Cyber Japanesque

山口椿  豊穣なるその官能の世界 − 公演編 (2002年分)

山口椿さんのトップへ   山口椿さん最新公演編へ


 2002/12/7(土) 新橋夜話(しんきょうやわ) 「松葉巴(まつばどもえ)」

三味線と朗読、ムーヴマンで覗く永井荷風の世界

江戸情緒をこよなく愛した孤高の文人 永井荷風。色街新橋に生きる女達の哀歓を洒脱な筆致で綴った「新橋夜話」から、若き日に芸者との恋愛をあきらめ、後に歌沢節の師匠となった男の、ほろ苦くもなまめいた半生を語る一夜をお楽しみ下さい。

三味線と朗読/山口椿

三味線、朗読と舞/ゆふまどひあかね

12/7(土)午後5時開場、5時半開演。啓祐堂主人の杉本邸(碑文谷)にて上演。

 

"雨がしとしとと降る夜。凍てついた空気と雨が、クリスマスの浮ついた雰囲気を忘れさせてくれる。そして杉本邸に足を踏み入れると、着物を着て三味線を構えた山口椿さんと和の世界が迎えてくれた。ほっと和み、荷風の好きだったであろう情緒溢れる雰囲気に眼がくらむ。

待ち時間に山口椿さんが、朴訥と 一時期 永井荷風の鞄持ちの様なことをしていた事を語る。新橋夜話の始まりは、椿さんとあかねさんの二人の三味線から。そして、椿さんが新橋夜話の一編を語り始める。荷風の自伝的な一編であろうか。

27歳の洋行帰りの主人公が、定職に付かず暮らしている中で、ある人の妾宅に招かれる。その中で 若い芸者に出会う。度々妾宅で出会ううちに、ある日芸者は二人で遅くに戻ると、玄関の鍵を閉められていた。そこから二人は急速に男と女の仲になる・・・。

あかねさんの爪弾く、三味線によるドビッシーの"月の光"が、語りを聞くものを夢の世界へ深く誘う。

主人公は、親の尽力もあり晴れて銀行員という定職に付き、将来を嘱望されるようになる。芸者と結婚の話も出るが、結局は親の勧めでの結婚をしてしまう。そして妻の洋風趣味の生活の中で、単に機械の様に無機質に生きる毎日。そんな彼が、歌舞伎の下座音楽なんかでも使われる 歌沢節を習い始める。そこの場だけは、彼に芸者と付き合っていた頃の苦しいけれども甘美な時間を想い起こさせてくれる。年齢を重ねるに従って、彼は芸者との人生を選ばなかった事を後悔しつつ、歌沢節にのめり込んでいくのであった・・・。

 

後半は あかねさんが語り、椿さんが三味を弾く。ビブラートを効かせた三味を爪弾く音色に、緩急をつけた物語の語りが続く。少なくとも一定の年齢を重ねた男性ならば、昔の付き合った女性に関して、胸に去来をするものがあったのではないだろうか。そして、最後にはあかねさんが儚く舞って終演。私はあかねさんの踊りを見ながら、玉三郎の"鷺娘"を思い出した。そう、あれは女という立場から昔の少女時代、芸者時代の男たちを回想して、最後に雪の中で儚く息が絶える究極の美しい舞である。今回の話は、男の立場で描かれているが、同じような一期の夢というか切なさというか、そういうものをストレートに感じた。それが、着物と三味線と語りと踊りにより、胸に迫ってきた。最後に"Bravo!"と"山口屋"という両方の大向こうをかけたくなるような、不思議な味わいのある素敵な作品である。

この日は、最新作の"雨月物語"やこれから出る"枕の絵草子"のお披露目もあり、終演後の立食パーティは、山口さんやあかねさんを囲み、和やかな楽しい夜は更けていくのであった。" by 電脳和風主人

 

TSUBAKI-1.JPG TSUBAKI-1.JPG TSUBAKI-1.JPG

0119_TSUBAKI1.JPG 0119_TSUBAKI1.JPG 0119_TSUBAKI1.JPG左3枚は西川比呂司氏


11/17(日) 古典朗読、舞踏、チェロ演奏による「雨月物語 − 青頭巾」

古典朗読と三味線/ゆふまどひあかね

舞踏/今 貂子(いまてんこ)

チェロ/山口椿

溺愛した稚児の死を嘆き、執心のあまり少年の屍を啜り喰らった住職は、夜な夜な墓を暴き、村人を襲う食人鬼と化した。生き地獄をさまよう住職に、旅の高僧が解脱への道をひらく・・・。

「雨月物語」各巻ごとに山口椿は精根こめた描きおろし襖絵を奉納。戦慄と幻想に満ちた異界の夜をお覗きくださいませ。

作者上田秋成の眠る京都西福寺(075-771-7909)にて上演。

午後6時半開場、7時開演。京都市左京区南禅寺草川町82−1 地下鉄東西線「蹴上」下車。料理旅館八千代向かい。

問い合わせ:京都山口椿事務所(渡辺)075-761-1702


11/10(日) 第一回 かいぶつ祭り

◆何が飛び出すかわからない!

◆「かいぶつ句集」の同人ほぼ全員参加しての奇芸珍演集!(三味線と語りで山口椿とゆふまどひあかねが出演します)

午後3時開演 午後5時半終演

ホテルローズガーデン新宿 2Fレストランチャオ 


10/20(日) LETTEr (レッテル)

大阪府と大阪市後援によるイベント。「ふたりの晴雨」明智伝鬼氏との共演

大阪市中央区西心斎橋2−7−11、634ビル B1F UNDER LOUNGE にて17時から20時の間に出演。

*イベントでは他にシモーヌ深雪氏、電動付睫氏などもパフォーマンスもあり。

*ファッションショーも開催されます(period、VISONA VISERI PRESENCE )


10/13(日) 山口椿の会・58e/朗読とチェロ演奏による<パリの憂鬱>

ボードレールの名作を山口椿の敬愛する三好達治氏の訳で、フォーレ、ドビッシーなどの演奏と併せて朗読。

朗読/山口椿

チェロ/ゆふまどひあかね

銀座金春通り伊勢由ビルB1 <貴族> (03-3573-8150)にて

" ひとりずつの音色のちがいは、まことにふしぎなもので、どこにその源があるのか、何十年奏いていてもはっきりとしない。あかねの音の優雅さが、M・マレシャルに通うのを、この宵はみつけた。"  by 山口 椿

秋の空気を堪能した「巴里の憂鬱」
by 野上陽子

"  山口さんの飄々とした口調は、ボードレールの詩を朗読しているというより、まるで山口さんとボードレールとの対話そのもののようでした。ことにその中の一編である「異人さん」は、個人的に大好きな詩だけに、とても嬉しく聴きいってしまいました。
また、シェラザードのような衣裳をまとったあかねさんが、薬指を多く使いながらチェロを弾かれる様子も、大変伸びやかで気持ちのよいものでした。「フランスものの、むつかしい曲ばかり弾かせてしまい、内心は怖かった」とおっしゃっていた山口さん。実際にはあかねさんの演奏中、山口さんも曲を口ずさんでいたのが、まさに一心同体という感じで、強く印象に残りました。"

TSUBAKI-1.JPG TSUBAKI-1.JPG TSUBAKI-1.JPG photo 西川比呂司氏


*「逝く夏に」文芸春秋社より出版を祝う会

9/28(土) 18:30開場、19:00開演

山口椿のチェロ演奏、ゆふまどひあかねの朗読の他、油彩作品、秘蔵の枕絵なども展示

「永年辛吟した「逝く夏に」が、文芸春秋社より出版。記念会には岐阜にご出講の亀井俊介先生が、わざわざお出でで有難かった。皆様にも厚く御礼申し上げます。ゆふまどひあかね(舞)と、ナディア・ブーランジュの小品で上演を行ったことは、彼女の優雅への志向を証すもので欣びにたえない」  by 山口椿

20020928_TSUBAKI1.JPG photo 西川比呂司氏

 

"啓祐堂店主の杉本さんの自宅での山口椿さんの新作「逝く夏に」出版記念イベント。不肖私にとっては、初めての山口椿さんのイベント参加。

 広い玄関に入ると右手に本がうず高く積まれているのが、杉本さんらしい。大勢の参加者は既に椅子に座って舞台となる和室を見つめている。さりげなく杉本さん所有という着物が、飾られている。ドレープが美しい。

 山口椿さんがチェロを持って構える。部屋にピンとした空気が張り詰めてくる。山口椿さんのチェロの調べを聴いて、ジャズピアニストのキース・ジャレットの"ケルンコンサート"を思い出した。ひどく人間的なのだ。決してきれいに弾こうというのではなく、魂の叫びを抑えて抑えて、聴く人たちに提示している。でも、鮮烈なる魂は、その激しさを垣間見せる。

 今回のゆふまどひさんの朗読は、今回出版された「逝く夏に」から、まさに敗戦後の挫折と混乱の中で、チェロと言う楽器に出会う場面を語った。日本人のピアニスト原千恵子さんの旦那でもあったスペインのチェロ奏者 ガスパル・カサドの"コル・ニドライ"というレコードがきっかけである。それを食も苦しい中で衝動的に買った主人公の伊吹は、友人の家の蓄音機でレコードを聴き、"身に沁みる音だった。いきなり音が身にしみこみ、ああ、と伊吹は呻いた。" そうその時に私の心にも、チェロの音と朗読の淡々とした中にも仄かに艶のある声が、ゆっくりと不思議な波紋を広げていったのである。

 お二人のパフォーマンスの後は、参加者で山口さん、ゆふまどひさんを囲んでの談笑。山口さんのファンと、啓祐堂さんのファンという二つの異なる軸が、食事とお酒と会話により、波がぶつかり合って新しい波紋ができる如く、楽しい輪を遅くまで広げ楽しい時間を作り出したのであった。" by 電脳和風主人

20020928_TSUBAKI1.JPG 20020928_TSUBAKI1.JPG 20020928_TSUBAKI1.JPG 


2002/9/9〜24 山口椿 挿し絵展

港区・高輪のギャラリーを兼ねた書店"啓祐堂"にて。

問合:港区高輪3−9−8 高輪インターコート1F 啓祐堂

Tel&Fax 03-3473-3255

" 9/16の演舞場で新之助と菊之助を観る前に、雨の中 高輪の啓祐堂を訪れた。偶然なのだが、大学時代に2年間 高輪のお婆さんがやっている下宿屋に住んでいた。そこのすぐ裏に、啓祐堂はあった。不思議な因縁を感じた。店主の杉本さんが笑顔で迎えてくれる。

店内には山口椿の三味線と朗読、そしてたまに雨の効果音が、まるで環境音楽の如く静かに流れる。そんな中に、美人がと一部春画が品良く並べられる。静謐な中の艶やかさ。ひたひたと黒髪に着物の女性の眼差しが、心を捉える。どこからか芳しい香りが漂うような気にさえさせてくれる。

秋の凛とし始めた空の下、この空間の空気を吸う機会を逃すと、あなたはきっと後悔の念に捕らわれるに違いない・・・。"  by 電脳和風主人

20020916_TSUBAKI.JPG - 14,456BYTES 20020916_TSUBAKI.JPG - 14,456BYTES 20020916_TSUBAKI.JPG - 14,456BYTES 20020916_TSUBAKI.JPG - 14,456BYTES


2002/8/4 山口椿の会・57e

--音楽劇「ガラスの動物園」--

T・ウィリアムズの作品をあかねさんが翻案。

山口椿の奏でるスラヴの子守唄(ベルスーズ)の調べにのせて、追憶の透明な詩情を演じます。

ひとり芝居/ゆふまどひあかね

チェロ/山口椿

銀座 <貴族>にて

 

ご覧になった野上陽子さんより感想をいただきました。感謝!

" 哀切に満ちた『ガラスの動物園』 by 野上陽子


 足を踏み入れた途端、私はいつもと違う室内のほの暗さに首を傾げました。それはろうそくのゆらめきでした。そんな幻想的な雰囲気のなか演じられた『ガラスの動物園』。物語の前半、セルリアンブルーの衣装の肩にオパール色のスパンクオールでできたショールをかけて語るあかねさんは中性的で、どことなくニジンスキー扮する妖精を思わせるのでした。


 しかし私が本当に目を奪われたのは後半です。髪を解き、透き通った白いローブをまとった彼女は、ラファエル前派の描いた女性がこの世に立ち現れたよう。線香花火を手に下げつつ、もう一方の手をはかなげに振るさまは、まるでローラの何より愛するガラス細工そのものでした。後ほど聞いたところによると、この花火はさる職人さんが一つひとつ手づくりしたものだとか。哀切に満ちた物語が、たまらなく切なさをかきたてるノスタルジックな線香花火の匂いと相まって、今回は珍しくもしんみりとした「椿の会」でした。"

TSUBAKI_GLASS1.JPG - 21,625BYTES  TSUBAKI_GLASS1.JPG - 21,625BYTES  TSUBAKI_GLASS1.JPG - 21,625BYTESphoto 西川比呂司氏


-- ここだけのはなしですが・・・ --

2002年7月7日(日) 京都MDカフェ

山口椿 

YAMAGUCHI_PLAY3.JPG - 10,877BYTES YAMAGUCHI_PLAY3.JPG - 10,877BYTES

Photo by KYO NAKAMURA


三味線と自作朗読による「雨月物語」

三味線 山口椿  朗読と舞 ゆふまどひあかね

7月6日(土) 18時30分開場、19時開演

YAMAGUCHI_PLAY3.JPG - 10,877BYTES YAMAGUCHI_PLAY3.JPG - 10,877BYTES

Photo by 生田 章子


山口椿作品展示「雨月物語(山口椿版)」

2002年7月2日〜10日

小学館より「雨月物語」の翻訳(アンテルプレット)作品上梓を記念して、挿絵を含めた書下ろしを展示。

場所/京都 江寿画廊

京都市中京区丸太町通寺町西入る

075-256-4707


2002/6/15(土) 群馬県藤岡市 高井酒造

"ふたり晴雨"

酒蔵にて、縛りの晴雨と責め絵師の晴雨を舞台化。

縛りの晴雨:千葉曳三

攻め絵師の晴雨:山口椿

モデル:二人の美女

TSUBAKI_SASHIE2.JPG - 29,679BYTES

山口椿山口椿

Photo by 西川比呂司


2002/5/19(日) 京都 西福寺 (上田秋成の菩提寺) 

"蛇性の婬  古典朗読と舞踏、チェロ演奏で織りなす雨月物語"山口椿

 

美青年への狂おしい恋ゆえに姿を変え、時を経てつきまとう白蛇の精、真女児(まなご)。

魔性と知りつつ、愛人の魅惑に溺れる青年と、

破滅をおそれず、いちずに恋に生きる蛇の女。

古典朗読:ゆふまどひ あかね

舞踏:今 貂子(いまてんこ)

チェロ:山口 椿

山口椿山口椿山口椿

Photo by 保井基秀


掲載の文章・画像などの無断転載はお止め下さい。著作権は、絵や文章で山口椿さんやゆふまどひあかねさんの作品はご本人に帰属します。 

なお、このページの掲載は山口椿さんゆふまどひあかねさんの了解を得て掲載をしております。           [Cyber Japanesque Home]