私が修士一年のとき,発表した本のレジュメです.


1999/2/3
T・P・ヒューズ著 市場康男訳 『電力の歴史 』(平凡社)
Thomas.P.Hughes Networks of Power, Electification in Western Society, 1880-1930 The Johns Hopkins University Press 1983

1998/1/11
Profit and loss: The military and MIT in the postwar era STUART W.LESLIE

98/12/15
Hounshell,David A.,From the American System to Mass Production,1800-1932,
Johns Hopkins Pr.,1984,Chap.6"The Ford Motor Company & the Rise of Mass Production in America
"
下川浩一 『世界自動車産業の興亡』 講談社現代新書 1992

98/12/2
E・S・ファーガソン『技術屋の心眼』(平凡社)
Engineering and the Mind's Eye

98/12/1
[-1 テイラーとフォード.
Y-2 大砲王「クルップ」
製鋼にとりつかれた少壮事業家アルフレート・クルップ

中山秀太郎『 技術史入門 』 [.大量生産時代−自動化− から

98/11/20
E.J.ホブズボーム『産業と帝国』浜林正夫・神武庸四郎・和田和夫 訳 第八章〜第十五章まで
E.J.Hobsbawm INDUSTRY AND EMPIRE  From Chapter8 to Chapter15

『 産業と帝国 』の後半です.
世界で最初に産業革命を成し遂げたイギリスはそれ故,新技術の導入が難しくなっていきました.
イギリスの綿業はその最盛期には世界最良のものでありましたが,その終わりには品質の良さで競争するのではなく,イギリス帝国とイギリス海軍とイギリスの通商上の優位性によって与えられた植民地と低開発市場の独占に頼るようになりました. しかもイギリスの政治干渉ではもはやそれも阻止できなくなったとき,イギリスの綿業は先が見えたのです.次第にドイツ,アメリカ,日本が次第にイギリスを圧倒するようになっていきました.その結果,イギリスは自由主義貿易からブロック経済へと移行していきました.国内では自由党が勢力を失い,代わって労働党が政権を握りました.
経済のブロック化は帝国主義へと発展し,その結果2つの世界大戦を引き起こしました.イギリスはその2つ大戦間を通じて,以前の状況へ戻ろうという絶望的な試み(金本位制の復活など)を実行し,それはむなしく潰えることになりました.しかしケインズが新しい経済学を開始し,イギリスの労働者の生活水準は新しい段階を迎えました.20世紀に入ってから貧乏だった国民は豊かになり,プロレタリアートは次第にブルジョア化しました.そして著者は知識人と若年層という新しい社会層が登場したと主張しています.

98/11/10
中沢護人『 鋼の時代 』岩波新書 1964年

98/10/16
E.J.ホブズボーム『産業と帝国』浜林正夫・神武庸四郎・和田和夫 訳 第一章〜第七章まで
E.J.Hobsbawm INDUSTRY AND EMPIRE  From Chapter1 to Chapter7

この本はイギリスの18世紀から20世紀の第二次大戦後までを扱った本です.産業革命前のイギリスの状況について詳しい説明があり,産業革命の要因がいかに蓄積されていったかが述べられています.私企業が利潤を上げることと技術革新との関係に触れ,さらにイギリスがどうして最初に産業革命に入っていったかが説明されています.
この謎は,利潤を上げることと技術革新の関係にあります.
私企業経済はおのずから革新に向かう傾向があると考えられていますが実はそうではありません.それは利潤への傾向を持つにすぎないのです.それが製造業に革命を起こすのは,それ以外のやり方よりもこのやり方の方がより多くの利潤を上げるというときのみです.しかし工業化以前の社会ではそのようなことはほとんどありませんでした.工業化していない国においては技術革新による儲けよりも高価なものを少量生産した方が儲かるのであります. それではどうして実業家たちに生産の革命をやらせるようにした諸条件は生まれたのでしょうか?

産業革命の真因は膨大なる植民地貿易による,世界的規模における商品生産の勃興でありました.つまり商業と海運がイギリスの経済収支を維持し,海外の一時産品とイギリス工業品との交換がイギリスの国際経済の基礎となったのです


産業革命によって生み出されたイギリス労働者たちは過酷な生活を強いられました.当時,資本家が得る利益は労働者が働く最後の1時間であるといったまちがった理論が横行しており,また当時の有力者であった大地主,金融家たちは投資をせず,資本家たちはいかに資金を得るか血眼になっていました.さらに産業革命によって工業生産量は倍加し,工業製品の価格が暴落しました.その結果工場主たちも次第に現在の社会のあり方に不満を表明していきました.イギリスではマルクスなどが活躍し,ヨーロッパに共産主義という妖怪を登場させることになりました.
問題の根源は,イギリスの国内市場の規模と拡大には限界があることで,それらはすべて資本主義の限界からくるものなのです.

1998/7/24
動力史の時代区分について
中村静治 『現代の技術革命』

先の石谷と大谷の論争の後を引き継ぐ形で中村静治が議論を進めています.まとめると次の通りです.

  1. 労働過程の根本矛盾は動力と制御にある.
  2. 労働と制御のうち主要な側面は制御の方にある.したがって生産様式の変革は,作業労働手段による新方式がこれに相応する動力手段の発達を呼び,両者の統一によって成し遂げられるのである.
  3. 動力よりも制御の方が主要な側面なので,電気の利用の時代を第二次産業革命と呼ぶのは歴史的に見て間違い.制御の革命は自動制御機構であるオートメーションであり,それが始まるのは第二次大戦後の今日に当たる.

1998/7/6
ラマルク伝 忘れられた進化論の先駆者
イウ゛=ドゥランジュ 著
ベカエール直美 訳

1998/6/5, 1998/6/19
動力史論争
石谷清幹「動力史の時代区分と動力時代変遷の法則」『科学史研究』第28号,1954年
石谷清幹 「蒸気動力史論 第一報:陸用蒸気原動機単位出力発達史論」『科学史研究』第32号,1954年
大谷良一 「動力史の方法論−石谷清幹,田辺振太郎両氏の論稿を批判する−」『科学史研究』第32号,1954年
田邊振太郎 「動力史時代区分の方法論について−大谷良一氏の所論についての批判」『科学史研究』,第34号,1955年
石谷清幹 「技術発達の根本要因と技術史の時代区分」『科学史研究』第35号,1955年7〜9月
大谷良一 「動力史研究の現代的課題とその技術学的側面について−田邊振太郎氏の反批判に答える−」 『科学史研究』第38号,1956年
田邊振太郎 「再び技術史の方法について」『科学史研究』第40号
石谷清幹「蒸気動力史論 第二報:船用蒸気原動機単位出力発達史論」『科学史研究』第40号
石谷清幹「技術における内的発達法則について」 『科学史研究』,第52号,1959年10月〜12月

1998/5/22
アボット=ペイザン=アッシャー著 富成喜馬平訳 『機械発明史』岩波書店
A.P.Usher, A History of Mechanical Innovations


1998/5/19
THE CHIMIST BREEDERS: THE RESEARCH SCHOOLS OF LIEBIG AND THOMAS THOMSON
19世紀の化学教育  リービヒとトーマス・トムソンの研究学派
J.B.Morrell, "The Chemist Breeders: The Research schools of Liebig and Thomson", Ambix, 19,1-46(1972)

1998/5/8
フランスの科学
Science within the state

国家主導の科学
Etel Solingen, ed., "Scientist and the State -- Domestic Structures and the International Context", Ann Arbon:The University of Michigan Press, 1994, ISBN 0-472-10486-1