group

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定義:群・乗法群加法に関する群・加法群可換群・アーベル群加法に関する可換群・加法群・加群 

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代数系目次総目次参照文献

定義:group、乗法群multiplicative group  
    
[本部『新しい代数3.1A(p.33);岩波数学辞典』項目104A(p.281);
     斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);斎藤『線形代数入門』附録V§1(p248);
     本橋『新しい論理序説5章問題8 (p.99;109); ]
群・乗法群とは、すべてのx逆元をもつ単位元つき半群のことである。
半群単位元逆元の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
xyX上の乗法 
X: 集合X 乗法xyを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , xy )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(定義)
群・乗法群とは
 集合
X 乗法を定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
3条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
1: 乗法が、「結合法則:( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) )」を満たす、
  条件
2: 乗法に「単位元: ( xX ) ( ex = x かつ xe = x )を満たすeX」が存在する
  条件
3: Xのすべてのxに対して、乗法に関する逆元 x-1が存在する。 
乗法群ではない例:
 ・いわゆる「掛け算」を乗法として自然数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  
 ・いわゆる「掛け算」を
乗法として整数の集合にさだめてつくった代数系     [本部『新しい代数2.1C(p.26);]
 ・∩を乗法として、ベキ集合に定めてできた代数系    
[本部『新しい代数2.1C4(p.27);]
乗法群である例:
 ・「掛け算」を乗法と定義した有理数、実数体n次一般線形変換群  

 ・置換群 

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定義:加法に関する群、加法群additive group 
  
[岩波数学辞典』項目104A(p.281); 斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);
    酒井『環と体の理論1.2節いろいろな代数系(p.4)]
・加法に関する群、加法群とは、すべてのx逆元をもつ加法に関する単位元つき半群のことである。

     斎藤は、この、加法に関する群を加法群と呼ぶが、
      岩波数学辞典、本部などは、加法に関する群を加法群とは呼ばず、
      加法に関する可換群に加法群なる名称を割り当てている。

加法半群加法に関する単位元0加法の逆元の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
X: 集合X 加法x+yを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , + )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(定義)
加法に関する群、
加法群とは、
 集合
X 加法を定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
3条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
1: 加法が、「結合法則:( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )」を満たす、
  条件
2: 加法に「単位元0: ( xX ) ( 0+x = x かつ 0+e = x )を満たす0X」が存在する
  条件
3: Xのすべてのxに対して、加法に関する逆元xが存在する。 
加法群ではない例:
 ・いわゆる「足し算」を加法として自然数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系
  
(1逆元は、自然数のなかには存在しない)  [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  
加法群である例:
 ・いわゆる「足し算」を加法として整数の集合にさだめてつくった代数系
             [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]
 ・「足し算」を加法と定義した有理数、実数  
 

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定義:可換群 commutative group ・アーベル群 Abelian group  
  
[岩波数学辞典』項目104A(p.281);項目7アーベル群A(p.10); 本部『新しい代数3.1A(p.34);
    斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);斎藤『線形代数入門』附録V§1(p248)]
可換群・アーベル群とは、さまざまな Xのなかでもとくに、乗法xyが、
       可換則:
( x,yX ) ( xy = yx ) 
 を満たす
Xのことをいう。
の定義まで遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
xyX上の乗法 
X: 集合X 乗法xyを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , xy )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(定義)
可換群・アーベル群とは、
 集合
X 乗法を定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
4条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
1: 乗法が、「結合法則:( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) )」を満たす、
  条件
2: 乗法に「単位元: ( xX ) ( ex = x かつ xe = x )を満たすeX」が存在する
  条件
3: Xのすべてのxに対して、乗法に関する逆元 x-1が存在する。 
  条件
4: 乗法xyが、「可換則:( x,yX ) ( xy = yx )」を満たす。  
可換群・アーベル群ではない例:
 ・いわゆる「掛け算」を乗法として自然数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  
 ・いわゆる「掛け算」を
乗法として整数の集合にさだめてつくった代数系     [本部『新しい代数2.1C(p.26);]
可換群・アーベル群である例:
 ・「掛け算」を乗法と定義した有理数、実数体 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  

定義:加法に関する可換群・加法群・加群 additive group, module 
  
[岩波数学辞典』項目49加群 (p.136);項目104A(p.281);斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.3 (p.36);本部『新しい代数3.1B(p.36);]
加法群・加群とは加法に関する群のなかでもとくに、
    
加法x+yが、「可換則:( x,yX ) ( x+y = y+x )」 
 を満たす
加法に関する群のこと。

     斎藤は、加法に関する群を加法群と呼ぶが、
      岩波数学辞典、本部などは、加法に関する群を加法群とは呼ばず、
      加法に関する可換群のみを加法群と呼んでいる。

加法に関する群の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
X: 集合X 加法x+yを定めてつくった代数系
  ※
代数系を、X ではなく(X , + )というペアで表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(定義)
加法群・加群とは
 集合
X 加法を定義してつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
4条件を満たす代数系 Xのことをいう。
   条件
1: 加法が、「結合法則:( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )」を満たす、
   条件
2: 加法に「単位元0: ( xX ) ( 0+x = x かつ 0+x = x )を満たす0X」が存在する
   条件
3: Xのすべてのxに対して、加法に関する逆元xが存在する。
   条件
4: 加法が、「可換則:( x,yX ) ( x+y = y+x )」を満たす
加法群ではない例:
 ・いわゆる「足し算」を加法として自然数の集合(0を除く)にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]  (1逆元は、自然数のなかには存在しない)
加法群である例:
 線形空間・ベクトル空間 

 ・いわゆる「足し算」を加法として整数の集合にさだめてつくった代数系 [斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2.1.5 (p.36)]
 ・「足し算」を乗法と定義した有理数、実数体  

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Reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(3) 岩波書店、1985年、項目121構造A構造2)算法;C代数系(p.327);項目56 (pp. 153-6), 項目104(p.281);項目229. (p.643).
本橋信義『新しい論理序説(森毅・斎藤正彦・野崎昭弘編集『すうがくぶっくす』16) 朝倉書店、1997年、5章問題8 (p.99;109);
本部均『新しい数学へのアプローチ
5:新しい代数』共立出版、1969年、22.1節半群A.二項演算。
斉藤正彦『
数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第2章自然数から実数体の定義まで§1代数系(pp.35-36)
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、附録V§1群の公理(p.248)
酒井文雄『共立講座
21世紀の数学8環と体の理論』共立出版、1997年、1.2節いろいろな代数系(p.3)
志賀浩二『
群論への30』朝倉書店、1989年、第3講群の定義、pp.16-18


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