相続税の物納に係る管理処分不適格財産
2006年05月04日15:44 格納先: 相続税
相続税の物納に当てることができる財産は、納税義務者の課税価格の計算の基礎となった財産(その財産により取得した財産を含む。)で、日本国内にあるもののうち、管理又は処分をするのに不適格な財産を除いたものとされている。この管理又は処分をするのに不適当な財産については、従来、相続税基本通達において、その取扱いが示されていたが、平成18年税制改正において、次の通り管理処分不適格財産が明確された。(相続税法41条2項、同施行令18条、同施行規則21条)
1.不動産については、次に掲げるもの
(1)担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産として、次に掲げるもの
イ 抵当権の目的となっている不動産
ロ 譲渡により担保の目的となっている不動産
ハ 差押えがされている不動産
ニ 買戻しの特約が付されている不動産
ホ 上記イからニに掲げる不動産以外の不動産で、その処分が制限されているもの
(2)権利の帰属について争いがある不動産として、次に掲げるもの
イ 所有権の存否又は帰属について争いがある不動産
ロ 地上権、永小作権、賃借権その他の所有権以外の使用及び収益を目的とする権利の存否又は帰属について争いがある不動産
(3)境界が明らかでない土地として、次に掲げるもの
イ 境界標の設置(隣地の所有者との間の合意に基づくものに限る。)がされていないことにより他の土地との境界を認識することができない土地。ただし、境界線の設置がされていない場合であってもその土地の取引において通常行われる他の土地との境界の確認方法により境界を認識できるものを除く。
ロ 土地使用収益権が設定されている土地の範囲が明らかでない土地。なお、土地使用収益権とは、地上権、永小作権、賃借権その他の土地の使用及び収益を目的とする権利をいう。
(4)隣接する不動産の所有者その他の者との訴訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産として、次に掲げるもの
イ 隣地の上に存する建物、工作物又は樹木その他これらに類するもの(以下、「建物等」という)が、土地の境界を越える場合又は境界上に存する場合における当該土地。ただし、建物のひさし、工作物又は樹木の枝その他これらに類するもの(以下、「ひさし等」という)の境界を越える度合いが軽微な場合又は境界上にある場合で、建物等の所有者が改築等を行うに際してひさし等を撤去し、又は移動することを約する時における土地は除く。
ロ 建物等がその敷地である土地の隣接地との境界を越える場合又は境界上に存する場合における当該土地(借地権を含む)。ただし、当該隣地の所有者(隣地を使用する権利を有する者がいる場合には、その者)が土地の収納後においても建物等の撤去及び隣地の使用料その他の負担を求めないことを約する場合における当該土地並びに借地権が設定されている当該土地を除く。
ハ 土地使用収益権の設定契約の内容が当該土地使用収益権を設定している者にとって著しく不利な場合における当該土地使用収益権の目的となっている建物
ニ 建物の使用又は収益をする契約の内容が当該使用又は収益をする権利を設定している者にとって著しく不利な場合における当該使用又は収益をする権利の目的となっている建物
ホ 賃貸料の滞納がある不動産その他収納後の円滑な土地使用収益契約又は建物使用収益計画の履行に著しい支障を及ぼす事情が存すると見込まれる不動産
ヘ その敷地を通常支払うべき地代により国が借り受けられる見込みがない場合における当該敷地の上に存する建物
(5) 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で公道に至るための他の土地の通行権(民法210条)の内容が明確でないもの
(6) 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
(7) 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含む)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は2以上の共有に属する不動産として、次に掲げるもの
イ 2以上の共有に属する不動産で、次に掲げる不動産以外のもの
A 当該不動産のすべての共有者が当該不動産について物納の許可の申請をする場合における当該不動産
B 私道の用に供されている土地。ただし、一体となってその効用を有する他の土地とともに物納の許可の申請をする場合における当該土地に限る。
ロ がけ地、面積が著しく狭い土地又は形状が著しく不整形である土地でこれらの土地のみでは使用することが困難であるもの
ハ 私道の用に供されている土地。ただし、一体となってその効用を有する他の土地とともに物納の許可の申請をする場合における当該土地を除く。
ニ 敷地とともに物納の許可の申請がされる建物以外の建物。ただし、当該建物の敷地に借地権が設定されているものを除く。
ホ 他の不動産と一体となってその効用を有する土地。ただし、これらの不動産のすべてが一の土地使用収益権の目的となっている場合で収納後の円滑な土地使用収益契約の履行が可能なものは除く。
(8)耐用年数を経過している建物(ただし、通常の使用ができるものを除く。)
(9)敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産として、次に掲げるもの
イ 敷金その他の財産の返還に係る債務を国が負うこととなる不動産
ロ 次に掲げる事業(以下、「土地区画整理事業等」という。)が施行されている場合において、収納の時までに発生した当該不動産に係る土地区画整理法40条(経費の賦課徴収)の規定による賦課金そのたこれに類する債務を国が負うこととなる不動産
A 土地区画整理法による土地区画整理事業
B 新都市基盤整備法による土地整理
C 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業
D 土地改良法による土地改良事業
E 独立行政法人緑資源機構法第11条1項7号イの事業
ハ 土地区画整理事業等の清算金の授受の義務を国が負うこととなる不動産
(10)その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産として、次に掲げるもの
イ 特定有害物質(土壌汚染法2条1項に規定するもの)その他これに類する有害物質により汚染されている不動産
ロ 廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律2条1項に規定するもの)その他のもので除去しなければ通常の使用ができないものが地下にある不動産
ハ 農地の転用制限(農地法4条1項)又は農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限(農地法5条1項)による許可を受けずに転用されている土地
ニ 土留その他の施設の設置、護岸の建設その他の現状を維持するための工事が必要となる不動産
(11)公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産として、次に掲げるもの
イ 風俗営業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項)又は性風俗関連特殊営業(同条5項)の用に供されている不動産
ロ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条2号)の事務所その他これに類するものの用に供されている不動産
(12)引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産として、次に掲げるもの((1)に掲げるものを除く)
イ その上の建物がすでに滅失している場合において、当該建物の滅失の登記がされていない土地
ロ その上に廃棄物その他の物がある不動産
ハ 生産緑地で生産緑地の管理等の法令が適用されるもの。ただし、当該生産緑地において、農林漁業を営む権利を有する者がその農林漁業を営んでいる土地を除きます。
2.有価証券については、次に掲げるもの
(1)譲渡に関して証券取引法その他の法令の規定により一定の手続きがとられていないものとして、次に掲げるもの
イ 物納に充てる財産である株式を一般競争入札により売却することとした場合(証券取引法に定める有価証券の売出しの届出及び目論見書の交付が必要とされる場合に限る)において、当該届出に係る書類及び当該目論見書の提出がされる見込みがないもの
ロ 物納財産である株式を一般競争入札により売却することとした場合(証券取引法に定める通知書の提出及び目論見書の交付が必要な場合に限る)において、当該通知書及び目論見書の提出される見込みがないもの
(2)譲渡制限株式
(3) 質権その他の担保権の目的となっている株式
(4) 権利の帰属について争いがある株式
(5) 2以上の者の共有に属する株式。ただし、共有者の全員が当該株式について物納の許可を申請する場合を除く。
3.上記1又は2に掲げる財産以外の財産
当該財産の性質が上記1又は2に掲げる財産に準ずるものとして税務署長が認めるもの
(注)この改正は、平成18年4月1日から適用される。
1.不動産については、次に掲げるもの
(1)担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産として、次に掲げるもの
イ 抵当権の目的となっている不動産
ロ 譲渡により担保の目的となっている不動産
ハ 差押えがされている不動産
ニ 買戻しの特約が付されている不動産
ホ 上記イからニに掲げる不動産以外の不動産で、その処分が制限されているもの
(2)権利の帰属について争いがある不動産として、次に掲げるもの
イ 所有権の存否又は帰属について争いがある不動産
ロ 地上権、永小作権、賃借権その他の所有権以外の使用及び収益を目的とする権利の存否又は帰属について争いがある不動産
(3)境界が明らかでない土地として、次に掲げるもの
イ 境界標の設置(隣地の所有者との間の合意に基づくものに限る。)がされていないことにより他の土地との境界を認識することができない土地。ただし、境界線の設置がされていない場合であってもその土地の取引において通常行われる他の土地との境界の確認方法により境界を認識できるものを除く。
ロ 土地使用収益権が設定されている土地の範囲が明らかでない土地。なお、土地使用収益権とは、地上権、永小作権、賃借権その他の土地の使用及び収益を目的とする権利をいう。
(4)隣接する不動産の所有者その他の者との訴訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産として、次に掲げるもの
イ 隣地の上に存する建物、工作物又は樹木その他これらに類するもの(以下、「建物等」という)が、土地の境界を越える場合又は境界上に存する場合における当該土地。ただし、建物のひさし、工作物又は樹木の枝その他これらに類するもの(以下、「ひさし等」という)の境界を越える度合いが軽微な場合又は境界上にある場合で、建物等の所有者が改築等を行うに際してひさし等を撤去し、又は移動することを約する時における土地は除く。
ロ 建物等がその敷地である土地の隣接地との境界を越える場合又は境界上に存する場合における当該土地(借地権を含む)。ただし、当該隣地の所有者(隣地を使用する権利を有する者がいる場合には、その者)が土地の収納後においても建物等の撤去及び隣地の使用料その他の負担を求めないことを約する場合における当該土地並びに借地権が設定されている当該土地を除く。
ハ 土地使用収益権の設定契約の内容が当該土地使用収益権を設定している者にとって著しく不利な場合における当該土地使用収益権の目的となっている建物
ニ 建物の使用又は収益をする契約の内容が当該使用又は収益をする権利を設定している者にとって著しく不利な場合における当該使用又は収益をする権利の目的となっている建物
ホ 賃貸料の滞納がある不動産その他収納後の円滑な土地使用収益契約又は建物使用収益計画の履行に著しい支障を及ぼす事情が存すると見込まれる不動産
ヘ その敷地を通常支払うべき地代により国が借り受けられる見込みがない場合における当該敷地の上に存する建物
(5) 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で公道に至るための他の土地の通行権(民法210条)の内容が明確でないもの
(6) 借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有する者が不明であることその他これに類する事情があるもの
(7) 他の不動産(他の不動産の上に存する権利を含む)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産又は2以上の共有に属する不動産として、次に掲げるもの
イ 2以上の共有に属する不動産で、次に掲げる不動産以外のもの
A 当該不動産のすべての共有者が当該不動産について物納の許可の申請をする場合における当該不動産
B 私道の用に供されている土地。ただし、一体となってその効用を有する他の土地とともに物納の許可の申請をする場合における当該土地に限る。
ロ がけ地、面積が著しく狭い土地又は形状が著しく不整形である土地でこれらの土地のみでは使用することが困難であるもの
ハ 私道の用に供されている土地。ただし、一体となってその効用を有する他の土地とともに物納の許可の申請をする場合における当該土地を除く。
ニ 敷地とともに物納の許可の申請がされる建物以外の建物。ただし、当該建物の敷地に借地権が設定されているものを除く。
ホ 他の不動産と一体となってその効用を有する土地。ただし、これらの不動産のすべてが一の土地使用収益権の目的となっている場合で収納後の円滑な土地使用収益契約の履行が可能なものは除く。
(8)耐用年数を経過している建物(ただし、通常の使用ができるものを除く。)
(9)敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産として、次に掲げるもの
イ 敷金その他の財産の返還に係る債務を国が負うこととなる不動産
ロ 次に掲げる事業(以下、「土地区画整理事業等」という。)が施行されている場合において、収納の時までに発生した当該不動産に係る土地区画整理法40条(経費の賦課徴収)の規定による賦課金そのたこれに類する債務を国が負うこととなる不動産
A 土地区画整理法による土地区画整理事業
B 新都市基盤整備法による土地整理
C 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法による住宅街区整備事業
D 土地改良法による土地改良事業
E 独立行政法人緑資源機構法第11条1項7号イの事業
ハ 土地区画整理事業等の清算金の授受の義務を国が負うこととなる不動産
(10)その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産として、次に掲げるもの
イ 特定有害物質(土壌汚染法2条1項に規定するもの)その他これに類する有害物質により汚染されている不動産
ロ 廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律2条1項に規定するもの)その他のもので除去しなければ通常の使用ができないものが地下にある不動産
ハ 農地の転用制限(農地法4条1項)又は農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限(農地法5条1項)による許可を受けずに転用されている土地
ニ 土留その他の施設の設置、護岸の建設その他の現状を維持するための工事が必要となる不動産
(11)公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産として、次に掲げるもの
イ 風俗営業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項)又は性風俗関連特殊営業(同条5項)の用に供されている不動産
ロ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条2号)の事務所その他これに類するものの用に供されている不動産
(12)引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産として、次に掲げるもの((1)に掲げるものを除く)
イ その上の建物がすでに滅失している場合において、当該建物の滅失の登記がされていない土地
ロ その上に廃棄物その他の物がある不動産
ハ 生産緑地で生産緑地の管理等の法令が適用されるもの。ただし、当該生産緑地において、農林漁業を営む権利を有する者がその農林漁業を営んでいる土地を除きます。
2.有価証券については、次に掲げるもの
(1)譲渡に関して証券取引法その他の法令の規定により一定の手続きがとられていないものとして、次に掲げるもの
イ 物納に充てる財産である株式を一般競争入札により売却することとした場合(証券取引法に定める有価証券の売出しの届出及び目論見書の交付が必要とされる場合に限る)において、当該届出に係る書類及び当該目論見書の提出がされる見込みがないもの
ロ 物納財産である株式を一般競争入札により売却することとした場合(証券取引法に定める通知書の提出及び目論見書の交付が必要な場合に限る)において、当該通知書及び目論見書の提出される見込みがないもの
(2)譲渡制限株式
(3) 質権その他の担保権の目的となっている株式
(4) 権利の帰属について争いがある株式
(5) 2以上の者の共有に属する株式。ただし、共有者の全員が当該株式について物納の許可を申請する場合を除く。
3.上記1又は2に掲げる財産以外の財産
当該財産の性質が上記1又は2に掲げる財産に準ずるものとして税務署長が認めるもの
(注)この改正は、平成18年4月1日から適用される。