Garden portulaca
松葉ボタン
松葉ボタンの出てくる小説をご紹介しています。
スベリヒユ科の一年草
〔別名〕ポーチュラカ、不亡草、日照草 〔花期〕夏
〔花言葉〕可憐・無邪気
日本には江戸時代の末に渡来。松葉を思わせる多肉質の葉を持ち、地面を覆い広がり、様々な色の小さな美しい花を咲かせる。
<短歌・俳句>
おのづから 松葉牡丹に 道はあり (高浜虚子)
<小説>
菊池寛 『真珠夫人』 文春文庫
荘田勝平の新邸披露の園遊会に参加したことが、唐沢男爵令嬢・瑠璃子の運命を大きく変えた。
瑠璃子と恋人との語りあいをたまたま聞いていた荘田が、彼女たちの言動に腹を立て、復讐しようと考えたのだ。
荘田は、高い志のために金に苦労をしている瑠璃子の父の借金の債権を買い取り、じわじわといたぶるように、彼らを追い詰めていく。
そして、卑劣な罠にかかった父親を救うために、瑠璃子は成金の荘田の後妻になることを決心する……。
庭先に敷き詰めた、白い砂利の上には、瑠璃子の好きな松葉牡丹が、咲き始めた。真紅や、白や、琥珀のような黄や、いろいろ変わった色の、少女のような優しい花の姿が、荒れた庭園の夏を彩る唯一の色彩だった。 (p.169)
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この小説には随所に花が登場します。荘田勝平の新邸披露には八重桜。
上記の松葉牡丹は、瑠璃子の父が罠にかけられようとする場面に。
そして、瑠璃子が大きく変貌していった後では、真紅の大輪のダリヤ、赤い百日紅が効果的に場面を彩り、最後には「大輪の緋牡丹」と形容されます。
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