「かんなかあさんがすきめいわくばかり」
生まれつき身体の自由がきかない緩名(かんな)さんは、最重度の「重度重複障害」と診断され、歩くことや話すことはもちろん、まわりのことを理解することさえできないと両親にも思われていた。
その彼女が九歳のとき、パソコンを利用する装置によって、生まれてはじめて自分の気持ちを言葉で表現した。「言葉を持たない」と思われていた重度の障害者たちが、じつは豊かな言葉を持っていた。
いくつものケースを丹念に取材して、重度の障害者たちが置かれている状況を見つめつつ、言葉とは何か人間とは何かという根源的問いかけを投げかける、力作ノンフィクション。
(本書表紙より)
一瞬にして亡くした三菱長崎工場同僚6294人の名簿作り――それは長く孤独な旅だった。
長崎の爆心地から630メートルの所にいた原圭三。彼は長い沈黙を経て原爆で亡くなった同僚の名簿作りに取り組んだ。それは、ただ名前の収集だけではなく、それぞれの死亡状況やその人の人生を確認する作業でもあった。
広島の宮川裕行は校長だった父の教え子676人を含む、亡くなった全ての人々に対する償いとして沈黙を破った。二人の被爆者が鎮魂の旅に出る。『名前を探る旅』改題。
(本書表紙・帯より)
“いのち”と“こころ”を考える医療ルポルタージュ。懸命に治療に励む人びとの勇気を追う。
いつ、誰に起こるかもしれない脳の障害──。意識ははっきりしているのに「植物人間」と宣告された人。外見はまったく普通だが、思考力などに障害のある「高次脳機能障害」。困難な症状を抱えながらも回復を信じ、あきらめることなく懸命に治療に励む本人、家族、医療現場の人びと。“いのち”そして“こころ”とは何かを考えさせるルポルタージュ。『脳障害を生きる人びと』改題。
(本書表紙・帯より)
原爆投下から65年 ―ー 歌手、ジャーナリスト、医師、NPO代表、高校生平和大使…
親時代の記憶・体験を受け継ぎつつ、人生のテーマに挑戦する人びとのの軌跡。
その姿は、戦争を知らない世代がどのようにその記憶と向き合うかの、ひとつの答えになる。
(本書表紙・帯より)
その人らしく暮らすために。
認知症についての誤解を解き、最新の治療薬や治療法の実態と効用、患者本人のためのケアの方法と問題点などをていねいに紹介します。
200万人近くの方が患っている認知症。高齢者ばかりか50歳そこそこで発症する若年性認知症も増えてきました。かつては「ボケ老人」「痴呆」などと呼ばれ、拘束などの手荒い対処も行われてきました。しかし、最新の研究成果と治療法の進歩は、「生活の質」を改善し、その人らしい穏やかな生活を送ることを可能にしつつあります。最新の薬物療法をはじめ、薬を用いない回想法や芸術療法などが実際にどう行われているか、治療の現場でたんねんに取材してきました。
○不安感から「家に帰りたい」との徘徊に
○認知症と診断されない「軽度認知障害」
○入院することで症状がどんどん悪化する
○状況に応じたケアプランで自宅で暮らす
○「グループホーム」で共同生活をおくる
○介護保険がかかえるさまざまな問題点
○経済的な負担をどうすればいいのか
○早期に発見するための診断法
○進行を止める効果がある薬の登場
○みずからの人生を振り返る「回想法」
○軽度の人も活用できる「地域回想法」
○「言葉」を使わない「芸術療法」
○右脳モードの「臨床美術」
○「家族カウンセリング」の重要性
(本書表紙・帯より)
植物状態と診断されていた私には意識があったのです。
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、交通事故での脳損傷…。その知られざる実態を描き、新たな治療の道を探る。
日本人の死因の第三位は脳血管障害である。近年では救急医療の高度化にともない、交通事故で一命をとりとめたものの脳に障害を負ってしまう人も増えている。
誰の身にいつ起こるか分からない脳の障害。しかし患者が直面している厳しい現実は意外に知られていない。
鮮明な意識を取り戻していたにもかかわらず「植物状態」と宣告された人たち。外的な異常はないが認知能力や思考力に問題を抱える「高次脳機能障害」の人たち。あるいは、脳ドックに基づく「予防手術」をしたために深刻な障害を負ってしまった人たち。
障害の部位によって症状はきわめて多様かつ複雑なものとなるが、医療も行政もそれへの充分な対応が出来ていないのが現状だ。一方で、絶望と思われた症状からの復活をめざす新たな治療法も登場してきた。脳障害をめぐる驚くべき状況を、本書は多面的に描き出していく。
(本書表紙・帯より)
70年前「内戦」に市民は立ち上がった。その闘いの今日的意義を検証し、アジアとの関係を解き明かす。
(本書帯より)
石川捷治氏(久留米大学法学部教授・九州大学名誉教授)との共著。
死者への思いと行き場のない憤怒が、終わりなき鎮魂の旅へ駆り立てる。
原爆により、長崎三菱工場の六千名以上、広島市女の女生徒七百名近くが、一瞬のうちに命を落とした。その生死を分けたのはある偶然であったにせよ、生き残った者にとっても、この世は煉獄であった―ー
(本書帯より)
本書は、スペイン内戦に関する、最新にしてもっとも意欲的な研究の、集大成である。スペイン内戦を、これほど多角的に捉えた研究書は、世界でも珍しい。それぞれのテーマが、さらなる研究への貴重な足がかりになるだろう。
逢坂剛氏推薦(本書帯より)
川成洋氏、坂東省次氏他編
第2部第10章「スペイン市民戦争と中国、そして日本」執筆
20世紀の負の遺産(原爆・核兵器・2つの世界政府など)は21世紀に残された課題である。その課題とポスト冷戦の世界秩序のなかで、東アジアにおける平和・安全保障の確立を展開する。
(法律文化社ホームページより)
木村朗氏編 第6章「”おばけ”を見たひとたち」執筆
国民国家の呪縛を解き、地域から探る新たな社会像。歴史の独自性を踏まえ、開発依存の問題をえぐりだし、世界との繋がりまで視野を広げて地域の自立を論じる。
(本書帯より)
石川捷治氏、平井一臣氏編
第3章「ナガサキとアジア」執筆
豊かな蓄積の批判的継承と創造的な再生を試みる。暴力化する世界や日本の現実と平和教育との「乖離」は埋められるのか。平和教育が新たな時代の妖精に応えるための道筋と展望を示す。
(本書帯より)
竹内久顕編著
コラム「こころのヒバクシャ ヒロシマ・ナガサキを受け継ぐ人びと」執筆
『世界』(岩波書店)、『中央公論』(中央公論新社)、月刊『現代』(講談社)、『プレジデント』(プレジデント社)、月刊『文芸春秋』(文芸春秋社)、『ニューモデルマガジンX』(ムックハウス)等に記事執筆。