更新記録と日記

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2009/6/6

 JEUGIAピアノコンサート無事終了しました。「月の光」という題材故ベートーヴェン(尤も本人の命名ではありませんが)を除きどれも静謐、神秘的で少々動きの少ない作品が集まってしまったように思います。しかしながら各作曲家のイメージがピアノという楽器を通じこれほど広がるのは音楽の不思議な点であり面白い点でもあります。中でもデュコーの神秘的な響きは全曲の中で突出していたように思います。ドビュッシーの天才性は云うまでもありませんが「ベルグマスク組曲」中の「月の光」という初期の作品ですらそれを感じる事が出来ます。アンコールはショパン練習曲10−1でした。ご来場いただきました皆様に心より感謝します。

 JEUGIAハービス大阪店閉店に伴いこのシリーズも後2回となってしまいました。次回は「ロシアピアノ音楽」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」等を演奏します。最終会はバッハの作品を演奏します。
 2009年7月24日(金)午後6時開演
 J.S.バッハ イタリア風協奏曲 フランス風序曲
 F.ショパン 英雄ポロネーズ
 このシリーズの最後の作品としてショパンの中でも最も有名なものの一つである「英雄ポロネーズ」で締めくくりたいと思います。やや唐突な感じですが…。

2009/5/28

 本箱が到着。薄型なので圧迫感もありません。本を収めるのが結構重労働なのですが…。

 旧版三島由紀夫全集を購入。評論の巻が3冊欠けているので驚くほどの安値で買う事が出来ました(欠巻は別に古書店で補充)。決定版三島由紀夫全集の方が資料的価値も高いのですが最近出版されたものなので高価です。そして何より私が旧版全集の方が好きなのはこちらは旧字旧仮名使いで編集されている点です。決定版全集は新字新仮名遣いです。この差は非常に大きいように思われます。字面の与える印象は作品そのものの雰囲気、印象をも左右するものです。三島しかり泉鏡花、日夏耿之介といった作家は旧字旧仮名使いで読まれる事を前提に書かれています(鏡花は新字新仮名遣いは知りませんでしたが)。日夏耿之介は新字新仮名遣いの本が家に届くと川に捨てて「新字新仮名が流れていく」と言ったそうです。そこまで極端なことは出来ませんが私にとって三島由紀夫全集は旧版の方が好きなのです。
 梱包を解くと欠巻があるとはいえ33冊もあります。装丁も美しいです。

2009/5/25

 関西は新型インフルエンザ騒動で大変な事になっています。私個人の考えは政府の対応と報道に少々問題があったのではないかと思っています。少しましになりましたがはじめの頃は新型インフルエンザにかかればどうなるのか…と言わんばかりでありました。勿論、感染拡大を止めるために発病された方の隔離、学級閉鎖、などは必要であると思います。しかし一般人は冷静に予防と対策、かかった時の対応を考えればこれほど「マスクが売りきれる」ような自体には至らなかったのではないでしょうか。関西の商業はパニックと言ってもいい状態です。私のような弱小ピアノ教師家業も同じくです。
 とはいえ私のような軽佻派は街中の人がマスクをしている見て大いにその奇異な光景に目を奪われました。不謹慎ですがこれほどの異化を味わった事はありません。
 まぁ私の馬鹿な感想はともかく、冷静な判断が必要であると思います。

 自室を片付け模様替えの最中。どうにも本とレコードの数が増えたので本箱を導入すべく無理やり部屋の家具をパズルのようにしてスペースを開けました。片付けてみるとレコードもいつの間に増えたのか結構な量です。最早レコードラックには収まり切らないのでディスクユニオン製の段ボール箱に収めましたがこれも山積み状態(写真)。買うのを控えているつもりなのですが…。
 本箱は「スライド式」とか妙に奥行きがあるものが多かったのですが最近は厚さ僅か16センチの薄型本箱があり値段も手ごろだったのでこれを購入しました。部屋の一角に山積みになっている本が納まれば少しは部屋が片付くはずです。
 これを機にオーディオのセッティングも一新。高価なオーディオラックはありませんが(私は常々オーディオラックのセンスの悪さはどうにかならないものかと思っているのですが)なんとか収まりました。メインの位置(?)にパワーアンプを置いてセッティングを始めたのですがどうにも配線が上手くいかないのでメインの位置にプリアンプを置くとうまくいきました。「コントロールアンプ」と云われるだけあって入力数の多さから考えても中心になるのはプリアンプのようです。私は何故かプリアンプが好きでパワーアンプは一生のうちで後2台是非とも作ってみたいものがあるのですが、プリアンプはあれこれ作ってみたいものがあります。「音を作るのはプリアンプ」などと云われますが私にはよくわかりません。しかしプリアンプがあるのと無いのとでは明らかに違います。別に高価なプリアンプで無くてもOPアンプを使った簡単なプリアンプを一度使うとプリアンプ無しでは落ち着きません。これもオーディオオカルト信者の妄言であると思いますが…。

2009/5/23

 ほぼ1ヶ月ぶりの更新になってしまいました。月1回のコンサートが大変なせいもありますが、未だにブログではなく手打ちの日記と云うのも更新が滞る理由でもあります。「じゃあブログにしろよ」と突っ込まれる訳ですが、ギリギリまで手打ちで頑張っていきたいと思います。何故か私はブログの「お手軽感」が好きになれないのです。勿論ブログで素晴らしい内容のものもあります。しかし「書いた」という実感が沸かないのですね…。

 遊音堂でのリサイタル終了。アンコールはショパン「マズルカOp.63-3」でした。ご来場頂いた皆様に感謝します。

 JEUGIAライヴ7月31日の情報をscheduleにアップしました。「ロシアピアノ音楽選」としてムソルグスキー「展覧会の絵」などを演奏します。

 新しい真空管アンプの部品はほとんど揃いました。初段2SK30の選別も済み、次段5687、出力管EL34も手元にあり、最もコストのかかるトランス類も揃いました。しかし作る時間がないという…。ケースはお決まりのアルミシャーシを加工する訳ですがこれがどうにも大変なのです。ケースが出来ないと配線もへったくれもありません。例えば1日10分と決めて作業を始めれば1週間で1時間10分になり2ヶ月もあれば完成するはずです。しかし時間は無常に流れるものです(^^;気長に取り組むしかないようです。

2009/4/28

 JEUGIAでのライブ終了。ショパンの作品をまとめて弾くのはひょっとするとはじめての事かもしれません。「幻想即興曲」「子犬のワルツ」は生まれて初めて人前で弾いたという…(^^;
 アンコールはショパン練習曲10−4、モーツアルト「トルコ行進曲」でした。ご来場いただきました皆様に心より感謝します。

 仙台国際音楽コンクール6位入賞のヴャーチェスラフ・グリャーズノフさんから自身の編曲作品を送って頂きました。ありがとうございます。グリンカ「幻想ワルツ」、ラフマニノフ「イタリアン・ポルカ」、2台ピアノのためのラヴェル「ダフニスとクロエ」、連弾のためのビゼー「ハバネラ」いずれも効果的な編曲技法によりゴージャスな響きのする作品となっています。「ハバネラ」ではボサノヴァが出てきたり遊び心も盛り込まれた名編曲です。グリンカ、ラフマニノフは難しい作品ですがレパートリーに入れたいものです。

 先日の更新で書いた半導体の危機ですが定番ともいうべき2SK170も生産終了で値段が上がってきています。とりあえず最安値で60個確保しました。この半導体自体は決して高価なものではありませんがこれから入手困難となり高値になってくのでしょう。勿論替わりのスペックのものも出てくるかもしれませんが専らOPアンプにとってかわり電子回路の「ブラックボックス」化が進むようです。

 丸尾末広氏が手塚治虫文化賞新生賞を受賞。近年一般誌にも寄稿されていますが、その初期の作品はとてもじゃないが人に勧められない作品ゆえ失礼ながらこのような賞の受賞は考えられなかっただけに、ファンの方も嬉しい事であると思います。実は私はそれほど熱心な読者ではないのですが初期作品、一般誌に進出した「犬神博士」は読んでいます。特に初期の(内容はともかくとして)線の細い神経質な画風は私好みです。荒俣宏氏は丸尾氏の熱心なファンで「帝都物語」のカドカワノベルズ版の装丁、挿絵は丸尾氏が手がけています。花輪和一(この人は手塚治虫氏も一目置いていた)と並び80年代「ガロ」系漫画家の代表選手の一人である丸尾氏が評価されたことは嬉しい事であります。私は「新・英名二十八衆苦」解説で細野晴臣氏が書いているように初期の神経質な細い線の画風が好きなのですが丸尾氏のその頃の作品は(性的)暴力描写に容赦がなく人に勧めるのを憚られるものであります。しかし女性ファンが多いのも氏の特徴で今回の受賞は長らくダークサイドにいた丸尾氏が日の目を見たという点でも快哉であると言えます。
 ところで、丸尾氏の「少女椿」という作品はアニメ化されています。やはりその内容からか、日本では上映はされたもののソフト化はされていません。私はさる好事家の厚意で仏版DVDを鑑賞させていただきましたが、確かにこれはきついです。しかし上映はスモーク、桜吹雪、はては木材(発泡スチロール製)を客席に投げ込むといった演出がなされスタッフにも天井桟敷のJ・A・シーザー、月蝕歌劇団をはじめとするアングラ演劇の方が参加されまさに寺山修二の実験劇場さながらの作品です。故岸田理生氏も丸尾氏の作品解説を書いています。丸尾末広氏のノスタルジックな画風はそのまま寺山修二の実験に通じ現代に蘇ったものかもしれません。

2009/4/20

 少々更新サボりぎみですが演奏スケジュールを更新。JEUGIAでのライブシリーズ第5回目。少々マニアックな「月の光」です。
 西村朗 星の鏡
 ベートーヴェン ソナタ 作品27−2「月光」
 ドビュッシー 「月光の降りそそぐ露台」
 スチェルバチェフ 「月の光」作品25−3
 デュコー 「月の光」から第3曲
 ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」から「月の光」

 真空管アンプを作っているとつい「半導体なんて」なんて思ってしまうのですがこれはこれでなかなか便利なものです。まず安価であり真空管のような大がかりな所がありません。特にオーディオ用トランジスタによるアンプの音はそれはそれで味わい深いものがあります。しかし暗雲が…。
 私が2年ほど前に作ったヘッドフォンはOPアンプ+トランジスタ(ダイヤモンドバッファ)というお馴染みのものでしたがそこに使った部品はOPアンプLM4562に2SA872と2SC1775という構成でした。あの頃はな〜んにも判らず部品を集めて作っていましたが無知とは恐ろしいものです(^^;
 この2SA872、2SC1775は当時の製作時のメモを見ると80円と書いてありますが今や入手困難になりつつある半導体です。このように安価で入手できたディスクリート半導体素子は近年どんどん廃れていっています。いずれ上記の半導体も法外な値段で取り引きされる時代が来るかもしれません(もう来てるかも)。今まで10円で手に入ったものが数千円なんて事も現実にあり得る話です。ならば何故なくなったのかという疑問が起こる訳ですがそれは集積回路の方が便利だからです。わざわざ部品点数の多いディスクリート構成のアンプを作るメーカーが減ったとも言えます。デジタルアンプならアンプ部はそれこそ集積回路一つと僅かな部品で作れてしまいます。
 ある意味ディスクリート半導体素子は真空管以上に風前の灯といった感があります。

2009/4/1

 さてエイプリルフールですが本当の事を書きます(?)

 珍しく難波の方に用事があったのでそのまま足をのばして久しぶりに日本橋の電気屋街へ。高耐圧ダイオードやプラグなどを購入し、近所の中古レコード屋も久しぶりに覗いてみました。ロベルト・シドンのラフマニノフ「第2ソナタ」、スクリャービン「第4ソナタ」、プロコフィエフ「第6ソナタ」を購入。シドンは密かに(?)集めているピアニストで確かな技巧に加え南米出身故かしっかりとした清潔な打鍵が好きな演奏家です。大体見かける時は叩き売り価格なのですが意外にレコードを見かけないピアニストでもあります(特に南米グラムフォン盤)。この盤がドイツ・グラムフォンのデビュー盤らしくプロデューサーはカール・ファウストです。ラフマニノフのソナタは予想通りしっかりとした打鍵と闊達な指捌きで元気よく弾いています。スクリャービンではややもったりした感じはありますが私はシドンのスクリャービンは結構好きな演奏です。プロコフィエフのソナタは若きポゴレヴィチ、ペトロフ等名演がありますがシドンもなかなかのもの。速く弾くには「軽さ」が必要です。軽く弾く事によってテンポを上げる事は出来ます。しかし速く「重く」弾く事はまさに選らばれた少数のピアニストにのみ許された演奏です。シドンは巧みにその技巧を使い分け重すぎず軽すぎず、しかも元気よく弾きこなしています。シドンのニャターリ・アルバムはさる方の厚意でCD-Rをもっていますがオリジナル盤も欲しいですねぇ(^^
 他にテレンス・ジャッドのプロコフィエフ「第3協奏曲」、チャイコフスキー「第1協奏曲」のLP盤。シャンドス盤ですがハルモニア・ムンディの印もありしかもUSA盤という一体どこの国のものかよくわからない盤。CDではこのカップリングで発売されていましたが邦盤LPはチャイコフスキーのみでした。ちょっと珍しいような気がしたので(しかも安かったので)買ってしまいました。

 次作の自作アンプの部品を見に行ったのですが、やはり一台のアンプを組み上げるのはなかなか大変なことです。真空管アンプの初段を半導体で組もうと思っているのですが半導体は誤差がありますので、選別のために多めに買ったり、その選別のための冶具を組んだり大変なものです。しかしわざわざ自分で作るのですからいいものを作りたいのが人情。私はメーカー製アンプはその安定性、安全性、保証等素晴らしい設計であると思います。しかし一度自作真空管アンプを組んでみると数々のリスクをしょっても自作品にいってしまいます。かつてさる高級真空管アンプを試聴しましたが無信号時最大音量にするとノイズが入ります。私が2万円ほどで組んだ真空管アンプは最大音量にしても耳ではノイズは聞き取れません(精密な測定器を持ってすればアラは出るでしょうが)。
 先にも書いたように絶対に自作アンプはメーカー製アンプの安全性、保証といった面では微妙な面があります。しかし世界に一台しかないアンプというだけでも嬉しくなるのが人情です。人間というヤツは自分かわいいものですね(^^;

 探していた楽譜が到着。久しぶりに興奮しました。この話はまた後ほど。

2009/3/30

 JEUGIAでの「日本ピアノ音楽選」無事終了。アンコールは武満徹「めぐり逢い」、ショパン「マズルカ 作品63−3」でした。なかなか解説が大変で言葉に詰まる見苦しい場面もありましたがご来場いただきました皆様に心より感謝します。

 5月15日、野田阪神の遊音堂で演奏会を行います。曲目は
 ベートーヴェン ソナタ 作品27−2「月光」
 バッハ イタリア風協奏曲
 平井康三郎 荒城の月の主題による変奏曲
 西村朗 星の鏡
 小林秀雄 落葉松(作曲者自編)
 の予定です。午後7時開演、入場料3,000円となっています。

 本日は久しぶりに中古レコード屋へ。ざっと見てみてロシア、メロディア盤が値上がりしていたのでビックリ。特に欲しいものはなかったのですがベルマンのスクリャービンアルバム、ロシア国内仕様のものすごく怪しいジャケット、リヒテル、ウラセンコのアルバムなども結構な値段(といっても2、3000円ですが)になっていました。ウラセンコ教授などは昔はせいぜい500円くらいだったのですが…。
 イヴォンヌ・ロリオの「みどりご」のVEGA盤のウエストミンスター盤も結構な値段(こちらは5000円ほど)。悩んで結局何も買いませんでした。

2009/3/24

 4月24日(金)大阪のJEUGIA梅田ハービスENT店で演奏会を行います。プログラムは
 フランツ・リスト 愛の夢第3番 ハンガリー狂詩曲6番
 フリデリク・ショパン ノクターン嬰ハ短調(遺作) バラード1番
 幻想即興曲 ギャロップ・マルキ 子犬のワルツ マズルカOp.63-3 マズルカOp.68-4
 の予定です。18時開演、入場料は2,000円(学生1,000円)となっております。

 夜CDやLPを聴くとなると小さな音量でかけているのですが、以前作ったヘッドフォンアンプをつないで聴いてみました。プリアンプの録音出力からヘッドフォンアンプにつないでLP、CDを聴きましたがなかなかのものです。高橋悠治氏の弾くバッハ「トッカータハ短調」、ツィンツァーゼ「24の前奏曲」等を聴いてみましたがスピーカーとは違い「部屋」という制約がないのはある意味強みであると言えます。私が作ったヘッドフォンアンプは酒井智巳氏の「はじめてつくるヘッドフォンアンプ」を元に作ったものです。酒井氏は前書きで「部屋の制約」のないヘッドフォンアンプを「おまけ」ではなく「積極的」に使おうと書いています。確かにCDプレーヤーやアンプについているヘッドフォン端子の基盤はビックリするほど小さく「おまけ」云う言葉を連想させるものです(高級機は見た事がないのでわかりません)。また専用のヘッドフォンアンプは高価で私にはとても手が出ません。そこで「自作」となるのですが様々な本やネットでの製作記事などがある中で私は「はじめての〜アンプ」シリーズは自作初心者には良書だと思っています。回路図がないとかケースの加工についての説明がほとんどないとか部品による音の違いといったオカルト的な部分を批判する文章も目にします。確かにそういった面はありますがそれでも私はシリーズすべて作る事ができ音も出ました。また見た目よりも配線を短くするため小さく廉価なケースを使い、コストも1万円以内で製作できるのも初心者にとって敷居が低いです。音質にこだわり高価な部品を使った製作記事がほとんどの自作オーディオの世界では珍しい事です。造本も製作中、本を開いたままに出来るといった細かな配慮もこの本ならではのものです(著者自身の装丁)。私が始めて作ったトライパスのTA2041のパワーアンプも「はじめて作るパワーアンプ」を参考にして作ったのでした。酒井氏は著書の中で「自分のやりやすいように」作ると書いています。この本はモノを作るための本であってキットの解説書ではないのです。回路図がないとかいうことは初心者の域を出た時に物足りなくなり出てくる感想であると思います。
 目下私の最大の問題点はヘッドフォンがあまりにもチープという点です(^^;

2009/3/13

 名盤「高橋アキの世界」がCD化されました。邦人作品はかつてCD化されていたのですがブーレーズ、シュトックハウゼンをはじめとする3枚目のLPは初CD化です。売りきれる前に確保して起きましょう。私はこのLPセットを2組持っています。今回初CD化された3枚目は単発LPとしても出ていました(勿論こちらも持っています(^^)。単発LPは中古屋でもたまに見かけそんなに高くありません。このLPセットを持っている人は解説とともになんとも難解な高橋悠治氏と三枝成章氏の付録楽譜も復刻されたのか気になるところです。さてこのアルバムのタイトル「Aki Takahashi Piano Space」。どこかで見たようなタイトルですが…(^^;
 一緒に復刻された岩崎洸氏の「現代日本チェロ名曲大系」も必聴盤です。こちらも学生時代から探しているレコードですが何回か遭遇しているものの2万円以上の値がついていたので買っていません。今回の復刻は大変ありがたいです。

2009/3/11

 名作「アリュシナシオン」の作曲者辻井英世氏が死去されました。享年75歳。氏の作品は大学生の頃に初めて聴き興味を覚えました。評論家としても著名で関西のホールでお見かけする事もありました。
 謹んでご冥福をお祈りします。

 3月26日(木曜日)JEUGIAでの「日本ピアノ音楽選」ですが武満徹の作品は純粋なピアノ作品ではありません。「燃える秋」のみが武満の編曲によるもとは「うた(武満は「ソング」と称した)」です。しかしこれらの作品は本当に魅力的な作品です。元々映画の音楽として書かれたものも多く「映画音楽作曲家」武満徹の一端を伝える貴重な作品であると思います。私は武満徹は最高の映画音楽作曲家であると思っています。勿論彼のクラシック音楽も素晴らしいものですが、それと同等、それ以上にレヴェルの高い映画音楽を書いたのは事実です。私は「映画音楽」がクラシック作品に劣るものであるとは考えていません。
 武満の「うた」は弾き飽きることがありません。先日FAZIOLIの演奏会のアンコールでも「昨日のしみ」を弾きましたが、どれも素晴らしいものです。私が歌が上手かったら弾き語りでもしたいところですが残念ながら歌は下手なのでピアノでその魅力を伝えられたらと思っています。

2009/3/7

 今はなきマイクロ精機のMR−611を購入。勿論中古です。大学時代の友人がマイクロのターンテーブルを持っていて聴かせてもらった事があるのですが非常に良かったので是非欲しいと思っていました。それから数年経って念願を果たした訳です。針圧を調整してレコードをかけてみましたが実にいい感じです。ベルトドライブの実にシンプルな造りですがそれゆえに精度を求められるのでしょう。とても30年以上前のプレーヤーとは思えないです。自作の真空管プリアンプに真空管アンプ、塩ビ管スピーカー、中古のプレーヤー全部合わせても10万円するかしないかでしょう(CDプレーヤーYAMAHAのCDX-700Dは1,000円!)。しかし、夜、酒を片手に電気を落として静かにピアノや室内楽を聴くのはまさに至福の時。
 オーディオなんて自己満足の世界ですね。

 LPといえば最近ネットショップを見ていないなぁと久しぶりに覗いて見ると探しているレコードが続々とsold outになっている。これがウン万円もするようなレコードなら頭から買う気も起こらないのですが高くて20ドルほど。これは見ると悔しいです(^^;縁があったら出会えると思いましょう。

2009/3/6

 遊音堂での演奏会終了。ロイプケのソナタも既に3回目の演奏。暗譜で演奏するのも馴れたとはいいませんがやっと板についてきたようです。
 終演後はオタッキーさんをはじめ濃いメンバーで飲み会。ロマン派大作ソナタで盛り上がりました。オタッキーさんや金澤攝さんとお話していると21世紀になっても私達はまだまだ19世紀の音楽を俯瞰しているとはいえないようです。勿論19世紀に限らずそれ以前の音楽さえごく一部しか知らない訳ですがピアノ音楽最盛期のロマン派においてまだまだ未知の作曲がいる事は驚きを禁じ得ません。ここ最近メールでも様々教えていただくこともあり、まだまだ勉強不足と感じました。知らないことは恥ではありませんが知ろうとしないことは恥である、これは何事においても最も大切な事なのでしょう。

 しかしJEUGIAでの1ヶ月に1回の演奏会はなかなか大変です。演奏の準備だけでなくプログラムの作り、トークの内容など不慣れな事ばかりです。今月の「日本ピアノ音楽選」も楽しいものにしたいものです。

2009/2/21

 JEUGIAでのライブ終了しました。アンコールは武満徹「見えない子供」「雪」の2曲でした。次回は3月26日(木)午後6時から「日本ピアノ音楽選」です。武満徹の「Song」や近藤浩平さんの作品等を解説付きで演奏します。入場料2,000円(学生券1,000円)です。

 プラスキン「ホロヴィッツ」の中でホロヴィッツがレパートリーとしていた記述のあるジェロビンスキーの「6つの練習曲」楽譜を入手しました。長らく作品を探していたのですが「ある場所」は大体決まっておりそのうち出るだろうとは思っていました。とはいえ入手できたのは嬉しく「謙虚に」音に出してみました。作品は非常に短い小品集です。一曲目の「トッカータ」、5曲目の「ダンス」などは動きが面白い作品です。

2009/2/14

 FAZIOLIショールームでの演奏会、無事終了しました。初めての東京での演奏会ということもあり前半(特にリスト)はかなり緊張気味でしたがドビュッシーではF308についている第4ペダルも使いかなり自由に演奏出来たと思います。どのような音も余裕をもって鳴らすことの出来るF308は本当に素晴らしい楽器でした。初めて東京の演奏会をこの楽器で演奏できた事は嬉しい限りです。ペルレのMさん、FAZIOLIのスタッフ、そして聴きに来ていただいた皆様に厚く感謝申し上げます。
 アンコールはマデリン・ドリング「色彩組曲」から「ブルー・エア」、ヨーク・ボーエン「24の前奏曲」から8番、武満徹「昨日のしみ」、ジャコモ・プッチーニ「小さなワルツ」でした。イタリアの楽器ということで最後にプッチーニを演奏しましたがやはり明るく伸びやかな音はFAZIOLIにぴったりでした。

 ドビュッシーで多用した第4ペダルですが、このペダルによってハンマーが少しあがり打弦距離を短くする事によって音色が変わります。1月に行った時と前日の練習で第4ペダルの使い方を少し研究しましたが結局今回は第4ペダルと第3ペダル(ソフトペダル)を同時に踏むという使い方をし、第4ペダル単独では使用しませんでした。これはドビュッシーの作品の感じもあるのですが例えば「オンディーヌ」などではこの二つのペダルを一緒に踏むと清澄な感じがやや失われるようでソフトペダルだけにしたりと、まだまだ研究の余地はあります。特に今回行わなかった第4ペダル単独での使用はもっと注意深く勉強してみたいです(といってもF308か友人所有のFAZIOLIにしかついていないので頻繁に練習は出来ないのですが…)。

 翌日はスタッフとして同行してくれた母と東京観光。千駄木界隈「猫街」を探索。「ねんねこ堂」や「いせ辰」などを廻り喫茶「乱歩」で休憩。静かな下町で寺も多く少し歩くと徳川家の菩提寺の一つでもある寛永寺があります。猫の多い土地ということで本当に「猫街」の看板があがっています。「ねんねこ堂」は猫の雑貨を扱っている小さな店ですが店内は猫好きのお客さんが絶えず出入りしています。「いせ辰」は江戸時代から続く和紙、千代紙の店。手刷り、機械刷りの様々な千代紙があります。手刷りの「をさな猫」「猫の浮世風呂」「猫の芝居」等の一連の「猫」シリーズは一枚は欲しいものです。手ぬぐい、風呂敷なども扱っています。
 猫好きは一度は訪れてみたいところではないでしょうか。

 その後新宿に出てレコード屋を物色。さすがに疲れていたので新宿のディスクユニオンのみ覗きました。先日の更新にも少し書いたSyomin(Semin)のアルベニス「イベリア」全曲、ポール・ジェイコブズ「バッハ、ブラームス、オルガンコラール ブゾーニ編曲集」、ヴィクトル・エレシコ「展覧会の絵」等を購入。Seminの「イベリア」はLP3面に収められ残る1面はアルベニス「タンゴ(ゴドフスキ編)」、ブゾーニ「カルメンファンタジー」、ゴドウスキ「『芸術家の生涯』による交響的変容」が収録されています。後オグドンの弾くブゾーニ「ピアノ協奏曲」のLPも破格の安さで入手しました。
 夕食後は新宿で中国式整体を受け演奏会の疲れを癒しました。その後早々にホテルに帰り寝ました。

 最終日は六本木の国立新美術館、サントリー美術館へ。サントリー美術館では「三井寺展」を開催しており見てきました。新幹線の時間まで秋葉原に行き真空管PCL86、6CW5を購入。1本300〜450円という安さ。ブロックコンデンサも手ごろな値段であったので購入(多分ジャンクではないはずです)。ほか整流ダイオード、定電流ダイオードなど安く買う事が出来ました。トランスも買って帰ろうかと思ったのですが荷物がこれ以上重くなるのも大変なのでやめました。

 4日間の東京滞在、前日練習、演奏会当日を除いて1日と半分しか動けませんでしたが今までになく充実した滞在であったと思います。

オマケ 
ねんねこ堂で買った「猫最中」

 大阪野田阪神の遊音堂でロイプケのソナタを演奏します。3月1日(日)午後1時30分開演。ロイプケは大阪で初演ではないでしょうか?

2009/2/9

 本日の午前中から東京に行きFAZIOLIで練習させていただきます。前日に本番と同じピアノ(F308!)で練習させていただけるのは本当に有難いことです。スタッフの皆様に感謝します。FAZIOLI独特の明るい音色操作やペダルの練習を重点的にしたいと思います。

 10日の演奏会来て頂く際は必ず地図を御持参下さい。地図がないと迷います(^^;

2009/2/8

 リストや今回演奏するロイプケのソナタ、またレーガーの「バッハ変奏曲」等の作品はその演奏の難しさ以上に30分近くまったく切れ目なしに演奏するという大変さがあります。リストのソナタの部分部分はリストの作品の中でも飛び切りの難しさではありません(十分に難しいかもしれませんが)。しかし30分間切れ目なしとなるとまず集中力、体力がいります。極端な話技術的に平易な部分でさえ長時間の中にある事によって難易度が上がります。そういう意味で「難曲」であると私は思います。私もかつてはリストのソナタは長いというだけでかなりパフォーマンスコストの良い作品であると思っていました。しかし実際人前で演奏してみると大変なものです。楽章間に汗を拭ける(これも見苦しいものですが)ソナタが楽に思えました。少なくとも一息はつけます。東京でのロイプケのソナタの演奏を控えていますが改めて大変な曲だと思っています。
 何事も実際にやってみないとわからない事は多いです。

2009/2/6

 東京に行く時友人に「お土産」持って行くことがあります。それは楽譜だったりCDだったりするのですが今回「お土産」にLPから録音していて改めて聴きなおす機会があった作品を紹介します。若きニコライ・デミジェンコの弾くリスト「ドン・ファン幻想曲」。これはすごいです。よく聴くと編集が入っているらしき箇所もありますがそれを踏まえてもそのパワー、推進力、テクニック素晴らしいものです。デミジェンコはどちらかというと渋めのピアニストになった感があリますが、それでもアレクセイエフと共演したラフマニノフ「2台の組曲第2集」ではロシア男の色香全開聴衆を捻じ伏せるほどの魅力的な演奏をします。ただ比較的若い時期に録音された「ドン・ファン変奏曲」は若き気合とパワーとテクニックと推進力が渾然一体となり余人を近づける事の出来ない壮絶な演奏に撒きこんでいきます。勿論これより他の人の「エグイ」演奏はありますが、最後に向ってまるで火焔が炸裂するかの推進力は比較的演奏される事の多い「ドン・ファン幻想曲」の一つの極でありましょう。これを聴くと私は弾く気がしないんですよ、「ドン・ファン幻想曲」(世にはこの曲を簡単だと仰る方もいらっしゃるようですが)。
 度々我が家のオーディ・チェック、試聴会で必ず1度はかかるスヴェトラーノフ作曲「ピアノ協奏曲」。何枚か演奏ある(自身がピアノ弾いたものある。指揮はシュスタコJr)のですがやはり決定版は指揮スヴェトラーノフ、ピアノ、ニコライ・ペトロフの強力重厚コンビによる演奏が素晴らしい。ペトロフの打弦も心なしか熱っぽくロシアの民謡をネタに突然盛り上がったりするなんとも楽しい協奏曲。ロシア音楽ファン必聴です。「N響アワー」でも横山幸雄氏が弾かれたのを聴かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。傑作というより大ケッサクといった感の作品であります。
 ジャン・ルドルフ・カールスのメシアン「みどりご抜粋(10、17)」。ドビュッシー「前奏曲集全曲」やディリアス「協奏曲」でも有名ですがメシアンはやはりしっかりとした造形で掘り込み方が違います。ところでメシアンの「みどりご全曲」は一般にエラートのロリオの演奏が基準といった印象を受けますがロリオがカリオペレコードを確認したらVEGAでした)に録音されたモノラル盤を聴くと考えを変えたくなります。明快性という点ではピエール・ロラン・エマールはやはりロリオの弟子なのだと思いました。カールスの演奏は情と知のバランスがよく端正な演奏であると思います。オグドンのようにどっぷり異次元に浸かっても弾きとおす事が出来る曲(しかも世界観さえしっかりしていれば普通の演奏を凌駕すらする)でもありますが私は端正なカールスをとります。メシアン演奏としては物足りないという人もいるかもしれません。

 すべて廃盤、入手困難(としておこう^^;)です。もし興味のある方は御一報くだされば「聴ける」ようには出来ると思います。

 録音に失敗してしまったのですがヴェデルニコフが弾くシェーンベルグ「ピアノ協奏曲」。これは本当に驚くほどうまいです。ソビエトにこれだけシェーンベルグを理解した演奏家がいたことに驚きです。メリハリの効いた実にしっかりとしたシェーンベルグ像です。シェーンベルグ本人はこのような演奏を聴いたことがあるのでしょうか。

 Oleg Eiges かつてRCAから出ていた「Russian Piano School」のEdvard Syomin が「ソナタトッカータ作品15」を弾いていたのを御記憶の方もいらっしゃるでしょう。さてこのEigesの楽譜をいくつか所蔵していますが「ソナタトッカータ」もオクターヴによる過酷な対位法的処理など相当難しい作品のようです。しかしちゃんと弾くと効き応えのある作品ではあります。興味のある方は〜以下略。

 東京の演奏会まで5日ほど。調整や事務作業に忙殺されています。これが終わるとすぐJEUGIAの演奏会、これは毎月続く訳ですから今年はかなり忙しい1年になりそうです。

 FAZIOLIショールームは建物に大きな看板など出ていません。建物左の入り口の階段を上がって2階がサロンになっております。必ず地図かFAZIOLIの連絡先を控えておいて来てください。

2009/2/5

 10日のFAZIOLIでの演奏会が近づいてきました。今回の会場はまだ新しいということもあり看板も何も出ていません。地図なしで自力で到着するのは大変ですので必ず地図を御持参(地図クリックで拡大されます)下さるか、FAZIOLIの連絡先を控えておいて下さい。会場内は白と黒のコントラスト鮮やかな落ち着いた会場です。ピアノはF308。このピアノでドビュッシーを演奏出来るのは演奏家冥利に尽きます。「第4ペダル」の使い方も先日訪れた時研究しました。どれほど効果を上げる事が出来るかわかりませんが頑張って演奏したいと思います。

 3月26日(木曜日)JEUGIA演奏会の詳細が出来ましたのでお知らせします。scheduleも更新。

「日本ピアノ音楽選」プログラム 

 滝廉太郎 メヌエット 憾
 平井康三郎 「荒城の月」の主題による変奏曲
 武満徹 恋のかくれんぼ 島へ 燃える秋 翼
 福島和夫 水煙
 近藤浩平 「アトリエの古い画帳」から「教会の尖塔」「シエラネバダの雪」「湖のある風景」
 平井康三郎 幻想曲「さくら さくら」
 午後6時開演、入場料2000円(学生券1000円)となっています。

2009/2/3

 JEUGIAの演奏会終了しました。沢山のお客様にご来場いただき感謝しています。プログラムには出ていませんでしたが新発見のベートーヴェン最後のピアノ曲(1分くらいの曲)を演奏しました。解説も私にしてはよく出来た方であると思います。

 次ぎの演奏は10日に東京FAZIOLIでの演奏、20日にJEUGIAです。

2009/1/30

 本日(29日)宝塚某所で行われたミヒャエル・ナナサコフ氏の録音を見学させていただきました。実に7年ぶりの録音である由ですが恐るべきテクニック(^^により描き出される音像はかつて一柳慧氏を感動せしめたものが伝わってきました(ちなみに一柳氏はナナサコフ氏を聴いてはいません)。特別に私のためにショパン、ゴドフスキ編曲の練習曲を聴かせていただきました。ナナサコフ氏のファーストアルバム「ショパン・ゴドフスキ」(当時私は高校生でした)にくらべ格段に叙情的な演奏。正直驚きました。そしてショパン・ゴドウスキによる10-1。ここでナナサコフ氏は第1曲を変ニ長調で弾き(原曲はハ長調)次の左手バージョンへ切れ目なく演奏するというまさに「人間離れ」した演奏を聴かしてくださいました。しかしその統一感たるや、これが原曲かと思わせるものでした。ナナサコフ氏曰くやはりショパン・ゴドフスキはアムランの叙情的な演奏は影響されるところ多いということでした。録音中ということもあり早々に引き上げませいたが夜はオタッキー氏と飲み会との由、私も参加したかったのですがさすがに翌日の演奏会があるので参加しませんでした(^^;
 今回の録音でナナサコフ氏はショパン・ゴドフスキ練習曲を全曲録音されるとのことです。ペダリングに学ぶところ多い演奏であると私は思っています。

2009/1/28

 1月30日のJEUGIAのコンサートは盛大に喋る予定です。私は元来お喋りな人間なのですが、1対多数という形式になると途端に「〜であります」「〜と言っても良いのではないかと思います」といった出来そこない先生口調になってしまいます。これは会話と講演の違いのようなものではないでしょうか。会話だと1対数名であってもその中の特定の「誰か」を意識して喋り、その「誰か」の反応を感じます。そのキャッチボールがうまくいくと会話は弾みます。しかし講演型では基本的にトークは一方通行です。特定の「誰か」が基本的にいないといえます。よく大人数を前に喋る時は頷いたりする人を見つけてその人に喋るように意識するとうまくいくといったことを聴きますがまさに会話の相手「誰か」を仮想することではないかと思います。狐狸庵先生こと故遠藤周作氏は講演は大嫌いだが対談は好きという人でした。これも納得いく話しです。ちなみに私は中学生の頃母に連れられて宝塚ホテルに遠藤周作氏の講演を聴きにいった事があります。今から思えば狐狸庵先生のエッセイからのエピソードが多かったのですが印象的な講演でした。狐狸庵先生は講演も上手でした(^^
 30日は何とか楽しんでもらえるような話が出来るといいです。演奏よりこっちの方が心配だったりします…。

 プリアンプを少し手直し。「情熱の真空管」を読んでアースの引き回しを変更。元から十分静かなアンプでしたが精神衛生上少し変更しました。聴感上の違いはほとんどありません。一応アースは意識して作っていたのでしたが結果的にうまくいったという感もあります。とにかく実用できるよう出来上がったのでよかったです。
 今年は「情熱の真空管」で解説されている全段差動アンプを是非とも作りたいです。言葉どおり「メーカー製にはない」設計、音のアンプと評判です。

2009/1/17

 FAZIOLIショールームに行ってまいりました。2月10日の打ち合わせでしたがやはりF308の試弾がメインでした。FAZIOLIスタッフのご厚意で4時間近くF308で練習する事が出来ました。
 とにかく全てにおいて余裕のある楽器です。また特殊な「第4ペダル」の使い方も私なりに考えてみました。如何せん限られた時間でしたが非常に勉強になりました。そして、それ以上にFAZIOLIのピアノを弾くということがピアノを弾く者にとって楽しいものであるという事を改めて実感しました。休憩も挟まず弾きっぱなし状態でしたがあっという間の4時間でした。FAZIOLIスタッフ並びに同行していただいたMさんに感謝します。
 ところで2月10日の演奏会の会場となるFAZIOLIショールームですが、なかなか判りづらい場所にあります。来て頂く際は必ずFAZIOLIのHP掲載の地図をお持ち下さい。ご希望の方はメールしていただければ地図記載のチラシを送ります。

 今回の上京は1泊でしたが夜はY夫妻、Kさんの4人で今年初めての飲み会。焼酎専門の店ということもありやや控え目な飲み方でしたが、結局ホテルに帰ってからビールを飲んで寝ました(^^;翌日はレコード店や秋葉原にトランスを見に行くつもりだったのですが面倒くさくなって行かずじまい。Kさんと東京駅近辺で軽く飲んで帰ってきました。
 お付き合い頂きありがとうございました。

 HP開設10周年を記念してささやかな特設ページを作ってみました。興味のある方はメール下さい。

2009/1/6

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 さて気がつくと本HPも10年目に突入です。紆余曲折、色々ありましたがよく続いたものだと思います。残念ながら開設当時の文章はほとんど残っていませんが(booksの一部がその頃のものと思われます)これからも演奏にレパートリーの開拓は勿論、趣味の方も読書、映画、自作アンプなどなど様々に脱線していきたいと思います。
 という訳で10周年企画を考えています。ご興味のある方はメールでお知らせ下さい。

 2月20日のJEUGIAのコンサートの内容をscheduleにアップしました。題して「音で巡る異国旅行」。
 「異国を描く」というには大きく二つあります。ある国の人が別の国を描く場合と、自らの国を描く場合とです。今回のモーツァルトやドビュッシーは前者、グァスタヴィーノやムソルグスキーは後者に当たります。どちらがいいのかというのはあまり意味のない問題のような気がします。優れた作品であればどちらであるかということは関係ないからです。これは絵画や文学でも起こることですが異国を描く際作者(大抵の場合現地に赴いたことのない人が多い)が起す勘違いや捏造がある事です。事実と違うことは問題であるかもしれませんが、一つの作品として独特の雰囲気を醸し出しいるのであれば良いのではないでしょうか。ドビュッシーが実は正確なスペイン音階を使っていないとか探せば色々ありますが、ドビュッシーが描き出したかったのはスペイン音階ではなくスペインの空気、雰囲気であって例え音階が間違っていたとしても頓着しなかったように思います。民族楽派と云われる人たちも「自国の音楽を広めたい」という方向性と「自国をモチーフにしたい」という方向性があると思います。もし本当に自国の「生」の音楽であれば伝統芸能として残っているものを聴いた方がいいかもしれません。表現の方向性さえしっかりしておりそこから良いものを生み出そうとする努力を惜しまないなら「本物とは違う」から別の「本物」が立ち現れてこないでしょうか?
 最後に私は「本物」って言葉は嫌いなんですけどね(^^;
 ちなみにJEUGIAさんでのコンサート、3月は滝廉太郎に始まる「日本ピアノ音楽選」を予定しております。御期待下さい。

2008/12/30

 ゴドフスキー「ジャワ組曲」の出版されました。私も微力ながら校正をお手伝いしたので楽譜を送っていただきました。解説が充実していてこの解説を読むだけでも価値あるものです。ゴドフスキーについての偏見を見直す気風は既にありますがやはり今でも十分「ゲテモノ」であることでしょう。しかしこの楽譜の解説を読むとゴドフスキーがラフマニノフ、ホフマン、レヴィーンといった20世紀初頭高く評価されていた事がわかります。そしてこの曲集のどれか一曲音にしてみると豊饒な和声と対位法を聴く事が出来ます。「採点」「批評」をする立場からでなく演奏者としての自らの指で作品を捉えて頂きたいです。
 ちなみに最後のページに協力者として私の名前が小さく出ています。ちょっとみていただけると嬉しかったりします(^^;

2008/12/27

 年末恒例の阪神百貨店レコードセールへ行く。最近は無精になって分類されていないレコードを見るのが結構めんどくさかったりします。せめてオーケストラ、器楽、オペラくらいに分類してあれば見る気もするのですが分類されていないレコードをチェックして行くのは大変です。しかしこういう中に掘り出し物があるのも事実。安そうなコーナーを漁ってみました。Ades原盤フィリップスのブーレーズ指揮シェーンベルグ「月につかれたピエロ」、ブーレーズ「ル・マルトー・サン・メートル」2枚組み、石井真木、湯浅譲二、水野修考の作品集、エルフェのドビュッシーを購入。価格は3,000円ほど。ブーレーズの2枚組みは当時の邦盤特有の分厚い解説が一番のお目当てかもしれません。吉田秀和氏、故柴田南雄氏の解説が収録されています。故石井真木氏「遭遇T番(「ピアノ曲’70」「尺八のための音楽」同時演奏)」、湯浅譲二氏の「プロジェクション・エセムプラスティク」と水野修考氏の「ピアノのための仮象」はピアノ作品で演奏は故園田高弘氏。園田氏はバッハ、ベートーヴェン等いわゆるオーソドックスなイメージが強いですが若い頃は「実験工房」で実験的な作品も手がけられていました。私は氏の演奏を一度しか生で聴いた事がありませんがそれは一柳慧氏の個展でした。その時も一柳氏の作品の他、権代敦彦氏の「2台ピアノのための『69』」を園田、一柳デュオで演奏されていました。ある種の鋭角的な感覚のなさはありますがこのような作品を録音当時既に「巨匠」であった園田氏が演奏されるのは素晴らしいことです。「ピアノのための仮象」は高橋アキさんの名演のイメージが強いですが園田氏もなかなか鮮やかに演奏されています。解説に「ピアノのための仮象」の初演者が和田則彦氏であると書かれていて驚きました。

2008/12/26

 1月18日の遊音堂での演奏、時間の都合で残念ながら出演出来なくなってしまいました。スケジュールも訂正します。

 先日、西宮で忘年会がありました。楽譜校正の難しさやアンプの話など暴走気味の飲み会。すっかり終電を逃して大変なことになりました。反省して来年はこんなことのないようにしないといけませんね。

2008/12/21

 2009年1月30日午後6時よりハービス大阪JEUJIAで演奏会を行います。プログラムは
 L.v.ベートーヴェン ピアノソナタ作品13「悲愴」
 L.v.ベートーヴェン エリーゼのために
 J.シベリウス 「ピヒヤラの花咲く時」「もみの木」
 R.シューマン 「君は花のように」(ゴドフスキー編)
 C.ドビュッシー 「ヒースの茂る荒地」「花火」
 です。

2008/12/15

 2009年2月10日午後7時より東京田町のFAZIOLIショールームで演奏会を行うことになりました。プログラムは
 F.リスト 3つの愛の夢
 J.ロイプケ ピアノソナタ
 C.ドビュッシー 前奏曲集第2集
 です。

 カプスチンの楽譜を発行しているプリズムから12月25日ゴドフスキーの「ジャワ組曲」が発売されます。編集は「オリヴィエ・メシアンに注ぐまなざし」管理人の西村さんです。私も微力ながら校正チェックをお手伝いさせていただきました。ゴドウスキーの楽譜は主にカール・フィッシャー社から出ています。プリズムの楽譜もカール・フィッシャー版を底本にしていますが今回の校訂で初版から現在に至るまで少なくとも1回の楽譜の修正が行われている事がわかりました。それは主に「念のための」臨時記号や声部の書き分け方などです。ただでさえ複雑なゴドフスキーの楽譜ですがそれを一つづつ見て行くのは大変な作業でした。しかし初版と現行版を比べると楽譜編集者が実に細やかなところまで考えている事がわかります。色鉛筆を片手にまるでミステリの読むような興奮を味わいました。大変貴重な経験でした。
 12月25日プリズムから定価2400円で発売されます。

2008/11/27

 野田阪神の「遊音堂」が移転します。詳細は未定ですが「遊音堂」で来年の1月18日ロイプケのソナタを演奏します。新年早々ロイプケとは…。詳細決定次第お知らせします。

 今日はプリアンプにやり残していた入力配線(テープモニターと云うやつ)を行い最後のチェックをして蓋をねじでしめて完成。
 このプリアンプはフォノイコライザ部を12AX7を2本、ラインアンプ部を12AT7と云う真空管3本で構成したシンプルなものです。逆にいえば失敗する方がおかしいのでしょうが自分なりに部品の変更などを行ったり、製作書の実態配線図(実際の配線をイラストにしたもの)に間違いがあったりと3日間ほど大いに悩まされました。しかし完成して音を聴いているとその苦労も自慢のような気がしてくるから単純な人間なものです。
 製作書では入力部はAUX(CDなどを入力する)端子が3つにLPプレーヤーの入力端子が2つでしたが、AUX端子を4つにしLPプレーヤー入力端子を1つにしました。録音出力、テープモニター、バランスボリュームは信号ラインに接点が増えるので省略しようかとも考えましたが折角なので付ける事にしました。このバランスボリュームが意外に高価でした。また昔のアンプに付いていたAC出力も3つ付けました。
 さてこれがハラワタです。

 左が電源トランスと電源回路、真ん中の基盤と3つの金属棒みたいのが真空管です。基盤は左がラインアンプ部、右部分と金属棒2本がフォノイコライザ部です。この金属棒みたいなのはアルミの筒でこれで真空管を外部のノイズからシールドします。シールドを外すとこんな感じです。

 部品は見る人が見ると「あれだな」というものですが別に特別こだわりがある訳ではなく通販で安かったので使ってみただけです。ナニナニのフィルムコンデサがいいとかドコドコのオイルコンデサが音がいいとか聞きます。気にならないといえばウソですがオイルコンデサは一本2,000円くらいするので、このアンプだと4本、それだけで8,000円かかるので諦めました(^^;他にも気休めのように「オーディオ用」と称した部品を使っていますがこれも安かったと云うのが大きな理由です(^^
 このプリアンプの音質がどうのと云うことは昨日の更新でも書いたようにあまり意味のない事でしょう。「聴くに耐えないひどい音です」とは書きませんから。ただ、今はレコードを聴くのが楽しくてしょうがありません。苦労のし甲斐があったと云うものです(^^

2008/11/26

 新発見されたと云うベートーヴェンの「最後のピアノ曲」。ベートーヴェンの悪筆は有名ですが速記を使ったと云うこの楽譜は強烈。

 何がなんだかさっぱりわかりません。これを清書すると下のようになるそうです。

 どうなんでしょうか?
 しかしこの作品「バガデレ(小品)」として構想されたのか、更に規模を大きくするためにスケッチされたのか気になるところです。もしかすると「ディアベリ変奏曲」並みの巨大な作品や後期の難解な弦楽四重奏、管弦楽に発展したのかもしれません。そう考えて弾いてみるのも楽しいものです。

 演奏会も終りこの土日祝に真空管プリアンプを作りました。フラットアンプ部の音が異常に小さいトラブルがありましたが何とか完成。誠文堂新光社刊「蘇る真空管オーディオ・アンプ」を基に作りましたが実態配線図に間違いがあります。私も最終的には回路図を見て修正できましたが、もし私が作る1台目のアンプなら完成させることはできなかったでしょう(1台目がプリアンプと云うこともないかとは思いますが)。是非HP、重版では訂正して頂きたいです。
 出来上がりですがフォノイコライザも搭載の私にしてはよく出来たものだと思います。ケースも奮発してちょっといいものを使ったので見栄えも満足です。指定されていない電源トランスを使ったのでノイズが心配でしたがボリュームを最大にしても聴こえません。またフォノイコライザも現段階では極めて安定しており良い感じです。1ヶ月ほど使いこめば更に良くなるのではないかと思います。
 当初、制作費7万円くらいの予定でしたが電源トランスの変更、ケースが廃盤品のためショップの展示品処分価格で入手、電解コンデンサ等の部品の変更、などにより5万円弱で造る事が出来ました。
 さて音のほうですが自分で作ったアンプの音の感想くらいいい加減なものはありません(^^;プリアンプは必要ないと云う人もいますが私は簡単なオペアンプによるプリアンプを作って以来プリアンプの魅力にとらわれています。よく云われるのが「音をつくる」のがプリアンプだと聴きます。確かに立体感が増し、雰囲気が出て、録音されている情報を…やめておきましょう。こういった感想は個人の問題で、ましてや自作アンプでは冷静な判断が付きません(^^;

2008/11/22

 演奏会終了しました。アンコールは
 オルンスタイン 「6つの水彩画」から第1曲
 フリャルコフスキー 前奏曲ト短調
 プッチーニ(生誕150年) 小さなワルツ
 レビコフ 「クリスマス・ツリー」からワルツ
 シューベルト 楽興の時(ゴドフスキー編)
 ファジル・サイ トルコ行進曲
 でした。ご来場いただきました皆様に心から感謝します。

 今回はアンコールもすべて暗譜演奏で挑みました。一番大変だったのはやはりロイプケのソナタ。30分近い曲をよく弾いたものです。舞台で演奏すると曲の構成力の弱さを感じました。特に第1部は「行き当たりばったり」といった感じがします。しかし2部から3部、圧倒的なコーダは演奏しがいあるものです。初めてこの作品を聴いた方からも好評だったようです。
 今年はメシアン生誕100年の年で、メシアンが取り上げられる機会が多かったようですが、私はプッチーニとフロラン・シュミット(没後50年)を考えていました。ただシュミットの重要なピアノ曲「影」や「ミラージュ」は非常に難しい曲なのでプッチーニの作品をアンコールで取り上げました。プッチーニは6曲のピアノ曲しか残されていませんが「電気ショック」など一風変わった作品があります。「小さなワルツ」後に「ボエーム」のムゼッタのアリアとなる作品です。


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