リーマン・スチルチェス積分 Riemann-Stieltjes integral

 前:有界変動、スチルチェス積分の定義・性質(1)、可積分条件 
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V. リーマン・スチルチェス積分の性質(その2)

 

定理:スチルチェス積分のリーマン積分への帰着

 [杉浦『解析入門I』357.; ルディン『現代解析学』6-1;高橋『経済学とファイナンスのための数学』95.]
 f(x)が閉区間[a,b]上有界でリーマン積分可能、t(x)が[a,b]上C1級ならば、
 f(x)はt(x)に関し、リーマン・スチルチェス積分可能となって、
  

※なぜこうなるの?直感的なだいたいの説明:  [高橋『経済学とファイナンスのための数学』95.]

分割��の分点を、a=x0<x1<x2<…<xn=b、で表すとする。
 (つまり、分割��は、閉区間[a,b]をI1=[a, x1], I2=[x1, x2],…,In=[xn‐1, b]に分けるものとする)
分割を��、Ikの代表点をζkとした際の、関数fの関数tに関するスチルチェス和は、
  
     
     
ここで、|�處→0とすると、xk −xk‐1→0で、ζk∈[xk‐1 , xk]も考慮にいれると、
   
(tは微分可能, t'も連続なので) 。
すると、|�處→0で、関数fの関数tに関するスチルチェス和は
  
となって、関数f t'のリーマン和に近づく。
この仮定下では、関数f t'もリーマン可積となるから、よって
  

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厳密な証明:  [杉浦『解析入門I』357.] 

仮定:f(x)は閉区間[a,b]上有界
    すなわち、
任意のx∈[a,b]に対して、f(x)≦MとなるMが存在する…*0
   f(x)は閉区間[a,b]上リーマン可積分…*1
   t(x)は閉区間[a,b]上C1級、
     すなわち、
t(x)は閉区間[a,b]で微分可能で、
         その
導関数t'(x)は閉区間[a,b]で連続  …*2 
   
分割��の分点を、a=x0<x1<x2<…<xn=b、で表すとする。
       つまり、
分割��は、閉区間[a,b]をI1=[a, x1], I2=[x1, x2],…,In=[xn‐1, b]に分けるものとする。 
準備0:*2より、t'(x)は閉区間[a,b]で一様連続(∵) …*3
    *2より、t'(x)は閉区間[a,b]でリーマン積分可能(∵)…*4
    *1 *4より、f(x) t'(x)もリーマン積分可能(∵)…*5 
準備1: *5は、
    
分割��の分点x1<x2<…<xn−1の取り方、
    それによってできた小区間
Ik (k=1,2,…,n)の代表点ζkの取り方によらず、
    
|��|さえ小さくしてゆけば、 
    
�凵A{ζk }に関するf(x) t'(x)のリーマン和 R[ ft' ;��;{ζk } ]が収束することを意味する。 
    すなわち、  
      …*
6 
     ※正確を期して書けば、
     
任意の(どんな)正の実数εに対して(でも)、
     「 
0<|��|<δ ならば 
        
任意の(分点の取りかたで作れる)分割��、任意の代表点の取り方{ζk }に対して、
        
| R [ f t' ;��;{ζk}]−J|<ε 
       を成り立たせる、ある正の実数δが存在する」
  
準備2: *2より、t(x)は閉区間[a,b]で微分可能(定理から[a,b]で連続にもなる)だから、
   
[a,b]内部の任意の区間について、t(x)に対して平均値定理を適用可能。
   ゆえに、
[a,b]の分割��によって生じた小区間I1=[a, x1], I2=[x1, x2],…,In=[xn‐1, b]でも、
   
t(x)に対して平均値定理を適用可能。
   よって、
k = 1,2,…,nについて、
     
t ( xk )−t ( xk−1 )=t ' (ζ'k ) ( xk−xk−1 )     
   を満たすζ
'kがIk =[ xk−1, xk ]内に存在する   …*7 
準備3: *3は、
   任意の正数εに対して、
      
| x−y| < δ (x,y∈[a,b] )ならば、| t' (x)−t' (y) |<ε
   を成り立たせるある正数δが存在    …*
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  することを意味する。 
本題1: 関数fの関数tに関する(分割を��、Ikの代表点をζkとした際の)スチルチェス和は、 
 
     
(ζ'kは*7で存在が保証されたζ'k∈ Ik=[ xk−1, xk ] ) …*9
本題2: 分割を��、Ikの代表点をζkとした際の、
    
f(x)のt(x)に関するスチルチェス和と、f(x) t'(x)のリーマン和の差の絶対値をとると、
 
| S[ f ;t ;��;{ζk } ]−R[ f t' ;��;{ζk } ]|  
    
(*9より)
 =| {f (ζ1 ) t' (ζ'1 )( x1−a )+ f (ζ2 ) t' (ζ'2 )( x2− x1 ) +…+ f (ζn ) t' (ζ'n )( b− xn-1 ) }
   −{ f (ζ1 ) t' (ζ1 )( x1−a )+ f (ζ2 ) t' (ζ2 )( x2− x1 ) +…+ f (ζn ) t' (ζn )( b− xn-1 ) } | 
 
=| {f (ζ1 ) t' (ζ'1 )( x1−a )−f (ζ1 ) t' (ζ1 )( x1−a ) }
   + { f (ζ2 ) t' (ζ'2 )( x2− x1 ) −f (ζ2 ) t' (ζ2 )( x2− x1 ) }
  …+ { f (ζn ) t' (ζ'n )( b− xn-1 )−f (ζn ) t' (ζn )( b− xn-1 ) } |
 
=| f (ζ1 ) ( x1−a ) { t' (ζ'1 )−t' (ζ1 ) }+ f (ζ2 ) ( x2− x1 ) { t' (ζ'2 )−t' (ζ2 ) }+
                    …+ f (ζn ) ( b− xn-1 ) { t' (ζ'n ) −t' (ζn )} | 
  …*
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本題3: 任意の正数εにたいして、*8よりある正数δが存在し、
   このδよりも小区間
Ik =[ xk−1, xk ]の幅(xk−xk−1)を小さくするような(つまり0<|��|<δとなる)
   任意の分割��にたいして、
 | S[ f ;t ;��;{ζk } ]−R[ f t' ;��;{ζk } ]| 
  (*10より)   
  
         (ζ'k ,ζk∈ Ik=[ xk−1, xk ]かつxk−xk−1<δだから、
                   
|ζ'k−ζk | < δとなって、
              *
8より、  | t' (ζ'k)−t' (ζk) |<ε )
   
    (*0より、) 
   
 =ε|M(b−a) | =ε(b−a)|M | 
以上をまとめると、
   任意の正数εにたいして、*8よりある正数δが存在し、
     0<|�處<δとなる限りで任意の分割��にたいして、
   
| S[ f ;t ;��;{ζk } ]−R[ f t' ;��;{ζk } ]| <ε(b−a)|M|…*11
正数εが任意なら、ε(b−a)|M|も任意だから、
*11は、  
     任意の(どんな)正の実数ε(b−a)|M|に対して(でも)、
    「 
0<|��|<δ ならば、
      
分割��の取り方、それによってできた小区間Ik (k=1,2,…,n)の代表点ζkの取り方によらず、
      
|S [ f ; t ;��;{ζk}]−R[ f t' ;��;{ζk } ]|<ε(b−a)|M| 」
     を成り立たせる、ある正の実数δが存在する、  
ことを意味している。
これは、f(x)はt(x)に関しリーマン・スチルチェス積分可能であることの定義にほかならない。
また、|�處→0で、S [ f ; t ;��;{ζk}]  が*6に収束することを意味する。
         (←この最後のところ、緩いのでは?)


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定理:スチルチェス積分の第2平均値定理I

   [杉浦『解析入門I』358:証明付;]
関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、関数t(x)が閉区間[a,b]で単調増加ならば、
 
を成立させる、あるc∈[a,b]が存在する。

定理:スチルチェス積分の第2平均値定理II

  [杉浦『解析入門I』358.証明付;]

 関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、関数t(x)が閉区間[a,b]で単調増加ならば、
  
 を成立させる、あるc∈[a,b]が存在する。

定理:スチルチェス積分の第2平均値定理III

[杉浦『解析入門I』359証明付; Lang, Real and Functional Analysis 286;]

 関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、関数t(x)が閉区間[a,b]で単調増加かつt(x)≧0ならば、
  
 を成立させる、あるc∈[a,b]が存在する。
 関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、関数t(x)が閉区間[a,b]で単調減少かつt(x)≧0ならば、
  
 を成立させる、あるc∈[a,b]が存在する。



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(reference)

高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.93-99;104-106.
高木貞治『解析概論:改訂第3版』岩波書店、1983年、pp. 129-132;443-445.
杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1980年、p.345;pp.349-361.
Walter Rudin,Principles of Mathematical Analysis,Mcgraw-Hill,1953-1976.
=ウォ−ルタ−・ルディン『現代解析学』共立出版、1971年、第6章。
Lang,Serge.Undergraduate Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1983,pp.224-5:Exercisesとして。
Lang,Serge.Real and Functional Analysis(Graduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1993,pp.278-287.
Ross,Kenneth A.Elementary Analysis(Undergraduate Texts in Mathematics),Springer-Verlag New York Berlin Heidelberg Tokyo,1980,pp.203-221.