※「モテない問題を考える会通信」は、2000年2月創刊。隔月刊で発行していましたが、現在不定期発行です。
通常価格は200円(6、10、13号は250円)です。
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創刊にあたって フェミニストは語り、純潔派も語り、かたや風俗バンザイという声も聞こえる。そして、マスコミはいつも、煽る。(情報は僕らを混乱させるためにあるかのようだ。もっと性について、どうにか冷静に、語れないだろうか?)しかし、「僕ら」は、いまだ何も語ってはいない。 最近、何か、も少し僕らしゃべった方がいいんじゃないかと思ったりしてます。何だかなぁと思うことが多い。とりあえずしゃべってしまった方がスッキリするんじゃぁなかろうかと? とりあえず、「どうよ?」と。それは、僕の考え違いも多々ありましょう。とはいえ、ひとまず、「僕ぁ〜、こー思うんじゃが」と。 昨年、われらが日本では、国民番号制、盗聴法、戦争法と、いかがわしい法案が通されまくりました。社会や僕らん身の回りには一言言っておいた方がよさそうなことが色々ありますけれども、その中でとりあえず「モテ問」。 この危機的状況のわれらが日本において、何故、今「モテない問題」かというと、第一に98年末に私、彼女に振られるという事件がありまして、年末・年始、かなり落ち込んだと。これは大きかった。かなりこたえました。人生最大こたえました。「最低ですかぁ〜!?」と。 次に、最近話題になってる(と思う)「買春」問題、あと、「セクハラ」問題、これへのフェミニストの対応がどうも納得いかない。というか、足りない。何か抜けてるんじゃないか、「モテ問」がからんでいるんじゃないかと匂うと。 あと、それに輪をかけて、それらの問題に対する自称「メンズリブ」という人々の語り口。これが(全てではないですが)ことさら腹立たしいというか、ものによっては正直、吐き気がしてしまう。 ゆえに、「モテ問」。 まーとりあえずやる気になっていますが、元気が持つかどうかは分かりません。最初に断っておきますれば、私は、神経症こじらせぎみで、なかなか気分も安定しません。できれば長持ちさせたいとは思っています。 今のところ思いついているテーマというと結構色々あって、「モテることは良いことか?」「ストーカー問題」「セクハラ問題」「痴漢問題」「レイプ問題」「おごり問題」「お見送り問題」「アッシー・メッシー・ミツグくん問題」「いい人止まり・安全牌問題」「したたか女問題」「タバコ屋のミヨちゃん問題(八方美人を自分に気があると勘違い問題)」「風俗・買春問題」「据え膳問題(お泊まり問題)」「ヤリ得問題」「カップル強迫観念問題」「一夫一婦制の評価」「嫉妬問題」「貞操問題」「童貞・処女問題」「純潔問題」「男と女のジェンダーとモテ問」「女のモテ問」「同性愛者・両性愛者のモテ問」「容姿問題」「どうしようもなくモテない問題」「コミュニケーション不全問題」「自尊心問題」「フェミニストからの不当な攻撃問題」「フェミニストはイイ男がお好き?仮説」「フェミニストにモテたい問題」「メンズリブ(フェミ男?)問題」「パターナリズム問題」…と、盛り沢山! 「モテ問」のイトをたどってゆくと、この社会の深い問題まで突き当たれるんじゃなかろーかという思いもあり、野心は十分の一!! よろしゅーおたのもーす!(名木太(編集長)) ←全目次に戻る ↑先頭に戻る |
「モテ問」概論 名木太![]() まず、「モテ問」というわけなんで、「モテない」とは何か?とゆうのを書いておいた方がよいでしょう。 さて、「モテ問」やらねばと思いしばらくたってから、タイムリーにも『もてない男』(小谷野敦著、ちくま新書、1999年1月刊)という本を見つけて読みました。その本全体に対する評価はとりあえず置いておいて、その「まえがき」から「モテない」という意味に関するコメントをまず引用してみましょう。 世間で言う「もてない男」というのは、ほんとうに、救いがたく、容姿とか性格のためにまるで女性に相手にしてもらえない男のことを言うらしい。じつは私はそこまで考えていなかった。私がもっぱら考えていたのは、好きな女性から相手にしてもらえない、というような男だったのである。女なら誰でもいい、というようなケダモノはどうでもよかったのである。そんな連中は金をためてソープランドにでも行くがいい。(8ページ) この文中には「世間」の言う「モテない」と小谷野氏の考える「モテない」の位置づけが書かれているわけですが、小谷野説についてはまるっきし外れていると思われます。「好きな人に相手にしてもらえない」というのは、単純に「失恋」なだけでしょう。モテようがモテまいが、恋は双方の想いがあってのことだから、そら、失恋なんてどこにでもあるでしょう。モテるからといって、好きになった人と必ずしも上手くいくわきゃないです。三角関係なんて「モテる」ことと「失恋」が同時に起こってるわけでしょうし…。(それとも小谷野氏の言っている意味が、好きになった人には決まって全く相手にされない、迷惑がられるということでしたれば、「世間で言う」もてないと同じ状況なのか、もしくは単に小谷野氏の「理想が高すぎる」のでしょう。) しかも、(文脈がよく分かりませんが)モテない仲間を“ケダモノ”呼ばわりである。いきなり、内ゲバである。(「救いがたく女性に相手にされない男」=「女なら誰でもいい」=「ケダモノ」なのか?) 前者の「世間」については、ま、外れてもないけど、強調しているので、「下層」に位置するモテない人のことを指していると考えてよいでしょう。 というわけで、「モテる/モテない」に対するイメージについては人それぞれあるのでしょうが、ま、早い話、「モテる」というのは、恋愛対象に「人気がある」ということでしょう。もう少し具体的にいうと、 「恋愛対象(異性愛者であれば異性)にちやほやされる。相手にされる。恋愛関係にも発展する。求愛される。」 といった所でしょう。「モテない」は、その裏もしくは逆になります。 また、付け足しておきますと、広い意味での「モテる」ということで言えば、それは恋愛対象に限らずで、 「他人に相手にされる。ウケが良い。いろいろな集まりなどに誘われる。」 ということです。「モテ問」について考える際に、この広い意味での「モテる/モテない」は重要になってくると思われます。 注:原稿書いた後に再度『もてない男』のまえがきを読み返してみて、やっと小谷野氏が言う「もてない」の意味を理解。「たとえば男でも女でも、寄ってくる異性を適当に相手にして満足できるのが恋愛上手な人間であり、高い理想を求めて、これに叶わない異性は相手にしない、がために恋愛の不在に苦しむというのが恋愛下手な人間である」(8ページ)とある、その「恋愛下手」が「もてない男」だと言いたいのでしょう。小谷野氏の言う「もてない」とは自分の理想を決して捨てない(「知的な才能のある美人」(93ページ)以外は相手として考えられない)「妥協なき」男という意味だから、「もてないということは別に恥ずべきことではない」、すなわち「誇り高い」のだと言いたいのでしょう。ゆえに、(定義と矛盾していますが)「好きでもない女百人とセックスしても、もてるとは言えない、という立場に私は立っている」(9ページ)。世間の「もてない」とズレている小谷野氏独自の定義がさらに混乱して使われているために読む人にとって難解であり、誤読させている気がします。 ぶっちゃけた話、小谷野氏は「もてない男」という言葉を自分自身の代名詞として使っているように思えますが、恋愛観は本当に人それぞれだし、「もてない男」について書かれた本はおそらくこれが初めてだしでなので、仕方がないのかもしれません。 「モテない問題」とは何か? さて、「モテない」の意味は、とりあえずそーゆーことで納得してもらうことにしましょう。そこで、次にくるのが「モテない問題」とは何かということです。 「モテ問題」とは何か? 「モテ問題」とは、モテないということにからんで出てくる諸問題・悩みのことですが、例えば、異性や他人に相手にされないことにより、「自分は何かマズイんじゃないか?」とか「自分は寂しいんじゃないか?」と思い込んでしまうことです。(いや、実際に「寂しい」んですけど…。)そして、そのことから表面的に現れてくる症状としては、生活にハキがない。手持ちぶさた。生活にイベント性がない。自分はこれじゃダメなんじゃないかと思ってしまう。他人に受け入れられていない気がする。(いや、実際に「受け入れられていない」んですけど…。)認められたい。そして、「とりあえず、彼女欲しいなぁ…」に執着するといった所です。それは特に、クリスマスやバレンタイン・デーなどの時期に強く現れます。 また、「モテ問題」を抱える者は、イコール「モテない」人ではありません。そこそこ「モテる」人も「モテ問題」を抱えていることもあると思います。「落ちぶれ」ないための努力をし続ける必要があるかもしれませんし(よく知りませんが)、いつも頭の中が「モテる」もしくは回りから「モテてるように見える」ということに一生懸命かもしれません。「見栄」問題です。「見栄」問題でいうと、女子に敬遠されがちな「モテてなさそう」な人に、「どっちかいうとモテないでしょ?」と聞くと、「いや、そんなことないよ。モテるとは思わないけど、モテないってことはないよ」と一生懸命「弁明」しがちです。どちらにせよ、世の中には「モテないと何かマズイんじゃないか?」という空気があります。 重要なことは、「モテる」ようにならなきゃという「強迫観念」こそが、「モテ問題」という悩みの原因だということです。すなわち、「モテ問題」の原因は「モテない」ことではありません。僕らの「敵」は「強迫観念」であり、それを作り出している社会ではなかろーか、と考えているわけです。 「モテたいからいかにしてモテるかを考えていくんじゃろ?」と言う人もいるかもしれませんが、「モテ問題」とは、単純に「モテたい」という話ではありません。もちろん、僕らが抱える「モテない問題」は「モテる」ようになれば実際、解消する場合もあるでしょうけれども…。「モテない」を超えた人、「モテる」を超えた人(もしくは、社会)こそ、「貧乏」や「金持ち」を超えた人々が「金」から解放される(?)のと同じように、「モテ問題」から解放されるような気がします。 ちなみに、「モテなく」ても、例えば、オタク化による「モテ問題」回避という技術もあります。趣味に走る(没頭する)という技です。これが良いことなのかどうかは現在考え中です。 「モテない者」の社会的位置と状況 モテないことは多分、どちらかと言うと「悪い」ことです。恐らく決して「良い」ことではありません。なぜなら「モテる」ことは基本的には人間的魅力があるということですから。モテないことは逆に魅力が薄いということと近くなります。但し、それがヒエラルキー(ピラミッド型の連続重層階級)となっていて、モテないことはダメなことという強迫観念がマスコミによって刷り込まれていることは、決して良いことではありません。それが、余計に私たちをモテなくさせています(こじらせる方向に働いている)。憂うべき状況です。 また、「モテる/モテない」ということが、とりあえず日本においては「金」「学歴」と並んだ、三大ヒエラルキーとなっている以上(私の勝手な直観ですが…)、モテる者とモテない者との間には、体験の階級差による感覚のズレがあり、なかなかお互いに理解し合うことは難しい状況にあります。分断されています。さらに、「モテない」者同士は相互的にも孤立化させられがちです。 また、モテる者はまさに「持てる」ものであり、モテない者は「持てない」者です。そして、モテない者は現実に「持てない」がゆえに、ヒエラルキーの影響によりシャドウ・ワーク(「正しく支払われない(ペイされない)」労働)を行わざるを得ない状況にあります。「持てる」者は労働(ここではモテるための努力やサービス)せずして「持ち」、「持てない」者は労働をし続けても「持てない」のです。(ちょっと飛躍の可能性あり。) 「モテない」者はマスコミ・CMにより「キミもモテるように努力しよう! これでキミもきっとモテる!」と強迫観念を煽られることで、商品を売りつけられます。「ブルーワーカー」を買わされたり、包茎手術をさせられたり、「ヘア・チェック」させられたりします。ところが、その商品やメディア情報によって、「モテない」者の抱える悩みは決して解消されることはありません。そして、解消されずこじらせられ続けることによって、延々と商品を買わされ続けるのです(企業にとっては買わせ続けることができる)。「キミ」は決してメディアや商品を「消費している」のではなく、「キミ」こそが企業によって「消費されている」のです。(ちょっと脱線。) また、自称「フェミニスト」の一部が「男社会」を批判するふりで、現実には「モテない男」を攻撃するという態度は、「家父長制(きちんとした意味は知らないが…)と資本主義がしっくりフィットした現社会」において下層に位置する者を攻撃することであり、問題を履き違えています。(但し、私の被害妄想かもしれません。)誤った態度です。但し、局面ごとでのやむなき対応としては、仕方のないこともあるかもしれません。性暴力などの場面です。また、モテない男を攻撃する「フェミニスト」というスタイルの女性も階級社会の中では総合的に下層の者である可能性が高いかもしれません。もちろん、下層のモテない男が、下層の女を攻撃するのも的外れです。またしても「分断」である。資本主義の「健全な競争」のためには、「分断」は必要不可欠であり、どこにでも転がっているのです。(またしても脱線しつつおわり) ←全目次に戻る ↑先頭に戻る |
[ストーカー列伝 1]NGTの学生時代 聞き書き・名木太![]() 彼は中学生の時に初めての恋をした。初恋である。入学して直後に同じクラス、隣の席に座ったのが、そのMさんだった。ずっと子供の頃から大人しいNGTであったが、Mさんは元気な人で、快活に方言ばりばりでしゃべり、当時可愛らしかったNGTにもよく呼びかけた。「NっGTくーん!」と。 NGTは運動はあまり出来なかったが、中学生となると、勉強が出来る出来ないが他人の気を引く引かないに関わってくる。ヒエラルキーの転換である。NGTはなかなかに勉強の出来るヤツで、かわいがられていたとゆう感じだったのだろう。Mさんは勉強はそこそこで、運動がよく出来た。学級委員タイプとはまた別の、女子の中でのリーダー的存在だった。NGTは、大人しいくせに、割かし気が多い方ではあったが、そのMさんのことが、やはり一番好きだった。上手くコミュニケーションが取れないくせに、話しかけられた時が一番の幸せであった。 と、中学生時代の話は沢山あるが、今回ははしょる。 NGTはMさんと年賀状のやりとりがあったが、中学卒業前の正月にもらった年賀状に、「NGTくんはどこの高校に行くの? やっぱりS高校? 離ればなれになるのかな?」のようなこと(詳細は覚えていないらしいが)が書いてあり、その日、ベッドで泣いた。NGTはまぁ、というか明らかに優等生の部類に属しており、もちろん、受ける学校は地元の進学校S高校であったが、Mさんは違う高校へ行くということなのだなと思ったからだ。ところが、Mさんは実際にはS高校へ入学した。「やった!」とNGTは思った。 高校時代の話は余り覚えていないらしい。他にも好きな人が出来たのかもしれない。そして、また高校卒業の日が近付く。さすがに大学は別だろう。大学は山程ある。NGTは一つは地元の大学を受け、結局そこに行った。そこそこの大学ではあったが、何故か、Mさんもその大学に入学していた! NGTはMさんと同じ電車に乗って大学まで向かうことになるが、最初の頃は特に気にもしていなかった。たまに顔を合わせると、一言二言あいさつをするくらいだ。高校の時には誰かと付き合っているという話も風の噂に聞いたこともあったしで、あまり気にしていなかったのかもしれない。 ところが、ある日、「NGTくん暇? 一緒に講義受けん?」と言われ、もちろん、未だにMさんのことは好きだったわけで、「暇だけど?」と言い、隣同士の席で講義を受けることになる。講義中に「講義つまらないね?」だったか何だったか、そんなような他愛のないことを紙に書いてやりとりした記憶がある。とても楽しかった。ある時は、一緒に購買に行こうと誘われ、ついていく。その時はふいに「NGTくん、魚とお肉とどっちが好き?」と聞かれ、その意図を勘ぐるが、「どっちかいうと肉」と答える。そして、「私は魚」と返答され、少し失敗したような気分になる。 この辺りで、NGTの恋愛については貧弱な思考回路の中では、「もしや、Mさんは僕に気があるんじゃ…?」という想念が渦巻いていた。 決定的だったのは、帰り道のことだ。Mさんが、「NGTくんもう講義終わり? 一緒に帰らん?」と聞いてきたことだ。もちろんOKだ。地元に帰るには2つの線があるのだが、時刻表示でどちらが先かを確認する。どちらが先だったかは覚えてないらしいが、とにかく一方の電車を選んだ。その時に、Mさんは「K線の方が時間が長ぇしええじゃろ?」と言った。 その電車の中で、僕は、じゃなかった、NGTは、ボックスでMさんとどういう風に座ればいいのか、一瞬迷った。そう、女の人と連れで電車に乗るのは、その時が初めてだったのだから。一瞬思考を巡らし、もしくは、その場の雰囲気で、結局Mさんとは向かい合わせに窓際に陣取った。何となくMさんが進行方向向きの方がいいのかなと思い、そちらを譲った。特に大した会話のないまま、その内Mさんは眠ってしまったような気がする(笑)。その時のことは、しかし、NGTをとても幸せな気分にさせた。そして、「Mさんは僕に、気が、あるのでは、ないか?」という想像に拍車をかけたのはもちろんだった。 それ以来だったか、それ以前からだったか、NGTは大学の講義時間表を見て、「Mさんなら、この講義に出ているはずだ、とすると月曜日は2限から4限、火曜日は…」とMさんの登校・下校時間をチェックしていた。そして、もちろん、NGTは、出来るだけMさんと同じ電車、そう、同じ時間の電車に乗れるように、試行錯誤を始めるのであった。 しかし、そうして朝とか一緒の電車にのれても、Mさんはそんなに気のない感じがするのであった。第一、NGTは、一緒の電車に乗れたからといって、特にこれといった話をするでもなく、顔を合わせるだけなのだ(笑)。ある時など、何とかMさんと向かい合ってボックス席に座ることが出来たものの、ただMさんをじっと見つめるだけで(しかも、切なげに…)、何も話さないのだ。今思えば気もち悪かったろうなぁ、とNGTは振り返る。 しかし、NGTには不可解である。Mさんは僕に気が、あるのか、ないのか? そんなある日、夕方から雨がポツリポツリと降り始めた。NGTは思った。Mさんは今、多分4限目の講義を聞いてこれから帰るところだ。Mさんは今日、きっと傘を持って行っていないのではないか? そして、思った。「駅まで、傘、持って、行くか?」NGTはこういう時は頭が悪い。ドキドキ緊張したのはもちろんだが、NGTは意を決して、何故かその頃買ったばかりのスクーターに乗り(何となく自慢したかったのだろう…)、しかもノーヘルで(ヘルメットはまだ買っていなかった)、傘を持って駅の、そうMさんがいつも自転車をとめている自転車置き場へと出る駅の出口付近へ向かった。そう、以前にも一度、自転車でMさんを家付近まで送っていったことが確かあった、とNGT。駅前、ほぼ予想通りの時間にMさんが現れた。 Mさんに近付く。その時点でMさんが気味悪がっていることに、その時のNGTは気付くことはなかった。いや、何となくは気付いていたのかもしれない。2人で傘をさし、NGTはスクーター(ちなみに、その頃出たばかりのメット・イン・タクトだ。メットはないが…)で、Mさんは自転車で。NGTは何となく幸せだった(?)。一応何となしの会話をしながらMさんの帰り道を送ってゆく。 そのうち、ふとバックミラーに赤い点灯が見えた。パトカーだった。「前のバイク止まりなさい」よりにもよって、こんなところで…。NGTはやむなきと思い、Mさんに「ごめん、じゃ、先に帰って…」と告げた。その時、Mさんは、どうしたものか、ふと折り畳んだ白い紙を、NGTに手渡してから、自転車を走らせた。 パトカーの中で、警察官に切符を切られた。その時2人の内1人の警察官は、「彼女を送って行くのはええけど、ちゃんとヘルメットは被らんといけんでぇ」と言った。別に彼女じゃないけど、と思いつつ、何だか嬉しかった。その警察官には今でも感謝(?)しているそうだ。ちなみに、ノーヘルと傘差し危険運転のどっちかをマケてもらったそうだ。 家に戻ってから、NGTは、少しの期待と一抹の不安を抱えながら、その、手渡された手紙を拡げてみた。そこにはこんなような事が書かれていた。「私は今度結婚します。中学の部活の時に出会ったかなり年上の人です。それで、送ってくれるのは気持ちは嬉しいけれど、困ります」だったかどうか、そんなことだったそうだ。(探せばその手紙もどこかにあるんじゃなかろーかとNGTは言っていたので、私としても見てみたい気がする。) NGTのストーカー(その頃そんな言葉はなかったが…)は、そして、NGTの初恋は、それで、ピリオドを打つ。その夜、まだ飲み慣れない酒を一杯飲んだような気がする、とNGTは言う。大学を卒業後、NGTは都会に出たが、しばらくは帰省の度に、友人とドライブがてら、あそこがMさんの家だなぁと思いつつ、近くを通り過ぎるのであった。(おしまい) 反省文(NGT)…トーク能力があれば、電車以降うまくいったかもしれない。トーク能力のないことが、ことをこじらせてしまったと考えられる。トーク出来ないからストークしてしまうのではないか? また、恋愛について、「受け身」なとこが多いかもしれない。問題かもしれないし、それはそれでいいのかもしれないが…。また、自分自身の中に、何ちゅーか、「シャイなこと」、恋愛下手なことを、ある意味「売り」にしていた部分があった。カワイコぶりっこというか…? ←全目次に戻る ↑先頭に戻る |
編集後記(創刊号) 構想1年、やっと出ました!!(パチ、パチ) あー、文章を書くというのは大変ですね。まず、書こうかなとパソコンに向かうのが大変。ついつい友人Nくん同様、パチンコに行ってしまいます。でも、いざ書き始めると活気づいて、「モテない問題」がどうでもよくなるくらい元気になっちゃうから良んだか悪いんだか…。 実の所、創刊号はやむなく1人で始める(全ページ書く)しかないと思っていて、ちょっとしんどいなと感じていたのですが、年始に知人の黒保さんより書きたいとの申し出があり、私的にも嬉しく、元気&やる気が出てきました。1人だったら創刊まで、あと半年かかってたかもしれません。また、2人で編集会議を行ったのですが、ショボショボの予定が、意外にも話題に花咲き、会議(交流)自体がとても楽しかったのは発見でした。 運動はそれに関わる人を解放しなきゃ意味がないし、それぞれの自分をニュートラルに解放していく方向で、モテ問はやっていきたいと思ってまーす! 「結果」ではなく「過程」が解放でありたいです。 当会では、(1)自分たちはどこに向かっていきたいのか?(一体、私はどうしたいというのか?) (2)一般の人々に自分たちをどのように受け止めて欲しいのか? (3)社会の構造に問題があるとすれば何であり、どういう取り組みが出来るのか? など考えてゆきたいです。 本通信は、多分無理なのですが希望「隔月刊」で出してゆきたいと思っています。本号から連載(予定)の「モテない男の日常」「ストーカー列伝」に続いて、次号からは「オナニー紀行」「聞き書き・買春体験」などを一応考えています。 さて、編集部ではあなたからの原稿を大募集します! 連載は持ち回りの予定なので、あなたからの投稿がなければ今回で終了してしまう可能性が多々あります。また、連載の他にも、あなたの「モテ問体験」「モテ問愚痴」「モテ問答」「恋愛失敗談(出来れば反省文付き)」「モテないやつのちょっといい話」などなど、求みます! 時節がら、バレンタイン、ホワイト・デー報告もいいでしょう。 私的には原稿を書くというのはノッてくることもありつつ、推敲している最中にふと、「何とつまらんことを書いているのか?」と考え込んでしまうこともありましたが、これを読んで「仲間がいるんだ」と思ってくれる読者が1人でもいてくれれば幸いですし、1人もいてくれなかったら非常に寂しく悲しいです。だから、何が言いたいかというと、あなたも是非書いて下さいということです。 オナニーもそうだし、恋愛の悩みもそうだし、「これって自分だけ?」ゆうのん色々あると思います。それをさらすことで、その問題が自分だけのオリジナルな問題なのか、普遍的なテーマなのかというのが見えてくるはずです。しかも自分だけのオリジナルな問題ってそんなにないと思います。私たちは全く同じでもないし、それほど特別でもないはずです。そこを見極めれば、一定心の不安も解消するし、その上でなら様々な問題への対策も講じやすいのではないでしょうか? つまり、始まりくらいは歌えるんじゃないでしょうか? あ、そうそう、今号は一応男のモテ問題だけでしたが、女のモテ問題も気になってます。女の人の原稿もお待ちしておりまーす! また、ストーカー列伝などへの批判や、その他ご意見・ご感想などもありましたら是非ともお願いしまーす!(名木太) ←全目次に戻る ↑先頭に戻る |
モテ問・希望的会則(第I期・案) (1) 当会は、「モテない」とは何か、「モテない」ことは悪しきことかなど、モテないことに関わる問題を広く探究し、それに応じ身の振り方を追求・実現してゆきたい。 (2) 当会の研究・交流においては、モテない者同士の対話に限定せず、「モテない者」と「モテる者」との対話、また、男女間の対話から、見えづらい構造を探ってゆきたい。 (3) 会員各人の研究・探究・モテ問答については、「モテない問題を考える会通信」にて発表することにより成果を共有し、各人の生きる糧としたい。 (4) 当会は、老若男女、国籍、「モテる/モテない」を問わず、全国民及び、全ての在日外国人を会員とする。 ←全目次に戻る ↑先頭に戻る |
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