命題論理の自然演繹における諸定理 【3】矛盾律



Aに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、

   ¬(A(¬A)) 

は、【命題論理における自然演繹】の定理
 

矛盾律の証明


 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
 端的には、
  ・仮定の書き出し 
  ・推論規則「∧除去則」による書き換え 
  ・推論規則「¬除去則」による書き換え 
  ・推論規則「¬導入則」による書き換え 
 のみで、
 論理式¬(A(¬A))」が得られる
 ことを示す。 

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 →step03
 →step04
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[step1] 自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 論理式A(¬A)」を仮定1として、書き出す。
  
 仮定1 
 A∧(¬A)  







【文献】
 ・戸田山『論理学をつくる』9.2.3練習問題68(2)(p.228)解答はp.406:。
 ・野矢『論理学』1-2-3-LP-命題論理の諸定理-定理3(p.70);付録-定理3(p.216)
 ・前原『記号論理入門』7章§2.1(pp.123-4):「A(¬A)⇔  」
 * テキスト間でみられる名称の揺れ:
    ・law of contradiction   [戸田山pp.44-45][清水p.13]
    ・law of non-contradiction [戸次p.39]


 
   


[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え
  ・推論規則「∧除去則」にしたがって、
   「A(¬A)」を「A」へ、
   「A(¬A)」を「¬A」へ書き換える。
  ・推論規則「∧除去則」により、
    書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「A」「¬A」は、仮定1「A(¬A)」のもとにある。
  ・これで、推論規則「∧除去則」による書き換えによって、
   仮定1「A(¬A)」から、
   「仮定1『A(¬A)』のもとで『A』」
   「仮定1『A(¬A)』のもとで『¬A』」
   が導出されたことになる。
  
  

 仮定1 
 A(¬A)




(∧除去)


A

  

 仮定1 
 A(¬A)




(∧除去)


¬A




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[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「¬除去則」にしたがって、
    「仮定1『A(¬A)』のもとでの『A』」
    「仮定1『A(¬A)』のもとでの『¬A』」
   を、「(矛盾)」へ書き換える。
  ・推論規則「¬除去則」により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてだから、
    書き換え後の「(矛盾)」は、仮定1「A(¬A)」のもとにある。

  ・これで、推論規則「¬除去則」による書き換えによって、
   「仮定1『A(¬A)』のもとで『A』」
   「仮定1『A(¬A)』のもとで『¬A』」
   から、
    「仮定1『A(¬A)』のもとで『』」
   が導出されたことになる。

  
  
 仮定1 
 A(¬A)  



(∧除去)


A

  
 仮定1 
 A(¬A)  



(∧除去)


¬A



(¬除去)





[step4]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

  ・推論規則「¬導入則」にしたがって、
   「仮定1『A(¬A)』のもとで『』」 を、「¬(A(¬A))」へ書き換える。
  ・推論規則「¬導入則」の規定にしたがうと、
   「¬(A(¬A))」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
    書き換え前の仮定「A(¬A)」から、仮定「A(¬A)」を差し引いた分だけとなるから、   
   「¬(A(¬A))」への書き換え後、
    仮定はすべて差し引かれてなくなってしまい、
    仮定なしの「¬(A(¬A))」が得られる。
  ・これで、
   推論規則「¬導入則」による書き換えで、
   「仮定1『A(¬A)』のもとで『』」から、
    仮定なしの「¬(A(¬A))」が導出されたことになる。

  
  

 [仮定1] 
 [A(¬A)]




(∧除去)


A

  

 [仮定1] 
 [A(¬A)]




(∧除去)


¬A



(¬除去)





(¬導入)仮定1を解消


¬(A∧(¬A))


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