒も手を入れていると、痛くなってくる程冷たかった。

 午後は、プラネタリウムを見た。日本と同様、星を見る、というよりは、ほとんど映画館。3Dのアオラキ/マウント・クックは面白かった。天気は、雨だと思ったら、急に晴れてきて、またすぐに雲って雨になる。ここは雨が多く、年150日は雨らしい。ホテルの人によると、12月は、ほとんど雨だそうで、季節的には10月がいい、と言っていた。結局、アオラキ/マウント・クックの全景は拝めなかったので、3Dの映画で我慢。

 部屋に戻ったら雨が止んで、正面のセフトン山の懸垂氷河が見事に見える。CANONの防振双眼鏡: 10×42 L IS WPで見てみたら、これが凄い。氷河の亀裂が眼前に迫ってくる。それでは、という事で、125SD Binoで見てみた。


*コリメート撮影した3枚の写真は、Photoshopでコントラストを強調しています。

 これが、断然凄い! 氷河の間隙から水が流れているのも見える(写真右上)。あんまり凄いので、愛用のコンパクト・デジタルカメラで手持ちコリメート撮影をしてみた。アイピースはNAV-HW。ここには中〜大型双眼鏡を置くべきです。皆、絶句します。

 ところで、専用ケースから双眼望遠鏡を取り出した時に驚愕! EMSユニットがご覧の形に! やはり海外では荷物の扱いが乱暴か、と思ってチェックしたら、本来は垂直に固定されているはずのEMSユニットがナナメになっただけだった。これは、Nagler Type 6 5mmを使用する時に重量バランスが崩れないように、TeleVue イコライザー・タイプ(1 1/4用接眼アダプターで、銅合金製の重量タイプ)を装着してケースに入れて運搬したためで、このアダプターの重量のために、運搬時の下側にずれたためだった。その後、このアダプターを外して運搬し、全く問題なかった。

 

 いざ、テカポへ


プカキ湖

 翌日は、大雨。ハーミテージからテカポまでは100km程度しかないので、そんなに時間はかからない。途中のプカキ湖は、テカポ湖同様、ターコイズ・ブルーで、本当に美しい。氷河が削って注いだ細かい微粒子で湖は乳白色になり、光は青色以外は吸収されるためだ。だから、天候や太陽の当たる角度、見る位置で、刻々と表情が変る。

 昼前にはテカポ到着。天気は回復。ホテルのチェック・インまで時間は十分あるので、まず、善き羊飼いの教会を見学。

 教会と天の川の写真が有名で、ガイドブックでチェックする前までは、てっきり丘の上にあるのか、と思っていた。湖畔にあり、教会の正面は窓になっていて、テカポ湖が見えるようになっていた。屋根は木造で、ちゃんとハルモニウム・オルガンもあった。ここは小さくても、教会なのであった。ちなみに、大勢の観光客が訪れるので、人がいない写真を撮るのには時間を要する。

 昼には、有名な日本食レストラン「湖畔」で、皆が食すサーモン丼を食べた。これは美味しい。ホテルはMantra Lake Tekapo。ホテル、というよりは車庫付きアパート一軒屋。2人で過ごすには、十分すぎる広さで、キッチン、オーブン、電子レンジ、洗濯機、乾燥機、食器、何でも揃っている。数人で遠征するには、一番良いのではないだろうか。夜は快晴となり、冒頭の写真を撮った。ただ、風が強い。常時数m、時に10mを超える風がビュービュー吹く。夜、と言っても南緯44°だから、暗くなり始めるのは11時頃で、4時には薄明が始まる。天文屋として遠征するには、不経済な季節だ。


写真左:まだ暗くならなくても、これだけ写る(実際には、もっと星が写っているが、写真を縮小すると数が激減する)。
写真右:とにかくひどい光撃の中の撮影になるが、少ない光のタイミングで、うまくそれを利用して撮れる場合もある。

 この季節は、銀河中心は登ってこないが、ちょうど教会に南天らしい天体が揃うので、偶然とはいえ、写真撮影にはいいタイミングだった。しかしながら、撮影には多くの障害があった。風は止む時もあったし、0時過ぎには穏やかにもなってきたが、物凄い数の観光客が訪れる。レッド・ライトではなく、明るいLED懐中電灯で教会は照らすは、ストロボ撮影はやるは、車のヘッドライト、デジカメのAFの赤い補助光攻撃、あげくの果てには教会を背景にLEDライトの光跡で文字を写そう、という人も沢山いて、30秒の露出は不可能。頑張って15秒が限界。だからISOは12800まで上げて撮らざるを得なかった。あとちょっと、というところでパアッと照らされるのを我慢して繰り返しシャッターを押さなければ、あの写真は取れない。この季節以外では、もうすこしマシなのであろうか。どこの国の人が多いのかは明言しないが、ここTekapoが大人気なのは東アジア。この日は快晴だったが、撮影だけで疲れてしまって1時には引き上げてしまった。 世界遺産登録をするなら、観光客のマナーを何とかしないと維持も難しいだろうなあ...


 北天。逆立ちしたオリオン座と湖面に反射する木星。

  

 Air Safari


 左右に1人ずつ座るので、全員が窓から見れる。

 ここに来て、この素晴らしい自然を空から見ない手は無い。テカポからぐるりとアオラキ/マウントクックまで周回するフライトがある。会社はAir Safari。これも5ヶ月前から1月2日に予約を入れていたが、天気予報を見ると、予約日は大雨。12月31日は快晴なので、前日にオフィスで予約の変更をお願いしたら、親身になって相談に乗ってくれ、快く変えてくれた。ここのスタッフは全員親切で、「お、も、て、な、し」が素晴らしい。空は快晴、自然は最高なので、大感動、大興奮!


左:湖の西側にあるジョン山 Mount John。頂上には天文台がある(夜間は通行止め)。  右:テカポ湖。水の色は、ターコイズ・ブルー。常に表情を変える。


左:氷河の通り道      右:氷河


アオラキとは、マオリ語で、「雲を突き抜ける山」という意味だそうだ。標高3754m。ここの頂上が見えたら、ラッキー!

 
絶景が続く

 何氷河だったか、聞き漏らした。


テカポ湖に注ぐゴドリー川。まるで生き物のようにうねり、絵の具を混ぜているような不思議で美しい色のグラデーション! PLフィルターは使ってません。

テカポの街。人口300人とか(この写真の湖の青色は実物と違うなあ...)。

 左右の座席とも均等に見れるように飛行するが、今回の絶景のポイントの瞬間は右側の座席に集中してしまったようだった。パイロットや気流、その他、様々な条件で変わるので、どちらが良い、とは言えないと思うが。私の脳はドーパミン出まくりだったが、家内は「ずるい。」といって、ちょっとだけご機嫌ナナメだった。

  

 
 アストロ・カフェ Astro Cafe


写真左;どこからでも天文台のドームが見える。 写真右:アストロ・カフェは右側、左側のドームは口径61cmで、カリフォルニアからコントロールしているリモート天文台、との事。

 快晴なので、エア・サファリに引き続き、マウント・ジョンの上の天文台にあるアストロ・カフェに行ってみた。天文台は標高1031mにあるが、テカポ湖が標高710mなので、300mの山に車で登るのと同じ。すぐに頂上に辿り着ける。頂上までの散歩コースや、その周辺にはトレッキング・コースがいくつも用意されている。カフェは大混雑。「コーヒーが出るまで20分かかるけど、いいですか?」と言われた。もちろん待って、カプチーノを飲んだ。300mを侮るなかれ、頂上は絶景だ。


後日、天文台の見学に来た時に撮った風景。  写真左:あそこは、雨。 写真右:テカポの街が一望。あの教会も見える。


天文台に行く途中の道から見るテカポ湖の色は、本当に綺麗だ!


右側はテカポ湖、左側はアレクサンドリーナ湖で、湖の色が全く異なる。

    

 マクレガー湖 Lake McGregor


とにかく澄んだ湖水

 アストロ・カフェ/マウント・ジョン天文台へ登る道を右折せず、そのまま進んで行くと、真っ直ぐの道と左折の道に分かれる。ここをひたすら直進してみたが、ここは農道のようで、特に何も無かった。 で、この分岐を左折すると、マクレガー湖に着いた。この湖の水はテカポ湖とは全く違って、とにかく澄んでいる。湖畔の風景も、映画に出てくるように美しく、ため息が出る。この道は行き止まりで、左手に小さい丘があったので、登ってみた。これまた絶景。どこでも行ってみるものである。


写真左:丘     写真右:丘に登ると、奥にテカポ湖、手前にアレクサンドリーナ湖 が見える(湖の色が全然違う)。


絵葉書のような美しいマクレガー湖(丘の上から)。下の車は私のレンタカー。

  

 12月31日の観望


バウンダリー犬の像

 この日は快晴で、Air Safari、Astro Cafe、マクレガー湖と回ったが、天気予報では、夜23時過ぎから朝までは曇りと芳しくない。天気予報のsiteはいろいろあるが、私が現地で見ていたのは、Accuweather。iPhoneの無料アプリもある。毎時間の予報があるが、1時間ずれる事はあっても、だいたい曇りか晴かは当たっていた。ただし、風速は時速表示なので、換算しないと実感がつかめない。ともあれ、1時間でも見れればラッキーなので、望遠鏡を持って外に出る事にした。

 テカポ湖は街の北側にあるので、南天を見るためには、テカポ湖近辺で観望するなら、望遠鏡を街の方向に向けるか、街の北側に行かなければならない。様子見の観望なので、ホテルに近い、善き羊飼いの教会の右側にある、牧草地の境界線を守った犬を称えた像 (バウンダリー犬の像)の前の駐車スペースで観望する事にした。教会の右側、といっても少し距離があり、光撃の影響は無い事、街の灯りの影響もあまり無い事、アスファルトなので地面が平らで観望しやすい事、夜に、この像を見に来る人はいない事、等々で、ここに望遠鏡を広げた。

 まだ薄明るい22時半頃から観望を始めた。風が今日も強い。常時7〜8m位で、時に10mは超えていると思う。ドブなら、観望不可能だ。風で飛ばされないように、自作ガイドブックは双眼鏡で押さえたり、アイピースのキャップや包んで持ってきたクッション材などは、飛ばされないようにしっかりバックの中にしまった。 気温は11℃。まずは、南天オールスターズを網羅。 やっぱりこれは素晴らしい! 南天はいいなあ〜


家内が手持ち!(膝上)で撮った南天の写真を拡大してみたら、ωがちゃんと球状星団に写っていた。今のコンパクト・デジタルカメラは凄い。
SONY RX100II、JPEG 5Mで撮影、無修正、トリミングのみ。

 とにかく風が強く、微妙なところが見えない。風が強いと、アイピースに見えている星が全部二重星に見えたり、とびうお座のγ星は、風が止んだ瞬間に、接近していて美しい二重星なのでビックリしたり。そうこうしていたら、1時には曇ってしまった。海外で年越し、カウントダウンだと、広場に大勢の人が集まり、とにかく大騒ぎが多いが、ここではどこかで小さい花火が何発か上がった程度。静かな年越しだった。天気予報では、その後晴れないし、3時には雨、と出ていたので、撤収。約2時間の観望だったが、自作ガイドブックとデータ・インプット済みのSkySafari のお陰で、40程の天体を見ることができた。

 ちなみに、ここで明るい光を発すると、教会の左側で撮影しているカメラのアングルに入る可能性がある。レッドライトの使用は必要最小限とし、iPad mini のディスプレイの明かりにも気を配って観望した。

  

 リリーバンク・ロード Lilybank Road

 31日はテカポ湖の左側を散策したので、1日は、テカポ湖の右側を走っているLilybank Roadを突き進んでみた。スキー場に行く道でもある。湖畔で遠くに見えていた山々が近づいてくる。さらに進むと、花が咲き乱れている川を渡った。ここも美しい。さらに進んでみた。目指すは、Air Safariで見たテカポ湖に注ぐゴドリー川の美しいグラデーション。


Lilybank Roadと、テカポ湖に接続するゴドリー川

 頑張って行ってみたが、残念ながら(予想通り)飛行機で見たような光景には出会わなかった。さらに突き進み、カーナビでBloody Pointと表示されている所まで行ってみたが、砂利道の石が尖っていてパンクの危険が高まってきたので、ここで引き返した。レンタカーでのパンクは借主の責任で弁償しなければならない。 また、この砂利道はスリップしやすので、とにかく注意!

 テカポの道という道には、ルーピンの花が咲き乱れる。また、道路のボーダーラインにもなったりしている。また、オーストラリア同様、cattle stop と呼ばれる門のようなものが所々にある。これは、下が横長の格子状に開いていて、ここを牛や羊が通れないようにするため(牧場の境界線)だ。


  

 マウント・ジョン天文台見学


MOA (Microlensing Observations in Astrophysics) Telescope。ドームには、名大のマークもある。

 ヴィレッジ・センター内にあるEARTH & SKY に行って、天文台見学の事を聞いた。1人$20で予約可能、また、個人で天文台に行って、その場で申し込んでも大丈夫だ、との事だった。で、先日アストロ・カフェに行った時に立ち寄ってみたのだが、誰もいなくて、結局見学ができなかった。再びEARTH & SKYに行って聞いてみたら、アストロ・カフェで申し込むのだ、との事。という訳で、リリーバンク・ロードを探索後、行ってみた。


工房

 店員に申し込んだら、外に出て、EARTH & SKYの名札を付けた男の人に声を掛けた。「何時に見れますか?」と聞いたら、“on demand(要求に応じて)”。さっそくドーム一つ一つ解説が始まる。小型のドームは、口径61cmの望遠鏡が入っていて、一つはリモート天文台との事(アストロ・カフェでの写真を参照)。望遠鏡工房は、壁が薄くて窓ガラスが1枚なので、冬場の-20℃になるとつらい、との事。天文台内部見学は、一番大きい口径1.8mのMOA(写真上)。日本の科研費も使われていて、名古屋大学と共同研究もしている。

 日本から双眼望遠鏡を持って来たんだよ、と言ったら、ノリノリで解説を始めた。望遠鏡はNishimura製で、主鏡はアクチュエーターで支えられる。日本同様地震が多いので、免震装置も付いているとの事(写真上中)。コントロール・ルームも見せてくれた。

 
コントロール・ルーム。中央はサーバー。右は、望遠鏡の狙う視野(8000万画素の大型広角CCDカメラ)。

 重力レンズを利用して、惑星探査をしている、との事。多数発見しているだけでなく、恒星に属さない宇宙空間を浮遊している惑星もここで発見した、との事(ニュースで知っていたが、ここで発見されたとは知らなかった)。科研費でこんな素晴らしい成果をあげているなんて、嬉しくなってしまった。


写真左:中央のグラフ上は、恒星の重力レンズで得られるきれいな山形のピーク。下グラフのピーク右側には凸状の乱れがあり、これで惑星の存在がわかる、との事。
写真右:γ線バースト警告灯

 デスク横には、青色の警告灯があった。これは、ガンマ線バーストが発生したら、光学系を守るために向きを変えるのだそうだ。古いアストロ・カメラも見せてもらった。 写真乾板が大きい(右上のコンセントで大きさがわかると思います)。

 見学ツアーは、ここで申し込んで支払っても$20で、同じだった。

  

 アレクサンドリーナ湖 Lake Alexsandrina

 天文台へ登る道の手前、反対側にはアレクサンドリーナ湖へ行く道がある。 門は閉鎖されているので行けないのかと思っていたら、後日、自分で開けて入り、その後きちんと閉めれば良いのに気付いた。ここはここで、また別な風景が広がる。アレクサンドリーナ湖の色は、深い。隣のテカポ湖とは対照的だ。



この日も風が強く、波頭が立っていた。

  湖畔に降りてみると、キャンピング・カーが沢山停まっていた。というか、ニュージーランド、特にテカポ周辺を走っていると、キャンピング・カーがそこかしこに走っている。ボートを牽引している車にも頻繁に遭遇する。空港にデモしている車にだって牽引フックが付いている。車単独でキャンプしている人達も多い。


 面白い樹もあった。電柱もいい。電柱や高圧線の鉄塔は、国によって形が違っていて、実に面白い。フィルム時代から、行った先の国の電柱の写真も撮っていて、いつか「世界の電柱」という写真集かsiteを立ち上げたいと思っている。肝心の星見は、1日も2日も雲ってダメ。望みは、最終日の3日のみとなった。その分、のんびりとドライブに出かけ、美しい風景を好きなだけ楽しみ、ヴィレッジ・センターの右側の川を渡った所の公園をのんびり散歩したり、これはこれで充実。

  

 トワイゼル Twizel

 8号線を西に55km程行くと、トワイゼルという町がある。サーモンの養殖がさかんで、テカポ在住の人にHigh Country Salmon Farm を紹介されたので、行ってみた。8号線沿い、左側にある。養殖のプールが沢山あり、エサをやると、勢い良く飛び跳ねる。中ではクーラー・ボックスで、スモークサーモン、刺身、1匹、切り身などが売られていた。

 私達は、スモーク・サーモンと刺身(ちゃんとワサビと醤油が付く)を購入して、近くのルアタニワ Ruataniwha湖の湖畔で食べた。ついでに足を伸ばし、オハウ湖 Lake Ohau へも行ってみた。ここでは、氷河が削ったと思われる山が印象的だった。

  

 テカポ食情報


本当に湖畔にあって、窓からの眺めも良い。

 何日か滞在する方のために、レストラン情報を少々。食べに入ったレストランの数は少ないですが... テカポを代表するレストランは、日本食レストラン「湖畔 Kohan」。上記サーモン丼が有名。店員も、日本人が沢山いて、「オーダーお願いしま〜す。」などと声が飛ぶ。他にも日本食が沢山あるが、$20近くするので、円安の2014年年始時としては、ちょっとお高い(ただし、どこも同じくらいの価格設定)。また、大きなおみやげ物店が併設されていて、品数もだんとつに多い。サンプルも多数。日本に宅急便でも送れる。
 店内には、オーロラの写真が飾ってあった。ここでは赤いオーロラが出ることがあるらしい。ちょっと期待。


右:肉三種盛り(羊、鹿、牛)

 肉好きなら、マッケンジー・ストーン・グリルへ。焼いた石の上に、切った肉が どん、と置いてあるだけ。放っておけばどんどん焼けていくので、適当に返したり切ったりして、お好みの焼き加減で食べる、というもの。他にも普通のメニューもある。夫婦で食べていたら、9-10歳位の姉妹が通る度に、じっと見ていく。何だろう、と思ったら 「ねえ、これって石焼なの? やっぱりそうかあ..」 どうやら食べたかったらしい。
 お好み焼き屋は、材料と場所を提供するだけ(しかも材料が安い)ので、利益が上がりやすい、と聞いたことがある。それをちょっと思い出した次第。

 ここには1軒しかないピザ/パスタ屋(バー併設)も入ってみたが、パスタにジャムが入っていて甘くてダメ。お菓子感覚なのだろうか。パスタも味が無い。クーナのアカシア・モーター・ロッジのレストランでもパスタの味付けがされてなくて面食らった。私は何でも美味しく食べれる幸せな人間であるが、10年程前にロンドンのコヴェントガーデンの前のイタリアン・レストランのパスタが、今まで食べた外食の中で、ダントツにNo.1のまずさだった。どうやったら、こんなにおいしくないパスタが作れるのだろうか? 半分以上残してしまった。食べたくとも、口に入らないのである。思わず店員に、「あなた、これ食べた事あるの?」と声を掛けそうになった。しかし、イギリスはまずい、という伝説の検証ができて、ちょっと嬉しかった気もした。イギリス圏は、味オンチ気味なので要注意だ。ただし、近年変ってきているのも事実で(料理の鉄人の世界放送で、世界中のレストランの意識が変った)、バイブリー(イギリス、コッズウォルズ)のスワン・ホテルのレストランのラム肉料理は、ラム肉料理の中では歴代最高の美味しさだった。

 レストランはどこも値段が高めだが、ちゃんとリーズナブルなお店もある。Bakery Cafeで、テイク・アウェイ(イギリス圏では、take awayと言う)もできる。レストラン「湖畔」の前に屋外テーブルがあるが、ここの対面にも一般用のテーブルと椅子があって、木陰で食べることができる(写真上右)。

 私達夫婦の場合は、ホテルにキッチンもあったので、スーパーで適当に調達して自炊も多かった。スーパーは、ヴィレッジ・センター中央にあるFOUR SQUARE しかない。ガソリン・スタンドもある。年末・年始も休みなし。我々を虜にしたのは、AORAKI SMOKEHOUSEのサーモン! 100g $9.29 切り身200g $14.15も美味しい。 テカポを離れる時も、スーパーに買いに行った。何度この写真を見ても、じわっと唾液腺が刺激される。


スーパーで買ったものを適当に並べるだけで、けっこうな食事になる。写真右は、朝食。

 もう一つ。ニュージーランド名産のグリーン・マッスル。名前の通り、緑色が入る。冷凍で売られているものだが、コップ1杯の水を入れて暖めるだけ。


写真を見ると、昼間っからワインを飲んでいた模様。

 また、お土産用のクッキー(キウイ・フルーツ入りのが一番おいしかった)は、他のお土産店では3個$30だが、このスーパーでは1個 $7.99で一番安かった(で、沢山購入したら、オークランド空港で1個 $7-免税 だった)。ビールは、甘ったるい味付けをしているものがあり面食らったが、ピルスナー系はOK、ワインもあれこれ飲んだが、特に “これ” というものには遭遇しなかった(日本だと\1000台で本当においしいボルドーが手に入り常飲)。

  

 Mantra Lake Tekapo  からAlpine Vista B&B and Alpine Cottage へ移動


写真左:Mantra Lake Tekapoの前の風景  写真右:Alpine Vista B&B and Alpine Cottageの窓からの眺め

 唯一予約が取れたのが、この2つのホテル。最終日1月3日はMantra Lake Tekapoには泊まれないので、Alpine Vista B&B and Alpine Cottageに移動した。Alpine Vista B&B and Alpine Cottageは、日本で言えばペンションのような感じ。階段を2つ登らなければならず、部屋も狭いので、大きく重い荷物は車内に置きっぱなしとなった。 ヴィレッジ・センターからは遠くなるが、窓からの眺望は良い。

 まだ、本格的に一晩中観望ができていないので、内心ちょっと焦り気味だ。ただし天気予報では晴れなので、本格的な観望の場所として目を付けていたCanal Roadに下見に出かけた。湖畔では落ち着いて観望できない。また、天文台に行く道をさらに直進して行くと、右側に駐車場があって空は開けていて人工の光も無いが、ここは南天・下部がマウント・ジョンに遮られる。 マウントジョン/天文台への道は18時で閉鎖されるので、個人では立ち入れない。


写真左: 河川敷。HERMITAGEに行く途中で撮影  写真右:運河。実際にはもっと遥かに美しい。

 いろいろチェックしたが、2014年6月まで途中で閉鎖されているCanal Roadの途中、道の左側の空き地で観望する事にした。夜間は誰もいないだろうし、人工の光も皆無。空は思いっきり開けている。 河川の風景も素晴らしいが、この運河の水の色が美しい宝石のような光を放っていて、とても水とは思えない程位美しい! 明るいターコイズ・ブルーなのだけれと、そこに太陽の光がキラキラと反射して、目に入ってくる。まるで特別な偏光フィルターを通して見ているような風景だ。運河が削って湖水に流れ込んだ細かい粒子と、太陽と見る角度でできる偶然の芸術。もしかして、この季節の昼でないと、この美しさは見れないのだろうか。

  

 TEKAPO SPRINGS

 最終日の午後、テカポの観光で唯一行っていなかった温水施設にも行ってみた。テカポ湖の左側にある。温水プールのようなものが3つあって(テカポ、プカキ、オハウ湖を形どっている)、水温は35、37、39℃。子供が遊んでいる所は塩素がきつく、子供立ち入り禁止の大人用は39℃。泳げる訳ではなく、ただ浸かるだけ。Air Safariのおばさんは、「いいわよ〜」とおすすめだったが、日本の温泉を知っている我々としては、相当物足りなさを感じた。まあ、予想通りか。バスタオルは要持参。

  

 テカポの地図案内

 と、ここまでいろいろテカポを紹介してきたが、地図で場所のおさらい。というのも、数年前に知った時は何もわからなくて、善き羊飼いの教会もどこか丘の上にあって、マウントジョン天文台やアストロ ・カフェもEARTH&SKYに予約を入れないと行けないのか、とも思っていたので。

 赤線で示したのが8号線。右下方向がクライスト・チャーチ、左方向は、アオラキ、プカキ湖方面。地図@(8号線沿いの真中)にヴィレッジ・センターがあり、飲食店やオフィスは、全てここにある。また善き羊飼いの教会も、ここの湖畔にある。ホテルもここに集中。

 ヴィレッジ・センターから8号線を西に少し向かい、右へ曲がるとマウント・ジョン(天文台/アストロ・カフェ)方面へ。天文台に行く道(右折)とアレクサンドリーナ湖へ行く道(左折)がある。この道を直進して左折すると、マクレガー湖に辿り着く。途中、右側にハイキング用の駐車場もある。 そういえば、23時頃、星空のチェックでここを通ったら、ニュージーランドの国鳥キーウイを発見! 7〜8匹固まってうごめいていた。野生で遭遇するのは大変珍しいとの事なので、大変ラッキーだった。

 マウントジョン方向と逆に8号線を左に曲がると、Canal Roadへ続く(紫色表示)。8号線をそのまま西に行くと、すぐにAir Safari飛行場が左側にある。さらに進むとプカキ湖、トワイゼルへ続く。この道で、覆面パトカーに捕まっている車を見た。真っ直ぐだし風景も開けているのでついスピードが出がちだが、要注意。

 テカポ湖右側の紫色表示の道路は、リリーバンク・ロード。美しい風景に出会えるが、シャリ道で滑りやすい。

  

 最終日:1月3日の観望 - おまけ付き!

 テカポには5日滞在。昼間はのんびり過ごしたりドライブしたり、これはこれで楽しいのだが、望遠鏡を持ってきて2時間しか稼動していないので、これでは空しい。やっと2日ぶりに晴れて、ようやく本腰入れての観望が実現した。 まだ暗くならない内にCanal Roadの目を付けていた所へ向けて出発。ところが、予定地には車が停まっていたので、少し引き返し、河川敷へ降りる道にある空き地で観望する事にした。この川にはダムがあり、夜中に放流されると、急に川の水位が上がる可能性もあるので、道からほんの少し下がった所にした。
 ちなみに、ここは夏だけれど蚊はいなかった。防虫剤セットを持って行ったけれど不要だった。

 以下は、観望したもの(南天中心)と、簡単なメモである。快晴ではあるが、星は瞬いていて、シーイングはベストではない。空の暗さはオーストラリアで経験した3ヶ所と比べると、まあ標準的。気温は、23時は15℃、明け方も8℃と、滞在中の夜では一番暖かかった。風は、今日も常時4-5m吹いていたが、1時過ぎから弱まった。
 双眼望遠鏡の鏡筒は、BORG 125SDで、アイピースはNikon NAV-HW 17mmとTeleVue Nagler Type 6 5mmなので、以下の通り。ほとんどNAV-HW 17mmで観望したので、観望メモは、44倍、実視野2.3°、射出瞳径2.8mmでのものである。

 

焦点距離

 倍率

実視界 

見掛視界

アイ・レリーフ

射出瞳径

BORG 125SD

750mm

 

 

 

 

 

NAV-HW

17mm

44

2.3°

102°

16mm

2.8mm

Nagler Type 6

5mm

150

0.55°

82°

12mm

0.8mm

 

 

 

 

 

 

 

 みなみじゅうじ座

  星座全景の末端までの完全な把握、Acurux(もっと低倍の方がきれい)、コールサック、NGC4349、NGC4052、NGC4103、NGC4609、ジュエル・ボックスNGC4755(美しい)、Ruby Crucis(TYC 8659-1394-1 美しい)、Gacrux(美しい)、Becrux(もっと低倍の方がきれい)、μ Crusis。

 ケンタウルス座

   星座全景の末端までの完全な把握、αケンタウリ(二重星)、NGC5316、NGC5281、ω NGC5128(大迫力!)、Centaurus A NGC5128(上に上ってくると、写真のように暗黒帯が見える。フィルターは無い方が良かった)、NGC4945、NGC4976(淡い)、Abell 3526(NGC4696等の銀河群 確認できず)、NGC5102(確認できず)、NGC5283(確認できず)、NGC5367(確認できず)、Lambda Centauri Cluster/Running Chicken Nebula IC2944 IC2944 Collinder 349(美しい。フィルターは無い方が良かった)、Pearl Cluster NGC3766、NGC3699(確認できず)、Blue Planetary Nebula NGC3918(150倍より、もっと高倍が良い)。NGC3680、NGC5286、NGC5460。

 はえ座

   星座全景の末端までの完全な把握、β Muscae(確認できず)、NGC4815(淡い)、IC1491(確認できず)、NGC5189(Super Nebular Filterでコントラスト↑)、Wray 16-132(確認できず)、 NGC4833(淡い)、NGC4372(淡い)。

 りゅうこつ座

   星座全景の末端までの完全な把握、エータ・カリーナ NGC3372(美しい。Super Nebular Filterでコントラスト↑)、南のプレアデス IC2602(プレアデスの兄弟だ)、NGC3532(このあたりは、どこを見ても絶景)、NGC3572、Gem Cluster NGC3293(美しい)、NGC3199(Super Nebular Filterでコントラスト↑)、NGC3114、Vathorz Prior υ(確認できず)、NGC2808、NGC2867(確認できず)、NGC2516、μ Car(美しい)、カノープス。

 ほ座

   星座全景の末端までの完全な把握、Omicron Velorum Cluster IC2391、γ Velocum、NGC2547、Gem Nebula(淡い、はっきりしない)、NGC2659、Pencil Nebula NGC2736(確認できず)、NGC2899(確認できず)、x Velorum(美しい。南のアルビレオ)、NGC3201、Eight- Burst Nebula NGC3132(確認できず)。

 ポンプ座

   星座全景の末端までの完全な把握、δ Antilae、NGC3175(確認できず)、NGC2997(淡い)、ζ Antilae(ζ1とζ2のところの星の並びが “λ” に見える。Asterism: Antila λ と名づけた)。

 くじゃく座

   星座全景の末端までの完全な把握、IC4662(確認できず)、NGC6684(確認できず)、NGC6744(淡い)、NGC6752、NGC6810(確認できず)、NGC7020(確認できず)、NGC6876(確認できず)。

  ふうちょう座

   星座全景の末端までの完全な把握、NGC6101(確認できず)、IC4633(確認できず。13等なのでそもそも見えない)、IC4499(確認できず)。

 カメレオン座

   星座全景の末端までの完全な把握、ε Chamaeleontis(もっと低倍の方がきれい)、IC2631(確認できず)、NGC3195(相当淡い。見えたかどうか怪しい)。η Chamaeleontis Cluster、δ Chamaeleontis((もっと低倍の方がきれい)。

 とびうお座

   星座全景の末端までの完全な把握、γ Volantis(きれい)、NGC2442&2443(確認できず)、NGC2348(淡い)。

 テーブルさん座

   星座全景の末端までの完全な把握、NGC2019(確認できず)。

 かじき座

   星座全景の末端までの完全な把握 (確認するのを忘れてしまった)、大マゼラン雲。 大マゼラン雲には、この画像の通りNGC天体が数え切れない位あり、一つ一つ同定していたら、幾晩あっても足りない。代表は、何といってもTarantula Nebula NGC2070, 30。Super Nebular Filterがあってもなくても素晴らしい。

 レチクル座

   星座全景の末端までの完全な把握、NGC1559(確認できず)、θ Reticuli(もっと低倍が良い)、NGC1313、NGC1543(確認できず)。

 きょしちょう座

   星座全景の末端までの完全な把握、 小マゼラン雲 NGC292、NGC104(美しい。双眼鏡でもOK)、NGC362、κ Tucanae(もっと低倍の方が良い)、NGC7329(確認できず)。

 とけい座

   星座全景の末端までの完全な把握、NGC1261、NGC1252(しょぼい)、NGC1433(痕跡程度)、NGC1457, 1448(確認できず)、NGC1493(確認できず)、NGC1512(確認できず)、NGC1527(確認できず)。

 みなみのさんかく座

   星座全景の末端までの完全な把握、NGC5938(確認できず) 、NGC6025。

 その他、空を流して見た物もいろいろ。アケルナルが高いので、エリダヌス川下りもした。燃える木はまあまあ。馬頭は?位。まだまだ見ていない星座、天体も多く、また南半球に遠征しなくては...

 といった感じで見まくったが、2時頃からSkySafariが狂いだす。星図の真中に、Show Object Info、Edit Observation、Center Objectの文字が表示され、プログラムが失神する。再起動しても度々起こる。上記の通りの相当数の天体を導入すると、オーバーフローでもして誤動作するのだろうか。

 せっかくなので、記念写真を撮る事にした。1:04am、まずはテスト撮影。画面を見たら、下が赤い。あれ、あそこに街があったっけ? いや、これオーロラ? このカメラでの見え方は、チェナで経験したオーロラと同じだ。何枚か撮ったら、右側の赤色が波打っている! おおっ、オーロラだ!!


撮影:2014年1月.4日1時4分。EOS 5D Mark III + EF16-35mm f2.8L USM (16mm)。f4.0/20sec. ISO:12800。
鏡筒に星が反射して写っている。赤色の上の緑色もオーロラ。


星座がわかりやすく見えるよう、Lee No.4ソフト・フィルターを使用。
撮影:2014年1月.4日1時38分。EOS 5D Mark III + EF16-35mm f2.8L USM (16mm)。f4.0/20sec. ISO:12800。
地平線の灯りは、誰か撮影でもしていたのであろうか(対岸)。

  気をつけて見てみると、水平線付近には薄雲(もや?)もかかっているが、何か蛍光体がもやっと明るくなっている感じがある。何となくピンク色っぽい感じも若干あるので家内に聞いて見たら、やはりそうだと言う。昨年、オーロラを経験していなかったら、気付かなかったと思う。 ただし、残念ながら赤色の上の緑色のオーロラは肉眼では見えなかった。オーロラは徐々に薄くなり、2時間程で消え去っていった。レストラン「湖畔」で赤いオーロラの写真を見て、万が一見えたらいいな〜とは思っていたけど、本当に見れるとは思わなかった。感激!

 写真はそこそこにして、限られた時間で観望を続けたが、4時には曇ってきて薄明になってきたので、片づけを始めた。すると、車が近くまで来て誰かが歩いてくる。何たって一番怖いのは人間だ。緊張していたら、話しかけてきたのは、テカポ在住の天体写真家 Fraser Gunnさんだった。 彼は我々の近くでカメラをセットし、タイムラプス撮影をしていたのだった。あれこれ談義し、善き羊飼いの教会での撮影の話になったら、数年前までは、あそこでタイムラプス撮影ができたけど、今はストロボ&懐中電灯観光客が多くてもうできない、と言っていた。「あのマナーは、どうも異分化のようで.. 」とお互いに苦笑した。

 ホテルに戻り、3時間程休み、朝食。オーナーご夫婦が食事の準備をしてくれていたが、「オーロラまで見たよ!」と言って写真を見せたら、数年前に、テカポ街全体がオーロラに包まれた事があり、しかも紫色、赤、緑の色まで見えた、との事。「1年前にはアラスカでオーラを見たんだよ。」、と言ったら、「一度northern lightを見たいなあ。」と言っていた(南半球のオーロラはsouthern light、北半球のオーロラはnorthern lightという)。ついでに、一昨年のクーナで撮った写真を見せたら、「Fraserみたい。テカポにいい写真家がいる。これをご覧?」とFraser Gunnさんの写真を見せ始めた。「ついさっきまで会って話をしていたんだ!」と盛り上がった。

 ゆたりと時が過ぎていったテカポ5日間だったが、過ぎて見れは、あっという間。若干名残惜しい。スーパーFOUR SQUAREで例のサーモンを買い、テカポを後にした。8号線をしばらく 走っていくと、8号線と79号線が分岐する所がある。ここを79号線に乗り換え、クライストチャーチで向かうのだが、この街がフェアリー Fairlie。ちょうど分岐の所にフェアリー・ベイク・ハウスというちょっと知られた店がある。パイが有名で、買って車の中で食べた。確かにおいしいが、ボリュームがあり、ちょと食べる、というよりは一食分。公衆トイレがあったが、日本語で「募金で運営されています。きれいに使いましょう。」と書いてあった。バスの休憩所なのだろうか。


写真右:サーモンパイ(断面)

 79号線から裏道でクライストチャーチに向かったが、牧場風景が、実に素晴らしい! 「原子心母」(ピンク・フロイドのアルバム)のジャケットそのままで、夫婦で大いに盛り上がった。

 

 

 クライストチャーチ&オークランド (詳細は省略)


世界中に放映された崩落した教会

 クライストチャーチは、ボタニック・ガーデンが見事! ダリアのコーナーでは、数え切れない程の種類が満開。植物園では、いつも家内と接写大会になってしまう。街中は2011年の大地震で、中心部のかなりの範囲は立ち入り禁止で再開発中。建物のほとんどを建て直す、との事だが、鉄筋のビルも多数が廃墟のようになっていて心が痛んだ。美しい街なので、1日も早い復興をお祈り申し上げたい。
 オークランドでは、 港にあるハバーハウス・オーシャン・グリルが美味しかった。ここでは、ニュージーランド名物のクレイフィシュが食べられる。まるで見た目も味も伊勢海老のよう。刺身はうまい。

  星を世界遺産に、と動いているテカポ。それには観光客のマナーがネックだと思う。あのような振る舞いが横行していては、星を鑑賞するどころではない。観光客を取り込むメリットと環境を守る難しさをいかにクリアできるか、テカポが規範を示し、それが世界に広まっていけば嬉しい限りである。
 星見だけなら、パースクーナもベスト。空も暗いし、理想的だ。しかし、星しかない。家族旅行は無理だ。しかし、テカポには観光する場所があるので、両立できる。ただし、年末・年始は夜も短いし風も強い。予約も大変。冬は-10℃以下になるという。シーズンをうまく選ばなければならない。
 今回5日中、2日晴れ、2日曇り(雨)、1日2時間だけ観望、と2勝2敗1分け。毎晩晴れたら体が持たないので、観光を兼ねるには丁度良い天候配分だった。

 旅に出る時、いつもテーマ・ソングがある。何か決めるのではなく、その時に頭でいつも鳴っているもの。ある時は「神々の黄昏」〜ラインの旅のところだったり、インドのオディッシー・ダンスだったり、5thディメンジョンのアクエリアスだったり、トム・ジョーンズの“It's not Unusual”だったり。
 今回は2つあって、一つはオールマン・ブラザーズ・バンドの“High Falls”.名曲中の名曲(というか、名演奏)で、40年近く愛聴。あらゆるものに絶望し、人生に迷っていた1976年。翌年、這い上がってきた時に知り、毎日のように聴いた。もう一つは、佐藤 理の“トランスマイグレーション”。「東脳」というMac用のゲームがあって、これに夢中に取り組んだ時があった。ただのRPGではなく、死ぬ事でゲーム・オーバーせず、“まがたま”を得、これを9つ集めなければならない。死ぬ事でストーリーが展開していく輪廻転生のゲーム。音楽が傑出していて、9回目の死で流れるのが“トランスマイグレーション”。この瞬間、猛烈に感動したのを思い出す。 このゲームと同時に音楽CDがリリースされたのがこのアルバムで、日本の音楽史上、最高傑作の一つと断言する。このような名曲・名盤が廃盤になっているなんて、ありえない。

 今日は1月17日。帰ってきてから2週間近く経つのに、いまだこの2曲から離れられず、毎日電車の中で聴いている。素晴らしい思い出と共に。


   続く.....!

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   その2 笠井/Hofheim-Instruments RD-300DX
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   その5 「BORG 125SD Binoで 西オーストラリア遠征」 へ
   その6 「BORG 125SD Binoで 南米アタカマ・ウユニ遠征」 へ

50を過ぎて、やっと夫婦で旅行に行けるようになった。1人で行くより、何倍も何倍も楽しい。
いつまでも行ければいいなあ...

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