命題論理の構文論 syntax : トピック一覧  

概説:命題論理の構文論[構文論という向き合い方/定理・証明・形式的体系/構文論と意味論/構文論のメリット]   
・定義:命題論理(命題計算)の形式的体系・証明体系・公理系 [公理/推論規則]
・定義:証明・演繹・推論 / 定理 / 派生推論規則 / turnstile 

命題論理の公理系の諸タイプ : 最小論理/直観主義論理/古典論理(ヒルベルト流の公理系/ゲンツェン流の公理系(自然演繹)

 命題論理関連ページ:命題論理の論理式 /命題論理の意味論[真理値/真理関数/真理値表/論理式の真理値の決定原理/真理値分析/恒真式・恒偽式 ]   
 論理関連ページ :  論理記号 
 * 論理目次/総目次/更新履歴 

※述語論理の場合は、林晋,鹿島亮を参照。



概説:命題論理の構文論syntax,証明論proof theory

 構文論という向き合い方

論理式を作成する際に準拠すべき《規約》をあらかじめ定めた上で、
 個々の論理式について、
   その《規約》枠内の操作のみで作成されるか?
 という点に絞って問うていくのが、
 構文論syntaxという《命題論理への向き合い方》。

 * 構文論syntaxは、証明論proof theoryとも呼ばれる[戸次]。

 構文論のキーワード 〜 定理、証明、形式的体系

・その《規約》枠内の操作のみで作成される論理式を、
 その《規約》における定理と呼ぶ。[→詳細]

定理《規約》に準拠して作成されていくプロセスを、
 その定理のその《規約》における証明と呼ぶ。[→詳細]

・あらかじめ定めた《定理を作成する際に準拠すべき規約》のなかで、
 作成してよい論理式そのものズバリを明示した条項を、
 公理と呼ぶ。  

・あらかじめ定めた《定理を作成する際に準拠すべき規約》のなかで、
 どのようなかたちの論理式のセットを与えられたときに、
 どのようなかたちの論理式へ書き換えてよいか明示した条項を、
 推論規則・導出規則と呼ぶ。

推論規則・導出規則にしたがって、
  推論規則・導出規則が指定した論理式のセットを、
  推論規則・導出規則が指定した論理式へ書き換える操作を、
  〜から…を導出する》と呼ぶ。  

・あらかじめ定めた《定理を作成する際に準拠すべき規約》の総体を、
 形式的体系と呼ぶ。[→詳細]

 構文論と意味論 〜 相違と関係

・命題論理の意味論で考察された論理式真理値(真偽)という概念は、
 命題論理の構文論では一切導入されない。
 命題論理の構文論は、
 特定の論理式が、規約に照らして、正当な手続きで作成されたかのみを問うのであって、
 特定の論理式の真偽という点は、無視される。

・このように、命題論理の構文論と意味論は、いったん切り離されたうえで、
 のちに、両者の関係(そして、論理式の、規約に照らした作成手続きの正当性と、真偽の関連性)が、
 健全性soundness・完全性completenessの検討で論ぜられることになる。 

 構文論のメリット 〜 命題論理の形式的体系導入の意義 

 

                




cf. 古典論理の形式的体系 

【文献】
 ・高崎金久『数理論理学入門VI. 論理の形式化 1. 形式化の考え方 :論理の形式的体系=公理系axioms+推論規則inference rule
 ・野矢『論理学』1-2(pp.48-49)
 ・野矢『入門!論理学』第5章命題論理のやりかた(pp.139-192).「公理系」「公理」「定理」「形式的体系」「形式的アプローチ」(p.171)
 ・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題 計算の形式的体系-a形式的体系-定義3形式的体系formal systemとは…(pp.13-14)
 ・戸次 『数理論理学』7.1証明体系と証明論(pp.149 -150):証明論proof theory,証明体系proof system,
 ・古森・小野『現代数理論理学序説』1.1.1形式化とは?(pp.2-)「形式的体系formal system」
 ・清水『記号論理学』3章公理系(p.73)
 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Propositional_logic#Basic_and_derived_argument_forms

 戸田山は、扱いなし。
  

 
  
構文論のメリット 〜 命題論理に形式的体系を導入する意義  









【文献】
 ・野矢『論理学』1-2(p.48)「無限個のトートロジーを有限の内に表現」;
 ・戸次 『数理論理学』7章冒頭(pp.148-149); 7.1証明体系と証明論(p.149):意味論では集合や写像に論理式の真偽・推論の妥当性が依存してしまうが、証明論では、論理のなかで議論が完結する。

 ・中谷『論理』3.2(p.61)

[ ・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題計算の形式的体系-a形式的体系-定義3形式的体系formal systemとは…]



  



→ 命題論理のシンタックス :トピック一覧
→ 総目次  
  

定義:命題論理(命題計算)の形式的体系(証明体系・公理系):公理と推論規則

【はじめに読む定義】

・命題論理の「形式的体系formal system」とは、下記二点を指定する規約・規格のこと。

  [指定1] 公理axiomと呼ばれる論理式のセット

  [指定2] 推論規則inference rule導出規則と呼ばれる《論理式の変形規則》のセット

 * どういうこと? → 概説:構文論 

・上記二点の指定内容の変更によって、
 命題論理の「形式的体系」に、様々なバリエーションが生み出される。→形式的体系の諸タイプ  

・命題論理の「形式的体系」が公理として指定する論理式は、
  1個でも、複数でも、0個でも構わない。

・命題論理の「形式的体系」が推論規則導出規則として指定する《論理式の変形規則》とは、
  変形前の論理式のセットと、変形後の論理式を、下記体裁で明示したもの。     

        
 変形前の論理式1,変形前の論理式2…,変形前の論理式n 
 
変形後の論理式

【厳密な定義】

 命題論理の「形式的体系」とは、
 次項で定められる集合のこと。
 ・公理axiomを元とする集合(公理は論理式の特定のものを表している)
 ・推論規則rule of inferenceとよばれる図形の有限集合{Ri}
   Riにたいして自然数jが一意に定まり、
   任意のj個の表現の集合
       

 *命題論理に限らず、一般的に、
 「形式的体系S」とは、次の1〜4で定められる集合のこと。
 1.記号symbolを元とする可算集合(ここでは、論理記号と命題変数)
     ときとして、⊥を加えることがある[高崎VII.自然演繹(その1)1.1論理式・公理系・推論規則]
 2.表現expressionを元とする可算集合(ここでは論理式)
  (表現は記号の有限列からつくられる)
 3.公理axiomを元とする集合(公理は表現の特定のものを表している)
 4.推論規則rule of inferenceとよばれる図形の有限集合{Ri}
   Riにたいして自然数jが一意に定まり、
   任意のj個の表現の集合{B1,…,Bj}および任意の表現Aに対して、
   {B1,…,Bj}がAとRiの関係にあるか否かが決定できる。
   このとき、Aは、{B1,…,Bj}から推論規則Riによって直接導かれているという。


 命題論理において「形式的体系」は、
 1.記号symbolを元とする可算集合として、
  論理記号と命題変数の集合
 2.表現expressionを元とする可算集合として、
  論理式の集合
 を使うので、
 この設定のもとで、
 命題論理の「形式的体系」とは、次の3,4で定められる集合のことになる。
 3.公理axiomを元とする集合(公理は論理式の特定のものを表している)
 4.推論規則rule of inferenceとよばれる図形の有限集合

                 




cf. 古典論理の形式的体系 

【呼称の揺れ】
 ・高崎・松本が言うところの「形式的体系formal system」を、
   戸次は、証明体系proof systemと呼ぶ。
   野矢のように、「公理系axioms」を、「形式的体系formal system」のなかの公理のセットのみならず、「形式的体系formal system」全体の呼称として用いるひともいる。

【文献】

 ・高崎金久『数理論理学入門VI. 論理の形式化 1. 形式化の考え方 :論理の形式的体系=公理系axioms+推論規則inference rule
 ・野矢『論理学』1-2(pp.48-49)
 ・野矢『入門!論理学』第5章命題論理のやりかた(pp.139-192).「公理系」「公理」「定理」「形式的体系」「形式的アプローチ」(p.171)
 ・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題計算の形式的体系-a形式的体系-定義3形式的体系formal systemとは…(pp.13-14)
 ・戸次 『数理論理学』7.1証明体系と証明論(pp.149-150):証明体系proof system,

 [中谷『論理』3.2(p.60) ]
 戸田山は、扱いなし。

  

  
 


→ 命題論理のシンタックス :トピック一覧
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「証明proof」の定義

【はじめに読む定義】

・命題論理において、
 論理式A《形式的体系Sにおける証明proof》とは、

 形式的体系Sに準拠した、論理式Aの作成プロセス、

 つまり、
  ・形式的体系Sが公理として指定した論理式をそのまま作成するという操作
  ・形式的体系Sが推論規則として指定した論理式の変形規則》に準拠して論理式を変形するという操作 
 の組み合わせ・繰り返しのみで、論理式Aが作成されるに至った経緯を記録した履歴
 のこと。[高崎]

 * どういうこと? → 概説:構文論 

・もちろん、
  形式的体系Sに準拠して作成できる論理式[→定理]もあれば、
  形式的体系Sに準拠して作成できない論理式もある。
  論理式Aが前者だと、論理式A《形式的体系Sにおける証明proof》は存在するが、
  論理式Aが後者だと、論理式A《形式的体系Sにおける証明proof》は存在しない。

【くわしい定義】

命題論理において、

論理式A1が
 論理式A1の《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
とは、
 論理式A1が、
  「形式的体系S」の公理そのものでである
 ということ。

論理式の列A1,A2が
 論理式A2の《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
と は、
  ・論理式A1が、
   「形式的体系S」の公理そのものであって、
  ・論理式A2が、
   論理式A1から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものである
  ということ。

論理式の列 A1,A2,A3が
 論理式A3の《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
と は、
 ・論理式A1が、
  「形式的体系S」の公理そのものであって、
 ・論理式A2が、
   「形式的体系S」の公理そのものか、
   論理式A1から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものか、
  であって、
 ・論理式A3が、
    A1,A2のなかの論理式から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたもの
   である
 ということ。

論理式の有限列A1,A2,…,Anが
 論理式Anの《形式的体系Sにおける証明proof》に なっている
とは、

 ・論理式A1が、「形式的体系S」の公理そのものであって、

 ・論理式A2が、
   「形式的体系S」の公理そのものか、
   論理式A1から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものか、
  であって
 :
 :
 ・論理式An-1が、
   「形式的体系S」の公理そのものか、
   A1,…,An-2のなかの論理式から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものか、
  であって

 ・論理式Anが、
   A1,…,An-1のなかの論理式から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたもである
 ということ。

                




cf. 古典論理の形式的体系 

【文献】

 ・高崎金久『数理論理学入門VI. 論理の形式化-1.2 公理系と推論規則;1.3 形式的な証明・演繹
    形式的体系における証明proof 演繹deduction推論inference:その形式的体系が指定する推論規則を繰り返し適用することによって論理式を変形していくこと
 ・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題 計算の形式的体系-a形式的体系-定義4 証明proofとは…(p.14)
 ・戸次 『数理論理学』7.2定義7.6ヒルベルト流証明論の体系における演繹(p.152);定義7.10ヒルベルト流証明論の体系における定理(p.153):演繹という概念を用いて、証明可能・定理・証明を定義
                      8.1定義8.4自然演繹の体系における演繹;定義8.5自然演繹の体系における定理(p.180):定理と証明可能

 ・野矢『論理学』1-2-1(p.56)「意味抜きされた記号変形の体系、それが公理系にほかならない。それゆえ証明とは、たんにその体系ではしかじかの記号列が導出しうる、ということを示すものにすぎない。そのように導出が保証された記号列定理なのである」

  

  

一般に、

 「形式的体系S」における表現(論理式)A1が
 「形式的体系S」における表現(論理式)A1の証明proofになっている
とは、
 表現(論理式)A1が、「形式的体系S」の公理そのものでであるということ。

 「形式的体系S」における表現(論理式)の列 A1,A2が
 「形式的体系S」における表現(論理式)A2の証明proofになっている
とは、
  ・表現(論理式)A1が、「形式的体系S」の公理そのものであって、
  ・表現(論理式)A2が、表現(論理式)A1から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものである
  ということ。

 「形式的体系S」における表現(論理式)の列 A1,A2,A3が
 「形式的体系S」における表現(論理式)A3の証明proofになっている
とは、
 ・表現(論理式)A1が、「形式的体系S」の公理そのものであって、
 ・表現(論理式)A2が、
   「形式的体系S」の公理そのものか、
   表現(論理式)A1から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものか、
  であって、
 ・表現(論理式)A3が、
    A1,A2のなかの表現(論理式)から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたもの
   である
 ということ。


 「形式的体系S」における表現(論理式)の有限列A1,A2,…,Anが
 「形式的体系S」における表現(論理式)Anの証明proofになっている
とは、
 ・表現(論理式)A1が、「形式的体系S」の公理そのものであって、
 ・表現(論理式)A2が、
  「形式的体系S」の公理そのものか、
  表現(論理式)A1から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものか、
  であって
 :
 :
 ・表現(論理式)An-1が、
  「形式的体系S」の公理そのものか、
  A1,…,An-2のなかの表現(論理式)から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたものか、
  であって
 ・表現(論理式)Anが、
   A1,…,An-1のなかの表現(論理式)から「形式的体系S」の推論規則の一つによって直接導かれたもである
 ということ。  

松本ママ
 「形式的体系S」における表現(論理式)Anの証明proofとは、
 次の条件1,2のいずれかを満足するようなSの表現の有限列A1,…An(An=A)をいう。
 すなわち、各i(i=1,…n)に対して、
  (条件1) Aiは「形式的体系S」の公理そのものである
  (条件2) Aiが「形式的体系S」の推論規則の一つによって、
       有限個の表現Aj(j<i)から直接導かれている。



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→ 総目次  


「定理」の定義

【はじめに読む定義】

論理式A命題論理の形式的体系Sにおける定理である
  ⊢A  
 とは、
 形式的体系Sに準拠した操作のみで、論理式Aをつくれるということ、

 つまり、
  ・形式的体系Sが公理として指定した論理式をそのまま作成という操作
  ・形式的体系Sが推論規則として指定した論理式の変形規則》に準拠して論理式を変形するという操作
 の組み合わせ・繰り返しのみで、論理式Aをつくれる

 ということ。

 * どういうこと? → 概説:構文論 

【くわしい定義】 

 論理式Aが《形式的体系Sの定理》であるとは、
 論理式Aの《形式的体系Sにおける証明proof》が存在するということ、
  
  つまり、
  論理式Aそのものが、論理式Aの《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
  か、
  論理式A1,Aが、論理式Aの《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
  か、
  論理式の列A1,A2,Aが、論理式Aの《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
  か、
  :
  論理式の列A1,A2,…,AnAが、論理式Aの《形式的体系Sにおける証明proof》になっている
  か、
   であるということ。

  ママ「Sの表現Aが、Sの定理であるとは、SにおけるAの証明が存在するときをいう。」
    [松本 定義5:定理theorem]

     




cf. 古典論理の形式的体系 

【文献】

 ・高崎金久『数理論理学入門VI. 論理の形式化-1.3 形式的な証明・演繹 : 論理式Aが《形式的体系Sの定理》であるとは、《形式的体系Sの公理系》だけから出発して、《形式的体系Sの推論規則》の反復適用によって論理式Aを導出できるということ、すなわち、⊢A

 ・野矢『論理学』1-2(pp.48-49)「意味抜きされた記号変形の体系、それが公理系にほかならない
 それゆえ証明とは、たんにその体系ではしかじかの記号列が導出しうる、ということを示すものにすぎない。そのように導出が保証された記号列が定理なのである」(p.56)
 ・野矢『入門!論理学』第5章命題論理のやりかた(pp.139-192).「公理系」「公理」「定理」「形式的体系」「形式的アプローチ」(p.171)
 ・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題計算の形式的体系-a形式的体系-定義3形式的体系formal systemとは…(pp.13-14)
 ・戸次 『数理論理学』7.1証明体系と証明論(pp.149-150):定理:公理と推論規則のみから証明される論理式(p.150)

 [中谷『論理』3.2(p.60) ]
 戸田山は、扱いなし。

  

  


定義:派生推論規則 derived rule


・派生推論規則とは、
 形式的体系Sの推論規則のいくつかを組み合わせて、
 一つの推論規則とみなしたもののこと。[高崎] 

     




cf. 古典論理の形式的体系 

【文献】

 ・高崎金久『数理論理学入門 VII. 自然演繹(その1) 2.2 基本的な恒真式・演繹関係を形式的に確かめること  【例6】 【注意】

 ・戸次 『数理論理学』解説8.7(p.180);定義9.24(p.202)
 ・清水『記号論理学』§3.1命題論理の公理系-派生規則(p.76)
 ・野矢『論理学』1-2-3(p.66);「定理から派生規則への読み替え」(p.69)


  

  



定義:⊢ (turnstile) 

【形式的体系一般において】
論理式Aが、論理式の集合Γから導かれる
  Γ⊢A

 とは、 
  ・Γに属す論理式
  か、
  ・形式的体系Sが公理として指定する論理式
 から出発して、
 形式的体系Sが推論規則として指定する変形の繰り返しのみによって、
 論理式Aが得られること。

命題論理の自然演繹において】

  仮定のdischargeの説明が必要。

 論理式Aが《論理式の集合》Γから導かれる
  Γ⊢A   
 とは、

  ・命題論理の形式的体系自然演繹に準拠した操作   
   つまり、公理の書き出し仮定の書き出し推論規則による書き換え   
   のみで、
   論理式Aが得られ、





cf. 古典論理の形式的体系 

【文献】

 ・高崎金久『数理論理学入門VI. 論理の形式化 1. 形式化の考え方 :論理の形式的体系=公理系axioms+推論規則inference rule
 ●松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題計算の形式的体系-a形式的体系-定義7「形式的体系Sの表現ЦがΓから導かれるとは…。SにおいてЦがΓから導かれるとき、Γ⊢S Цと書く」(p.15)
 ●鹿島『数理論理学』2章自然演繹-2.3公理からの証明-定義2.3.1(⊢の使用法)(pp.36-7)自然演繹に特化。 
 ●van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) Definition 1.4.2(p.35)
 ・戸次 『数理論理学』7.1証明体系と証明論(pp.152-3):定義7.6ヒルベルト流証明論の体系における演繹,定義7.10ヒルベルト流証明論の体系における定理
           8.1自然演繹とは(p.180):定義8.4自然演繹の体系における演繹;定義8.5自然演繹の体系における定理 

 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Turnstile_%28symbol%29
 ・野矢『論理学』1-2(pp.48-49)

  

  
 なおかつ、  

  ・論理式Aが得られるまでにおこなわれた操作(推論規則による書き換え)で解消されず残った仮定が、
   全部、《論理式の集合》Γのなかに含まれている

 ということ。

 →鹿島『数理論理学』2章自然演繹-2.3公理からの証明-定義2.3.1(⊢の使用法)(pp.36-7)
 →van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) Definition 1.4.2(p.35)               

【メモ】
・高崎1.3 [自然演繹の場合の仮定のdischargeの説明は?]
   Γ |- ψ: 与えられた論理式の集合 Γ = {φ1, …,φn} から出発して推論規則の 反復適用によって論理式 ψ が導出されること
   |- ψ  : 特に,ψ が公理系だけから出発して導出できること

・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題計算の形式的体系-a形式的体系-定義7(p.15)

  ・「《形式的体系Sの表現》Цが《形式的体系Sの表現の集合》Γから導かれる」
   「形式的体系Sにおいて《形式的体系Sの表現》Цが《形式的体系Sの表現の集合》Γから導かれる」
     Γ⊢S Ц  略して、Γ⊢ Ц 
    とは、
   《形式的体系Sの表現》の列Ц1,…,Цnが存在し、Цn=Ц であり、
    各iに対し、次の1)〜3)のいずれかが成り立つときをいう。
    1) 《形式的体系Sの表現》Цi は、形式的体系Sの公理である。
    2) 《形式的体系Sの表現》Цi は、《形式的体系Sの表現の集合》Γに属している。
    3) 《形式的体系Sの表現》Цi は、
      《形式的体系Sの推論規則》の一つによって、
          有限個の《形式的体系Sの表現》Цj(j<i)から直接導かれている。
    ということ。
   ・Γ⊢ Цであるとき、Γの元をЦの証明の仮定hypothesisという。
   ・Γが有限集合でΓ={γ1,…,γm}⊢ Цであるとき、
       Γ⊢ Цを、γ1,…,γm ⊢ Цと略記する。
     γ1,…,γm ⊢ Ц は、
    {γ1,…,γm}⊢ Цの略記法。
   ・⊢ Ц は、空集合⊢ Ц の略記法。
   ・「Цは、形式的体系Sで証明可能provable」「Цは、Sの定理である」とは、⊢ Цということ。
●鹿島『数理論理学』2章自然演繹-2.3公理からの証明-定義2.3.1(⊢の使用法)(pp.36*7)自然演繹に特化。
    ψは論理式、Γは、論理式の集合(有限でも無限でもよい)とする。
    Γのある有限部分集合Γ'が存在して、
    「解消されていない仮定の集合がΓ'で、結論がψの導出図」が存在することを、
        Γ⊢ψ
    と表記して、「Γからψが導出できる」と読む。
    また、そのような導出図のことを「Γ⊢ψを表す導出図」「Γからψへの導出図」とも呼ぶ。
    ・Γ={γ1,…,γn}のとき、集合を表す括弧を省略して、γ1,…,γn ⊢ ψ と書いてもよい。
    ・Γが空集合の場合は、⊢ ψ 。
van Dalen,Logic and Structure(3rd ed.) Definition 1.4.2(p.35)
   The relation Γ⊢ ψ between sets of propositions and propositions is defined by:
      there is a deriviation with conclusion ψ and with all (uncancelled) hypotheses in Γ.
   We say that ψ is derivable from Γ.Note that by definition Γ may contain many superfluous "hypothesis."
   The symbol ⊢ is called turnstile.
   If Γ=空集合, we write  ⊢ψ, and we say that ψ is a theorem.
  
 ・戸次 『数理論理学』7.1証明体系と証明論(pp.152-3):
   定義7.6ヒルベルト流証明論の体系における演繹,
   定義7.10ヒルベルト流証明論の体系における定理
 ・戸次 『数理論理学』8.1自然演繹とは(p.180):
   定義8.4自然演繹の体系における演繹
   定義8.5自然演繹の体系における定理 





命題論理の形式的体系の諸タイプ

・最小論理

・直観主義論理

・古典論理

  →ヒルベルト流の形式化 
   戸次Sk
   松本,
   清水§3.1命題論理の公理系L1(p.74)

  →ゲンツェン流の形式化:自然演繹 Nk  
  →ゲンツェン流の形式化:シークエント計算 

 
 



  





 ・http://en.wikipedia.org/wiki/Propositional_logic#Example_1._Simple_axiom_system
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_logic_systems


【文献】
 ・前原昭二『記号論理入門』2章演繹
   §1.→について(pp.37-41):導入則・除去則はp.40;
   §2.∧について(pp.41-43):導入則・除去則はp.42;
   §3.∨について(pp.43-43):導入則・除去則はp.43; 
   §4.¬について(pp.45-46):導入則・除去則はp.45; .45-46):導入則・除去則はp.45; 
   §7.矛盾について(pp.53-56):「に関する推論規則:はp.56;
   §8.排中律について(pp.56-59):公理「排中律」p.52;排中律の代わりに二重否定の除去則でもよい。(pp.52-59) 
 ・野矢『論理学』1-2-2(pp.65-66):一つの意味論に対して、複数の公理系をつくれる。
          1-2-2-公理系のサンプル1(pp.58-60);1-2-3-公理系LP2(p.71):ヒルベルト流
          1-2-3-公理系のサンプル2(pp.60-65);1-2-3公理系LP(pp.66-71) :ゲンツェン流 
 ・野矢『入門!論理学』第5章命題論理のやりかた(pp.139-192).
               「標準的な命題論理の体系」(p.146).
               「自然演繹」(p.188)
 ・松本『数理論理学』1.2命題計算-A命題計算の形式的体系-b命題計算Hp-定義8命題計算に対する形式的体系Hp(pp.15-16)
 ・戸次 『数理論理学』7.2一階命題論理の体系SK(pp.150-154):ヒルベルト流
            8章自然演繹(pp.174-189):ゲンツェン流
 ・中谷『論理』3.2(p.61):ヒルベルト流

 ・清水『記号論理学』§3.1命題論理の公理系L1(p.74):ヒルベルト流;§3.4ゲンツェン流の公理系LG:(pp.93-95)
 ・高崎金久『数理論理学入門VI. 論理の形式化 1. 形式化の考え方;III. VII. 自然演繹(その1)1. 命題論理の形式化(NK,NJ)