2006年9月の映画  戻る


グエムル−漢江(ハンガン)の怪物
2006年 韓国 107分 日本語版字幕:
監督・原案・脚本 ポン・ジュノ(「殺人の追憶」
脚本 ハ・ジョンウォン/パク・チョルヒョン
撮影 キム・ヒョング
音楽 イ・ビョンウ 
キャスト コ・アソン(ヒョンソ)/ソン・ガンホ(父カンドゥ)/ピョン・ヒボン(祖父ヒボン「殺人の追憶」)/パク・ヘイル(叔父ナミル「殺人の追憶」)/ペ・ドゥナ(叔母ナムジュ「ほえる犬は噛まない」「リンダリンダリンダ」)/イ・ドンホ(セジュ)/イ・ジェウン(セジン)/ヨン・ジェムン(ホームレス)
メモ 2006.9.30(日)三番街シネマ
あらすじ
ソウルを南北に流れる河・漢江(ハンガン)の河岸で売店を開いているパク一家。そこに突如グエムル(怪物)出現!!。こけたりもするドジな所もあるがすばやい動きで次々と人間様に襲いかかり、飲み込む。 パク家の中学生になったばかりのヒョンソもグエムルの尻尾に捕らえられ、対岸で飲み込まれてしまう。
被害者の合同のお通夜で「アイゴー」とのたうちまわり号泣するヒョンソの祖父、父、叔父、叔母の4人。ところがその夜、父カンドゥのケータイに電話が掛かって来た。「アポジ!」 それはヒョンソだった。下水道のような所にいるらしい。ヒョンソは生きている!  助けにいかなくちゃ。
感想
30年寝太郎だったカンドゥ(ソン・ガンホ)が事にあたってはかりしれない潜在能力を発揮する、という事はなかったな。が、パク一家は銃でアーチェリーで火炎瓶で標識で怪物に襲いかかる。ヒョンソも脱出を図る。  ”ロボトミー手術がこの映画に必要なんだろうか?”と中盤たるいが”傑作”ではないだろうか。”怪作”といってもいい。さぼてんにとってはほぼ同義語だから。この監督さんの才能に日本もうかうかしてられんよ。韓国映画にしてはあんまりしめっぽくないしね。 ヒョンソの汚れ具合もいいな(見習え「ホワイトアウト」の松嶋奈々子〜って悪いのは監督か事務所か)。。映画に3箇所出てくる人間食べるシーンもいい。日常(食べる事)と非日常(怪獣が出現する事)がそこにある。一方人食するグエムルの本能も表している。食べるのは生きるためであって遊びやないんやから。ここんとこちょっとブラックやったな。
漢江(ハンガン)では数年前から行方不明者が出ていたって前振りが最初にあったらもっとよかったかもな(「ラドン」になるか)。クリーチャー・グエムルは「機動警察パトレイバー」に出てくる怪物に似ているらしい。監督さんは「日本のアニメは見ていない」と言われている事からクリエイターがパクリ参考にしたのかもしれん。
好みがきつい映画らしく、おふたりほど上映中に席を立たはりました。
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キンキー・ブーツ Kinky Boots (kink:一風変わったとか変態とか)
2005年 英国 107分 日本語版字幕:森本務
監督 ジュリアン・ジャロルド
脚本 ジェフ・ディーン&ティム・ファース
撮影監督 エイジル・ブリルド
キャスト ジョエル・エドガートン(チャーリー・プライス)/キウェテル・イジョフォー(ローラ)/サラ=ジェーン・ポッツ(ローレン)/ジェミマ・ルーパ(ニック)/リンダ・バセット(ニル「ぼくの国、パパの国」
メモ 2006.9.17(日)曇り雨 OS名画座
あらすじ
ロンドン近郊の田舎町ノーサンプトンには伝統ある靴工場「プライス&サン社」がある。4代目となるべく帝王学をさずけられていたはずのチャーリーは、強い婚約者ニックの転勤に伴いロンドンに住むことにする。結婚前から尻にしかれているってやつ。田舎のしがらみを離れロンドン生活を満喫するはずが、父の突然の訃報。チャーリーには工場と職人達が残された。そして判明した事実。工場はつぶれかけていた。一生ものの靴を作り続けている間に時代に置いていかれていたのだ。工場を立て直すべく「僕にはどうしようもないんだ」と泣き言を言いながらなみだ目で従業員15人のクビを切るチャーリー。クビ切りされたローレンはわめく「製品を変えればいいのよっ ニッチ市場を目指せ!」。 無策のチャーリーにとって目からうろこ。 そしてもう1人の天使は、暴漢にからまれている美女だった。助けるつもりが・・・・”彼女”は助けなど必要としていなかった。一撃でノックアウトされたチャーリーは楽屋で目が覚める。そこにはケバイドラッグクィーンがいた。足の痛いのをウォッカだったかジンだったかで紛らわしているクィーン。足に合うセクシーブーツが無いのが大いなる悩み。(実話の映画化)
感想
「ステイル・クレージー」「フル・モンティ」系のイギリス映画。
 
 田舎町ノーサンプトンで泊まっているローラ(キウェテル・イジョフォー)
  下宿先のおあばちゃんがお茶を持ってきて問う。
   「ところであなた男なの?」 ・・・・・・ローラ「ええ」
       「そう、じゃあトイレの便座は上げておくわね。 クッキー持ってくるわ。」
 
恐るべしキウェテル・イジョフォー(「堕天使のパスポート」「インサイド・マン」)。ドラッグ・クィーンのローラ役。化けるなあ。 ぽっちゃりしたが色っぽいの。
もっと笑えるかと期待していたのにちょっと残念。思うに日本語訳が練れてないのではと。英語ワカリマセンケド。しかしOS名画座は日曜日の二回目も三回目も完売。 何がそこまで映画ファンを動かすのだ? 地味だったり派手だったりでしょ、強弱あって見てて楽しいわけ。そしてちょっとキワモノでしょ。笑えるでしょ。そして苦節あっての成功物語。プロが知恵を絞って技で勝負する。そろってるな。職人を大事にしないと国は滅ぶぞ。今年の冬はこのキンキー・ブーツが流行るかもしれん(ちびさぼが卒業した高校の文化祭の打ち上げに行ったらクラブの後輩が「キ? キ? なんとかブーツが欲しい」と話をしていたとか)。
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ぼくのプレミア・ライフ FEVER PITCH
1997年 英国 102分
監督 デヴィッド・エヴァンス
原作・脚本 ニック・ホーンビィ(「ハイ・フィデリティ」「アバウト・ア・ボーイ」)
撮影 クリス・シーガー
キャスト  コリン・ファース(ポール)/ルース・ジェメル(サラ)/ルーク・エイクマン/ニール・ピアソン
メモ 2006.9.3(日)晴れ DVD
あらすじ
ポール(コリン・ファース)は中学の英語の教師。寝てもさめてもアーセナル、アーセナル、アーセナル漬けの毎日だ。生徒にはとっても人気者。同じレベルだから。ファンになって21年。すべての金と時間をアーセナルにつぎ込んでいる。アーセナルあっての俺、俺あってのアーセナル。”決定的瞬間に立ち会う事” そこには観客も選手も(違いは)ない。
ところが新任教師のサラに会って心がざわざわする。彼女は堅物だ。”とっつきにくくて陰気でイヤミな野郎”のジョーン・グレアム監督だ。だけど美人だ。 時たま思うんだな。「(低迷している)アーセナルと(混乱している俺の)人生のどちらがクソ」なのかわからん・・・・。このままでいいのか。」  立ち見席で応援中おなかをかばっているサラを見てポールは気づく。「サラは妊娠している」   父親になるんだ。生活を立て直すラストチャンスじゃん! と、タバコも酒もやめてそなえるガキのポール。一方サラは「ポールは子供みたい。所帯を持ってもいつか別れるんじゃ」という予感がして心が決まらない。そしてアーセナルは大変なことになっていた。18年ぶりに優勝のチャンスが訪れていたのだ(どっかで聞いたような話だな)。 試合を見ていられないポール。「絶対勝てないチームに鞍替えするとか。オリエントとかな。こんな経験せずに済む。」とぶつぶつ言っては部屋の中をうろうろジタバタ。
感想
イギリスのフットボールチーム(サッカー)・アーセナルに狂っている男の物語。
原作者ニック・ホーンビィの自伝的ベストセラーを映画化とか。
 
応援しながら 「勝つきあんのか!!」 とわめいているポールを見て、あたしなんぞまだまだと思ったよ(笑)。ああはなれん。 夢中になるものがあるのは結構やねえ、、、などとは言っていられない域まできているのかもしれん。 物には限度があり、バランス感覚が大事・・・と言っているのかもしれん。なけりゃ狂乱の渦の中でくるくる回ったまま。 くるくる回ったままの人達の中でフーリガンと化したきゃつらが1989年4月15日リヴァプール対フォレスト(ヒルズボログラウンドの準決勝)でサポータ74人圧死という事態を引き起こしたのだ。(この悲劇はイギリスのトラウマになっているらしく、「心理探偵フィッツ・孤独な男」のロバート・カーライルはリヴァプールの大ファン。殺人鬼となってしまったのはこのヒルズボロの悲劇が根っことなっている)
 
「メリーに首ったけ」「キングピン/ストライクへの道」、「ふたりにクギづけ」のファレリー兄弟の「2番目のキス」(2005)はこの映画のアメリカ版リメイク。サッカーが野球になっている・・・らしい。大阪で上映してた? うちは見逃したわけなん?(くっそう)
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カクタス・ジャック MATANDO CABOS(カボスを殺れ)
2004年 墨西哥(メキシコ) 103分
監督・脚本 アレファンドロ・ロサーノ
脚本 トニー・ダルトン/クリストフ
キャスト トニー・ダルトン(ジャック)/クリストフ(ジャックのツレ・ムド)/ホアキン・コシオ(ムドの友・ルベン)/シルヴェリオ・パラシオス(ルベンの仲間・人喰いトニー)/ラウル・メンデス(誘拐犯ボッチャ)/グスターヴォ・サンチェス・パラ(ボッチャの相棒・ニコ)/ペドロ・アルメンダリス(ファミリーのボス・カポス)/アナ・クラウディア・タランコン(カポスの娘ポリーナ)/ロシオ・ヴェルデホ(ポリーナの友達・ルラ)
メモ 2006.9.2(土)晴れ テアトル梅田・レイトショー
あらすじ
ファミリーのボス・カポスは非情な男だ。そのうえハバネロのように凶暴。そんなボスの娘ポリーナとねんごろになって見つかってボコボコにされたジャック。そのままトンズラすればいいものを、ポリーヌとの仲を認めてもらおうとトコトコボスの所に顔を出したもんだから、すわっ「お礼参り!!」と思い込んだボスはゴルフのクラブで撃退〜〜の所がゴルフボールにつまずいて転倒、失神。 頭がピーマンなジャックは相棒のムドに招集をかける。
ところが、その隙に掃除夫はボスを裸にひんむいていた。ボスとは幼馴染で血の絆を誓ったはずなのにあてがわれた仕事は”掃除夫”だった彼。20年来の恨みを果たすためこれ幸いと、ボスのスーツやら金ぴかの時計やら靴やら一式を身に着けて事務所を後にする。意気揚々の彼を待ち受けていたのは”誘拐”。ボスと間違われてしまった。しかも誘拐したのは我が息子・ボッチャ。いっぱしのワルになっていたボッチャは父の無念を晴らすためボスを誘拐した・・・・と思い込んで「父を誘拐した」というおおたわけ
一方ジャックとムドは下着姿のボスを前に途方にくれる。事態は一層悪くなっている。この難局を軟着陸させる方法はないものか? ムドは昔馴染みのルベンに連絡する。ルベンは元”伝説のレスラー”マスカリータであった。薬と女と酒でリングを去った男は昔の名前「マスカリータ!」を呼ばれるとキレル。ルベンの相棒は”人喰いトニー”。どこが”人喰い”かって? とっても「テクニシャン」なのだ。おみそれしやした。
感想
熱い血の国メヒコ(メキシコ)からやってきた「運命じゃない人」 「スナッチ」 「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」
「運命じゃない人」は醤油味だったし、「スナッチ」 「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」は皮肉に満ちていたけど、このメキシカンはチリのように濃い味だ。
これは男の友情物語である。結果、熱い絆で結ばれたチームは局面をしのぎきり、心がばらばらだったチームは物理的にも崩壊する。
メキシコ・シティの5人に1人が見たとかの痛快なバディ・ム−ビー。ムドとボッチャがイケメンでね。眼福なんよ。そやねんけど、お気に入りはルベン(マスカリータ)なのだ。メンクイではないのだ。
 
上映20分も前に行ったのに60席は「残4」だった・・・・・。<教訓>レイトショーをなめてはいけない。
しっかし21:10からの「レイトショー」ってのはちょっと不良に戻ったなったようで、わくわくするうぅ(ぬほほほほ)。
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