2019年3月の映画  戻る


女王陛下のお気に入り THE FAVOURITE
アカデミー賞主演女優賞(オリヴィア・コールマン)
2018年 120分 アイルランド/アメリカ/イギリス
監督 ヨルゴス・ランティモス(「ロブスター」)
キャスト オリヴィア・コールマン(アン女王)/エマ・ストーン(アビゲイル・ヒル「ラ・ラ・ランド」)/レイチェル・ワイズ(レディ・サラ)
メモ 2019.3.30(土)シネマート心斎橋
あらすじ
18世紀初めのイングランド、スコットランド、後のグレートブリテン王国の君主アン女王はデンマーク、ノルウェー王の次男ヨウエン(ジョージ)と結婚して17回妊娠するが、流産、死産を繰り返し無事生まれた子供たちにも夫にも先立たれていた。
少女時代からの友サラだけが唯一の心許せる人。しかしその絆にも亀裂が入る。
感想
最高権力者のはずなのに意のままにならない人生、ブランデーの飲み過ぎによる肥満と痛風の発作の苦しみ、孤独、ゆがんだ人間関係を示しているのか、なんか部屋が傾いでいて不安にさせる。広い私室に女王ひとりぼっちを遠くから撮ったり、下から見上げるような図も多い。クローズアップも多く女優さんたちはよく耐えたな。
 
アン女王役のオリヴィア・コールマンという方は英国の犯罪ドラマ「ブロードチャーチ 殺意の町」の刑事エリー役で知って歯がりっぱな個性的な俳優さんやなあと思ってたら、「オリエント急行殺人事件」で侯爵夫人の付き人をしてはってメジャー映画にではるんやと思って、そうこうしているうちにあれよあれよと本作品でアカデミー賞主演女優賞とりはってびっくりしました。
 
アン女王はスチュアート朝最後の王とのこと。継ぐ子供がいなかったので遠い親戚が神聖ローマ帝国(ドイツ)から呼び寄せられジョージ1世となりハノーヴァー朝となったそうです。
ハノーヴァー朝は第一次世界大戦中にドイツ名過ぎるという事でウィンザー朝に変わったそうです。イギリスの文化、時代を示すらしい「朝」は元号とも違うようです。
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岬の兄妹
2018年 89分 日本
監督・脚本・編集 片山慎三
撮影 池田直矢/春木康輔
出演 松浦祐也(道原良夫)/和田光沙(道原真理子 )/北山雅康(警察官・溝口肇)
メモ 2019.3.28(金)テアトル梅田
あらすじ
海辺の町で暮らす兄の良夫と妹の真理子。
真理子には知的障がいがあり良夫はふらふら家を出ないように閉じ込めているが鍵を壊していなくなってしまう。
帰ってきた真理子はそれを「冒険」と言う。
感想
良夫と取っ組み合いの喧嘩をしながら友達の肇が言う。
 「お前は足が悪いんじゃないだよー。頭が悪いんだ。」
そうか。頭が悪いのも生きるのがたいへんなひとつの「障がい」なんか。
一方いじめに描かれているように頭がいいだけでも生きていくのはしんどい。ここでは捨て身の良夫がまさった。
 
とんでもなく悲惨な話ながらところどころユーモアもあって。ヤクザに締められて良夫が地獄を見た時も2万円もらっていて。
「・・・・お金もらえたんや。」
 
「セーフティネットはどうなってんの? 生活保護は? 民生委員さんは? 警察官の肇ちゃん、なんとかしたれよ」
と思うもんの、真理子を施設に入れられるとか、お上に相談したくないことがあるんやろね。
 
良夫と真理子を演じた役者さんの赤裸々な姿に感じいりました。海とかもきれいに撮れてた。
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グリーンブック GREEN BOOK
第91回アカデミー賞作品賞
2018年 130分 米国
監督 ピーター・ファレリー
脚本 ニック・ヴァレロンガ(息子)/ブライアン・カリー/ピーター・ファレリー
編集 パトリック・J・ドン・ヴィト
キャスト ヴィゴ・モーテンセン(トニー・“リップ”・ヴァレロンガ)/マハーシャラ・アリ(ドクター・ドナルド・シャーリー)/リンダ・カーデリーニ(妻ドロレス・ヴァロンガ)
メモ 2019.3.16(土)なんばパークスシネマ
あらすじ
N.Yのナイトクラブで用心棒をしているトニー。腕自慢だ。ナイトクラブの改装の間仕事にあぶれたトニーは、カーネギー・ホールの上に住むドクター・ドナルド・シャーリーのディープサウスへの演奏旅行の運転手兼用心棒の仕事にありつく。
感想
映画館で予告編を見てヴィゴ・モーテンセンのまるまるしたお姿にアレ誰(**)!!!となった作品なんやけどユーモアもありくすくす笑った。
「キングピン/ストライクへの道」、「ふたりにクギづけ」のファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー監督作品。
 
「グリーンブック」とは黒人が利用可能なホテルやレストランを紹介する旅行案内だそうです。「LBJ ケネディの意志を継いだ男」でも黒人の使用人が実家に旅するのに安全な宿、安全な道を通って帰るって言ってはったな。
 
ドクは繊細で孤独な芸術家。黒人とも白人とも誰とも共有できない唯一無二の存在。そのドクはトニーのざっくばらんな気のいいあんちゃんの人当たりに少しづつ心を開く。
一方トニーは生まれ育ったニューヨークから出た事がなく、家族やイタリア系の親戚知り合いとわいわいがやがや育った人間だ。はしこく目端の利く頭の良さもある。
そんな交わる事のなかった水と油のふたりが旅をして時間を共有するうちに相手を認め変わっていく。
 
奥さんのドロレスに「手紙を書いて」と言われ、四苦八苦しながらたどたどしく景色の風景などを綴るトニーに
「何が書きたいのだ」
スペル間違いで書き損じだらけのトニーの手紙を見て
「脅迫状か」
と言い放つドクであったが見てられへんとトニーの手紙の添削を始める。
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パペット大騒査線 追憶の紫影パープルシャドウー THE HAPPYTIME MURDERS
 
2018年 91分 米 パルコ
監督 ブライアン・ヘンソン
出演 フィル・フィリップス(パペット探偵)/メリッサ・マッカーシー(刑事コニー)/マーヤ・ルドルフ(秘書バブルズ)
メモ 2019.3.14(木)なんばパークスシネマ
あらすじ
パペットと人間が共存している世界で、初の警官となったフィル・フィリップスはある事件で警察を辞め今はロスでパペット専門の私立探偵をしている。兄のラリーは元俳優だ。
感想
ムムム・・・変態みたいな映画やけど、、、楽しい。
 
若き日のトミー・リー・ジョーンズみたいなパペット探偵フィル・フィリップスが気の合わない相棒の刑事コニーと連続殺人犯を追う話。
ハードボイルドしている。地道な捜査もしている。
「ミート・ザ・フィーブル/怒りのヒポポタマス」ほどやないけど、やっぱり狂ってる。狂ってる
 
映画館で↑のクリアファイルもらった。
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天国でまた会おう Au revoir la-haut
 
2017年 117分 仏 キノフィルムズ
監督 アルベール・デュポンテル
原作 ピエール・ルメートル「天国でまた会おう」
出演 ナウエル・ペレス・ビスカヤール(エドゥアール・ペリクール)/アルベール・デュポンテル(アルベール)/ロラン・ラフィット(プラデル「エル ELLE」
)/ニエル・アレストリュプ(父マルセル・ペリクール)
メモ 2019.3.9(土)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
1918年。後に第一次世界大戦と名付けられる塹壕戦の西部戦線。仏蘭西側。フランスとドイツ両者にらみ合いでもうすぐ休戦になりそうという頃に戦争好きで「ドイツ兵よりたちが悪い」プラデル中尉のたくらみにより多くの兵が死に傷つく。アルベールは生き埋めになったところをエドゥアールに助けられた。その直後、爆撃で絵描きのエドゥアールは顔に重傷を負う。その後ふたりは戦争を憎むエドゥアールにより数奇な運命をたどる。
感想
原作は「その女アレックス」のピエール・ルメートル作品。この映画の脚本にも参加してはるそうです。
フランスの事はなんも知りませんが、かの国は頑固で保守的でありながらどこか退廃的。耽美的....。あそこもここも美術がすごかった。美しく彩る。 悲しい物語やねんけどね。
 
悪役のプラデルがほんま悪いやつやねんけど、どこかコミカルで道化師の様。エドゥアールのお父さんの銀行家が代々の資産家で”金を減らさない”しがらみに囚われながら妻と息子を失う深い哀しみも秘めていて物語を締める。
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特捜部Q-カルテ番号64- 
2018年 デンマーク/ドイツ 118分
監督 クリストファー・ボー
原作 ユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Q ―カルテ番号64―」
出演 ニコライ・リー・コス(カール)/ファレス・ファレス(アサド)/ヨハンネ・ルイーズ・スミット(ローセ)
メモ 2019.3.5(火)シネ・リーブル梅田
あらすじ
未解決犯罪を捜査する(要するに閑職の)特捜部Qは30年前に起きたナイトクラブのマダム失踪事件に目をつける。
アサドは他部署への異動を希望しこれが最後の事件だ。
感想
 「特捜部Q−檻の中の女」「特捜部Q−キジ殺し」「特捜部Q Pからのメッセージ」に続くシリーズ第4作。 <未体験ゾーンの映画たち2019>での上映。 「特捜部Q Pからのメッセージ」に少し不満が残ったので、気がついたら始まっていた上映期間の短い中見に行くか迷う。
原作のファンやからと頑張って火曜日の20時からの上映を見に行ってんけど7割の入り。先の休みの日には立ち見が出てた(別の映画を観に来てて、そん時映画が出来てたのわかってんけどね)。
 どこがファンやねん(**)。
 
たらたらと惰性で捜査は始まるが、最後は怒涛の様。カール、アサド、ローセの3人は満身創痍の中、長い間の悪と戦う。これが天職というもんやね。
シリーズ屈指の出来ではなかろか。
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THE GUILTY/ギルティ 
2018年 88分 デンマーク ファントムフィルムズ
監督 グスタフ・モーラー
脚本グスタフ・モーラー/エミール・ニゴー・アルバートセン
出演 ヤコブ・セーダーグレン(アスガー・ホルム)
メモ 2019.3.2(土)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
場所はデンマーク・コペンハーゲンの緊急通報司令室。(コペンハーゲンは半島ではなく島の方にあってんよ)
アスガーの緊急通報指令室オペレーター勤めも今日まで。明日には謹慎もとけてまた相棒との犯罪捜査の日が待っている。
あともう少しで勤務が終わる時に女性から緊急のコールが入る。緊迫した声だが初めは何を言っているかわからない。アスガーは女性が一芝居うっているのに気づく。
感想
ほぼ一人芝居の作品。CGとかアクションもいっさいなし。そやのにハラハラどきどき。