Cyber Japanesque

山口椿  豊穣なるその官能の世界

山口椿  豊穣なるその官能の世界 − 公演編

ここでは山口椿さんが行われた過去の公演内容を載せていきます。その官能的な世界を、ネット上で少しでも味あわれぃ・・・!

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「11月27日(土)、28日(日) ロサンゼルス・コンベンションセンターで”JAPAN EXPO 2004”が催されました。当初、招待画家として特設舞台で巨大な「龍」をアクションペインティングして見せるはずでしたが、特別招待ゲストの平山郁夫さんがキャンセル。急に山口椿がメインゲストに起用され、個展もということになりました。さいわい漉摺染(すきずりぞめ)が用意できますので、胸をなで下ろしましたが、大任で、いろいろ大変です。アクションペインティングは紋付袴で鉢巻でもしましょう。雪香が板つきでバッハを細棹で奏します。」  by 山口椿

「野性時代」2004/8月号に「ギルランダ」が掲載されました。トスカナ地方のシエナで、サラチーニ伯爵邸が舞台。ヴィスコンティ風に凝りに凝っためずらしい作品となりました。


2004/12/18(土) 朗読、舞踏、チェロ演奏によるE・A・ポーの世界/其の2 アナベル・リイ

ふるえるような金いろの韻律が、その頭脳の澄みとおった魔法の鏡を通り、薄ぐらい湖水の上、糸杉のしげる小道、吸血鬼のさまよう沼地へ落ちてくるポーの詩の世界。(阿部保)

大鴉、海中都市、ユウラリイ、そして夭折した最愛の妻ヴァージニアを歌う遺作アナベル・リイなど、代表的な詩を朗読しつつ、夜と月光を主題とするロマン派から印象派にかけての幽艶な作品を奏でる雪香のチェロと凍てつく月明かりに細田麻央の舞踏とで漂わせる、冬の夜の幻影・・・・

朗読とチェロ/雪香

舞踏/細田 麻央

雪香

このたび、共演者の麻央さんはさまざまな困難な事情の中で、パフォーマンスづくりに協力して下さいました。時間的にも体力的にもおつらかったでしょうに、私のつたない録音MDをもとに、音楽と詩の内容に添った表現を本番で披露してくださったことに御礼申し上げます。

フォーレの「月の光」は歌曲の中でも有名ですが、曲にひたりながらいつまでも飽きることがありません。心にさまざまなイメージを呼び起こしてくれる不思議な奥深い魅惑をたたえた小品と思っています。 」

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演奏曲目 - 月あかり(歌曲) /ドビッシー

月の光 /フォーレ

海は伽藍よりも /ドビッシー

夜想曲 /チャイコフスキー 他

2004/12/18(土) 午後6時半開場、7時開演

道玄坂Honey's Cafe 03-3461-1222

渋谷駅 西口20・21番乗り場より三軒茶屋方面31・32バス2つめ大坂上下車、停留所前。

全席予約1500円(1drink) 予約問い合わせ山口椿事務所アプレミディTEL&FAX0467-22-0916


2004/11/21(日) 浅茅が宿 −古典朗読と舞踏、三味線で演じる雨月物語

きびしくとも心温かく、まっすぐな、愛すべき人柄だった(中村博保)上田秋成。日本古典の伝統「待つ女」の類型を借りつつ、作者独自の思いを込めたヒロイン宮木は、戦乱によって引き離された夫を一途に待ちながら、報われずに死ぬ。哀れな魂は、7年もの流浪の果てにようやく郷里に戻った夫勝四郎の前に、廃屋の灯に浮かぶ幻影となって現れた・・・・。

しめやかな情感こもる悲劇の舞踏に、ルネサンスからバロックにかけての閑雅な古楽を細竿でやわらかく奏でます。洋の東西、時代を超えた悲しみと慰めの浄化を味わっていただけましたら幸いでございます。

古典朗読と三味線/雪香

舞踏/今 貂子

21歳、大学生(男性)、K.Mさん より

現在大学の3回生ですが、受験の頃に幾度となく目にした上田秋成ゆかりのお寺であることを、今日になって知りました。といっても、上田秋成の文章を精読してきたわけではなく、ただ「上田秋成 → 雨月物語」という連想でしか記憶していないにすぎません。しかし本日、浅茅が宿を観せて(聴かせて)頂いて、非常に面白いと感じました。ただ、物語を追うだけでなく、朗読と躍りとが一体になるというおは、なかなか贅沢です。

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11/21(日) 午後6時半開場、7時開演

西福寺(上田秋成菩提寺)にて TEL:075-771-7909

京都市左京区南禅寺草川町82−1 地下鉄東西線蹴上げ下車 料理旅館八千代向かい

一般予約前売り 2500円、当日 3000円 学生予約前売り 1500円、当日2000円(学生証の提示を願います)

TEL&FAX:075-525-4467 携帯TEL:090-7098-2869 E-Mail: ima-kira@moon.sannet.ne.jp

JCDNダンスリザーブ: http://dance.jcdn.org/ (オンライン予約) 予約受付は10/21より開始。

内容についての問い合わせ先は、 山口椿事務所アプレミディ 0467-22-0916


2004/10/26 ディ・プラッツ 「セリエ・ガラ」公演

すでにポストモダンの多様な試みがされている中、これは驚くべき瞠目の光景となる。澤然とからみ合い、そして結晶していく。めくるめく舞台。お楽しみあれ。

山口椿/チェロ演奏

Lune/自作人形とのパフォーマンス

YAS-KAZ/音楽

雪香/一人芝居「サロメ」 (山口椿脚本)

あるファンの女性より

「 昨夜の”セリエ・ガラ”は素敵な舞台でした!山口椿さんのチェロは、わたしの知らないほんとうの美しくこわい世界から、、山口さんをとおしてこぼれ出てくるようで不思議な心地がいたしました。チェロという楽器の中に別世界がひらけているとしか思えない深くて遠い音色でした。

 また雪香さんの「サロメ」は少年の何もかも見透かしているような澄んだ憤りを感じて、ずっと目を見張り、耳を澄ませて、舞台を追いかけていました。少年といいましたが、それと同時に今の季節の空や、五月の新緑を目にした時にふとおそわれる、切なさ悲しさが雪香さんの声によって蘇ってきました。昨日くらいの広さで雪香さんのお芝居を見ることが出来たのは、本当に嬉しかったです!

 一気に寒くなりましたが、また催しなどで山口椿さん、雪香さんの世界に触れられる日を楽しみに、おふたりの健康をお祈り申し上げます

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麻布 die pratzeにて (港区東麻布 1丁目26-6 Mobil向かって右手階段より2F。)

2004/10/26(火) 受付 19時、開演 19時30分。

料金 予約・前売 3000円 当日 3500円。


2004/10/11(月)〜10/23(土) 山口 椿・溌墨展

JAPAN EXPO 2004はアメリカ西海岸都市ロサンゼルスに於いて今年11月末に開催される。
ここにメインゲストとして招かれた平山郁夫画伯が延期を申し出たことに際し、事務局は山口椿を起用することに決定した。
山口椿が展開してきた国際的業績の一端をビジュアルディスプレイするために、特漉和紙へのインプリントで展示されることになった。
また伝統芸能が演じられる特設舞台で、山口椿は「水に棲み、空に昇り、雨を降らす」霊獣「龍」を巨大和紙に描く。
本展は13世紀初頭の「龍」をどのようにして描きこなして行くかの過程に焦点を絞り開示するものとなった。

場所:PLATFORM STUDIO (東京都中央区銀座1−9−8 奥野ビル515 開廊時間 午後1時〜7時)

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なお特別企画として10月16日(土)23日(土)の両日は製作の実演を披露する。ロサンゼルスの特設舞台と同様、雪香の細棹とコラボレーション。山口椿が女体に「龍」を描く。

10月16日(土)、23日(土) 午後7時開催。会費 2500円(終演後ワイン等で出演者と歓談) お申し込み先:0467-32-9882(チキンヘッドカンパニー)


2004/9/25(土) 地獄の季節 朗読とダンス、チェロ演奏によるA.ラムボー

純潔・反逆・絶望・希求を、天使的無垢をもって、その生とともに具現した(白井健三郎)天才詩人ラムボー。気鋭の振り付け家であり才能豊かなダンサー高野美和子と<この世に稀なインノチェンツァ/山口椿評>雪香とで共演。侮蔑と痛罵に満ちた詩の朗読と、その裏腹なラムボーの無垢とを、素朴で古雅な17世紀初頭のヴィオル音楽で雪香が奏で、本年度トヨタコレオグラフィーアワードNEXTAGEオーディエンス賞(上演当日の観客投票第一位)受賞高野美和子が、シンプルでピュアな肉体表現を構築します。

9月25日(土) 渋谷道玄坂Honey's Cafe(1drink)
渋谷駅 西口20・21番乗り場より三軒茶屋方面31・32バス2つめ大坂上下車、停留所前。

午後6時30分開場 7時開演 TEL03-3461-1222
予約 1500円、当日 1800円。
予約問い合わせ山口椿事務所アプレミディTEL&FAX0467-22-0916

高野美和子さんのプロフィール
94年渡英。ラバンセンター(ロンドン)にてダンスディプロマ取得後、エティエンヌ・ドゥクルー直属のマイムを学び帰国。03年、「横浜ダンスコレクション・ソロ&デュオcomtetition」で特別賞受賞し、フランス・トゥールのダンスフェスティバルに招聘される。
「time and locus」主催。

雪香

『 音楽に「映像」という言葉を付けたドビッシーのように、耳で聴くビジョンもあるのでしょう。ジャン・バプティスト・べっサールのある曲を、山口の前でお稽古していたとき、わたくしの演奏を聴き、彼はふと呟きました。

「ああ、きれいだ。きっとレオナルド(ダ・ヴィンチ)はこういう音楽を聴きながらデッサンしていたんだ」・・・

その声音を聴いた私の心には、自分の知らない山口椿のイタリア時代の記憶が、まるで昔の写真を目にしたよう、感じ取とれたのでした。もちろん視覚ではなく、かといって聴覚のみでなく、言葉に表現しがたい、さまざまなニュアンスを含んだ山口椿の感慨が、彼の声を通じて心に伝わってきたのでした。

ことのほか柔軟なステップとしなやかなムーヴメントを披露して下さった高野さんとの公演の本番で、リハーサルのときにはなかった幾つかの閃きを共有することができ、快い驚きを味わいました。これもまた五感のどれにも限定できない微妙な、相互作用の感覚でした。お客さまにそれが伝わっていたらと、願います。 』

演奏曲/ジャン・バプティスト・ベサールのクーラント、ヴォルテ、ヴォルテン、

アドリアヌス・ヴァレリウスのバレット

作者不詳のバレット、ヴォルタその他

(ヴォルタ、バレットなどは、当時の舞曲で、形式の名称です)

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2004/9/19(日) 第67回山口椿の会・ふらんす物語

若き永井荷風の出世作で、きわめて美しい文語体とフランス語の混交という、のちの荷風文学を確立せしめたエポックとなった作品を朗読。時代を同じくするロマン派末期の繊麗なフォーレを新解釈で演奏いたします。

朗読/山口椿

チェロ/雪香

2004/9/19(日) 午後3時開演

銀座金春通り 貴族にて。 会費 3000円

喜びと悲哀がまざった美しい旋律のような作品


野上陽子


「 『ふらんす物語』で扱っている題材は、華やかなものばかりではない。しかし、どの章にもセンスの良さが光っている。苦労を重ねてきたのに決して過去を表に出さない上品な美人、と云った雰囲気だ。色調でたとえるなら深い焦げ茶色と云ったところだろうか。
 雪香さんが弾くチェロの人声に近い響きも、そしてどこか鄙びた旋律も、そのような感じを抱かせる一助となっていただろう。
 朗読の後、山口さんが『ふらんす物語』にある別のエピソードを紹介した。 それは、荷風が地中海の美しさに感動した時の話である。海の美しさを讃える歌を歌いたくとも、思い付く日本の歌はどれも相応しいと思えない。西洋の曲なら『カヴァレリア・ルスティカーナ 前奏曲』(映画「ゴッドファーザー」や、再春館製薬CMに使用された曲)が最も相応しいが、悲しいかな、自分はそれをよく憶えていない。…
荷風は作品中でそう嘆いたと云うものである。
 それを聞いたとき、何となくではあるが、『ふらんす物語』は『カヴァレリア・ルスティカーナ 前奏曲』に似ているような気がした。優美で伸びやかだが、哀しみを含み、悲劇を暗示しているような旋律。静かに遠ざかるような曲調は、やがて去らなければならない一邦人の身に重なるような気がする。
 荷風には、晩年に至るまで日本の女性達をこよなく愛し続けた人、と云うイメージが強くあったのだが、このエピソードには、彼の全く別な一面が表れているようで、考えさせられるものがあった。 」

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山口椿

「 「ふらんす物語」を朗読させて頂きありがたく思うのは、「言葉の正鵠」というところに尽きます。楽は「奏する」のであって、わたしが荷風先生のひそみにならってそう述べると、「弾く」と改めてくる校閲がいる。なんたる画一的無教養かと憤慨します。」

雪香

「このたびはグランド・ピースを含めたフォーレの小品を演奏しました。小品とはいえ、どの曲も音楽的に密度の濃い作品でした。山口椿の申しますには、彼のイタリア時代の先生だったナヴァラ氏のレパルトワールだったそうです。他のチェリストは、あまりとりあげないとのことです。

シンフォニー・オーケストラとともに演奏されるグランド・ピースの「エレジー」は、「演奏者の内面の真摯な音楽性が問われる」そうです。技術上では現在の私は山口椿の要求水準には届かないのですが、この「エレジー」や、ベレニスで奏いた「チェロソナタ2番」のように誤魔化しのきかない、心の奥行きがじかに露になる作品は、演奏する甲斐もあり、また得意な分野だと思っています。」

演奏曲目/ ロマンス、シシリアンヌ、シルヴィア、セレナーデ、エレジー その他 (全てフォーレ作品)


2004/8/28(土) LUNEプロデュースによる山口椿のオスカー・ワイルド 「わがままな少年」

オスカー・ワイルドの大人のための童話を1999年に山口椿が「真実はもっと怖い残酷名作」としてアントレプレットした作品。無感動で自分勝手な少年が、ある雪の朝、ヴィオルを奏でる女の子と出逢い、そのヴィオルを与えられます。少年は楽器を奏くことを学びはじめ、それによって少しずつかたくなな少年の心も変化してゆくようになったのですが・・・・。

LUNE (avec marionette)

山口椿 (violoncelle)

雪香 (voix)

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P8286015-1.JPG - 10,043BYTESphoto 西川比呂司

山口椿

 「わがままな少年」の台本を読んだルネさんは、「これはぼくのことでは・・・」と絶句したが、文芸は誰かをさしてあげつらうものではありません。むしろ、作者であるわたしは、わたくし自身についていささか痛切なことを書き込み、朗読を聴きながら首をすくめたものです。

あるドイツの偉い方は、作品の出来をモデルのせいにしたがる人々について、「そうしたあげつらいをする人物は、芝居の途中なのに舞台に駆け上がり、これは木と紙でできたまがいものだ、と小道具や何かを得意になって観客に説く不埒者だ」と痛烈に非難しました。

21世紀になっても、まだピカソのした性表現を、どこかで彼が出会った娘のせいにしたりする解説がまかり通っています。ピカソの作業は、性欲に支配されるより、ジオメトリーのコムポジションに向かっていたものと分析したいのですが。」

8/2(土) 午後7時半開演予定 。料金は2,500円。

渋谷道玄坂Honey's Cafe (Tel:03-3461-1222)にて 

(渋谷駅西口20、21番バス乗り場より、三軒茶屋方面31・32バス 二つ目、大坂上下車停留所前)


2004/7/26(月) 朗読と舞踏、チェロ演奏によるE・A・ポーの世界  -ベレニス-

若い美女の死をめぐる幻影。エドガー・ポーの重要なモチーフ「早すぎる埋葬」によってひきおこされる奇怪な結末。妄想にとりつかれた兄は、狂気のままに妹の屍ににじり寄る・・・。

叙情音楽の天才G・フォーレのチェロソナタ2番の幽玄不可思議な調べに朗読を絡め、怪奇と退廃美の世界を舞踏で表現する真夏の悪夢。

脚本と朗読、チェロ/雪香

舞踏/細田麻央

2004/7/26(月) 19:30開場、20:00開演。

場所:阿佐ヶ谷名曲喫茶ヴィオロン(阿佐ヶ谷駅北口より徒歩5分、スターロード荻窪方面最先端。03-3336-6414)にて。木戸1000円(飲み物つき)

 

TSUBAKI_0728_1.JPG - 7,946BYTES TSUBAKI_0728_1.JPG TSUBAKI_0728_1.JPG TSUBAKI_0728_1.JPGphoto 西川比呂司

雪香

「チェロソナタ2番は、フォーレの最晩年の傑作のひとつです。複雑に緻密に転調を重ねてゆく旋律は、奏でているうちに、現実を昇華した、精霊の世界にひきこまれてゆくような気持ちになるのでした。たとえばワグナーの無限転調は悪魔的な印象を時に感じますが、フォーレの肌触りはやわらかで繊細、しかしその内実に強靭な骨格がある、と山口椿に教えられました。

ポーの小説手法も、まず全体の構成を正確に俯瞰してから書かれたそうです。思いつきや感覚に溺れるのでなく、全体を見通しつつ、終盤へと盛り上げる創作は、クラシック音楽に似ています。

文章に表現された妖しさとデカダンスを独特の舞踏で演じてくださった細田さんとの間合いを測るのも、舞台ではスリリングな体験でした。ありがとうございます。」

 

細田麻央  『ベレニス』を踊って


「私はポ―は殆んど読んだことがなくて、雪花さんから『ベレニス』はどう?と言われて、初めて読みました。読んでみて、この物語を踊ることは出来ないけれど、このお話が持っている雰囲気やテーマはもし出来たら素敵だなと思いました。雪花さんの構成した台本はシンプルで、より雰囲気やテーマが掴みやすかったので、何とか出来そうだと思いました。でも大前提として物語を踊れないので、物語と関係ないけれど、調和するイメージを探して、花鳥風月はどうだろうと思いつきました。でもなかなかそこから先へ進めないでいたら、ある日主人が「花は散り、鳥は落ち、風はやみ、月は隠れる…『ベレニス』にぴったりのイメージだね」と言ったのです。ああ、そうか。と思ったけれど、あんまり寂しいイメージなので、月だけは空に残そうと思いました。
ヴィオロンはお墓の中か、精神病院か、この女の人の心の中の部屋か、わからないけれどとにかく閉じ込められていて、ここでいろんな夢を見る。いつもはそんなふうに思っても、結構つくりに走ってしまいますが、今回は会場の広さや練習の回数などに制限があったのがかえって幸いして、本当にそんな気持ちで最後まで即興的にやれました。楽しかったです。」



2004/6/20(日) 第二回 Clair de Soir /たそがれのさやけさ

- 山口椿 新作出版記念会を兼ねて- 一人芝居で演じる「ガラスの動物園」

現実から心を閉ざし、もろいガラスの動物たちと戯れる姉娘ローラ。自分の希望と実生活の重みとのはざまで苦しむ弟トム。挫折した人生の夢を我が子に託し、善良でありながら、無意識に子供たちを追い詰めてしまう母親アマンダ。

家族、愛、思いやり、そして自己実現に避けられぬ心の痛みとは? 

家族の象徴的原像を昇華したT・ウィリアムズの名作を、雪香はより詩的に透明にアンテルプレット(翻案)し、繊細に演じます。

脚本と一人芝居/雪香

チェロ/山口椿

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山口椿

「T・ウィリアムズの戯曲「欲望という名の電車」は、当時「新しくて激しいタイプが古くてとつおいつする者を踏みにじって進む」という批評と、「いや、さにあらず。フラジリテのブランシュ・デュボアのあはれが主題」との評に分かれたそうですが、この「ガラスの動物園」のローラもまた、ただ事象を踏みにじって前進するだけの<生>のあはれをこうむっているかと、胸が痛みます。なお、当日お越しいただいたYAS−KAZに、アンコールの共演を御礼申し上げます。」

雪香

「今回の芝居は姉娘のローラを中心に構成して演じました。ローラの繊細さや優美、純情はバレエのジゼルのように表現できたらと思いました。もしかしたらT・ウィリアムズの心にもジゼルのイメージがあったのかもしれません。結局トムは家族を捨てて出て行くのですが、生涯ローラを忘れられなかったのです。わたしの解釈では、詩人であるトムの内面の純粋さを、象徴的にかたどるものがローラだったのでしょう。他人から逃げることはできても、自分から逃げ出すことはできません。ローラという存在は、トム自身に溶け込んでいたのではないかと思います。」

場所:目黒碑文谷杉本邸にて15時開演。


2004/7/26(月) 朗読と舞踏、チェロ演奏によるE・A・ポーの世界  

-ベレニス- 若い美女の死をめぐる幻影。

エドガー・ポーの重要なモチーフ「早すぎる埋葬」によってひきおこされる奇怪な結末。妄想にとりつかれた兄は、狂気のままに妹の屍ににじり寄る・・・。

叙情音楽の天才G・フォーレのチェロソナタ2番の幽玄不可思議な調べに朗読を絡め、怪奇と退廃美の世界を舞踏で表現する真夏の悪夢。

脚本と朗読、チェロ/雪香

舞踏/細田麻央

2004/7/26(月) 19:30開場、20:00開演。 場所:阿佐ヶ谷名曲喫茶ヴィオロン(阿佐ヶ谷駅北口より徒歩5分、スターロード荻窪方面最先端。03-3336-6414)にて。木戸1000円(飲み物つき)


 2004/5/30(日) 第66回 山口椿の会 無言歌/人形とエロティシズム

2004年3月に上梓の「押井守論」に寄稿された美文エッセイ「人形とエロティシズム」を筆者が朗読。

黙して語らぬ人形たちの醸し出す叙情を、メンデルスゾーンの無言歌に寄せて雪香が奏でます。

銀座金春通り伊勢由ビルB1<貴族>(03-3573-8150)にて 

5/30(日) 15時開演  会費3000円 葡萄酒つき

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山口椿

「リラダン、P・ディック、押井守とならべてみると、それがちょうど20世紀の苦悩を象徴していることに気づく。この稿を押井守論に寄せながら、わたくしはようやくフロイトのタナトス論が壮大な叙事詩だったと頷き、この機縁を頂いた日本テレビ出版局にお礼申し上げる。わたくしの原稿を読んだ出版局から、「押井守とほとんど同じことを考えている・・・」と驚きの感想をいただいた。おそらくかの御仁は、映画化しきれぬ未来的なイマジナーレの衝迫にとりつかれているのではあるまいか。」

雪香

「さまざまな作風を持つ山口椿の著作の中でも、今回のエッセイのような作品はことに彼らしいと、わたしは感じます。リリカルな美文に挟みこまれる強烈な短いアフォリズムとの、一種唐突な刺激の感覚は、レナード・バーンスタインの交響曲「不安の時代」を聴いたときの印象に似ています。

お稽古のとき、山口は、わたくしの演奏に合わせて一緒に歌ったり踊ったりしてフレーズの流れや抑揚を教えてくれます。本番のとき、わたくしはそんな山口の姿を思い浮かべながら奏でます。春から初夏にかけて起伏の多かった日々ですが、メンデルスゾーンの優しい音楽に取り組むことでやすらぎを得ることができました。椿の会にお出でくださった方々にそのようなみずみずしいロマンティスムを感じていただけたら、と願いました。」

 

演奏曲目/春の歌、甘い思い出、悲しい心、歌の翼に (メンデルスゾーン)

 五月 (フォーレ) その他


2004/3/20(土) 第65回 山口椿の会 エレーヌへのソネット/ロンサールの朗読とチェロ

・・・その日より理性は病みぬ・・・

・・・・今日よりぞ摘め、いのちの薔薇・・・・

フランス16世紀文芸復興期の詩人ロンサールの詩は、山口椿にとって人生を通じて座右の作品の一つです。

ヴァレリー、ジャム、コクトー、またラヴェルも賛嘆を惜しまなかった美しい詩篇を、井上究一郎先生の訳で。

デルブコワのロココ音楽、またフォーレの叙情小品とともに。

朗読/山口椿

チェロ/雪香

演奏曲目/デルブロワのヴィオル用組曲1番全曲

パピヨン (フォーレ)

ベルシューズ (フォーレ)

銀座金春通り伊勢由ビルB1<貴族>(03-3573-8150)にて 

3/20 15時開演  会費3000円 葡萄酒つき

春の雨のような繊細な詩に浸る
野上陽子
 「
当日は桜の開花予想日ではありましたが、東京は久しぶりにしっとりとした小雨に包まれました。ロンサールの詩の朗読はその日の雨のごとく静かで優しく、一言一句
が心の深いところにまでしっとりと染みとおるような穏やかな会でした。私は以前、平川祐弘という方の訳でロンサールの詩を読んだことがあり、ずっと「ロンサール=威勢の良い詩人」と云うイメージを抱いておりました。もちろん今も平川氏の訳した詩を大変好ましく感じておりますが、井上究一郎氏による訳は、まるで別の趣きがあると云ってもいいでしょう。哀楽がとても繊細に刻まれており、思わず胸がせまる思いがいたしました。 アンコールに答えて雪香さんがフォーレの「蝶々」を弾いた後、山口先生は井上氏とお手紙をやりとりされた時のエピソードをお話しになり、また、井上氏が5年前に亡くなったことに触れて、「春は別れの季節と云う一面も感じさせますね」とおっしゃったのが、強く印象に残っております。

山口椿
「文芸春秋「本の話」で触れたが、1980年代に、「ロンサールの詩、チェロとクラヴサン」という催し上演に際して、おっかなびっくり訳者である井上究一郎先生のお許しを頂くべく書状をさしあげた。手紙の返りごとなどさらにない時世なのに、驚いたことに井上先生から、優美なこなれた筆使いで「使ってよろしい、催しには伺えないと思うが切符を下さい。なお自分のよう古蒼な訳ではなく、新しく鮮やかな訳も出版されているから・・・・・・」と最近の訳の紹介も丁寧に書き添えた達意のご返信を頂いた。お便りには季節折々のごあいさつにロワールなどの風景のなつかしさをお書きで、見ず知らずの者に対する先生の温かいご親切に感激した。いつかお目にかかりたいと願いながら、それもかなわぬまま、先生は逝かれた。」 

雪香
「ロンサールの詩の朗読に付けたデルブロワの組曲は、ロンサールの生きた時代よりちょうど100年ほど後世になります。デルブロワは必ず大詩人の作品を味わっていたことでしょう。フォーレの「ベルシューズ(子守歌)/op16」は今まで勉強したフォーレの作品の中で一番好きな曲でd素が、同時に難しくもありました。やさしく細やかに、静かな愛を歌うのは、大人でなければできないことでしょう。この「ベルシューズ」は初期の作品ですが、やはりわたくしの大好きなフォーレ最晩年のピアノ五重奏(op115)を聞きますと、フォーレの生涯みずみずしさを保ち続けた精神に心をうたれます。」 (雪香談)

0320_TSBAKI1.JPG - 11,667BYTES0320_TSUBAKI2.JPG - 8,827BYTES0320_TSUBAKI2.JPG0320_TSUBAKI2.JPG photo 電脳和風主人

P3207274.JPG P3207274.JPG P3207274.JPG P3207274.JPG P3207274.JPG photo 西川比呂司


2004/1/18(日) 山口椿の会 -雪香ものがたり/睦月

けがれを寄せつけぬ白磁の気配に支えられ、数奇な運命に揉まれつつ、なお決然と生き抜く美少女雪香のたどる波乱の魅惑。作曲家三枝成彰氏に「平成の「春色梅児誉美」か」と絶賛された代表作の第一話を三味線と語りで演じます。合方/山口椿

「わたくしを作った旧文化における日本の女人像は、よかれあしかれ竹久夢二や永井荷風に描かれた、つまりうつむいて泣いているような女ですが、雪香ものがたりは、そこを脱却してゆく女を意図しています。といって、それは自己中心的な女というわけではありません」  (山口椿談)

三味線演奏曲/サラバンド(バッハ無伴奏チェロ組曲5番)

ジーグ(バッハ無伴奏チェロ組曲2番)

扇獅子(中世の古謡)

2004年1月18日(日) 開演15:00  銀座金春通り伊勢由ビルB1<貴族>にて 木戸3000円 葡萄酒一献

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TSUBAKI_0118_5.JPG TSUBAKI_0118_6.JPG TSUBAKI_0118_7.JPG TSUBAKI_0118_8.JPG - 13,559BYTES  photo 西川比呂司


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