ポルタン

 ソール11遊星主のひとり。再生復元された三重連太陽系において整備されるはずであった大規模コンピュータ群による惑星上、および星間ネットワークを一手に管理統制するために建造されたものと思われる。素体状態はマントで全身を覆っているためその風貌を窺うことは出来ないが、パーツキューブフュージョンすることによって戦闘用メカノイドとなることが出来る。メカノイド状態においては忍者と狼をモティーフとした全身赤紫色の高機動諜報・隠密戦闘型ロボットであり、遊星種中最も小型である。常に片足立ちという独特の戦闘スタイルをとり、主武装として専用直刀一対を背面に装備している。これを両手に掲げ、軽量小型の機体を最大限に活用した高機動による近接格闘戦を得意とするが、それ以上に頭部に内蔵された強制遠隔リンクシステムを用いた情報工作活動で異常なまでに高い能力を有している。複製地球のロシア・ウラジオストクにおける戦闘では、ボルフォッグとの間で熾烈な格闘、および情報工作合戦を繰り広げた。
 メカノイド状態は、本来は戦闘用ではなく、ホログラフィックカモフラージュと同様の光学迷彩を用いた潜入なども含めた情報工作活動を主任務とする諜報用のものであると思われる。最大の特徴である頭部に多目的センサー群と一体化して内蔵されている強制遠隔リンクシステムは、有線のみならず無線状態においてもあらゆるコンピュータにアクセスし、強力にそのセキュリティを排してコントロールする事が可能である。加えてタケハヤの複合センサーさえかいくぐる極めて優れた隠密性能と、迅速かつ精確な戦況、および構造解析能力により、敵性体の構造的弱点を看破し、プラヌスピア・デケムなどの戦闘用遊星種を援護補佐する任務も与えられる。しかし、パルパレーパ・プラスの約1/3という、敢えて超小型化された機体は遊星種が運用する機動兵器群でも最高レヴェルの高機動性を誇り、戦闘用としても充分にこれに耐えうる。反面パワー不足は否めないが、むしろコンピュータによって制御運用される機動兵器を目標とするとき、強力な情報侵食性能を有するポルタンは、究極的には目標を支配する事で無力化することさえ可能な、恐るべき存在なのである。動力源であるラウドGストーンは胸部にある狼の口腔に内蔵されている。
 複製地球の衛星軌道上における遊星種とGGG艦隊との戦いでは、最撃多元燃導艦タケハヤとそれを操艦するボルフォッグの監視をものともせずにこれに接触、その上リフレクタービームUのエネルギィ誘導回路構造を解析、僅かな攻撃でこれを無力化するという離れ技を見せている。しかし、これがボルフォッグの怒りを買い、二体は接触状態のまま複製地球に落下、ロシア・ウラジオストク付近で戦闘状態に入る。彼らは共に狼をモティーフとした忍者型諜報ロボットであり、多次元リンクシステムと強制遠隔リンクシステムという高度な情報工作能力を有し、光学迷彩を用いた隠密能力をも駆使した近接格闘戦を主体とする戦闘スタイルという、いくつもの共通点を有していた。これは偶然と呼ぶには、あまりに作為的な組み合わせである。パルス・アベルが対GGG戦術を戦力分断と各個撃破に定めたとき、恐らくはポルタンの一騎討ちの相手に同じく諜報ロボットであるボルフォッグを選んだと見て間違いない。それはポルタン自身の能力、そしてポルタンの戦いぶりから証明できる。上述したとおり、ポルタンの最大の特徴である強制遠隔リンクシステムは、有線無線に限らず、あらゆるコンピュータにアクセスし、これを制御下に置く事が出来、ボルフォッグもまた多次元リンクシステムを有し、これに近い事が可能である。それが主たるものにしろ、補助的なものにしろ、コンピュータ制御を行う機動兵器群において、そのコンピュータが正常に機能しない事は、正に致命的である。エヴォリュダー・ガイが操るガオファイガーでさえ例外ではない。真に警戒すべきは、単純な打撃力ではなく、それ自体を制御する能力なのである。万が一にもピサ・ソールをはじめとしたソール11遊星主がボルフォッグによるハック&クラックによって彼の制御下に置かれれば、三重連太陽系再生復元計画はその場で頓挫しかねない。そのため、強力な情報工作能力を有するボルフォッグに対しては、それと同等以上の能力を有する遊星種をあてがい、なんとしてでもこれを打倒せねばならなかったのである。その点において、遊星種の中ではポルタン以外にその任に堪えうる者はなく、彼とボルフォッグとの対戦はこの点から企図されていたのである。そして、対ボルフォッグ戦においてポルタンの戦いは巧妙を極め、ボルフォッグを完全に圧倒した。かつて「閉所における大火力運用」によってボルフォッグを追い詰めたのはEI−27ことペンチノンだったが、情報戦において彼をここまで窮地に陥れた者は存在しなかった。ポルタンとの戦いはボルフォッグにとっても、諜報ロボットとしての存在を賭けたものとなったのである。
 当初ガンマシンと言うサポートロボットを従え、これと合体する事によりパワーと火力を向上させる事のできるボルフォッグが戦いを有利に展開したが、ポルタンの戦術は狡猾なものだった。彼は格闘戦でビッグボルフォッグに対抗する間に、強制遠隔リンクシステムによってガンマシンに干渉、これを制御下において戦況を覆したのである。ここで直接ボルフォッグを制御しなかったのは、ボルフォッグのセキュリティが非常に強固でこれを支配するのは困難であると判断したためであり、同時にボルフォッグ自身にアクセスすればそれが発覚するのは避けられない。そうなればポルタンの意図をボルフォッグにわざわざ知らせる事になってしまっただろう。強力な情報工作能力を有するとはいえ、多次元リンクシステムによる有線アクセスにおいて初めて真価を発揮するボルフォッグとでは、無線状態においてもAIに干渉できるポルタンに利があった。表向きの格闘戦と熾烈さでは引けを取らない戦いが、彼らAI間で行われていたのである。しかし、最後はGGGという人間集団の中に身を置いていたボルフォッグの心理戦における強さが勝敗を決した。ウツセミによる遠隔プロジェクションビームによってポルタンのセンサーを欺いたボルフォッグは、シルバーブーメランでポルタンのラウドGストーンを破壊する事に成功する。強制遠隔リンク中のポルタンのセンサーが殆ど光学的なもののみに限定される事を見抜いていたのである。
 なおもピサ・ソールの物質再生波動により復元増殖し、勝利を目前にしたポルタンだったが、ジェネシックガオガイガーゴルディオンクラッシャーによってピサ・ソールを破壊したことにより物質再生波動、および構造維持エネルギィの供給が途絶し、機体構造を維持できずに再生・増殖した全てが最終的には消滅した。戦術面ではボルフォッグを圧倒し続けたポルタンだが、戦略面での敗北は覆しようもなかった。それは同時に諜報ロボットとしての完全な敗北をも意味している。
 結局、一言も発しなかったためにそのひととなりを知ることは出来ないが、増殖時にまるで狩りの成果を誇るようにボルフォッグを無残に破壊し、掲げていた姿からは、残忍とも言える性格が窺えたように思われる。

 分類 Brave Robot type Mechanized Weapon
 型式 メカノイド(推定)
 所属 ソール11遊星主
 管轄 パルス・アベル(推定)
 製造 不明
 構成 ポルタン/パーツキューブ
 全高 12.5m
 重量 不明
 主動力 ラウドGストーン仕様GSライド(推定)
 動力源 ラウドGストーン
 搭載AI型式 ポルタン
 最大出力 不明
 最大走行速度 不明
 最大飛行速度 不明
 巡航速度 不明
 稼動範囲 不明
 防御システム Gパワーバリア
 探知装置 不明
 航法システム 不明
 データリンク 不明
 通信装置 不明
 操作方式 フュージョン・システム
 フュージョン総所要時間 不明
 備考 ポルタンがパーツキューブとフュージョンすることで完成する諜報用メカノイド。再生した三重連太陽系での諜報、コンピュータネットのセキュリティ等、情報工作活動を一手に担うべく開発された。強制遠隔リンクシステムによって異常に強力なクラッキング能力を有する。