フィールドスコープは超軽望遠鏡だ!  その1
思った時にすぐに見れ、旅にもお供! KOWA TSN-883

  公開:2011年7月21日〜
更新:2022年10月14日 *本機を手放しました

* 現在は、アームは左側に装着しています。
 

軽い望遠鏡、双眼望遠鏡を考える

 軽いのは良い。思い立った時にすぐに見れる、というのは物凄い武器だ。天文業界は、天体写真(撮影)を前提に設計されているものが多く、頑丈すぎて重すぎて、魅力のある鏡筒が少ない。

 口径10cm以下では、やはりHigh Lander が傑出。5cm以下なら双眼鏡。また、EMS対空双眼鏡は対物レンズを交換できるので、2インチ・アイピースが使えるEMS双眼望遠鏡にも変身する。ただし、High Lander の口径が82mmあるので、試していない。

 Obsession 18" UC で、Kowa Prominar TSN-883 ファインダーにした88mmもの口径があって、しかもフローライト・クリスタルレンズ、本体1.5s 、正立像。専用アイピース :TE-17W で30倍、実視野2.4°、見掛け視界72°。また、笠井 EWV 32mm を工夫すれば、15.6倍、実視界約4°、見掛け視界62°、Nagler Type6 5mm を工夫すれば、100倍、実視界約0.82°、見掛け視界82°になる。これをファインダーだけにしておくのはもったいない。

  

フィールド・スコープにしてみた

 まず、このスコープをEMS対空双眼鏡の本体を取り替える形で載せてみた。クイック・シューで装着しているので、交換はたちどころにできる。ドット・ファインダーもあるので、これは良い。望遠鏡のつもりで組んだのだが、気が付いたら、フィールド・スコープそのままだった(写真上)。

 本体+三脚も含めた総重量は、4.8s。片手でも外に出せる。三脚は、古いGitzo のものなので、1.8s。これを最新のカーボン三脚 GT0531 にすれば、720gになる。ただし、今の古い三脚にはエレベーター機能が付いているので便利。ファインダーもSky Surfer にすれば、80g軽くなる。また、ヴィデオ・ヘッドもManfrotto 701HDV は830gだが、Gitzo GH 1720QR なら460gだ。つまり、組み合わせによっては、架台も含めた総重量が、何と3.3sになってしまう。口径90mmの鏡筒だって4s位あるのが普通だから、これは物凄いことだ。単眼なら、これで相当楽しめる。

 このフィールドスコープの良いところは、1 1/4インチのアイピースがほとんど合焦する点だ。High Lander では、接眼部を相当ロー・プロファイル化しないと不可能なので、このフィールドスコープは可能性を秘めている。次は双眼だ。ライヴァルはHigh Lander

 

双眼にできるか?

 このフィールドスコープは回転自在で、自由な角度で止める事ができる。では、上の写真のように傾ければ、双眼視できるのだろうか? 広角アイピースなら中心で結像するのでは? これなら無改造で恐るべき双眼望遠鏡が誕生する。High Lander の本体重量が6.2sだから、2sはダイエットでき、しかも口径は6mm大きくなる。

 実際に覗いてみたら、視野環が1つにならなかった。よく映画で出てくる双眼鏡の視野環のように丸が2つ重なった感じ。ただ、重なった所では見えない事も無いが、こんなに苦労して見るメリットが無い。しかし、直視型のTSN-884 なら、この方法で双眼望遠鏡になる。地上風景〜45°までなら、十分実用範囲だ。肝心の天頂付近は厳しいが、Gitzo エクスプローラ・カーボン GT 2541EX なら、使えないこともない。椅子を工夫すれば、一体型として寝そべって見ることもできるが、本来の目的である、機動性を失ってしまう。 しかし、直視型は眼の延長として見えるので、魅力的な側面を持つ。低い椅子があれば、意外と天頂付近も大丈夫かもしれない。

Gitzo のエクスプローラ・カーボン三脚 GT 2541EX

 防水機能があり、窒素も充填されているので、できるだけ無改造で双眼化したいが、心中前提ならEMSを使って双眼望遠鏡にできるかもしれない。今では、タカハシの Sky90 より数万円安く流通しているので、非現実的な話ではない。このフィールドスコープのフォーカサーは秀逸で、また、フォーカサーのレンズも含めて光学系は設計されているので、対物だけを取り出してもよろしくない。フォーカサー以後、プリズムで光路を消費しているので、EMS双眼望遠鏡も可能性はある。1 1/4インチのアイピースに限定したとしても、Panoptic 24mm を使えば、21倍、実視界3.3°、見掛け視界68°、斜出瞳径4.2mmが得られる。可能かどうかは実際に分解しないとわからないが、あまりの大博打過ぎて、ちょっと無理。もし壊れたフィールド・スコープを入手できたら、是非試みたいところだ。

 それにしても、できそうでできない、というのは、実に楽しい。

 

Manfrotto の一脚:561BHDV-1を見つけた

 録音機材、特にマイクロフォンの情報を仕入れるため、Inter BEE へ行ってきた。放送用機材/業務用のものばかりの展示だが、いろいろと参考になる(といっても、業務用は一桁以上高い。テレビカメラ用のZeiss のレンズがあったので、いくらですか?と聞いたら、そうですね、450万くらいでしょうか、と普通に答えていた)。Vitec のブースで、Manfrotto の一脚 561BHDV-1 を見つけた。一脚に、ヴィデオ雲台701HDV を搭載し、下に小さい支えが付いている。しかも、この支えは可動性があって、具合が良い。これに、直視型のTSN-884 で双眼にし、この一脚に取り付けたら、天頂も何のその、けっこう行けるかもしれないと思った。少し大型の双眼鏡にも良いかもしれない。ただ、フリーハンドにできないのが欠点。本体重量1.9s、搭載可能重量4s。

  

遊馬製作所製 1.25”アイピース用アダプター (2012年8月29日)

 ななつがたけ北天文台のブログで、遊馬製作所から1.25”アイピース用のアダプターが出ているのを知った。誰でも考える事(望む事)は一緒で、せっかくの優秀な鏡筒なのだから、他のアイピースを使ってみたいのは当然だ。だったら、最初からメーカーが対応してくれ〜〜!

 

 さっそく注文してみた。アイピースに、写真左のようなリングを取り付け、スコープにねじ込む、というもの。送料込みで\4240だった。ねじ込む、といっても回す回数は2回程で、さほど負担ではない。ペンタックスSPのレンズ交換を思い出した(昔のペンタックスのレンズ交換は、ネジ式)。定期的に注文が入るらしく、鳥屋さんにも需要があるらしい。

 私の所有しているアメリカン・サイズのアイピースで、合焦のチェックをしたら、ほとんどのアイピースで合焦したが、Ethos 8mm6mm が、2”のフランジが邪魔をしてダメ(8mm は、もう少しで惜しい)。1.25”アダプターを介したLeica Zoom はダメ。直接つっこむと合焦する。これが使えたら、物凄いスコープ、望遠鏡になるので、残念だ。Nagler Zoom は、バレルが長くて、これもダメだった。バーローもZeissTMB どちらも使えなかった。Pentax XW シリーズはぎりぎり合焦。

 月でチェックしてみたら、どれも見事! これは立派な望遠鏡でもあった。Abbe II で見るシャープな像は、快感。Ethos SX 3.7mm (135倍、実視野0.81°)でも、まだゆとりを感じる。高倍率で良かったのは、Radian 4mm。(125倍、実視野0.48°、見掛け視界60°)。クレーターのエッジはシャープだし、虹の入江のとろとろ〜っとした表面のぬめぬめ感も見事に描出する。Ethos SX 3.7mm はアイピースが重くて長いので、バランスが今一良くない。単眼なら、ハイランダー超えだ。

 木星が出てきたので、薄雲がかかっているけれど、Radian 4mm Ethos SX 3.7mm を比較してみた。Radian 4mm の圧勝。大赤斑がこちらを向いているのが認識でき、SEB、NEB、NTB、NNTBあたりの分離が、より鮮明だった。本当に、このスコープは凄い! こうなると、Radian 3mm も試したくなる。ただ、架台がしっかりしていないと、フォーカサーに触れただけで、けっこう揺れるし、すぐに揺れは収まらない。

 このアダプターのイモネジを外し、スコープに入れっぱなしにしておく方法もある。アイピースをするすると挿入するだけなので、天頂付近はアウトだけれど、けっこう安定して使える。アイピースの交換は楽ちんだ。Radian 4mm は収まりも良く、惑星なら、この方法でも実用範囲だと思う。また、このアダプターを挿入したまま、EWV 32mm が装着できる。ファインダーとして導入した当初は、とりあえず暫定的に1.25”アイピースが使用できる方法をあみ出したが、この夏、オーストラリアに遠征し、南天での低倍対応屈折望遠鏡の必要性を痛感したので、今後、トラベル・ドブにお供する事になりそうだ。
 

 最大実視野は、報告している通り、EWV 32mm で実視界約4°(16倍)、見掛け視界 約62°。1.25”の場合は、Panoptic 24mm で、実視界3.3°(21倍)、見掛け視界68°が得られる。ファインダーとして使う場合は、従来通りEWV 32mm になるけれど、もし、望遠鏡として使うなら、Panoptic 24mm からの使用で十分だ。次は、優秀なXW 20mm を使うも良し、純正アイピースを使うも良し。アイピースの交換の手間を考えたら、XW 20mm が常用か。Leica Zoom が使えないのは、かえすがえす残念だ。さらに倍率を上げるなら、XW 7mmNagler Type 6 5mm。Nagler Type 6 7mm は、旧型を20年前に持っていたけれど、もう手元には無い。次のアイピースは、Radian 4mm !

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
TSN-883 88mm 5.68 500mm            
EWV     32mm 16 *4° *62° 20mm 5.6mm ファインダー使用
Panoptic     24mm 21 3.3° 68° 15mm 4.2mm  
Pentax XW     20mm 25 2.8° 70° 20mm 3.5mm  
TE-17W     16.6mm 30 2.4° 72° 20mm 2.9mm 純正アイピース
Pentax XW     7mm 71 1.° 70° 20mm 1.2mm  
Nagler Type 6     5mm 100 0.82° 82° 12mm 0.9mm  
Radian     4mm 125 0.48° 60° 20mm 0.7mm  
Ethos SX     3.7mm 135 0.81° 11 15mm 0.7mm  
Radian     3mm 167 0.36° 60° 15mm 0.5mm  

*推定値

   

雲台がZitzo G2180になった

 2013年初頭、オーロラ観望に行ってきた。その時、せっかくなので、 これを望遠鏡として持っていった。アイピースは、専用アイピース:TE-17WNagler Type6 5mm 。昨年P.S.T.双眼とEMS対空双眼鏡の雲台が代わり、Manfrotto 701 を手放してしまったが、やっぱり軽量のヴィデオ雲台は必要になったので、Zitzo G2180 を購入した。わずか570gしかない操作性抜群の雲台だ。バード・ウォッチング専用の雲台GH1720QR もあるが、目的が違うのか、何度か触ったけれど、メリットが感じられなかった。

 いつもの繰り返しになるが、口径約9cmのフローライト屈折望遠鏡、正立像、架台込みで総重量わずか3.2s。片手でラクラク、トート・バッグに入れて持ち歩ける驚異の望遠鏡だ。

 自宅でフードに付いている照準器で月と木星が導入できたので、今回はファインダー無しにしてみたが、これが大誤算。防寒のための専用ケース(写真右上)を装着すると、星空では照準器は見えにくく、レッド・ライトでフードを照さらないと見えないし、今度は星空が見えにくくなる。やはり、Sky Surfer III をきちんと装備する必要があった。お陰でメシエ・メジャー天体の導入も大変で、結局持っていったものの、あまり活躍の場は無かった。

 

PROMINAR ワイド・ズーム・アイピース TE-11WZ (2013年1月23日)

 Prominar の冠をつけた、ズーム・アイピースが発売になった。25〜60倍で、実視野は2.4〜1.32°、見掛け視界は60倍の時に69°(ISO)とTE-17W の64°(ISO)を超える。以前、TE-10Z で覗いた時、“?” と印象が悪かったが、今度は期待できそうだ。さっそく注文したが、届くのに1週間近くかかった。

 で、実際に覗いてみたら、これは優秀! シャープでコントラストも良いだけでなく、像の歪みも本当に少ない。フィールド・スコープの場合は、これ1本でOKなのではないか。本来の用途、Obsession のファインダーとして使う場合は、従来通りTE-17Wという訳で、アイピースの組み合わせは、下記のようになった(見掛け視界は、天体用アイピースと比較できるように、 双眼鏡用表示:ISOではなく天文用表示/双眼鏡での旧JIS表示とした)。
 
 

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
TSN-883 88mm 5.68 500mm            
EWV     32mm 16 *4° *62° 20mm 5.6mm  
Panoptic     24mm 21 3.3° 68° 15mm 4.2mm  
Pentax XW     20mm 25 2.8° 70° 20mm 3.5mm  
TE-17W     16.6mm 30 2.4° 72° 20mm 2.9mm 純正アイピース
TE-11WZ     20mm 25 2.4° 60° 17mm 3.5mm 純正アイピース
    8.3mm 60 1.3° 79° 17mm 1.5mm  
Pentax XW     7mm 71 1.° 70° 20mm 1.2mm  
Nagler Type 6     5mm 100 0.82° 82° 12mm 0.9mm  
Radian     4mm 125 0.48° 60° 20mm 0.7mm  
Radian     3mm 167 0.36° 60° 15mm 0.5mm  

*推定値

2"アダプターを装着

 さらに、Leica Vario Zoom アイピース・アダプターを使ってAPM-Bino で地上風景でチェックしてみた。優秀! いつもチェックしている鉄塔のガイシの質感も申し分無い。また、電球でできるディフラクション・リングがとてもきれいで、しばし見とれてしまった。今度は、同一鏡筒(右側)でLeica Vario Zoom と最大倍率で幾度も比較。夕方の月も見てみたが、双方ともコペルニクス・クレーターの壁の複数のヒダをきれいに描出する。ただ、Leica Vario Zoom の方がコントラストと質感が一枚上手で、金属板に反射した風景のくっきり感、鳩のお腹の毛のふわふわ感等がさすがだ。月が細くなったら、今度はDeep Skyで比較してみたい。
 このフィールド・スコープに装着できる2倍バーローがあったらいいなあ〜。

 

直視型TSN-884双眼用三脚 (2013年6月10日)

 昨年(2012年)9月にスワロフスキーから分割式のフィールド・スコープが出た。さっそく見て、これならEMSを接続して超軽双眼望遠鏡ができそうだ、と興奮した。スワロの方にも、双眼望遠鏡に使えるなら2本ずつ売れますよ、とさかんに啓蒙したが、 未だに事の重大さに気付いていないようである。

 今年になって、それが形となった。10cm以下なら、最強ではないか? オーナーではないが、まるで自分の双眼望遠鏡のように、この完成が嬉しくてたまらない。それにしても、バヨネット形状なのに、それを形にしてしまう発想と技術力の高さは流石である。となると、Kowaのオーナーである私にも火が点いた。というのも、上記のズーム・アイピースの完成度が高いので、直視型 TSN-884 にこれを挿せば、それだけで物凄く完成度の高い双眼望遠鏡が誕生してしまう。しかも、アイピースも、このズーム・アイピースだけで完結してしまう。では、天頂付近を見るには、どうしたら良いのだろうか?

 大きなやじろべえのようなアームや、錘を付けたパンタグラフのようなものを良くみかけるが、家で見るならともかく、遠征には持って行きたくは無い。身の回りには、フリー・アームを利用して、自由に空間に固定できるものがけっこうあるが、重さのバランスが取れている必要があり、またアームをきちんと固定しておく必要がある。


サンワ・サプライ/モニター・アーム YT-LA018 と GW デスクアーム式 卓上マイクスタンド ブラックMS-001

 ガス・シリンダー内蔵のモニター用アームもあるが、根本をしっかり固定するのは難しい。また、古典的電気スタンドのような卓上マイクスタンドがあり、これだと軽い双眼鏡にはOK。天頂付近を見るには、上記のGitzo のエクスプローラ・カーボン三脚GT 2541EX が良さそうだが、Velbon V4 unit フリー・アングル・エレベーター・システムを既存の三脚に取り付ければ、同じような形になる。

 このアームは、クッと捻ればフリー・固定が一瞬ででき、エレベーター機能も付いているので、実に便利。これにヴィデオ雲台:Zitzo G2180 を取り付けてみた。三脚は、Gitzo のトラベラー GT1542Tとりあえず、一番重いNikon 7×50 SP を取り付けてみたが、天頂付近の観望も疲れるけれどOK。

 実際に直視双眼もやってみたい気持ちは大いにあるのだが、ハイランダーの次には125SD-Bino があるので、結局は出番があまり無さそうで、実験止まりが現状。

   

お気軽月見望遠鏡 (2014年10月20日)

 寝ようとしたら、ちょっと月がきれい、ちょっと早く起きたら月がいい感じ、といった時、すぐに見れる望遠鏡があったらいい。私の双眼望遠鏡もORION 300もお手軽ではあるけれど、屋上に出て、架台を出して、望遠鏡を設置して、と、ちょっとした時のちょい見には若干面倒だ。そこで、本機が登場。

 基本は、2013年にオーロラ観望の時のシステムと同じだが、ふだんはObsession 18"のファインダー兼低倍観望用望遠鏡として使っている本機なので、クイックシュー HAKUBA MG35LB を交換すると、その都度、ドブと光軸合わせが必要になり、面倒だ。ところが、このZitzo G2180 は、何とそのままクイックシューを入れて固定する事ができるのだ。クイックシュー全部は入らないけれど、ちょっと入れた状態できちんと固定できる。で、アイピースは、Radian 4mm。125倍、実視野0.48°、見掛け視界60°、射出瞳径は0.7mm、アイレリーフは20mm。ちょうど、視野いっぱいに月が見え、そして細かい所もきちんと見える。今朝は早く起きてしまったので、寝室の窓の隙間から月齢25.9の細い月をこれで楽しんだ。シッカード内のクレーターも、いい感じで見えた。XW シリーズは優秀だが、この倍率の場合には、Radian 4mm がベスト。3mm だと、架台の微振動が気になって、良くない。

 重さは、本体、三脚、雲台、アイピース全部合わせて、たった2.9s(実測)! 当然、片手でラクラク持ち出せるし、コンパクトなので、寝室の出窓からでも観望OK。このページで何度も書いているが、口径約9cmのフローライト屈折望遠鏡で正立プリズム内蔵、架台込みで総重量は3s以下! ただ、この位の口径の望遠鏡で、赤道儀、天頂プリズムのシステムの写真をネットとかで見かけると、自分には、そっちの方が驚きだけれど。
  

AYO II に載せてみた (2016年6月6日)

 Lunt 10cm ダブルスタックのために購入したAOK 社のAYO 経緯台だったが、望遠鏡にも使えるよう、エンコーダー付きにしておいた。やろうやろう、と思いつつ時がどんどん過ぎていったが、やっと双眼鏡プレートを購入し、載せてみた。エンコーダー・ケーブルは1本出ているだけなので、これをNEXUS II に接続すれば、もう準備OK。バッテリーも内蔵なので、他に何もいらない。2016年6月現在、SkySafari を活用する架台の中では、最も簡単に構築できるシステムだろう。

 SkySafari のお陰で、まだ暗くならない内から二重星巡りができる。本当に画期的なシステムだが、なぜか少し導入誤差が出る。Alignしながら使用すればOKだが、これは今後の追求課題。もしかすると、エンコーダー数が、公表している5000ではなく、4096なのかな?

 最近は、ズーム・アイピース TE-11WZ ばかり使用している。これのバーローが海外では出たが、国内では2016年の年末あたりの発売になるらしい。海外では割高で購入できないので、これは待つことにしよう。これを装着すれば、もう惑星まで十分に網羅でき、下手な望遠鏡の出番は無くなる。
 

1.6倍エクステンダー TSN-EX16 (2016年9月25日)

 

 今年(2016年)の春に発表。日本国内だけ、即販売中止となった。何やら特許が絡んでいるらしい、という噂を聞いたが、理由の程は不明。年末には発売できる、という事だったが、9月発売となった。さっそく購入。写真は、ズーム・アイピース TE-11WZ に装着したもの。
 薄雲の中、さっそく月齢23.7の月面探訪。エクステンダーを装着し倍率を上げると暗くなっていくが、シャープネスは文句無し。フィールドスコープは、たちどころに40〜96倍の倍率可変望遠鏡に変貌する。元々が25〜60倍で、DSO観望なら、これで十分。惑星、月面探訪なら、このエクステンダーの登場となるが、実質は標準ズーム・アイピースより倍率が欲しい場合だから、ほとんどは96倍、実視界0.8°での使用となる。

 虹の入り江のトロトロ感の描出も良いし、入り江に向かうさざ波のような、リンクルリッジも見える。ガッサンディの中の中央隆起も、きれいに2つに分離する。私の教科書 「月世界への招待」 では、中央隆起は、大きくは3個、しかも、クレーター内部には、小クレーターや、いくつもの谷もあるようだが、それを確認するには、さらなる大口径と高倍率が必要だ。このスコープの口径は88mmなので、理論上の倍率の限界は176倍だ。しかし、いくら小型・軽量のスコープとはいえ、100倍を超えていくと架台を相当選ぶようになってくる。一眼レフでも、エクステンダーは1.6倍と2倍があるけれど、2倍はやはり画質が落ち、私の場合は1.6倍しか使っていない。まあ、100倍程度が純正品として無難な所なのかな。

 

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 備考
TSN-883

88mm

5.68 500mm            
EWV     32mm 16 *4° *62° 20mm 5.6mm

*推定値

TE-17W     16.6mm 30 2.4° 72° 20mm 2.9mm  
TE-11WZ     20mm 25 2.4° 60° 17mm 3.5mm  
    8.3mm 60 1.3° 79° 17mm 1.5mm  
TE-11WZ+Extender     12.5mm 40 1.5° 60° 17mm 2.2mm  
    5.2mm 96 0.8° 79° 17mm 0.9mm  

 月面は、月齢によって表情が激変するし、気流、シーイングによっても大きく左右されるので、このスコープで〇〇が見えた!等と報告するつもりも予定も全くない。とにかく晴れないので、惑星とも随分ご無沙汰だ。それにしても、天文・観望を続けるにゃあ、環境が悪すぎるなあ...
  

 今年の皆既日食は、もちろん125SD-Binoで行くつもりだった。金属フィルターも装着できるよう準備もしていたし。ところが、正月にNYでトランクは壊されるは(夫婦とも2個)、望遠鏡のEMS装着部もダメージを受けたりと、酷い扱いを受けた。トランクは、アメリカ指定のTSAロックのRIMOWA。それなのに、「俺のキーで開かないトランクなんて、持ってくるんじゃねえ」とばかり、ちょっと鍵の入れ方を変えれば問題無く開くはずなのに、いきなり「破壊」して開ける。まるで、トランプみたいな検査官がいるのだろうか。これでは、アメリカ大陸本土に大切な望遠鏡を持って行けない。

 そこで、このスコープに金属フィルターを装着し、これで見る事にした。本当は双眼がいいのだが...
金属フィルターは、
Thousand Oaks 社製のが有名だが、日食程度なら、米ORIONのが半額程度で入手できる。今の内にオーダーしておかないと無くなる恐れもあるので、1月に注文した。スコープ用は#7730、撮影鏡:CANON 300mm f2.7には#7710。ネジを外し、内側に付属のスペーサーを入れれば、即座に着脱できる。

 で、この黄色のシール。邪魔なので望遠レンズの方から剥がしたが、べとべと剥がれないタイプで接着していて、薬剤を使用したら、青色のリング(ただの弱っちい塗装!)が薄く消えてしまった。どこでもそうだけれど、シールを貼るなら、きれいに剥がれるものを使用してくれ! 剥がれないものなら、貼るな!

 このスコープ+ズーム・アイピースはいい! 全景(コロナ)〜拡大(プロミネンス)まで思いのままだ。これならバッグに入れて持ち運べば破壊されずに済みそうだ。なお、フードは短縮してフィルターを装着しないと、ゴーストが出る。

*注意:アメリカへ持ち込む荷物は、TSAでもロックをしてはいけません。また、皆既日食の時は空港でも大混乱するので、望遠鏡など特殊な機材を入れたトランクは検査が遅れ、ロスト・バゲージになる可能性があると思います。
  

 上記エクステンダーを2つ重ねると、160倍になりますよ、と私のsiteの読者の“星見る羊飼い”さんから連絡があった。しかも、そこそこ見える、という。このスコープを天文用望遠鏡としても有用、と紹介した私としては、これをやらない訳にはいかない。

 という訳で、ダブル・スタック。地上風景を見ると、確かに最大倍率:156倍まで大丈夫だが、120倍を超えたあたりから、眼のゴミやら睫毛などが気になり、無理している感じが出てくる。月を楽しむならエクステンダーは必要だが、さらに倍率を上げて見たいなら、これで対応。口径12-13cmの屈折とは歴然と差が出るのは仕方が無いところだが、これでも、この大きさと軽さでここまで見えるのだから、やはり、このスコープは凄い!
 ちなみに、これ以上スタックしても倍率が口径×2を越えるので、意味は無いだろう。

   *本機を手放し、TSN-99Aになりました。続きは、こちらへ

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