EurActiv 2014年6月11日
フランスが内分泌かく乱物質への
迅速な行動を主張する


情報源:EurActiv, 11 June 2014
France urges 'quick action' on endocrine disruptors
Frederic Simon
http://www.euractiv.com/sections/science-policymaking/france-urges-quick-action-endocrine-disruptors-302726

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2014年6月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/140611_EurActiv_France_urges_quick_action_on_EDCs.html


 フランス政府は、いくつかの化学物質の人の体への影響は現在十分に報告されていると述べ、欧州レベルでの迅速な行動を求めて、EUの内分泌かく乱物質戦略を6月12日に開催されるEU環境大臣会合の議題に入れた。

   会合に先立ちフランスにより配布された説明文書(訳注:仏語)は、フランス政府は内分泌かく乱物質戦略に関する欧州委員会の大幅に遅れに我慢できないことを示している。

 欧州委員会は内分泌かく乱物質の定義を2013年12月に発表するという計画を持っていたが、欧州レベルで行動を起こす前に、影響分析を終わらせることを望むEUの環境委員ヤネス・ポトチュニックにより遅らされた。

 科学界は、内分泌かく乱物質をどのように定義するかについて、またどのような状況の下に、特に非常に低用量で、それらが人間の健康に影響を及ぼすかについて意見が分かれている。

>>我々(EurActiv)の過去の記事をお読みください。
Endocrine disruptors: Harmful or not? 12/12/2013

 しかしフランスは同意せず、予防原則に基づき事態を前に進めるために十分な科学的証拠が現在あると述べている。

 ”洗剤、プラスチック、化粧品、衣料品、塗料のような製品や日用品のあるものは、内分泌かく乱特性を持つ物質を含んでいる”とフランスはその説明文書の中で述べ、”多くの化学物質は生物のホルモン制御を阻害し、生殖、成長、発達、行動などに影響を及ぼす”と強調した。

 ”人の健康と環境への影響は現在、よく報告されており、特に妊婦や小さな子どものような感受性の高い集団の暴露を防止し制限するための行動が要求されている”と説明文書は述べている。

 フランスは、スウェーデンとデンマークからの支持を得ていることに言及しているが、両国は、ある科学者らが、正確な源を簡単には追跡できないために”ステルス化学物質(stealth chemicals)”と呼んでいるものを規制するための要求を主導してきた(訳注1)。

>>我々(EurActiv)の過去の記事をお読みください。
Sweden to sue Commission over delays to rules on chemicals

 論点は、内分泌かく乱化学物質を構成する基準の定義である。

 フランスは、物質の”効力(potency)”は考慮せずに、”有害性(hazard)の本質的な特性”に基づく、又は薬剤が非常に低用量で人の有機体組織に生成するかもしれない反応に基づくヨーロッパの定義を望んでいる。

 この定義に基づいてフランスは、ホルモン系への影響に関して科学界の確実性のレベルに基づき、”確認されている(verified)”、”推定されている(presumed)”、”疑われている(suspected)”という3つの分類を確立することを提案している。

 この定義は、低用量汚染と妊娠を含む異なる暴露経路、又は”暴露のウインドウ”に適合させるべきであると付け加えた。

 化学物質の本質的な有害特性に基づくフランスの提案は、化学産業界にとって論争の的となるであろう。同産業界は、実際のリスクを評価するために有害性(ハザード)と暴露を一緒に考慮する必要があると主張する。

 アメリカの国立公衆政策研究センター(National Centre for Public Policy Research) の上席フェローであるジェッフ・シュティアは、フランスが2015年に開始する食品接触材料でのビスフェノールA(BPA)の使用禁止をしようとした時に、科学的原則を無視したと主張した。

 シュティアは、環境運動家とフランスに支持された規制の要求は、”非常に低レベルの暴露が実際により高い暴露より大きな影響を持つと主張する、古いが、しかし未だに証明されていない理論に基づいている” と述べた。

 欧州委員会の環境報道官アンドレ・スカールは、フランスにもう少し、好意的であった。

 ”我々は、この重要な問題を環境相理事会会合で討議するというのはよいアイディアであり”、”我々はみな、明日、内分泌かく乱物質に関してフランスの論点を注意深く効くであろう”と EurActivフランスに述べた。

日程:
2014年6月12日:ルクセンブルグにおけるEU環境大臣会議

外部リンク
EU環境相理事会
6月12日環境相理事会会合に先立つ議題背景文書

フランス代表団により配布された内分泌かく乱物質に関する情報文書(フランス語)


訳注12013年10月7日 スウェーデン及びデンマークの環境大臣から欧州委員会環境委員及び産業委員への内分泌かく乱化学物質に関する書簡



化学物質問題市民研究会
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