フランスの科学
Science within the state
国家主導の科学
1998
年5月9日 木本研 小林 学→国際社会におけるフランスの占める地位を維持,強化するため.
フランスの旧制度(アンシャン=レジーム)を維持するため.(造船,ガラス吹き,建設,林業,鉱山業など)
例,
鏡,織物,絹,紙の製造,鉱山技術1664
年,科学学会の成立(コルベール)=王政の保護1775
年,エコル=ポン=ゼ=ショッセ(土木学校)インフラの整備1783
年,鉱山学校
フランスの中央集権化のためにインフラ整備例,
MINITEL,線路の敷設.ヨーロッパの主要都市をつなぐTGV国家が科学をする目的
教育と研究が別々
中央集権的=複雑な教育と研究制度=カースト制度(階層性)
○グラン
=ゼコール(最高級専門学校),レベルも社会的地位も高い,予算も多い○大学,予算少ない
○政府機関
(CNRS : National Central for Scientific Research,)
@中央中心の政策.(縦割りの行政機構)国家主導の科学は効果的になされるには巨大すぎる.
Aグラン
=ゼコール(最高級専門学校),大学,政府機関(CNRS : National Central for Scientific Research)が別々.技術教育は技術を身につけさせ,科学の知識を学ばせる.しかし研究の方法は学ばせない.→グラン−ゼコールの卒業者はスペシャリストになるが,技術革新に使えるような科学の成果はなかなか上がらない.グラン−ゼコールより大学での技術教育を強化
→封建的体質への最初の試み
国家主導の科学・技術は技術的に成果を収めても,商業的に成功するとは限らない.
成功例,原子力開発,失敗例,太陽エネルギ開発
1973
年,オイルショック→いろいろな代替エネルギの模索CNRS
−太陽エネルギを奨励技術的には成功,しかし商業的には失敗(莫大な開発費を取り戻せない)
三つの目標
第二次大戦以来,独立と威信を守るため,科学を振興
1973
年,オイルショックにより本格化(Messmer Plan=電力のほとんどを原子力に置き換える)→エリートの意見,(一般の意見ではない)原子力開発は,政争の道具
原子力開発には多額の費用がかかる.→国家が主導するメリット
原子力開発に成功し,電気を隣国に輸出
開発費用を捻出→原子力開発の成功によってエリートのコンセンサスは強化
経済的脅威が原子力の民間利用を正当化
@輸出のための電気需要にこたえるため(
1980s)高速増殖炉(
Fast Breeder)計画軍用のプルトニウムを民間の炉で使う.それに対し他の多くの国では,軍用と民生用の分離が叫ばれる.→すべて国家の独立と威信と力を広げるため.
Phenix Super-Phenix
はフランスの技術力の高さの象徴→技術的,商業的に難しい.(
2年間で閉鎖)原子力産業は比較的成功,しかし
Fast Breeder technologyはフランスの威信に影A核廃棄物を輸入する
(日本などから)
@産業研究に優先順位を与える
A基本研究の資料と方法を充実させる
B基礎研究と応用研究との連関を進める
C産業界での研究活動を奨励する
D主要な技術開発を支援する
E研究におけるヨーロッパ
(EC)間の協力を進める巨大な国家プロジェクトで成功(原子力開発,宇宙開発,
TGV通信など)民間研究の不足,軍事技術の開発だけでは不十分→軍事と民事の相互作用が必要
ヨーロッパは世界の世界の先端を維持してはいるが総体的低下は明らか
(U.S. 日本が台頭)国家の直接の利益にならない技術では,後れをとる.