ring

[トピック一覧:環]
 定義:単位的環可換環
関連ページ―代数系における諸概念:代数系同型  
関連ページ−ほかの代数系:半群順序環・順序体・順序同型写像

代数系目次総目次参照文献

定義:環 ring  
    
[本部『新しい代数4.1A(p.79);岩波数学辞典』項目56A(pp.153-4);
          斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.6 (pp.36-7);]
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
xy X上の乗法 
X:  加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった代数系
  ※
代数系を、もとの集合X 自体とは別の記号で表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(簡潔な定義) 
 とは、
 
加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
3条件を満たす代数系 Xのことをいう。
   条件
A: 加群(加法について可換群)であること、
   条件
B: 乗法に関して半群であること
   条件
C: 「分配則distributive law( x,y,zX ) ( ( x+y )z = xz +yz , z(x+y )= zx +zy)」を、
        
加法乗法が満たすこと
(詳細な定義) 
 とは、
 
加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
6条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
A-1: 加法が、「結合則:( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )」を満たす
  条件
A-2: 加法に「単位元0: ( xX ) ( 0+x = x かつ 0+e = x )を満たす0X」が存在する
  条件
A-3: Xのすべてのxに対して、加法に関する逆元xが存在する 
  条件
A-4: 加法が、「可換則:( x,yX ) ( x+y = y+x )」を満たす
  条件
B:  乗法xyが、「結合則:( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) ) 」を満たす
  条件
C: 「分配則:( x,y,zX ) ( ( x+y )z = xz +yz , z(x+y )= zx +zy)」を、
        
加法乗法が満たすこと
    
環ではない例:
 ・自然数の全体(加群ではないから。)  
環である例:
 ・すべての偶数の全体[本部『新しい代数4.1A(p.80);]
 ・整数の全体、有理数、
実数体n次全行列環  

[トピック一覧:環]
代数系目次総目次 

定義:零元zero element, neutral element    
 
Xの零元とは、X上の加法の単位元のことをいう。

[トピック一覧:環]
代数系目次総目次 

定義:単位的環 unitary ring 、単位元をもつ環 ring with identity 
    
[本部『新しい代数4.1A(p.80);岩波数学辞典』項目56A(p.154);
          斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.6 (pp.36-7);]
単位元をもつ環・単位的環とは、さまざまなのなかで特に、乗法についての単位元をもつのことをいう。
の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
xy X上の乗法 
X:  加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった代数系
  ※
代数系を、もとの集合X 自体とは別の記号で表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(定義)
単位元をもつ環・単位的環とは、
 
加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった様々な代数系Xのなかでも特に、
 次の
3条件を満たす代数系Xのことをいう。
   条件
A: 加群(加法について可換群)であること、
   条件
B: 乗法に関して単位元つき半群であること
   条件
C: 「分配法則distributive law( x,y,zX ) ( ( x+y )z = xz +yz , z(x+y )= zx +zy)」を、
          
加法乗法が満たすこと。 
(詳細な定義) 
単位元をもつ環・単位的環
とは、
 
加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった様々な代数系 Xのなかでも特に、
 次の
7条件を満たす代数系 Xのことをいう。
  条件
A-1: 加法が、「結合則:( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )」を満たす
  条件
A-2: 加法に「単位元0: ( xX ) ( 0+x = x かつ x +0 = )を満たす0X」が存在する
  条件
A-3: Xのすべてのxに対して、加法に関する逆元xが存在する 
  条件
A-4: 加法が、「可換則:( x,yX ) ( x+y = y+x )」を満たす
  条件
B-1: 乗法が、「結合則:( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) ) 」を満たす
  条件
B-2: 乗法に「単位元1 ( xX ) ( 1x = x かつ x1 = x )を満たす1X」が存在する
  条件
C: 「分配則:( x,y,zX ) ( ( x+y )z = xz +yz , z(x+y )= zx +zy)」を、
        
加法乗法が満たすこと
単位的環ではない例:
 ・すべての偶数の全体[本部『新しい代数4.1A(p.79);]  
単位的環である例:
 ・整数の全体、有理数、実数体、  

[トピック一覧:環]
代数系目次総目次 

定義:可換環 commutative ring 
    
[本部『新しい代数4.1A(p.80);岩波数学辞典』項目40A(p.99);項目56A(p.154);
          斉藤『数学の基礎:集合・数・位相2章§1定義2.1.6 (pp.37);]
可換環とは、さまざまな Xのなかでも特に、乗法xy が、
       可換則:
( x , y X ) ( xy = yx )
 を満たす
Xのことをいう。
の語義に遡った説明は、以下のとおり。
(設定)
X: 集合
x+yX上の加法 
xy X上の乗法 
X:  加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった代数系
  ※
代数系を、もとの集合X 自体とは別の記号で表したほうが正確なのだろうが、慣例に従う。  
(定義)
可換環とは、
 
加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった様々な代数系Xのなかでも特に、
 次の
3条件を満たす代数系Xのことをいう。
   条件
A: 加群(加法について可換群)であること、
   条件
B: 乗法に関して可換半群であること
   条件
C: 「分配法則distributive law( x,y,zX ) ( ( x+y )z = xz +yz , z(x+y )= zx +zy)」を、
          
加法乗法が満たすこと。 
(詳細な定義) 
可換環
とは、
 
加法x+y, 乗法xyという二つの二項演算を、集合X に定めてつくった様々な代数系Xのなかでも特に、
 次の
7条件を満たす代数系Xのことをいう。
  条件
A-1: 加法が、「結合則:( x,y,zX ) ( ( x+y ) +z = x+ ( y+z ) )」を満たす
  条件
A-2: 加法に「単位元0: ( xX ) ( 0+x = x かつ 0+e = x )を満たす0X」が存在する
  条件
A-3: Xのすべてのxに対して、加法に関する逆元xが存在する 
  条件
A-4: 加法が、「可換則:( x,yX ) ( x+y = y+x )」を満たす
  条件
B-1: 乗法が、「結合則:( x,y,zX ) ( ( xy ) z = x ( yz ) ) 」を満たす
  条件
B-2: 乗法が、「可換則: ( x,yX ) ( xy = yx ) 」を満たす
  条件
C: 「分配則:( x,y,zX ) ( ( x+y )z = xz +yz , z(x+y )= zx +zy)」を、
        
加法乗法が満たすこと
可換環ではない例:
 ・  
可換環である例:
 ・(可換体)順序体実数体   

[トピック一覧:環]
代数系目次総目次 

Reference

日本数学会編集『岩波数学辞典(3) 岩波書店、1985年、項目121構造A構造2)算法;C代数系(p.327);項目56 (pp. 153-6), 項目104(p.281);項目229. (p.643).
本部均『新しい数学へのアプローチ5:新しい代数』共立出版、1969年、22.1節半群A.二項演算。
斉藤正彦『
数学の基礎:集合・数・位相』東大出版会、2002年。第2章自然数から実数体の定義まで§1代数系(pp.35-36)
酒井文雄『共立講座21世紀の数学8環と体の理論』共立出版、1997年、1.2節いろいろな代数系(p.3)
志賀浩二『
群論への30』朝倉書店、1989年、第3講群の定義、pp.16-18

[トピック一覧:環]
代数系目次総目次