Cyber Japanesque

 小唄、長唄、三味線、お琴に雅楽まで、なんでもござれの心地良い音を拾って、お伝えして行きます。


椎名林檎 三部作

 和風戦略周到なり・・・林檎がんばれ

 2003/3/2の朝日新聞朝刊にも一面ぶち抜きで留袖とお遍路さん姿で広告。一時は、BRUTUSをはじめ、怒涛の如く雑誌の表紙に着物姿の林檎の姿が載っていた。筑紫哲也の23時台のニュース番組にも、着物で対談し、STEMをライブで歌っていたし。

 私としては、特に和風という観点ではなく、元ロック少年でもあったので、"勝訴ストリップ"の中の"ギブス"なんて好きだったのだが。一時は看護婦さんの姿でメディアに出ていた椎名林檎が、今回は和風の着物で来たのは、趣味が合ったか・・・笑。

 でも、筑紫哲也の対談で、"他人からは暗いと思われがちですが、私はポジティブですよ。ポジティブじゃないと、生きている意味がないですよ・・・"というような事をはにかみつつ、明るく言っていて、なんかハッとしましたね。この無機質でアンニュイな雰囲気も、CDシングル→DVD→CDと3段階の作品で畳み掛ける手法も、看護婦の次に着物で表現するのも、今までのライブライクな簡素な音の作りから今回の緻密な録音への変化まで、全て戦略的であるとすると・・・やはりこいつは天才に違いないと・・・。(それか、影に敏腕プロデューサーかコンサルタントがついていたりして・・・笑)

 なお、各作品には、"RAT 黒猫読本お好み版 椎名林檎"なるフリーペーパー冊子が横に置いてありますので、作品を買わずともそれだけでも一見の価値有りです。

   ★★★★☆ CD  加爾基 精液 栗ノ花

  ごった煮だが統一感ある魅力・・・ビートルズを彷彿とさせるぜぃ

  このアルバムを作るために"太宰体験"をするために、温泉宿でレコーディングをしたらしい(笑)。太宰体験とは、子供もできて心に余裕のできた林檎が、"入水自殺"のような極限状態に自分を置くための、環境作りをさすらしい。

 アルバム全体は、タイトル名が前後で対象になっているとか、前回のアルバムが55min55secで、今回のアルバムが44min44secだとか、シタールから二胡まで数十種の民族楽器を使っているとか、言葉は相変わらず言葉遊びの色合いが強いとか、色々な彼女なりの遊びと凝りが見られますね。こういう、一見では分からないところに凝るのは、ある種の"粋"なんだろうか。

 全体のトーンは、ビートルズの"サージェント・ペパーズ"を髣髴とさせる、統一されたコンセプトの下での組曲。凄いね、一人でビートルズに匹敵するものをやっているよ。

 そして留めは、6曲目のアルバムの中心となる"茎 (STEM)"を、CDシングルの様に流麗なオーケストラの曲が流れると期待させといて、エレキギターバージョンを出して、肩透かしを食らわされた時だ・・・・おぬし、なかなか人の心を弄ぶのが上手いな・・・!?

 

   ★★★★☆ CD マキシシングル 茎 (STEM)〜大名遊ビ編〜

 流麗なるオーケストラをバックに・・・私の頭は謡曲ハイへ・・・

  やはり、2曲目の"STEM"という曲にとどめを刺すでしょう。なるほど、フルオーケストラでの収録なので、"大名遊び"なのですね。確かに、SONYの大賀さんも社長を辞めてから、中国でオーケストラのタクトを振っているからね・・・・よほど指揮者というのは、気持ちの良い遊びなんでしょう・・・(笑)。

  筑紫哲也との対談で、ライブで弦楽6重奏をバックに、紅い着物に身を包みこのCDシングルと同じアレンジで唄った。対談の場所は、あのちょっと派手調度の和室は、目黒雅叙園あたりであろうか。そこのライブで、途中で転調するところの歌声は、エクスタシーであった。うーむ、オペラの"蝶々婦人"をなぜか思い出したなぁ。

  先日"謡曲ハイ"(=謡曲を習うとついつい電車の中でもどこでも口ずさんでしまうという状態を言うらしい)という言葉を聞いてなるほどと思ったのだが、同じようにしばらく私の頭の中では、このSTEMがエンドレステープのように鳴り響いているのであった・・・。

   ★★★★★ DVD 百色眼鏡

  ドキドキとオドロオドロしさが、程よくソフトにオブラートで・・・江戸川乱歩の世界なりぃ

  和と洋と、今と昔と、夜と昼と・・・様々なものを昇華すると、切なささえも、華となり光輝く

 2003年1月22日に発売された、DVD「短編キネマ「百色眼鏡」が、なんというか物語と切なさの壷を突いている。朝日新聞の1/22夕刊の広告でも、中村勘九郎さんが「セツナクッテ、ドキドキして!!淋しいねー淋しい。ステキデシタ」と、コメントを寄せている。そう、坂本龍一バリのオーケストラが弦を鳴らし徐々に盛り上げ、NHKの大河ドラマのオープニングは水墨画の中をCGの蝶が舞う。そして、物語は進行する。

 若き探偵 天城は、ある舞台女優の尾行を依頼される。そんな折に、女に財布を落としたと言って近づいた天城の見たものは・・・。昼は清純に誠実に親切に振舞う小雪 演じる女優が、夜になると 椎名林檎 演じる女優に変身する。そして、女優の住む洋館の中を壁の穴から覗くと、真紅に白い鶴が描かれた着物を纏い、誰か男の耳をかく、妖しくも魅惑的な後ろ姿。昼は食事に招かれ、白いドレスをまとう女優。夜は、まるで天城の心の中を見透かすように、囁く女優。 そして天城は依頼人から今日の夜までに素性を調べるようにと背中を押され、そして、壁の穴から覗いた天城がそこに見たものは・・・・。DVDで、ごらん下さいな(笑)。

 いかにも薄幸そうな、まるで昔昔の吉原の遊女のような・・・うーん、玉三郎が監督をして、吉永小百合が演じた"夢の女"のカラー版か。彼女が羽織る、白い鶴の描かれた着物が、またケバケバしくて、この映像には合っているんだ。小粋に長いキセルを吸う椎名林檎。そんな遊女の様な夜の顔に、想像の世界で耳を掻いてもらい、耳元で囁かれる天城。そして、洋館を抜け出した後に、車の中で椎名林檎が羽織っている黒い紋付の着物もこれが、哀しそうで、でも凛としていいぞ。

 全体的に、椎名林檎の夜の顔 vs 小雪の昼の顔、 ストリングスがきれいなオーケストラをバックにした音楽 vs 舞台の遊郭の和の世界、小雪の大正浪漫風の着物 vs 白いブラウス と、様々な対象的なものがモデル化されて埋め込まれている。 そして、全てが混ぜ合わされると、きれいに無国籍化された、それでいて輝く世界が表されている。

 こんな風に、和と洋と、今と昔を、自由に組み合わせるのもいいかな、と思わせる作品であった。お勧め!


★★★★☆  上妻宏光  "BEAMS"  AGATSUMA_BEAMS.JPG

 昨年出たアルバムであるが、聴き逃していました。

 It's cool. 三味線と、ソウルフルでグルーヴィンなロックとの、ついに融合を完成させた小気味良い作品集

 一曲目の"BEAMS"から、ギターよりも音の持続性が短く、線が細い三味線を、その持ち味を最大限活かしながら、強烈なバスドラムやベースと絡み合わせる。クールに弾いている様が思い浮かべ、カッコいいぞ!

 お勧めは、三曲目の"In Memory of N.Y"。ちょっと、切ないメロディラインが、北野武の映画の音楽を多く手がけている久石譲バリのピアノに乗り、心に響く。

うーん、本当に上手いところを突いているぞ。これであれば、グローバルな中で、独自のポジションを三味線も持てるという一つの見本だと思う。・・・・でもシンプルに言うと、心地よいドライブのお供に・・・・どうぞ!


c★★★☆☆ 吉田兄弟  "Soulful"SOULFUL.JPG - 6,453BYTES

 うーむ、やはり一枚目の"いぶき"の最初の曲"モダン"が強烈だったからなぁ・・・悪くないできですが、上手くまとまっていて、インパクトには少々欠けます。

純朴真面目な 兄の吉田良一郎は、"久石譲"のように雄大で切ない自然を目指し

二枚目 弟の吉田健一は"上妻宏光"のようにちょっとJazzyな無国籍おしゃれを目指す

 5曲目"名もなき丘":   ライナーノーツには"北海道・室蘭の丘に咲く一輪の花"をイメージしたとありますが、これはメロディーラインが美しい。良一郎の三味線で始まって、胡弓(バイオリン?それともシンセ?)のむせび泣くような音がユニゾンで重なるところなんざ、泣けるねぇ。北野武の映画に使えそう。

 9曲目"深き海の彼方": これは健一のシンセをバリバリに使った曲。そう始まりは、シンセベースのビートから、そして三味線が絡んでくる。ちょっと古いが(歳がばれるか・・・)TVドラマの"東京ラブストーリー"のような、男と女の物語にぴったりか。しかし、こういう曲だと、間奏の三味線を弾きまくる部分は、フェンダーストラトキャスターで音を伸ばし、アームで音を揺らし、音を泣かした方がいいなぁ。エリック・クラプトンに弾かせたいなぁ。

 6曲目"津軽あいや節": 三拍子の変拍の曲。でもなんだかんだ言って、この曲なんかが一番三味線の良さを引き出している。こういう曲を、二人で魂を込めて弾きまくって欲しいな。

 結論:シンセとの合奏になると、曲に緩急が付けられなくなる。そして、三味線が一番合うメロディーを考え続けなければいけない。これは戦いだ。Back to the Basic!


 ★★★★☆ NHK衛星放送 2002/1/2 21:45より放送の「ザ・津軽三味線スーパーライブ

吉田兄弟上妻宏光、そして私は知らなかったが木下伸市の3組4名が主役。

素晴らしいのは、普通の人には馴染みの薄い津軽三味線という楽器を深く知ってもらう為に、一くくりで捉えるのではなく、夫々の"個性"というものを際立たせようという工夫。

Round1は、各人の代表曲: これは、吉田兄弟の"モダーン"が一位かな。上妻の"遊"もカッコ良い曲なのだが、ライブ用の編曲は後半が今ひとつ。木下さんは、ちょっとクラシックを意識して懲りすぎで三味線の良さが生きていない。

Round2は、アコーディオンのcobaとの競演: アコーディオンは高音中心で音圧が高いので、基本的に三味線の音が沈んでしまう。実はあまり愛称が良くない。


Round3は、津軽三味線定番曲のメドレー: これは迫力あり。なんだかんだ言いながら、津軽XX節というのは三味線が格好良く聞こえる旋律を持つ。吉田兄の身体を揺らせながら実に楽しそうに弾く姿と、上妻の目を閉じて上半身を微動だにせぬ弾き方の対象性。その中でも、木下さんは三味線自身の音が太く厚く迫力あり。木下さん僅差で一位。

Round4は、"黎明"というタイトルで、自由に作曲・演奏するもの:
吉田兄弟は少々速弾きに囚われすぎか。そして、少々音が細いというか繊細か。
上妻は、ロックとジャズの融合で、完全にエレキギターを意識して三味線を弾いている。しかし、三味線が沈んでいる。今ひとつ。
木下さんは、伝統に根ざしつつも、ガホンのシンプルな伴奏とも息があっている。そして、途中繰り出す鋭いリフも良し。ということで圧倒的に一位 木下さん、二位 吉田兄弟、残念ながら三位 上妻というところか。

しかし、義務教育に邦楽が取り入れられたことも契機に、結構三味線はしっかりとファンを増やしていますね。若手演奏家のグローバルな視点とお互いに刺激をし合っているのも良い環境である。今後も大いに期待できそう。 この番組は再放送を強く強く希望する。


★★★★☆ CD「AGATSUMA」 上妻(あがつま)宏光

 車を飛ばしながらJ-Waveから流れる三味線の音色に思わず耳を奪われた。風のように軽やかだが、きちんと心を捉える音。"ゆう"という曲であったが、演者が聞き取れず、やっとAGATSUMAだとわかり、CDを手に入れる。シンセ、ドラムとの音の融合とフレーズの括弧良さは完成度高い。ヴァン・ヘイレン 吉田兄弟に対して、ジミ・ヘン 上妻か。J-Waveでは、アメリカ公演では、"上妻の三味線はブルースだ"と言われたそうである。

 アルバムは、オリジナルと津軽三味線の定番曲が交互に入っている。オリジナル曲に関する感想を記すぞ。

3曲目:"游(ゆう)" 最初のリフで勝利。いいぞ、この曲と演奏は。三味線独特の音を使った、ロックを超え、ソウルも交えたのり。静かに奏でられるシンセサイザーの音が、三味線の小気味よさを盛り上げる。途中でからむ尺八も乾いているが独特の空間を作りだし、そしてバックの伴奏が止まった中での三味線のソロも括弧よし。いやあ、全編括弧よし!ずうっとこの曲が続けばこの世は趣のある楽しみであふれていそうと人を思わせる曲。

 自動車AUDIのTV-CMで、シルバーのAUDIが荒野の中を走る中で途中で蓄音機のスピードが落ち、またドライバーがねじを巻き優雅に走り去るものがあるが、バックに流れているイタリア語のボサノバ風の歌(?)が耳になぜか残っている。そんなCMを思い出しながら、エレガントで主張がある日本車が、この游という曲を使ってシンプルなCMを作れば良いのになぞと思ってしまった。でも、エレガントと主張のある日本車って思い浮かばないぞ。バイクで名車"刀 KATANA"なら絵になるかしらん。

1曲目:"風"      うーむ、心はわかるが、このフレーズだとエレキギターの方が似合っているか。

7曲目:"夕立"    憂いのあるメロディー。淡々と叩かれるバスドラ。グルーブ感の中で、電気的な音ではなく、生楽器である三味線の音は、優しく身をまかせられる。

10曲目:"夜明け前" メロディーは過去へのわずかな郷愁と未来への希望を現しているのか。もうちょっと咽び泣くような音色の方が効果的か。上妻はシンセ三味線も用いるそうなので、ちょっと歪んで余韻の残る音が適していそう。早弾きの所は、生の三味線の音色で良し。

*しかし、津軽三味線界は、なぜか皆茶髪ではあるが、伝統と新しさをバランス良く消化してオリジナリティを出せる若いアーティストが育っていますね。何か育成方法や環境に、組織的な工夫と努力があったと思うが、それは何なのだろうか・・・和風文化の再生へのヒントになるかも・・・。


★★★★☆ 「雅楽 僕の好奇心」 東儀秀樹 集英社新書

 これはCDではなく、最近出たばかりの新書であるが、音楽関連なのでここに記す。

 東儀秀樹は、正直言って鼻持ちなら無い奴だと私は思っていました。いまでも、割りと無表情な雰囲気は好きになれない部分もあります。しかし、この新書はおもしろく為になりました。少なくとも和風の世界でも、宮中に奥深く閉ざされた"雅楽"なるものを、体系的に理解することができました。踊りもあるのですね。それも、1)舞として、高麗系の右方と唐系の左方、2)国風唄舞(くにぶりのうたまい)という日本古来の音楽に根ざしたもの、3)催馬楽・朗詠という貴族に流行したもの、という3種類がある。この舞の具体的な衣装と複数人で組みになって踊っている姿も、初めて目にするものであった。

 それ以上にユニークなのは、雅楽の各要素が、合理的に日本の風土や特徴をくっきりと表していること。

・雅楽師になるためには、管弦の各楽器&舞&歌を全て身につける必要があること。そして、雅楽の楽器は口伝である。

・洋楽の楽器は音を出しやすい方向に向かったものだが、篳篥(ひちりき)を始めとする和楽器は昔のまま。変に安定性を目指していない。

・洋楽の"ノリ" vs. 雅楽の""。演奏が終わって、はじめて我に返る感じがする。篳篥で4小節も一音を弾きつづける事もあり!?

・リズムは一定ではなく、曲のエンディングに向かって徐々に速くなっていく。そして最後にゆったりとフリーリズムになり、楽器も減りフェードアウトしていく

等々、西洋音楽に対して、独自のものを持っていますね。

 ちなみに、最初は嫌味に聞こえていた「わくわくする」「自然な」「心地よい」という言葉も、雅楽解説を読んだ後では納得できるようになる。確かに、彼の幼少時の海外生活経験、バイク事故や腫瘍での瀕死体験、エドガー・ウィンターに始まるロック傾倒、そしてハーレーに乗った姿。そんな経験を背景として、閉じた世界の雅楽に関して、非常に分かりやすく、体系的に、独り善がりに陥らず、記されている。東儀秀樹を見なおした。センスのある人ですね。

 それでは次回は、彼のCDを聴いてみるとしようか。この本は掘り出し物です!

 (実は「わくわく」と言う言葉は、私も好きである・・・ロック・ジャズ・オペラも好きだし、ナナハンにも乗るし、意外と似ているかも・・・笑)


★★★☆☆ CD「MOVE」 吉田兄弟

 前回の"いぶき"を聞いたときの様な電撃ショックはありませんが、彼らの新たなトライアル第一弾というところでしょうか。今回は、曲自身はじょんがら節、よされ節、息吹と前回と同じ曲が入っていますが、打楽器との競演にチャレンジ。金井秀正さんという"カホン"なるペルーの打楽器を操る奏者、そして鎌倉薪能での太鼓演奏も印象的なハーレーを駆る大倉正之助さんとのコラボレーション。"息吹"だけではなく、いわゆる正確に小気味良くリズムを刻むカホンとの演奏、なかなか心地よし。三味線も気負い無く、ノリ良し。片や、大倉さんとの"恋し"という曲では、大倉さんの「イヨォーォ、イヨォーォ」という能の腹に響く掛け声が、このアルバムの中でも和のうねりを醸し出しているように感じる。

 しかし、三味線だけで演奏されると、さすがに変化が欲しくなりますね。これは、少々二人の音色が細く軽いせいかもしれませんが、低音域や人の声が欲しくなります。それと、何と言っても"津軽じょんがら節"は、三味線に合い、テクニックを効果的に表現する曲ですね。このアルバムもトリはじょんがら節でした。

 今後望むのは、次のポイント。

1.私が吉田兄弟のライブを見て、彼らの実際のパフォーマンスに触れたい。生は生で、どんな舞台が繰り広げられるか想像し難く、おもしろそう。

2.是非、三味線をシンセサイザーにつないで演奏してみてほしい。ギターシンセで、三味線のフレットレス特有の微妙な変化に富む音の、音色を広げたい。

3.スティーブ・ガッドのような重い音を出すジャズ系バックドラマーと競演させたい。彼らの繊細な音を、上手く広げて、かつパシッと切れをさらに良くして欲しい。

 まあ、これからも若い世代に、金髪をなびかせながら三味線の良さ凄さを伝導して欲しいものである。邦楽界の、ナカタやイチローになれるか!? 私もいつか彼らを聞きに行くぞぉーっと。


 

★★★★★ CD「いぶき 吉田兄弟  

 このCDは以前より聞いて凄いと思っていたが、最近放映されたNHKトップランナーの再放送を見て、ぶっとびました。このスピード感とグルーブ感は、文句無く単なる日本を超えている。

 デビューしたて頃のギターとエフェクターを自作していたQueenのブライアン・メイ

 シンセのヤン・ハマーととてつもないはや弾きを競っていたワイアードの頃のジェフベック

 ラリーコリエルとジョンマクラフリンとだったろうか、ギタートリオでスパニッシュはや弾きを炸裂させていたアル・ディメオラ

 ロックのはや弾きといえばヴァンヘイレンの七色の音色を放つエドワード・ヴァンヘイレン

 フレットレスのベースを、深みのみならず憂いとスピードもある音を奏でるジャコ・パトリシアス

というような音・音・音を思い出した。でも、この吉田兄弟にはそれにも勝るオリジナリティがある。

 加えて、ライブで、レコードと同じ超テクニックを完璧にこなし度肝を抜くという意味では、パット・メセニーのコンサートも思い出した。聞けば五歳から三味線を握っているという。そして、兄弟で親にしごかれ、そして競い合い、今まで二人とも続けてきているという所が、奇跡に近いと思う。一人ならいるだろう。しかし、二人で完璧にあった撥(ばち)さばきから生み出されるメロディーと、叩きつけることによるパーカッションの様なリズムは今まで聞いたことがない。シンコペーションしまくるリズム感も、実は日本、そして津軽のリズムってこうだったのかと再認識させる、のりの良いもの。

 今は亡き、高橋竹山&ジャンジャンでの音も、こうなると聞いてみたかったですね。それはさておき、一緒の時代に生きていて幸せ、とまで感じさせる突き抜けた凄い存在です。このまま、腱鞘炎にならずに成長して、音に人生と深みを増すのが楽しみ!

 


[Cyber Japanesque Home]       02/01/06 00:06