命題論理の「自然演繹」の推論規則 トピック一覧  

命題論理の自然演繹:推論規則公理一覧 
 ・推論規則:⇒導入則⇒除去則∧導入則∧除去則∨導入則∨除去則¬導入則¬除去則¬の定義) 
       背理法二重否定除去律矛盾除去
 ・公理  :排中律 


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※述語論理の場合は、林晋,鹿島亮を参照。



命題論理の形式的体系「自然演繹」における推論規則:「¬導入則」


¬導入則 とは、

 「自然演繹」という《命題論理の形式的体系》において、

  (1) 「 ¬ 論理式A 」というかたちの論理式へ書き換えてよいのは、

     どのようなかたちの論理式のセットを与えられたときか?  
    
  (2) この書き換えの際に、書き換え前の仮定をどのように引き継げばよいか?

 を明示した《自然演繹の推論規則》下記条項のこと。  




【文献】
 ・前原『記号論理入門』2章§4(pp.45-6):特にp.45;
 ・高崎『数理論理学入門VII.1.
 ・鹿島『数理論理学』図2.2(p.29)
 ・戸次 『数理論理学』定義8.8(p.180)
 ・戸田山『論理学をつくる』9.2.1(p.227);9.3.2矛盾記号の導入(p.235)



 ・野矢『入門!論理学』第5章「標準的な命題論理の体系」(p.146)..






【¬導入則】

 * 下記 A には、どんな論理式を入れてもよい。

 (1) 仮定Aのもとで与えられた「を、論理式¬A」に書き換えてよい。

 (2) ただし、
    論理式¬A」へ書き換えた際に引き継ぐ仮定は、
     書き換え前の仮定のすべてではなく、
     書き換え前の仮定から、仮定Aを差し引いた分だけ。

   つまり、
    仮定Xと仮定Aのもとで与えられた  は、
    仮定Xと仮定Aのもとでの「論理式¬A」ではなく
    仮定Xのもとでの「論理式¬A」に書き換えられることになる。

   この仮定引継手続きは、
    「仮定A落ちる」(discharge)[高崎『数理 論理学入門VII.1.]
    「仮定A解消される」[鹿島『数理論理学』図2.2(p.29)]
    「仮定A打ち消される」(discharge)[戸次 『数理論理学』8.1.2打ち消し操作(p.178)]
    「仮定Aキャンセルされる」[戸田山『論理学をつくる』9.1.4(p.219)]
     などと表現される。
  (例)矛盾律の証明(step04)/二重否定律の証明(step03)/対偶律の証明1(step06)/






¬導入則は、下図で表される。





【推論規則:¬導入 

   
[A]




(¬導入)

 
¬A
 





  この図は、
    ・演繹図 [高崎VI. 2.1] 
    ・推論図 [前原p.38;高崎VI. 2.1] 
    ・証明図 proof diagram [戸田山『論理学をつくる』8.1.1(p.177);飯田編(p.90);高崎VI. 2.1;向井pp15-16]proof figure[清水『記号論理学』p.97]
    ・導出図 [鹿島『数理論理学』図2.2(p.29)]
  などと呼ばれる。

* どうして?→ 《¬の定義》と《¬導入則の起源》  
* 使用例 → 矛盾律の証明 (step04)/二重否定律の証明(step03)/対偶律の証明1(step06)/ 





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命題論理の形式的体系「自然演繹」:推論規則「¬除去則」


¬除去則 とは、

 「自然演繹」という《命題論理の形式的体系》において、

  (1)・論理式¬A」を含む論理式のセットを
     論理式¬A」を含まない論理式に書き換えてよいのは、

      どのようなかたちの論理式のセットを与えられたときか? 

    ・また、
     そのとき、 
     どのようなかたちの論理式へ書き換えてよいのか?
    
  (2) この書き換えの際に、書き換え前の仮定をどのように引き継げばよいか?

 を明示した《自然演繹の推論規則》下記条項のこと。  




【文献】
 ・前原『記号論理入門』2章§4(pp.45-6):特にp.45;
 ・高崎『数理論理学入門VII.1.
 ・鹿島『数理論理学』図2.2(p.29)
 ・戸田山『論理学をつくる』9.3.2矛盾記号の導入(p.235).



  






【¬除去則】

 * 下記 A,B には、どんな論理式を入れてもよい。

 (1) 与えられた二つの論理式A」「¬A」を 「  」 へ書き換えてよい。

 (2) 書き換え後に引き継ぐ仮定は、書き換え前の仮定のすべて。






¬除去則は、下図で表される。





【推論規則:¬除去 

   
  A ¬A 


(¬除去)

 

 





  この図は、
    ・演繹図 [高崎VI. 2.1] 
    ・推論図 [前原p.38;高崎VI. 2.1] 
    ・証明図 proof diagram [戸田山『論理学をつくる』8.1.1(p.177);飯田編(p.90);高崎VI. 2.1;向井pp15-16]proof figure[清水『記号論理学』p.97]
    ・導出図 [鹿島『数理論理学』図2.2(p.29)]
  などと呼ばれる。

* どうして?→ 《¬の定義》と《¬除去則の起源》  
* 使用例 → 矛盾律の証明(step03)/対偶律の証明1(step04)/選言的三段論法の証明(step04)/ / 



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¬の定義。¬導入則・¬除去則の起源。 

【定義】 

・「自然演繹」という《命題論理の形式的体系》において、
  論理式¬A」は、論理式A」の略記として、定義される。


【¬導入則について】  

・上記定義より、
 「¬A」とは「A」の略記に過ぎないのだから、
 「¬A」への書き換え(¬導入)とは、実質的には、「A」への書き換え(⇒導入)に他ならない。

・したがって、
  ¬導入則とは、実質上、 
  ⇒導入則  
[A]

B

 


(⇒-導入)



AB

  において、
  Bを「」に指定した
        
[A]




(⇒-導入)


A
  に他ならず、
  このなかの「A」を上記定義にしたがって「¬A」と略記したのが、
  ¬導入則になる。




【文献:《¬導入則》+《¬除去則》は《¬の定義》と同じと指摘】
 ・前原『記号論理入門』§7(p.53)
【文献:《¬の定義》を採用し、《¬導入則》+《¬除去則》をつかわないテキスト】
 ・戸次 『数理論理学』定義8.19NKの推論規則(p.187)
 ・van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) 1.4Natural Deduction(pp.29-39)



  

【¬除去則について】  

・上記定義より、
 「¬A」とは「A」の略記に過ぎないのだから、
 「¬A」からの書き換え(¬除去)とは、実質的には、「A」からの書き換え(¬除去)に他ならない。

・したがって、
  ¬除去則とは、実質上、 
   ⇒除去則  
A AB


(⇒-除去)


B
  において、
  Bを「」に指定した
   ⇒除去則  
A A


(⇒-除去)



  に他ならず、
  このなかの「A」を上記定義にしたがって「¬A」と略記したのが、
  ¬除去則になる。