実行列の代数系

・定義:  n次全行列環 n次一般線形変換群 

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定理:実数体上のn次正方行列の全体は環をなす。

設定

R実数をすべて集めた集合実数体

[文献]
・『岩波数学辞典83行列(p.220);
・藤原『
線形代数2.2(pp.29-30);
・松坂『
解析入門415.2-B(p.23)

定理

あるnについて、実数体R上の n次正方行列をすべてあつめた集合は、
行列の加法行列の乗法に関して、をなす。

定義

この、 n次正方行列がなすを、
n次全行列環total matrix algebra
呼ぶ。

記号

実数体上のn次全行列環を、
 
Mn(R)
などと表す。

解説

n次正方行列をすべてあつめた集合が、行列の加法行列の乗法に関して、をなすことは、
行列の加法の性質行列の積の結合則行列の積の分配則が、
となるための要件を満たすことからわかる。

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定理:n次一般線形変換群

設定

R実数をすべて集めた集合実数体

[文献]
・斎藤『線形代数入門2章§2(p.41);
・藤原『
線形代数2.3(p.37)

定理

あるnについて、実数体R上の n次正則行列をすべてあつめた集合は、
行列の乗法に関して、をなす。

定義

この、実数体R上の n次正則行列がなすを、n次一般線形変換群と呼ぶ

記号

解説

n次正方行列をすべてあつめた集合が、行列の加法行列の乗法に関して、をなすことは、
行列の加法の性質行列の積の結合則行列の積の分配則が、
となるための要件を満たすことからわかる。

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(reference)
日本数学会編集『
岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目83行列(pp.219-)
線形代数のテキスト

永田雅宜『
理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.4行列と一次写像(pp.23-6)
佐武一郎『
線形代数学(44)』裳華房、1987年、I.ベクトルと行列の演算§2-3行列の演算(pp.4-16)
砂田利一『現代数学への入門:
行列と行列式2003年、§2.2一般の行列(pp.54-60)、§2.3行列の演算(pp.60-65)、§2.4行列の操作(pp.66-70).
藤原毅夫『理工系の基礎数学2線形代数』岩波書店、1996年、2.2(pp.29-30);2.3(p.37)
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第2章行列§2(p.41)
ホフマン・クンツェ『
線形代数学I』培風館、1976年、一次方程式(pp.1-27)
志賀浩二『数学
30講シリーズ:線形代数30』朝倉書店、1988年、17講線形写像と行列(pp.107-112)
数理経済学のテキスト
西村和雄『
経済数学早わかり』日本評論社、1982年、2章線形代数§2行列と行列式(pp.46-72)
神谷和也・浦井憲『
経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、5章行列(pp.161-199):一次写像の行列表現を中心にしている。
William H. Greene(斯波・中妻・浅井訳) 『経済学体系シリーズ:グリーン計量経済分析I:改訂4版』エコノミスト社、2000年、第2章行列代数2.2行列の用語(pp.10-12);2.3行列の算法(pp.12-21)
岩田暁一『
経済分析のための統計的方法(2)』東洋経済新報社、1983年、12.1行列の演算(pp.269-277);12.4.2逆行列(pp.294-5)
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