2006年7月の映画  戻る


インサイド・マン INSIDE MAN
2006年 米 128分 字幕:戸田奈津子
監督 スパイク・リー
脚本 ラッセル・ジェウィルス
撮影監督 マシュー・リバティック,ASC(「π」「フォーン・ブース」
キャスト クライブ・オーウェン(ダルトン・ラッセル)/デンゼル・ワシントン(キース・フレイジャー)/ジョディ・フォスター(マデリーン・ホワイト)/クリストファー・プラマー(アーサー・ケイス)/ウィレム・デフォー(ジョン・ダリウス)/キウェテル・イジョフォー(ビル・ミッチェル「堕天使のパスポート」「フォー・ブラザーズ」
メモ 2006.7.16(日)曇り小雨 OS劇場
あらすじ
銀行強盗のリーダーが映画冒頭、不敵な面構えで宣言する。
「俺の名前はダルトン・ラッセル。二度言わないからよく聞け。いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、どのように(How)するのか? 今からこの銀行を襲う。そして計画は完全に成功する。」
そしてヤツラはマンハッタン信託銀行を襲った!
感想
いきなりのマサラ音楽(インド歌謡《チャイア・チャイア》だとか)でたまげた(**)。いいな。
映画は観客との知的ゲーム・・・かな。アタシはついていけてたんだろか。フック(引っかけ)がある。 
何故(Why)は「金を手に入れるため」やから言うまでもないのか・・と思っていたら、どうやら金のためばかりではなかったかも。天罰をくだすためか。犯人のひとりがあのラビだったもんね。宝石しか盗まないし。一度観ただけでは伏線やらがすんなり飲み込めない。頭ん中を整理すると、
1.銀行強盗連は人質(40人くらい)にも自分達と同じ同じジャンプスーツを着せ覆面をさせる。これで当局のみならず人質もお互い顔がわからない。つまり人質に顔を見せるヤツはあやしいわけ。犯人が紛れ込んでいる。小部屋に分散させて人数も数えさせない。
2.最初に「狼たちの午後」に振り、「狼たちの午後」と同じくバスで空港に行き飛行機で逃げるから用意をせよと言う。(そこで「狼たちの午後」と同じなんかあとぼっとして観ているあんぽんたんではいけなかったのだ)
3.デンゼル・ワシントンのお色気たっぷりの彼女がなんで出てくるのか? あれは必要か? なんか不思議やったけど実はダイアモンド(婚約指輪)のご褒美のために必要だったのよ。まあイキよね。
4.有名俳優が多数登場。見とれて惑わされていてはいけない。しっかり映像を見てなんのため(Why)か考えないと。(考えてなかったんですけどね)
アラブ人に間違われターバンを取り上げられたインド人が当局にとんがったり、黒人の警備員が暴れたりのいちいち体制に小反抗するやからが出てきて、相変わらずの反骨ぶりが楽しい(^^;)。
 
せっかく映画館に行ったのに、空いてなかったとはいえ前から4列目の席が大失敗だった。カメラが凝っていてグルグル。頭もグルグルで集中できん。しかも大画面でデンゼル・ワシントンがクライブ・オーウォンが迫ってくる。ぐるじい。
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嫌われ松子の一生 MEMORIES OF MATSUKO
2006年 日本 130分 東宝
監督・脚本 中島哲也(「下妻物語」
原作 山田宗樹
撮影 阿藤正一
音楽プロデューサー 金橋豊彦
出演 中谷美紀(川尻松子))/瑛太(川尻笙)/黒沢あすか(沢村めぐみ)/伊勢谷友介(龍洋一)/香川照之(川尻紀夫)/市川実日子(川尻久美)/柄本明(川尻恒造)/ゴリ/宮藤官九郎(八女川徹也)/柴咲コウ(明日香)/武田真治(ヒモ)/荒川良々(散髪屋)
メモ 2006.7.8(日)晴れ 動物園前シネ・フェスタ
あらすじ
笙(瑛太)の伯母・川尻松子は親族から存在を無くされていた。23才の音楽教師だった松子は故郷を出奔して30年。笙の父・川尻紀夫(香川照之)は残された家族をめちゃくちゃにした姉を許していなかった。出奔の直接の原因となったのは男ではなく、浅はかな松子がせっぱつまってトチ狂い同僚の財布からお金を盗んだ(本人曰く「借りた。返すの忘れた」)という教師にあるまじき行為であった。それからは幸せになりたい。愛されたいあまりの暴走人生。
感想
こんな上がったり下がったりの人生はいやだあ。あーはなりたくねぃ!(笑)。(なれる度胸などない)
ところが引きこもりになってぶくぶく太る松子を見ているとリタイア後の未来の自分とダブルのよ(嗚呼)。あーなったら楽だろうなと(笑)。羨ましいような・・・怖いような。
緊張を強いられる映画だったな・・・・最後はこれでもかっと美化されている。松子は自分の組み立てたばら色のストーリーに従って行動する。そこには「反省」 「学習能力」 「バランス感覚」 「相手の気持ちをおもんばかる」などという仔細な事はみじんもないっ!。 ひとり盛り上がり、ひとり盛り下がっていく。突進されたケツのアナの器の小さなへなちょこ男連はそのラブを受けとめる事ができず、、、、、逃げ出すのである。最後は「道」のジェルソミーナみたいになるんだな。
 
道具小道具音楽ひとつひとつ凝っていて完成された映画だ。松子と同じく自分の世界にスタッフや役者を引き込んだ監督の手腕はすごいが、小道具と違いコマとなった生身の役者さんは大変だったろうと思われる。松子がタイトスカートで自転車たちこぎして土手の砂利道を疾走するシーン、大変やったんちゃうかな。中谷美紀の顔がどのシーンもずっと緊張していて、、、リラックスしていない。松子は子供の頃の小松子の姿を内包しなければならない。そのおもかげを観客にわからさなくてはならない。かなり難しそうだ・・・緊張した映画だったな。
 
この世には表の世界、裏の世界だけではなく中間の世界もあるんだな。AVや風俗でひとかどの者と認められてステータスを持ち高いマンションに住む人もいるんだ。松子と違い黒沢あすかはかしこくタフに生き抜く(優しげな声をした選んだ男の違い・・・としてあるのか)。
お薦め度★★★★戻る