※総目次 |
定義:実数に随伴する数列、実数に随伴する整数列、10進近似列 |
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→ [定義1] / [定義1の別の表現] → [定義2] → [定義1と定義2は同一] → [具体的な数値例を通して意味を探る] → 性質 → 応用としての実数の小数展開 [活用例]・実数指数の「べき」「累乗」定義 |
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[定義1] 実数に随伴する数列、実数に随伴する整数列、10進近似列 |
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・実数rに随伴する数列とは、 数列 a1=10(r−[r]) a2=10(a1−[a1]) a3=10(a2−[a2]) : an =10(an-1−[an-1]) an+1=10(an −[an] ) : のこと。 |
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・実数rに随伴する整数列とは、 実数rに随伴する数列 a1=10(r−[r]), a2=10(a1−[a1]), a3=10(a2−[a2]), … , an=10(an-1−[an-1]), an+1=10(an −[an]),… に対して、 d1=[a1]=[ 10(r−[r])] d2=[a2]=[ 10(a1−[a1])] d3=[a3]=[ 10(a2−[a2])] : dn=[an]=[ 10(an-1−[an-1])] dn+1=[an+1]=[ 10(an −[an] )] : と定めた数列のこと。 →具体的な数値例を通して定義の意味を探る →別の表現 →別の定義 ※随伴数列/随伴整数列が満たす性質 |
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・実数rの10進近似列とは、 実数rに随伴する整数列 d1=[a1]=[ 10(r−[r])] d2=[a2]=[ 10(a1−[a1])] d3=[a3]=[ 10(a2−[a2])] : dn=[an]=[ 10(an-1−[an-1])] dn+1=[an+1]=[ 10(an −[an] )] : を用いて、
と定義した数列のこと。 →具体的な数値例を通して定義の意味を探る →別の定義 →実数rの10進近似列が満たす性質 |
→「十進近似列」冒頭 |
[定義1の別の表現] 実数に随伴する数列、実数に随伴する整数列、10進近似列 |
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・上記の 実数rに随伴する数列a1,a2,a3,… 実数rに随伴する整数列 d1,d2,d3,… 実数rの10進近似列 r1,r2,r3,… の定義は、以下の数式でも表現できる。 * an+1をanのみで、dn+1を an+1のみで表した先述の定義が、an+1,dn+1をrnを用いた式で表現できる、という点がポイント。
※なぜ? ・a2=10(a1−[a1])=10(a1−d1) ∵ d1の定義 = 10(10( r− [r])−d1) ∵ a1の定義 = 100( r− [r])−10d1 = 100( r− [r]−d1/10 )= 100(r−([r]+d1/10) ) =100(r−r1) ∵ r1の定義 となるから、 d2=[a2] ∵ d2の定義 =[ 100(r−r1) ] ∵上記のa2の表現より。 ・a3=10(a2−[a2])=10(a2−d2) ∵ d2の定義 = 10(100(r−r1)−d2) ∵上記のa2の表現より。 = 1000(r−r1)−10d2=1000(r−r1−d2/100)= 1000(r−(r1+d2/100) ) =1000(r−r2) ∵ r1の定義 d3=[a3] ∵d3の定義 =[ 1000(r−r2) ] : ・an+1=10(an−[an])=10(an−dn) ∵ dnの定義 = 10(10n(r−rn-1)−dn) ∵上記のanの表現(省略されている)より。 = 10n+1(r−rn-1)−10dn=10n+1(r−rn-1−dn/10n)= 10n+1(r−(rn-1+dn/10n) ) =10n+1(r−rn) ∵ rnの定義 : |
→「十進近似列」定義1の別表現 →「十進近似列」冒頭 |
[定義2]10進近似列 |
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加藤十吉『微分積分学原論』(pp.30-31)は、 実数rに随伴する整数列d1,d2,d3,…、実数rの10進近似列r1,r2,r3,…を、以下の手順で定義している。 step1-1:d1の定義 d1を、「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [詳細に述べると…] ガウス記号の性質「任意の実数aに対して、0≦a−[a]<1」より、0≦r−[r]<1。 ということは、 実数r−[r]は、区間[0,1)を十等分してできた10個の区間のどれか一つに属す。 つまり、r−[r]は、 [case0] 0/10≦r−[r]<1/10 [case1] 1/10≦r−[r]<2/10 [case2] 2/10≦r−[r]<3/10 [case3] 3/10≦r−[r]<4/10 [case4] 4/10≦r−[r]<5/10 [case5] 5/10≦r−[r]<6/10 [case6] 6/10≦r−[r]<7/10 [case7] 7/10≦r−[r]<8/10 [case8] 8/10≦r−[r]<9/10 [case9] 9/10≦r−[r]<10/10=1 の、どれか一つのケースに〜たった一つのケースにだけ、しかし、必ず〜該当する。 r−[r]が、 [case0] 0/10≦r−[r]<1/10 に該当するならば、d1=0 [case1] 1/10≦r−[r]<2/10 に該当するならば、d1=1 [case2] 2/10≦r−[r]<3/10 に該当するならば、d1=2 [case3] 3/10≦r−[r]<4/10 に該当するならば、d1=3 [case4] 4/10≦r−[r]<5/10 に該当するならば、d1=4 [case5] 5/10≦r−[r]<6/10 に該当するならば、d1=5 [case6] 6/10≦r−[r]<7/10 に該当するならば、d1=6 [case7] 7/10≦r−[r]<8/10 に該当するならば、d1=7 [case8] 8/10≦r−[r]<9/10 に該当するならば、d1=8 [case9] 9/10≦r−[r]<10/10 に該当するならば、d1=9 と定める。 step1-2:r1の定義 r1=[r]+d1/10 と定める。 |
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step1-3:r−r1の性質 r−r1は、「0≦r−r1<1/10」という性質を満たす。 なぜなら、 ・ r−r1=r−([r]+d1/10) ∵step1-2での「r1の定義」をそのまま代入 =(r−[r])−d1/10 <(d1+1)/10−d1/10 ∵step1-1で「r−[r]<(d1+1)/10」を満たすようにd1を決めたから。 =1/10 すなわち、r−r1<1/10 ・ r−r1=r−([r]+d1/10) ∵step1-2での「r1の定義」をそのまま代入 =(r−[r])−d1/10 ≧d1/10−d1/10 ∵step1-1で「d1/10≦r−[r]」を満たすようにd1を決めたから。 =0 すなわち、0≦r−r1 |
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step2-1:d2の定義 d2を、「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [詳細に述べると…] step1-3「r−r1の性質」より、0≦r−r1<1/10。 ということは、実数r−r1は、区間[ 0, 1/10 )を十等分してできた10個の区間のどれか一つに属す。 つまり、r−r1は、 [case0] 0/100≦r−r1<1/100 [case1] 1/100≦r−r1<2/100 [case2] 2/100≦r−r1<3/100 [case3] 3/100≦r−r1<4/100 [case4] 4/100≦r−r1<5/100 [case5] 5/100≦r−r1<6/100 [case6] 6/100≦r−r1<7/100 [case7] 7/100≦r−r1<8/100 [case8] 8/100≦r−r1<9/100 [case9] 9/100≦r−r1<10/100=1/10 の、どれか一つのケースに〜たった一つのケースにだけ、しかし、必ず〜該当する。 r−r1が、 [case0] 0/100≦r−r1<1/100 に該当するならば、d2=0 [case1] 1/100≦r−r1<2/100 に該当するならば、d2=1 [case2] 2/100≦r−r1<3/100 に該当するならば、d2=2 [case3] 3/100≦r−r1<4/100 に該当するならば、d2=3 [case4] 4/100≦r−r1<5/100 に該当するならば、d2=4 [case5] 5/100≦r−r1<6/100 に該当するならば、d2=5 [case6] 6/100≦r−r1<7/100 に該当するならば、d2=6 [case7] 7/100≦r−r1<8/100 に該当するならば、d2=7 [case8] 8/100≦r−r1<9/100 に該当するならば、d2=8 [case9] 9/100≦r−r1<10/100 に該当するならば、d2=9 と定める。 step2-2:r2の定義 r2=[r]+d1/10+d2/100 と定める。 step2-3:r−r2の性質 r−r2は、「0≦r−r2<1/100」という性質を満たす。 なぜなら、 ・ r−r2=r−([r]+d1/10+d2/100) ∵step2-2での「r2の定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/10)−d2/100 =r−r1−d2/100 ∵step1-2での「r1の定義」をそのまま代入 <(d2+1)/100−d2/100 ∵step2-1で「r−r1<(d2+1)/100」を満たすようにd2を決めたから。 =1/100 すなわち、r−r2<1/100 ・ r−r2=r−([r]+d1/10+d2/100) ∵step2-2での「r2の定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/10)−d2/100 =r−r1−d2/100 ∵step1-2での「r1の定義」をそのまま代入 ≧d2/100−d2/100 ∵step2-1で「d2/100≦r−r1」を満たすようにd2を決めたから。 =0 すなわち、0≦r−r2 |
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step3-1:d3の定義 d3を、「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [詳細に述べると…] step2-3「r−r2の性質」より、0≦r−r2<1/100。 ということは、実数r−r2は、区間[ 0, 1/102 )を十等分してできた10個の区間のどれか一つに属す。 つまり、r−r2は、 [case0] 0/103≦r−r2<1/103 [case1] 1/103≦r−r2<2/103 [case2] 2/103≦r−r2<3/103 [case3] 3/103≦r−r2<4/103 [case4] 4/103≦r−r2<5/103 [case5] 5/103≦r−r2<6/103 [case6] 6/103≦r−r2<7/103 [case7] 7/103≦r−r2<8/103 [case8] 8/103≦r−r2<9/103 [case9] 9/103≦r−r2<10/103=1/100 の、どれか一つのケースに〜たった一つのケースにだけ、しかし、必ず〜該当する。 r−r2が、 [case0] 0/103≦r−r2<1/103 に該当するならば、d3=0 [case1] 1/103≦r−r2<2/103 に該当するならば、d3=1 [case2] 2/103≦r−r2<3/103 に該当するならば、d3=2 [case3] 3/103≦r−r2<4/103 に該当するならば、d3=3 [case4] 4/103≦r−r2<5/103 に該当するならば、d3=4 [case5] 5/103≦r−r2<6/103 に該当するならば、d3=5 [case6] 6/103≦r−r2<7/103 に該当するならば、d3=6 [case7] 7/103≦r−r2<8/103 に該当するならば、d3=7 [case8] 8/103≦r−r2<9/103 に該当するならば、d3=8 [case9] 9/103≦r−r2<10/103 に該当するならば、d3=9 と定める。 step3-2:r3の定義 r3=[r]+d1/10+d2/100+d3/103 と定める。 step3-3:r−r3の性質 r−r3は、「0≦r−r3<1/103」という性質を満たす。 なぜなら、 ・ r−r3=r−([r]+d1/10+d2/100+d3/103) ∵step3-2での「r3の定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/1+d2/100)−d3/103 =r−r2−d3/103 ∵step2-2での「r2の定義」をそのまま代入 <(d3+1)/103−d3/103 ∵step3-1で「r−r2<(d3+1)/103」を満たすようにd2を決めたから。 =1/103 すなわち、r−r3<1/103 ・ r−r3=r−([r]+d1/10+d2/100+d3/103) ∵step3-2での「r3の定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/1+d2/100)−d3/103 =r−r2−d3/103 ∵step2-2での「r2の定義」をそのまま代入 ≧d3/103−d3/103 ∵step3-1で「d3/103≦r−r2」を満たすようにd3を決めたから。 =0 すなわち、0≦r−r3 : : |
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step n-1:dnの定義 dnを、「dn/10n≦r−rn-1<(dn+1)/10n」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [詳細に述べると…] step(n-1)-3「r−rn-1の性質」より、0≦r−rn-1<10n-1。 ということは、実数r−rn-1は、区間[ 0, 1/10n-1 )を十等分してできた10個の区間のどれか一つに属す。 つまり、r−rn-1は、 [case0] 0/10n≦r−rn-1<1/10n [case1] 1/10n≦r−rn-1<2/10n [case2] 2/10n≦r−rn-1<3/10n [case3] 3/10n≦r−rn-1<4/10n [case4] 4/10n≦r−rn-1<5/10n [case5] 5/10n≦r−rn-1<6/10n [case6] 6/10n≦r−rn-1<7/10n [case7] 7/10n≦r−rn-1<8/10n [case8] 8/10n≦r−rn-1<9/10n [case9] 9/10n≦r−rn-1<10/10n=1/10n-1 の、どれか一つのケースに〜たった一つのケースにだけ、しかし、必ず〜該当する。 r−rn-1が、 [case0] 0/10n≦r−rn-1<1/10n に該当するならば、dn=0 [case1] 1/10n≦r−rn-1<2/10n に該当するならば、dn=1 [case2] 2/10n≦r−rn-1<3/10n に該当するならば、dn=2 [case3] 3/10n≦r−rn-1<4/10n に該当するならば、dn=3 [case4] 4/10n≦r−rn-1<5/10n に該当するならば、dn=4 [case5] 5/10n≦r−rn-1<6/10n に該当するならば、dn=5 [case6] 6/10n≦r−rn-1<7/10n に該当するならば、dn=6 [case7] 7/10n≦r−rn-1<8/10n に該当するならば、dn=7 [case8] 8/10n≦r−rn-1<9/10n に該当するならば、dn=8 [case9] 9/10n≦r−rn-1<10/10n に該当するならば、dn=9 と定める。 step n-2:rnの定義 rn=[r]+d1/10+d2/100+d3/103+…+dn/10n と定める。 step n-3:r−rnの性質 r−rnは、「0≦r−rn<1/10n」という性質を満たす。 なぜなら、 ・ r−rn=r−([r]+d1/10+d2/100+d3/103+…+dn/10n) ∵stepn-2での「rnの定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/1+d2/100+d3/103+…+dn-1/10n-1)−dn/10n =r−rn-1−−dn/10n ∵step(n-1)-2での「rn-1の定義」をそのまま代入 <(dn+1)/10n−dn/10n ∵stepn-1で「r−rn-1<(dn+1)/10n」を満たすようにdnを決めたから。 =1/10n すなわち、r−rn<1/10n ・ r−rn=r−([r]+d1/10+d2/100+d3/103+…+dn/10n) ∵stepn-2での「rnの定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/1+d2/100+d3/103+…+dn-1/10n-1)−dn/10n =r−rn-1−dn/10n ∵step(n-1)-2での「rn-1の定義」をそのまま代入 ≧dn/10n−dn/10n ∵stepn-1で「dn/10n≦r−rn-1」を満たすようにdnを決めたから。 =0 すなわち、0≦r−rn : : |
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step(n+1)-1:dn+1の定義 dn+1を、「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [詳細に述べると…] step n-3 「r−rnの性質」より、0≦r−rn<10n。 ということは、実数r−rnは、区間[ 0, 1/10n )を十等分してできた10個の区間のどれか一つに属す。 つまり、r−rnは、 [case0] 0/10n+1≦r−rn<1/10n+1 [case1] 1/10n+1≦r−rn<2/10n+1 [case2] 2/10n+1≦r−rn<3/10n+1 [case3] 3/10n+1≦r−rn<4/10n+1 [case4] 4/10n+1≦r−rn<5/10n+1 [case5] 5/10n+1≦r−rn<6/10n+1 [case6] 6/10n+1≦r−rn<7/10n+1 [case7] 7/10n+1≦r−rn<8/10n+1 [case8] 8/10n+1≦r−rn<9/10n+1 [case9] 9/10n+1≦r−rn<10/10n+1=1/10n の、どれか一つのケースに〜たった一つのケースにだけ、しかし、必ず〜該当する。 r−rnが、 [case0] 0/10n+1≦r−rn<1/10n+1 に該当するならば、dn=0 [case1] 1/10n+1≦r−rn<2/10n+1 に該当するならば、dn=1 [case2] 2/10n+1≦r−rn<3/10n+1 に該当するならば、dn=2 [case3] 3/10n+1≦r−rn<4/10n+1 に該当するならば、dn=3 [case4] 4/10n+1≦r−rn<5/10n+1 に該当するならば、dn=4 [case5] 5/10n+1≦r−rn<6/10n+1 に該当するならば、dn=5 [case6] 6/10n+1≦r−rn<7/10n+1 に該当するならば、dn=6 [case7] 7/10n+1≦r−rn<8/10n+1 に該当するならば、dn=7 [case8] 8/10n+1≦r−rn<9/10n+1 に該当するならば、dn=8 [case9] 9/10n+1≦r−rn<10/10n+1 に該当するならば、dn=9 と定める。 step(n+1)-2:rn+1の定義 rn+1=[r]+d1/10+d2/100+d3/103+…+dn/10n+dn+1/10n+1 と定める。 step(n+1)-3:r−rn+1の性質 r−rn+1は、「0≦r−rn+1<1/10n+1」という性質を満たす。 なぜなら、 ・ r−rn+1=r−([r]+d1/10+d2/100+d3/103+…+dn/10n+dn+1/10n+1 ) ∵step(n+1)-2での「rn+1の定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/1+d2/100+d3/103+…+dn/10n)−dn+1/10n+1 =r−rn−dn+1/10n+1 ∵step n-2での「rnの定義」をそのまま代入 <(dn+1+1)/10n+1−dn+1/10n+1 ∵step(n+1)-1で「r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たすようにdn+1を決めたから。 =1/10n+1 すなわち、r−rn<1/10n+1 ・ r−rn+1=r−([r]+d1/10+d2/100+d3/103+…+dn/10n+dn+1/10n+1 ) ∵step(n+1)-2での「rn+1の定義」をそのまま代入 =r−([r]+d1/1+d2/100+d3/103+…+dn/10n)−dn+1/10n+1 =r−rn−dn+1/10n+1 ∵step n-2での「rnの定義」をそのまま代入 ≧dn+1/10n+1−−dn+1/10n+1 ∵step(n+1)-1で「dn+1/10n+1≦r−rn」を満たすようにdn+1を決めたから。 =0 すなわち、0≦r−rn+1 : : |
→「十進近似列」定義2 →「十進近似列」冒頭 |
[10進近似列 ― 定義1と定義2は同一] |
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・実数rに随伴する整数列d1,d2,d3,…、実数rの10進近似列r1,r2,r3,…についての定義1 ・実数rに随伴する整数列d1,d2,d3,…、実数rの10進近似列r1,r2,r3,…についての定義2 は、表現がことなるだけで、実は同一。 以下、手順を一つずつ追って、見ていく。 step1-1:d1の定義 [定義2] 実数rに随伴する整数列第1項d1を、「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [定義1] 実数rに随伴する整数列第1項d1を、d1=[a1]=[ 10(r−[r])] と定める。 [比較] 「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」⇔「d1≦10(r−[r])<d1+1」だから、 「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」を満たす整数d1 =「d1≦10(r−[r])<d1+1」を満たす整数d1 =[10(r−[r])] ∵ガウス記号の定義 ここで、ガウス記号の性質より、任意の実数rに対して、0≦r−[r]<1 だから、0≦10(r−[r])<10 したがって、[10(r−[r])]は、必ず、「0から9までの整数」となる。 以上から、[定義2]のいう「d1/10≦r−[r]<(d1+1)/10」を満たす「0から9までの整数」d1と [定義1]のいうrに随伴する整数列第1項d1=[ 10(r−[r])]とは 同一だとわかる。 | ||
step1-2:r1の定義 [定義1]でも、[定義2]でも、実数rの10進近似列第1項r1は、r1=[r]+d1/10 で定義されるから、 step1-1より、同一になる。 |
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step2-1:d2の定義 [定義2] 実数rに随伴する整数列第2項d2を、「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [定義1] 実数rに随伴する整数列第2項d2を、 d2=[ 10(a1−[a1])] ∵定義1 =[100(r−r1)] ∵定義1の別表現 と定める。 [比較] 「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」⇔「d2≦100(r−r1)<d2+1」だから、 「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」を満たす整数d2 =「d2≦100(r−r1)<d2+1」を満たす整数d2 =[100(r−r1)] ∵ガウス記号の定義 ここで、 [定義2]のstep1-3より、任意の実数rに対して、0≦r−r1<1/10 だから、0≦100(r−r1)<10 したがって、[100(r−r1)]は、必ず、「0から9までの整数」となる。 以上から、[定義2]のいう「d2/100≦r−r1<(d2+1)/100」を満たす整数d2と [定義1]のいうrに随伴する整数列の第2項d2=[ 10(a1−[a1])] =[ 10(a1−d1)] とは 同一だとわかる。 |
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step3-1:d3の定義 [定義2] 実数rに随伴する整数列第3項d3を、「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [定義1] 実数rに随伴する整数列第3項d3を、 d3=[ 10(a2−[a2])] ∵定義1 =[1000(r−r2)] ∵定義1の別表現 と定める。 [比較] 「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」⇔「d3≦103(r−r2)<d3+1」だから、 「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」を満たす整数d3 =「d3≦103(r−r2)<d3+1」を満たす整数d3 =[103(r−r2)] ∵ガウス記号の定義 ここで、 [定義2]のstep2-3より、任意の実数rに対して、0≦r−r2<1/100 だから、0≦1000(r−r2)<10 したがって、[103(r−r2)]は、必ず、「0から9までの整数」となる。 以上から、[定義2]のいう「d3/103≦r−r2<(d3+1)/103」を満たす整数d3と [定義1]のいうrに随伴する整数列の第3項d3=[a3]=[ 10(a2−[a2])]=[1000(r−r2)] とは 同一だとわかる。 |
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step(n+1)-1:dn+1の定義 [定義2] 実数rに随伴する整数列第(n+1)項dn+1を、「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす「0から9までの整数」に、定める。 [定義1] 実数rに随伴する整数列第(n+1)項dn+1を、 dn+1=[ 10(an −[an] )] ∵定義1 =[10n+1(r−rn)] ∵定義1の別表現 とも書ける。 [比較] 「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」⇔「dn+1≦10n+1(r−rn)<dn+1+1」だから、 「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす整数dn+1 =「dn+1≦10n+1(r−rn)<dn+1+1」を満たす整数dn+1 =[10n+1(r−rn)] ∵ガウス記号の定義 ここで、 [定義2]step n-3より、任意の実数rに対して、0≦r−rn<1/10n だから、0≦10n+1(r−rn)<10 したがって、[10n+1(r−rn)]は、必ず、「0から9までの整数」となる。 以上から、[定義2]のいう「dn+1/10n+1≦r−rn<(dn+1+1)/10n+1」を満たす整数dn+1と [定義1]のいうrに随伴する整数列の第(n+1)項dn+1=[an+1]=[ 10(an −[an] )]=[10n+1(r−rn)] とは 同一だとわかる。 |
→「十進近似列」定義1と定義2は同一 →「十進近似列」冒頭 |
実数の十進近似列の具体例「随伴する整数列」「十進近似列」は、 [具体例] |
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以上、あらかじめ、実数を小数表示できることがわかっているとすると、 ・「正の実数」aに随伴する整数列の各項は、実数aの小数点以下の各桁の数を表していること 「正の実数」aの十進近似列の第n項は、実数aの小数点以下第n位まで残し、小数点以下第(n+1)位以下を切り捨てたものを表していること ・「負の実数」aに随伴する整数列の各項は、「負の実数」aを、「aを超えない最大の整数」+0.xxx… とあらわすときの、小数0.xxx…の小数点以下の各桁の数を表していること 「負の実数」aの十進近似列の第n項は、「負の実数」aを、「aを超えない最大の整数」+0.xxx…と表すときの、小数0.xxx…の小数点以下第n位までを残し、小数点以下第(n+1)位以下を切り捨てたものを表していること がわかった。 しかし、実数に随伴する整数列の定義を見直すとわかるように、 実数に随伴する整数列は、小数の概念を利用しないで、定義されている。 したがって、 実数の小数表示ができることがわかっていないとき、 実数の小数表示が定義されていないときでも、 実数の随伴整数列は定義され、 さらに、実数の随伴整数列の概念から、実数の小数表示を理論付け、定義することが可能となる。 |
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性質:随伴する数列,随伴する整数列 |
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性質 |
・実数rに随伴する数列 a1,a2,a3,… のすべての項は、 0≦a1<10 0≦a2<10 0≦a3<10 : を満たす。 つまり、(∀n∈N) (0≦an<10) ・したがって、・実数rに随伴する整数列 d1,d2,d3,… のすべての項は、 0から9までの整数(つまり、いつでも1桁)。 |
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性質 |
・実数rに随伴する数列 a1,a2,a3,… の第n項anについて、 [an] =9 が成立するならば、 第n項an と 第(n+1)項an+1 は、 10−an=(10−an+1)/10 を満たす。 |
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性質 |
・実数rに随伴する整数列 d1,d2,d3,… の無限に多くの項は、8以下。 つまり、無限に多くのn∈Nに対して、 dn≦8 |
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実数の十進近似列が満たす性質 |
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要旨
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・以下に示す性質は、 実数rの十進近似列は、単調に増加してrに収束する有理数列になること を示している。 |
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性質0 |
・実数rの十進近似列のあらゆる項は、有理数。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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性質1 |
・実数rの十進近似列 r1, r2, r3, … は、単調増加列。 すなわち、任意の自然数nに対して、rn≦rn+1 ※なぜ? ・実数rに随伴する整数列の性質より、 実数rに随伴する整数列 d1,d2,d3,… のすべての項は、 0から9までの整数。 だから、任意の自然数nに対して、dn+1≧0 。 したがって、 任意の自然数nに対して、dn+1/10n+1≧0 。 ・実数rの十進近似列の定義より、 任意の自然数nに対して、 rn+1=rn+dn+1/10n+1 。 だから、任意の自然数nに対して、 rn+1−rn=dn+1/10n+1 ・上記二点より、 任意の自然数nに対して、rn+1−rn≧0 すなわち、任意の自然数nに対して、rn≦rn+1 |
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性質2 |
・実数rの十進近似列の各項
は、 0≦r-r1<1/10 0≦r-r2<1/100 0≦r-r3<1/1000 : 0≦r-rn<1/10n : を満たす。 ※なぜ?→証明 |
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性質3 |
・実数rの十進近似列 r1, r2, r3, …は、上に有界。 ※なぜ? 性質2より、任意の自然数nに対して、 0≦r-rn したがって、任意の自然数nに対して、rn≦r ・実数rの十進近似列 r1, r2, r3, …は、下に有界。 ※なぜ? 性質1より、任意の自然数nに対して、 r1≦rn ・上記二点より、 実数rの十進近似列 r1, r2, r3, …は、有界。 |
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性質4 |
・実数rの十進近似列 r1, r2, r3, …は、rに収束する。 このとき、無限級数d1/10+d2/100+d3/1000+…は収束する。 つまり、
無限級数の収束・和の記号を用いて書き直すと、
※なぜ? ・性質1,3より、 実数rの十進近似列 r1, r2, r3, …は、有界な単調増加列だから、 定理より、実数rの十進近似列 r1, r2, r3, …は収束する。 ・性質2より、任意の自然数nに対して、 0≦r-rn<1/10n だから、|r-rn|<1/10n …(1) ・1/10n→0 (n→∞)(証明略)。 これを、数列の収束の厳密な定義で書き下すと、 (∀ε>0) (∃N∈N) (∀n∈N) ( n≧N⇒| 1/10n −0|<ε) つまり、 (∀ε>0) (∃N∈N) (∀n∈N) ( n≧N⇒| 1/10n |<ε) 0<1/10n だから、 (∀ε>0) (∃N∈N) (∀n∈N) ( n≧N⇒ 1/10n <ε) …(2) となる。 ・(1)と(2)をあわせて考えると、 (∀ε>0) (∃N∈N) (∀n∈N) ( n≧N⇒ |r-rn|<1/10n <ε) 要するに、 (∀ε>0) (∃N∈N) (∀n∈N) ( n≧N⇒ |r-rn| <ε) これは、「rn→r (n→∞)」の厳密な定義に他ならない。 |
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実数の十進小数展開 decimal expression |
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定義 |
・「実数rの十進小数展開」「実数rの小数展開」「実数rの小数表示」とは、 実数rに随伴する整数列 d1,d2,d3,… を用いて、 実数rを [r].d1 d2 d3 … というかたちで表すことをいう。 ・「実数rの十進小数」「実数rの小数」とは、 実数rに随伴する整数列 d1,d2,d3,… を用いて、 実数rを [r].d1 d2 d3 … と表す表現のことをいう。 ・実数rが 「 [r] . d1 d2 d3 … 」と十進小数展開されるということは、
無限級数の収束・和の記号を用いると、
を意味している(→十進近似列の性質3) |
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性質 |
・任意の整数と、**を満たす整数列に対して、 それを整数部分、随伴整数列とする実数が存在する。 |
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