土地区画整理事業等の施行中の土地に係る小規模宅地等の特例の取扱いの変更について


 平成19年2月、国税庁ホームページにおいて「土地区画整理事業等の施行による仮換地指定に伴い、従前地及び仮換地について使用収益が禁止されている場合の相続税の小規模宅地等の特例の取扱いを変更について」というお知らせが記載されています。
 本件取扱いの変更に至った理由は、最高裁判所第三小法廷において平成19年1月23日、従来の取扱いによる課税処分が破棄され、高等裁判所に差し戻されたことによるものです。

1.事件の概要
 被相続人の居住の用に供されていた土地について、土地区画整理事業における仮換地に指定されたことに伴い、相続開始の直前において更地となっていた土地について、小規模宅地等の特例の適用を受けて申告したところ、課税庁から同特例の適用はないとの更正処分を受けたものについて、その適否が争われた。

2.
最高裁判所の判断
 最高裁判所は、土地区画整理事業の施行による仮換地指定に伴い、被相続人の居住の用に供されていた土地及び仮換地について使用収益がともに禁止された結果、相続開始の直前において被相続人が両土地を居住の用に供することができない場合は、相続開始から相続税の申告期限までのあいだに被相続人等が仮換地を居住の用に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情のないときに限り、被相続人の居住の用に供されていた土地は、小規模宅地等の特例の対象なると判示した。

3.
取扱い変更の内容
 国税庁は判決を受けて、被相続人等の居住用又は事業用など(以下「居住用等」という。)に供されていた土地(以下「従前地」という。)について、土地区画整理事業等の施行による仮換地に指定されたことに伴い、従前地及び仮換地について、相続開始の直前において使用収益が共に禁止されている場合で、相続開始時から相続税の申告期限までの間に被相続人等が仮換地を居住用等に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がなかったときは、小規模宅地等の特例の適用上、従前地は、相続開始の直前において被相続人等の居住用等に供されていたものとして取り扱うことに改められた。
 なお、この変更後の取扱いは、既に相続税の申告書を提出している者についても、相続した土地の中に変更後の取扱いの適用を受けられるものがあり、その土地について小規模宅地等の特例の適用要件を満たすものは、相続税の申告期限から5年以内のものについては、相続した土地について変更後の取扱いの適用を受けることを知った日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができる。