特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例に係る取扱いの改正

1.議決権に制限がある者が有する株式又は出資(租通69の5-1)
 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例の適用対象株式等には、法人の株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の全部又は一部について制限された株式又は出資は含まれないこととされている。
 今回の会社法の施行により、同法109条において、「公開会社でない株式会社は、第105条第1項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。」こととなった。そこで、同条を受け、その対象株式等の範囲について、法人の株主総会等において議決権を行使できる事項の全部又は一部について制限がある株主又は社員の有する株式又は出資についても、特例の適用対象株式等から場外することとされた。

(参考)会社法105条(株主の権利)
 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
 一 剰余金の配当を受ける権利
 二 残余財産の分配を受ける権利
 三 株主総会における議決権

2.清算中の法人に係る株式又は出資(租通69の5-2(3))
 相続税の申告期限において特定同族会社株式等に係る法人が清算中であったときは、その特定同族会社株式等については、特例の適用対象から除外されることとなった。

3.特例適用要件である「役員である期間」(租通69の5-16)
 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例は、その適用対象資産である株式等の適用要件に、一定の期間その株式等の発行法人の役員であることが要件とされている。この役員期間の算定について、特例適用対象資産が特定受贈同族会社株式等(清算課税の適用を受けた株式等をいう)の場合は、贈与により取得した日以後に株式等発行法人に会社分割等があり、特定受贈同族会社等に対応する株式を取得した場合においては、特定受贈同族会社株式等を贈与により取得した日から対応株式を取得することとなった事由(租税特別措置法施行令42条の2の2第11項)が生じた時までの間において、その特定事業用資産相続人等が特定受贈同族会社等に係る法人の役員であった場合には、その期間において役員であった期間は、対応株式に係る法人の役員であった期間とみなして、役員である期間を判定することとなった。