EDC Free Europe 2014年12月3日
ホルモンかく乱化学物質にノーと言おう!

情報源:EDC Free Europe, Brussels 3 December 2014
Say NO to hormone disrupting chemicals!
http://no2hormonedisruptingchemicals.org/en

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2014年12月5日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/141203_Say_NO_to_hormone_disrupting_chemicalshtml.html

 【ブリュッセル 2014年12月3日】産業側の激しいロビーイングのために、欧州委員会は、健康を守るために必要なホルモンかく乱化学物質への行動を遅らせている。しかし、現在、公衆の懸念をに関する意見を集めるために、パブリック・コンサルテーションが実施されている(訳注:2014年10月8日発表、2015年1月16日提出期限)(訳注1)。私たちはみなさんの支援を必要としている。

 欧州委員会は、このパブリック・コンサルテーションを非常に技術的で難しいものにしているので、EDC-Free Europe 連合(EDCのないヨーロッパ連合)は、各人が欧州連合に対して準備された回答を提出することができるよう、使いやすいオンライン・プラットフォームを立ち上げた。

 これは、あなたの意見を直接伝え、我々の健康を守るために我々の生活からホルモンかく乱化学物質を緊急に排除することを要求する唯一の機会である!

 あなたが行動するのに、5分とかからない。あなたについての情報を書き込み、4つの簡単なステップで、あなたの意見は直接欧州委員会に送られる。


ホルモンかく乱化学物質にノーと言おう!
 我々の健康を守るために、あなたは我々の生活からホルモンかく乱化学物質を排除することを望んでいることを欧州委員会に告げていただきたい。

 内分泌かく乱化学物質(EDCs)とも呼ばれるホルモンかく乱物質は、我々の体の化学的メッセージである天然のホルモンを阻害することができる化学物質である。

 暴露経路の例として挙げることのできる我々の食品、化粧品、家、職場、学校、そして病院でのこれらの化学物質への毎日の暴露は、現在と将来の世代の健康を守るために止めなくてはならない。

 ホルモンかく乱化学物質への暴露と、乳がんや精巣がんのようなホルモン関連がん、不妊、糖尿病と肥満、さらには子どもの学習障害及び行動障害などのうなぎ上りの上昇率とのを関連を、科学的証拠が示している。曝露はまた、野生生物のホルモン系をかく乱している。世界保健機関(WHO)は、ホルモンかく乱化学物質を”世界の脅威”と呼んでいる。

 産業側の激しいロビーイングのために、欧州委員会はホルモンかく乱化学物質への対応を遅らせている。しかし公衆の懸念に関する意見を収集するために、パブリック・コンサルテーションが現在、実施されている。

健康の悪化を防ぐためにパブリック・コンサルテーションに答えることが緊急に必要である

 ホルモンかく乱化学物質への毎日の暴露は、現在と将来の世代の健康を守るために止めなくてはならない。パブリック・コンサルテーションに答えることにより、あなたは深刻な懸念があるという強いメッセージを欧州委員会に送り、我々を、環境を、そしてヨーロパ及びそれを越える子どもたちを守るための行動を支援することができる。我々の要求は世界中の主導的科学者、世界保健機関(WHO)、そして国連環境計画(UNEP)の仕事に基づいている。

 このウェブサイトにより、我々はあなたが、公衆の健康、我々の環境にとって、また持続可能な食物と水の供給にとって、極めて重大なことがらである問題に対する意見を述べやすくしている。それは我々の将来の世代にとって非常に重要なことである。

我々が懸念する理由

 我々の日常生活の中でホルモンかく乱化学物質を避けることは不可能なので、我々はそれらについて非常に不安である。最近のヨーロパにおけるテストは、心配なことに、全ての人々が、新生児ですらこれらの化学物質に汚染されていることを示している。ホルモンかく乱化学物質は、包装及び容器、化粧品、電子製品、そして消毒剤のような日常製品中に見出されている。

 ホルモンかく乱化学物質は多くの深刻で生命を脅かす疾病と健康障害の劇的な増加に寄与しているようである。人は、特に幼少時代、子ども時代、そして特に重要なことは出生前に、これらの化学物質への暴露に脆弱であるということである。母親の暴露は、子宮内での子どもの発達に影響を及ぼすことができる。

 これらの化学物質への暴露は、男性の不妊率や前立腺がんのような男性におけるホルモン関連がんの増加に関連しているかもしれない。女性について、この暴露は生殖問題や乳がんのような健康影響のリスクの増大を意味するかもしれない。

 労働者もまた、職場、家庭、そして広く環境中で継続的にホルモンかく乱化学物質に暴露し、健康問題のリスクが増大しているかもしれない。

 野生生物もまた、これらの化学物質への暴露を被っている。ホルモンかく乱化学物質に関連する生殖や発達の問題が、魚類、鳥類、カワウソ、そしてホッキョククマすら含んで、多くの生物種で報告されている。

我々が望むこと

欧州連合(EU)内でのホルモンかく乱化学物質の禁止

 欧州委員会は、多くの非伝染性疾病の発症率増大を低減するためのこの機会を歓迎すべきである。この動きは、男性の不妊、乳がんのようなホルモンに関連するがん、そして他の慢性疾病の発症の多くを防止することに役立つであろう。

産業の利益よりも公共の健康コスト

 ホルモンかく乱化学物質をいかに規制するかに関する決定は、産業へのコストだけでなく、健康への影響に焦点を合わせなくてはならない。産業界への短期間のコストは容易に特定できるが、規制措置の長期的な健康と環境の便益はしばしば、定量化することは不可能であり、したがって無視され、短期的な産業の利益を優先する著しい不均衡をもたらしている。欧州委員会は、ホルモンかく乱特性を持つ全ての化学物質は廃止されるべきであるという明確なメッセージを伝えるべきである。これはヨーロッパ及びそれを越える化学産業に革新と競争力を鼓舞するであろう。

   欧州委員会は、農薬及び化学産業による激しいロビーイングのために、2013年12月までというホルモンかく乱化学物質を特定するための基準を設定するための期限を守らなかった。この様なことは止めさせなくてはならない。

人々と政府のための独立した情報

 ホルモンかく乱化学物質が特定され、段階的に廃止される間に、欧州委員会はまた、市民にこれらの化学物質に関する情報及び、どのようにして最善にそれらを回避するかの情報をを提供すべきである。このことは、胎内の子どの発達を守るために、母親と母親になる人々にとって特に重要である。政府は、これらの化学物質に対する措置の欠如の結果もたらされる健康コストの上昇について知るべきである。

公衆の関与

 市場から全てのホルモンかく乱化学物質を排除することは一夜にしてなすことはできない。あるものは、ほとんど直ちに排除することができるかもしれないが、他のものは、より安全なものに時間をかけて代替されるであろう。この移行を健康を第一とする透明性のあるプロセスで行うために、重要なマイルストーンは、あなたを含む、関心を持つ市民に可能な限り多くパブリック・コンサルテーションに参加してもらうことである。このウェブサイトはあなたがそのことをするのを支援するものである。

行動を起こそう(Take Action)

EDC-Free Europe

 多くの個人と組織が我々の”EDC-Free Europe”キャンペーンに参加している。我々は全ヨーロッパに パートナーを持ち、それぞれは自身のNGOsネットワークとメンバーを持っている。この広範な公益連合は、労働組合、消費者、公衆健康医療専門家、がん防止運動家、環境活動家、及び女性の団体を含む。

 我々の目的は、公衆の意識を向上させ、我々の健康に有害な化学物質に対してより迅速な政府の行動を促すためのものである。

 さらなる情報は www.edc-free-europe.org で入手可能である。



訳注1 Public Consultation on Defining criteria for identifying Endocrine Disruptors in the context of the implementation of the Plant Protection Product Regulation and Biocidal Products Regulation

主要なな設問
コンサルテーションの主要な設問は、内分泌かく乱特性の決定のための基準として、下記4つのオプションのどれを選ぶかである。

2. Options for criteria for determination of endocrine disrupting properties
2. 内分泌かく乱特性の決定のための基準オプション

2.1. Questions regarding option 1 (No policy change (baseline). The interim criteria set in the plant protection products and biocidal products regulations continue to apply. No other criteria are specified).
2.1. オプション1 に関する質問
 政策の変更なし(ベースライン)。植物防疫剤及び殺生物剤の規則中で設定sれている暫定的基準の適用を継続する。他の基準は明記されない。

2.2. Questions regarding option 2 (WHO/IPCS definition to identify endocrine disruptors (hazard identification)
2.2. オプション2 に関する質問
 内分泌かく乱物質を特定するためのWHO/IPCS の定義(ハザード特定)。

2.3. Questions regarding option 3 (WHO/IPCS definition to identify endocrine disruptors and introduction of additional categories based on the different strength of evidence for fulfilling the WHO/IPCS definition)
2.3. オプション3 に関する質問
 内分泌かく乱物質を特定するためのWHO/IPCS の定義及びWHO/IPCS の定義を満たす証拠の様々な強さに基づく追加的な分類の導入。

2.4. Questions regarding option 4 (WHO/IPCS definition to identify endocrine disruptors and inclusion of potency as element of hazard characterisation (hazard identification and characterisation)
2.4. オプション4 に関する質問
 内分泌かく乱物質を特定するためのWHO/IPCS の定義及びハザード特性化の要素としての潜在能を含めること(ハザード特定と特性化)。

訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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