命題論理の自然演繹における諸定理 【4】二重否定律 law of double negationの証明

 Aに、どのような論理式(命題変数単体に限らない)をいれても、
   ( ¬(¬A) )A (つまり、二重否定除去「¬(¬A) A」二重否定導入「A  ¬(¬A)」)
  は、【命題論理における自然演繹】の定理
【証明:二重否定除去】¬(¬A) ⇒ A 
【証明:二重否定導入】A ⇒ ¬(¬A)

【証明:二重否定除去】¬(¬A) ⇒ A

命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「二重否定除去則」による書き換え  
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
のみで、
論理式¬(¬A) A」が得られること

を示す。   

 → step01 / step02 / step03
 → 推 論規則と しての二重否定律 / 定理としての二重否定律
 → 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧

[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
 論理式¬(¬A)」を仮定1として、書き出す。
  
 仮定1 
 ¬(¬A)  



[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え




【文献】
 ・前原『記号論理入門』3章§1(p.63):¬¬導入;6章§0(p.106)¬¬導入
 ・野矢『論理学』1-2-2-公理系のサンプル2-例題7(p.63):一方向。
 ・戸田山『論理学をつくる』9.2.3練習問題68(2)(p.228):一方向。

 ・van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) Theorem1.4.4(4)(pp.32-3) :¬¬除去。背理法を用いて。


 
   

推論規則「二重否定除去則」にしたがって、「¬(¬A)」を「A」へ 書き換える。
推論規則「二重否定除去則」により
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「A」は、仮定1「¬(¬A)」のもとにある。

・これで、推論規則「二重否定除去則」による書き換えで、
  仮定1「¬(¬A)」から、
  「仮定1『¬(¬A)』のもとで『A』」 が、
  導出されたことになる。

  
 仮定1 
 ¬(¬A)  



(¬¬除去)


A

[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『¬(¬A)』のもとでの『A』」 を「¬(¬A) A」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   「¬(¬A) A」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「¬(¬A)」から、仮定「¬(¬A)」を差し引いた分だけとなる から、   
   「¬(¬A) A」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなってしまい、
    仮定なしの「¬(¬A) A」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
  「仮定1『¬(¬A)』のもとで『A』」 から、
  仮定なしの「¬(¬A) A」が導出されたことになる。

  
 [仮定1] 
 [¬(¬A)]  



(¬¬除去)


A


(⇒導入)仮定1を解消

¬(¬A) ⇒ A

 → 推 論規則と しての二重否定律 / 定理としての二重否定律
 → 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧
 → 論理記号:トピック一覧 
 → 総目次  


  

【証明:二重否定導入】A ⇒ ¬(¬A)

(1)
  命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「¬除去則」による書き換え  
    ・推論規則「¬導入則」による書き換え  
 のみで、
 派生推論規則としての二重否定導入律   

  

 A  



 ¬(¬A) 
 が得られること

(2) 
 命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作
   端的には、
    ・仮定の書き出し 
    ・推論規則「¬除去則」による書き換え  
    ・推論規則「¬導入則」による書き換え  
    ・推論規則「⇒導入則」による書き換え 
 のみで、
 論理式¬(¬A) A」が得られること

を示す。

 → step01 / step02 / step03 / step04
 → 推 論規則と しての二重否定律 / 定理としての二重否定律
 → 自然演繹の派生推論規則一覧 / 自然演繹の定理一覧





【文献】
 ・前原『記号論理入門』3章§1(p.63):¬¬導入;6章§0(p.106)¬¬導入
 ・野矢『論理学』1-2-2-公理系のサンプル2-例題7(p.63):一方向。
 ・戸田山『論理学をつくる』9.2.3練習問題68(2)(p.228):一方向。
 ・van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) 1.4Natural Deduction-U(pp.31-32):¬¬導入。¬を使わないバージョンも。


 
   



[step1]自然演繹で認められた操作(2)仮定の書き出し
論理式A」を仮定1として、書き出す。
論理式¬A」を仮定2として、書き出す。

  
 仮定1 
   A    
仮定2
  ¬A  



[step2]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「¬除去則」にしたがって、「A」「¬A」を「(矛盾)」へ書き換える。
推論規則「¬除去則」の規定により、
   書き換え後に引き継がれる仮定は、書き換え前の仮定のすべてとなるから、
    書き換え後の「(矛盾)」は、仮定1「A」仮定 2「¬A」のもとにある。

・これで、推論規則「¬除去則」による書き換えで、
  仮定1「A」仮定2「¬A」 から、
  「仮定1『A』仮定2『¬A』 のもとで『(矛盾)』」が、
  導出されたことになる。

  
 仮定1 
   A    
仮定2
  ¬A  



(¬除去)




[step3]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え

推論規則「¬導入則」にしたがって、「仮定1『A』仮定 2『¬A』のもとでの『(矛盾)』」を「¬(¬A)」へ書き換える。
 推論規則「¬導入則」の規定にしたがうと、
   「¬(¬A)」への書き換え後に引き継が れる仮定は、
   書き換え前の仮定「A」「¬A」 から、仮定「¬A」を差し引い た分だけとなるから、   
   「¬(¬A)」への書き換え後に引き継が れる仮定は、「A」だけ。

・これで、推論規則「¬導入則」による書き換えで、
  「仮定1『A』仮定2『¬A』 のもとでの『(矛盾)』」から、
  「仮定1『A』のもとで『¬(¬A)』」が、
  導出されたことになる。

  
 仮定1 
   A    
[仮定2]
  [¬A]  



(¬除去)





(¬導入)仮定2を解消


¬(¬A)

派生推論規則としての二重否定導入律
   「A」を
   「仮定『A』のもとで『¬(¬A)』」に書き換えてよい

  

 A  



 ¬(¬A) 
 は以上で得られた。

 定理となる論理式「A ¬(¬A)」を獲得したいときは、次のステップへ。


[step4]自然演繹で認められた操作(3)推論規則による書き換え
推論規則「⇒導入則」にしたがって、「仮定1『A』のもとで『¬(¬A)』」を「A ¬(¬A)」へ書き換える。
推論規則「⇒導入則」の規定にしたがうと、
   ¬(¬A)」への書き換え後に引き継がれる仮定は、
   書き換え前の仮定「A」から、仮定「A」を差し引いた分だけとなるから、   
   「A ¬(¬A)」への書き換え後に仮定はすべて差し引かれてなくなってしまい、
    仮定なしの「A ¬(¬A)」が得られる。
・これで、推論規則「⇒導入則」による書き換えで、
   「仮定1『A』のもとで『¬(¬A)』」から、
    仮定なしの「A ¬(¬A)」が、
  導出されたことになる。

  
 [仮定1] 
  [A]   
[仮定2]
  [¬A]  



(¬除去)





(¬導入)仮定2を解消


¬(¬A)


(⇒導入)仮定1を解消

A ⇒ ¬(¬A)


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