2002年4月の映画


バルジ大作戦 BATLE OF BULGE

1965年 141分 米国
監督 ケン・アナキン
脚本 フィリップ・ヨーダン/ジョン・メルソン
撮影 ジャック・ビルヤード
音楽 ベンジャミン・フランケル
出演 ロバート・ショー(ヘスラー大佐)/ヘンリー・フォンダ(カイリー中佐)/ロバート・ライアン(グレイ将軍)/ダナ・アンドリュース(プリチャード大佐)/ジェイムズ・マッカーサー(ウェーバー中尉)/テリー・サヴァラス/チャールズ・ブロンソン(ウォレンスキー少佐)
メモ 2002.4.30 レンタルビデオ
あらすじ
1944年12月16日、ドイツとベルギー国境のアルデンヌでドイツ軍の起死回生を狙う「秋の霧作戦」が展開された。制空権を握った連合軍がそれをいかせない霧が出ている2昼夜にドイツ陸軍機甲部隊を一気に投入して前線をアントワープまで押し戻そうという作戦だった。
感想
この映画は、敗戦の色濃かったドイツも手をこまねいていた訳ではなく、英語を話せる兵隊を集め敵地に落下傘降下させ連合軍側を撹乱していたんだとか、史実に基づいた連合軍の捕虜を虐殺した「マルメディの虐殺」シーンが見所だそうです。米国がこの映画でどう描こうともドイツ軍人ロバート・ショーはヘンリー・フォンダやロバート・ライアンを喰ってかっこいいと思う。(ロバート・ショウは「ジョーズ」のサメ狩りの猟師の人)。

戦争には陸海空の戦いがあるけれど、さぼてんは陸の戦車の戦いが好きなような気がする。海の潜水艦の戦いも捨てがたいけど。戦争映画を好きとかいったら不謹慎やねんけどね。本当は戦争映画はあんまり好きじゃない。でも、広い場所で大きく展開する戦車の戦いはダイナミックやなあと思う。たぶん小さい頃よく戦車で遊んだせいだと思う。兄貴が戦車の模型を持っていて、それにモーターが付いていて「鉄人28号」の正太郎が持っていたような操作盤で前後左右とか動いたんです。百科事典や全集の本で橋や道や作って遊んでました。円形をした鉄の蓋みたいなのが地雷なんです。その上をキャタピラで動く戦車が通るとハッチが飛ぶの。よくできていた。
おすすめ度★★★1/2
戻る

幽霊西へ行く Ghost Goes west

1935年 83分 英国
監督・脚本 ルネ・クレール
製作 ロンドン・フィルム
脚本 ロバート・E・シャーウッド
撮影 ハロルド・ロッスン
出演 ロバート・ドーネット(マクラガン/ドナルド「三十九夜」「チップル先生さようなら」)/ジーン・パーカー/ユージン・ポーレット
メモ 2002.4.27 BS録画
あらすじ
時は18世紀のスコットランド。宿敵イングランドとの一戦を前にイングランドそっちのけで争っている家があった。グローリー家とマクラガン家だ。グローリー家の一人息子マードックは女好きで戦場でも女にうつつを抜かしている間に情けない死に方をしてしまう。父の期待に答えられなかったマードックは「ご先祖様に会わせられない」とパパに天国に入れてもらえず「宿敵マクラガン家をひざまずかす」まで毎夜幽霊となってお城を彷徨う事になる。
それから200年たち20世紀になって子孫は落ちぶれお城は売りに出されているが、売れない。何しろ幽霊つきなもんで。そこにアメリカ娘ペギーがやってくる。「まあステキなお城。パパに買ってもらお」というそのパパはアメリカの食品チェーンのオーナーで億万長者だった。200年たち世界の中心はヨーロッパからアメリカに移っていた。
感想
かわいい映画だった。たのし♪〜
この間芦辺拓氏の「グラン・ギニョール城」を読んだんですけれど、その小説の中にもあったように成金国で大きなモノ大好きのアメリカは金にあかせてヨーロッパのお城を買って解体、大西洋を船で運んでお城を再現するんです。幽霊もしかたなしに船に乗ってアメリカにやってくる。この英国の幽霊とアメリカ人の関係はオスカー・ワイルドの「カンタヴィルの幽霊」でも異文化の衝突として描かれてました。怖がられるんじゃなく面白がられるの。(ちなみにこの「カンタヴィルの幽霊」は映画化されています。似て非なるものでした。)当時のヨーロッパ人はアメリカパワーに押されて皮肉で応じていたんでしょうか。
おすすめ度★★★★
戻る

渚のシンドバット

1995年 129分 東宝/ぴあ
監督/脚本 橋口亮輔
助監督 田胡直道
撮影 上野影吾
音楽 高橋和也
出演 岡田義徳(伊藤修司)/草野康太(吉田浩之)/浜崎あゆみ(相原)/高田久実(清水)/山口耕史(奸原とおる)/ 勇静華 (松尾リカ)/村井国夫/根岸季衣/山口美也子
感想

  「友達みたいじゃなくてちゃんと吉田の事好きだから。」

エロティックでピユア。ずきんとした。どきどきする。
「静かな劇」のこの映画はさぼてんが感想を書いてはいけないような気にさせる。

それでも書く。女の子が好きな男の子と、男の子が好きな男の子と、女でも男でもない子に惹かれる女の子の不思議な三角関係を中心に、5人の高校生の初夏を描く。誰も想う相手に振り向いてはもらえない。
ちゃかもいれば優等生もいる普通の高校生活は、それぞれに悩みがある。相原と伊藤に「思いこみが激しいんじゃない」「そういう事簡単に言わない方がいいよ」と言われる優等生の清水も悩んでいる。5人の中には深い悩みもある。この作品はそういう思春期まっただなかの繊細な心に送る応援歌なんだと思う。人を好きになると言うのに理由はない。誰を好きになってもいいんだ。でもそれは苦しい事なんだ、と。

「お袋が媚びて得た金。俺はこんな金は欲しくないんだ」、「オヤジがいやだったらお袋に直接言えばいいじゃん」、「親が心配しているから医者に来ているだけ」 とすべての事に妥協している親達、それぞれ好きな事もしている親達に言いたい事はあっても理解して我慢している青少年少女。自分達もいつかあんな大人になっていくんだろうかと予感しているハイティーン。それでもそれなりに抵抗している。全共闘世代はデモで対抗したけれど、この若者達はひとりひとり口を閉ざす事で抵抗している。そして密かに静かに必死の思いでこれからの自分をつかまえようとしている。

沈めた自転車を引き上げる奸原にも「いいことあったんだろうな」と思わせるラストもいい。
おすすめ度★★★★1/2
戻る

運命の引き金 ONE FALSE MOVE(「運命の銃爪」)

1991年 米国 105分
監督 カール・フランクリン(LA批評家協会賞ニュー・ジェネレーション受賞)(「青いドレスの女」「グッドバイ・ベトナム」「母の眠り」)
脚本 トム・エッパーソン(「ギフト」)/カール・フランクリン/ビリー・ボブ・ソーントン
出演 ビル・パクストン(デール・ディクソン署長「タイタニック」「ツイスター」)/シンダ・ウィリアムズ(ファンタジア/ライラ)/ビリー・ボブ・ソーントン(レイ)/マイケル・ビーチ(ピート)/ジム・メッツラー(コール)/アール・ビリングス/ナタリー・キャナディ(シェリー)
メモ 2002.4.13 レンタルDVD
あらすじ
カリフォルニア州ロサンゼルスの夜、麻薬密売人とその家族が刺し殺され窒息死させられる。ピート、レイ、ファンタジアという3人組の犯罪だった。3人の目的は金。奪った麻薬を換金するため3人はテキサスへと逃げる。警察はピートの叔父が旧南部連合国アーカンソー州のスターシティにいる事をつかみ、地元の署長に連絡をとった所、この署長がおおはりきり。署長になって6年たつが一度も銃を使った事がないと言う。黒人同士の喧嘩と夫婦喧嘩の仲裁が毎日の仕事だ。
感想
サスペンス映画だと思って見始めたら、これが「過去の罪と償いそして和解」という米国の歴史が抱える重いテーマの映画だったのだ。薄幸なファンタジアは運命を受け入れ希望は次世代に託されていく。
この映画でビリー・ボブ・ソーントンは幼なじみのトム・エッパーソンと脚本を書き、一時外人部隊にいたビル・パクストンにとっては復帰作となりLA批評家協会賞の新人賞を獲得している。このふたりは続いて「アポロ13」 
「シンプル・プラン」と競演してましたね。
おすすめ度★★★1/2
戻る

バーチュオシティ Virtuosity

1995年 米国 106分
監督 ブレット・レナード(「バーチャル・ウォーズ」 「ハイダウェイ」)
脚本 エリック・バーント
撮影 ゲイル・タッターサル
出演 ラッセル・クロウ(シド6.7)/デンゼル・ワシントン(パーカー)/ケリー・リンチ(ドクター・カーター)/ルイーズ・フレッチャー
メモ 2002.4.7 レンタルビデオ
あらすじ
えっと、例のごとく近未来。元優秀な警官のパーカーはテロリストに逆恨みされ妻子を殺され逆上して、テロリストのみならずTVのレポーターまでも撃ち殺し過剰防衛で服役中。くさっている。一方警官の特殊訓練と称していかがわしい研究がなされていた。訓練のためにとバーチャルが利用されていたのだ。バーチャル世界での仮想敵は200人の凶悪犯の人格を混ぜて争わせ出来上がった「シドばーじょん6.7」だった。現実世界に出てむちゃくちゃしたいというシドにそそのかされ、生みの親のプログラマは科学者を色仕掛けでだまくらかす。その科学者はナノ・テクとかでアンドロイドみたいな物を作っており「シドばーじょん6.7」をこの世に形成させる。シドはガラスがあれば壊れた体を再生できるのだ。
感想
昨年 
「グラディエーター」でアカデミー最優秀主演男優賞獲得のラッセル・クロウと今年「トレーニングデイ」でアカデミー最優秀主演男優賞に輝いたデンゼル・ワシントンの競演作。すごいですね。今なら夢の競演ですかね。ってすごいのはそれだけなんですけれど。まあ、どういうんでしょ。面白くない事はないんですけれど。でも左手以外は生身の人間とバラバラになっても再生できるアンドロイドの戦いって元々勝負になんかなりゃしない気がする。それが勝負になるからあら不思議。ラッセル・クロウは良心のカケラもない役を嬉々として演じパワー満開です。オールヌードできゅっとしたおしりなんかも見れたりしたり。比べてデンゼル・ワシントンは罪悪感やら持っていて暗いしいささか分が悪い。ええもんの魅力が薄いの。つかみの日本風スシ屋のバトルとラストの展開はなかなかよい。が、全体にキレが悪いと思う。これは今やオスカー俳優のラッセル・クロウを見る映画。
おすすめ度★★1/2
戻る