豊かな蓄積の批判的継承と創造的な再生を試みる。暴力化する世界や日本の現実と平和教育との「乖離」は埋められるのか。平和教育が新たな時代の妖精に応えるための道筋と展望を示す。
(本書帯より)
竹内久顕編著
コラム「こころのヒバクシャ ヒロシマ・ナガサキを受け継ぐ人びと」執筆 以下、コラムより一部抜粋
「長崎の証言の会」代表委員を長く務められた故・鎌田定夫さんは被爆者ではないが、あたかも求道者のごとく、被爆者問題と核兵器廃絶運動に一筋に取り組むその姿は、まるで原爆犠牲者の魂が乗り移ったかのようだった。
鎌田さんは自らを、「こころのヒバクシャ」と呼んだ。証言運動に参加した2000人に上る日本人や外国人の被爆者の記録を通じ、鎌田さんの心には、原爆と戦争に対する、重く沈んだ怒りがもたらされていたのだ。
被爆体験を持っていなくとも、被爆の悲しみを胸に秘めた人びとを、鎌田さんに倣って、「こころのヒバクシャ」と呼びたい。そして彼らに共鳴する人びとと、「こころのヒバクシャ」の輪を広げていきたいと、私は願う。