2005年3月の映画  戻る


セルラー CELLULAR

2004年 アメリカ 95分 字幕・栗原とみ子
監督 デヴィッド・R・エリス(「デッドコースター」)
脚本 クリス・モーガン
原案 ラリー・コーエン(「フォーン・ブース PHONE BOOTH」「悪魔の赤ちゃん」)
撮影監督 ゲイリー・カポ
衣装デザイン クリストファー・ローレンス
音楽 ジョン・オットマン
キャスト キム・ベイシンガー(ジェシカ)/クリス・エバンス(ライアン)/ジェイソン・ステイサム(イーサン「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」)/ウィリアム・H・メイシー(ムーニー)/ノア・エメリッヒ(ジャック・タナー)/エリック・クリスチャン・オルセン(チャド)
メモ 2005.3.11 難波 千日前セントラル
あらすじ
一人息子を私立の学校に見送って、さあこれから高校に働きに行きましょと優雅に自宅に帰って来たジェシカを襲ったのは、5人の男達だった。窓ガラスをぶち破り警報を鳴らそうとしたメイドを即座に撃ち殺す。ジェシカを拉致監禁し「だんなはどこだっ! 隠すとためにならないぞ」とすごむのだ。「隠すって・・」身に覚えの無い出来事。夫は平和な不動産屋だし。これは人違いなんだわ。恐ろしいのは男たちが顔を隠そうとしない事だった。殺されるに違いない。こなごなに砕かれた電話機の配線をつないで必死でコールするジェシカ。なんとか繋がったのは超かるーい若者ライアンの携帯。SOSを発するジェシカ。とーぜんの事、いたずら電話と思うライアンであった。しかし彼の意外な潜在能力が目覚めるのだ。
感想
最終日(どうやら2週間で打ち切りのようだ)ガラガラの千日前セントラルで見る。いやあ、これは拾い物うひひひひ。 脚本と演出の勝利。  あの評判の悪い「オーシャンズ12」よりは数倍面白いと思うぞ(見てないけど)。 ラストは多少もたもたするけど、全編スピーディーでね。偶然電話が繋がったもんで、一度が切れるとどーしょうもない。バッテリーがあやうくなったり、圏外になるから階段をのぼれなかったり、トンネルに入れなかったり、と危機また危機なのだ。その艱難辛苦を乗り越えていくベン・アフレック似のライアンがいい。原案が「フォーン・ブース PHONE BOOTH」の人らしい。あちらは固定電話に釘付けにされ、こちらはケータイ片手に走り回る。驚いた事にウィリアム・メイシーの撃つシーンもかっこいいし、悪役ジェイソン・ステイサムはやっぱいい男だし。もう一度みたいな。
おすすめ度★★★★1/2戻る

Uボート 最期の決断 In Enemy Hands

2004年 アメリカ 98分 字幕・岡田壮平
監督・脚本 トニー・ジグリオ
原作・脚本 ジョン・E・ディーバー
撮影監督 ゲリー・レイブリー
美術 テレンス・フォスター
音楽 スティーヴ・ブラムソン
ビジュアル・エフェクト ジェレミー・オッド
キャスト ウィリアム・H・メイシー(アメリカ海軍ソードフィッシュチーフ・ネイト・トラバース)/ティル・シュヴァイガー(U−429艦長・ヨナス・ヘルト)/トーマス・クレッチマン(U-429副艦長・ルドヴィグ・クレマー)/スコット・カーン(U-429・ランド・サリバン)/ローレン・ホリー(ネイト・トラバースの妻)
メモ 2005.3.3 梅田OS劇場C.A.P.
満足度★★★★★
感想
ウォルフガング・ペーターゼン監督作品「Uボート DasBoot」(1981)という傑作を越える事はかなり難しいな。最期のUボートがきれえ過ぎるし。お話も甘いな、と思うもんの、はや さぼてんの2005年度ベストシネマが決まった・・・・。低予算映画ながら頑張っている。当時の報道映像が流れてね。こんな戦争で、だれかの息子やら夫やらお父さんだった男の人たちが海に沈む姿に涙がぽろ。   1170隻のUボートの内祖国独逸に帰れたのは203隻。2万8千人が帰れなかった。
 
 
 
 
 
あらすじ
1ヶ月に17隻も建造され大西洋でおお暴れ、ウルフパック(狼群戦法)と恐れられたUボートにも落日の日々がおとずれた。ウルフパックとは商船や敵艦を見つけるとわらわらとUボートが集結しよってたかって魚雷を放つという作戦。しかしソナー(探知機)やレーダーの最新技術で凌駕するアメリカが参戦したのだ。チャーチルとルーズベルトはUボートを殲滅せんと1943年暗黒の5月、41隻のUボートが沈められた。戦局は反転する。もともとヒットラーは戦艦ビスマルクを見殺しにしたりと海軍に冷たかった。1943年アメリカ海軍の潜水艦ソードフィッシュが一隻参戦する。艦長は軍人一家で育ったエリートの若造だ(スコット・カーン=ジェームズ・カーンのSON)。焦る気持ちとはうらはらになかなかUボートが見つからず訓練ばかりの毎日。若い艦長のイライラは募り艦内の空気も毎日の緊張と緩和でびみょーだ。間にはさまったチーフ(ウィリアム・H・メイシー)の悩みは深い。副官の様子も変だ。赤いぽつぽつを隠している。髄膜炎と言う伝染病にかかっていたらしい。ここは潜水艦という密室だよ。
一方歴戦の戦士U−429の艦長ヨナスは一隻撃沈した後、しばし憩いのチェスの最中、国からの電信を受け取る。顔色を変えた艦長は副艦長に「ひとりにしてくれ」と告げる・・・・・。
 
アメリカ海軍のソードフィッシュはやっとUボートと遭遇し使命を果たす。Uボートの艦長が兵のためキャッチした米国のグレンミラーなんぞ艦内放送していたもんで、見つかってしまったのだ。しかし、Uボートが「相打ちだっ!」と最期に放った魚雷でソードフィッシュは沈められてしまう。なんとか生き残った乗員は「艦と運命を共にするう〜」とごねる艦長を担ぎ出す。近くにいたU−429の艦長ヨナスは漂流してただろうアメリカの軍人達を助けたんだよ。ヒットラーからは「艦長しか助けるな」と厳命されていたにもかかわらず全員を。ヨナスには助けたい理由があったわけ。彼は独逸は負けるだろうと読めていたんだな。我々はもう十分戦ったと。
 
潜水艦は空気も限られているし積める食糧も限られている。7名(だったかな)もの敵はおじゃま虫でUボートでは反対の嵐。それでも艦長は頑としてきかない。しかしソードフィッシュの若い艦長が髄膜炎に冒され死亡。その菌は艦内を汚染する。独逸軍にも病人が発生し艦内は死の潜水艦になりはじめる。「疫病神だ!」と怒る独逸の兵たち。それでも艦長はアメリカ兵を海に放り込もうとしない。(もう人殺しはたくさんなのだ。)そんな中補給を受けるはずの海域に味方がいない!。アメリカの駆逐艦がいる。味方はやられたのだ。人殺しはもーええのに沸き立つ怒りと条件反射。仇を討とうとU−429は戦闘状態に入る。敵艦はまったく気づいていない。奇襲作戦だ。ところがアメリカ兵たちが阻止しようと暴れる。その結果無駄に魚雷が発射され、敵(アメリカの駆逐艦)に感ずかれてしまった! 爆雷を山ほど落とされたU−429は身を潜め深い海に沈む。長い長い息が詰まる潜行だ。窒息するか浮上して敵にやられるか。艦長のヨナスは浮上する。そこには敵はいず澄みわったった夜の空気があった。
 
しかし生き残った兵は少ない。部下を生かすため艦長ヨナスは決断する。アメリカに向かおうと。手がたらんからアメリカ兵にも手伝ってもらおうと。
はい? 敵と手を組んで協力して艦をうごかす〜って?  それ正気ですか?まじっすか? と非難ごうごう。米国からも独逸からも。
 
説得と威圧でおさえこむが、独逸軍のくーでたーが発生。争っている中部下に刺され艦長ヨナス死す! しかも反乱兵は自艦の位置を独逸に打電したようだ。これで独逸軍にも追いかけられるはめとなった。とーぜんアメリカ軍に見つかれば「敵艦発見!」ですわな。前門の虎、後門の狼状態。。。。。案の定独逸のUボートとアメリカの駆逐艦に見つかる。「裏切り者!」と独逸軍は魚雷を発射するのだ。水面下での壮絶な戦い。U−429はしのぎきれない。後を託された副艦長ルドヴィグは決断を迫られる。「味方を攻撃するかこのままやられるか」
 
 
U−429のヨナス艦長ティル・シュヴァイガーの男っぷりが、いい。「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のドイツ人。Uボートの艦長って、眼光鋭くストイックでそれはそれはいい男で哀愁に満ちてないと・・・受け入れられない体になっているかも。対するアメリカ軍人が、なんと! 涙目のウィリアム・H・メイシーなんだよ。勝負しちゃいないな。  そしてドイツ人が独逸語でしゃべっているんだよ。アメリカ人って結構イキだな。