2015年7月のミステリ 戻る

その女アレックス Alex
リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞ミステリ部門(2012年 仏)
英国推理作家協会(CWA)賞
2014年 ピエール・ルメートル著 橘明美訳 文春文庫 457頁
あらすじ
パリで若い女が拉致監禁される。監禁した男は何も言わず若い女を痛めつけ小さな籠に閉じ込めぶら下げる。女はうずくまり体を動かすこともできず酷い苦痛を味わう。そこにネズミまで現れ絶体絶命。
一方、拉致を目撃した男からの通報で警察が動く。
感想
○○やと思っていたのに△○Xやったの!が2つ続き3つの味が楽しめる。
著名な画家だった母の喫煙の影響で背が伸びなかったカミーユ・ヴェルーヴェン警部、部下は大金持ちで如才のないルイ、お金を使わないしみったれのアルマン。この3人は容疑者から「お坊ちゃんと、貧乏人と、絵を描く子供」とからかわれる。上司は横への成長が止まらないジャン・ル・グエン犯罪捜査部部長。カミーユとそりの合わない議員2世予備軍の予審判事ヴィダールの5人のキャラが光る。杉下右京さんならこのラストにはならなかったと思う。
 
1作目を読んでいないので何とも言えないんやけど、本作ではカミーユ・ヴェルーヴェン警部はウチの中では「ロマン・ポランスキー監督」やったわ。ガタイといい、内向的で複雑で繊細(そうな)ところといい、悲劇といい、芸術家やし、似てると思わん?
お薦め度★★★★1/2戻る