Oleander
夾竹桃
夾竹桃の出てくる小説をご紹介しています。
キョウチクトウ科の常緑小高木
〔花期〕7月〜9月中旬
〔花言葉〕注意・危険
日本には江戸時代に輸入された。花が桃に、葉が竹に似ていることから「夾竹桃」という名前がついたらしい。公害や乾燥に強いことから、道路の並木や公園によく植えられているのを見かける。 花色はピンク、紅、白など。 有毒植物。
<短歌・俳句>
病人に 夾竹桃の 赤きこと (蕪村)
<小説>
太宰治 「めくら草紙」
私がいまいるこの地に移り住んだのは、昭和十年の七月一日のことだった。八月の半ば、隣家の庭の三本の夾竹桃に心をひかれた私は、一本ゆずってもらえるように頼みこんだ。隣の家の縁側に腰かけた私は、こう話す。
「くには、青森です。夾竹桃などめずらしいのです。私には、ま夏の花がいいようです。ねむ。百日紅。葵。日まわり。夾竹桃。蓮。それから、鬼百合。夏菊。どくだみ。……」
この話はその後、隣家から遊びに来るようになったマツ子の将来の話や、眠れないということ、今書いているものについてなど、どんどんと変化していく。そして、扇型に作られた花壇に植えられた球根たちの名まえを私は呼ぶ……。
「ドイツ鈴蘭。」「イチハツ。」「クライミングローズフワバー。」「君子蘭。」「ホワイトアマリリス。」……
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太宰治が実際にゆずってもらった夾竹桃は今も残っているそうです。花言葉は、「注意・危険」。有毒植物だからということでしょうか。
青空文庫で読むことができます。