2004年9月の映画  戻る


堕天使のパスポート Dirty Pretty Things

2003年英国インデペンデント映画賞
2002年 イギリス 97分
監督 スティーブン・フリアーズ(「マイ・ビューティフル・ランドレット」「危険な関係」「グリフターズ/詐欺師たち」「がんばれ、リアム」)
脚本 スティーブン・ナイト
撮影監督 クリス・メンゲス(「ワールド・アパート」「セカンド・ベスト/父を探す旅」)
音楽 ネイサン・ラーソン
キャスト ギウェテル・イジョフォー(オクウェ)/オドレイ・トトゥ(ジェナイ「アメリ」)/セルジ・ロペス(ファン「ハリー・見知らぬ友人」)/ソフィー・オコネドー(ジュリエット)/ベネディクト・ウォン(グオイ)/ズラッコ・ブリッチ(イヴァン)
メモ 2004.9.30 HEPナビオ
あらすじ
大英帝国の首都ロンドンで働くオクウェは不法滞在者だ。難民申請もしていない。昼は偽造の免許証でタクシー・ドライバー、夜はバルティック・ホテルのフロント係。ほとんど眠らないで働き続けている。本国では医者でありインテリだった。同じホテルでメイドとして不法就労しているジェナイの部屋に間借り中だ。ジェナイは母のような生活で一生を終えたくないという思いだけでトルコを脱出してきた。難民申請中であり、パスポートをとれればいとこのいるアメリカに渡る夢をみている。
感想
運転免許証ももっていなけりゃ、パスポートも持っていない。住基カードもない。身分を証明するのは顔写真のついていない保険証だけ、というアタシはそれでも日本国民と認知され、働く事もできるしどこにだって住める。選挙権もある。何かあった時に警察の保護も求められる。図書館で本だって借りられる。日々いそがしい〜〜仕事がたいへん〜〜とわめいているのがなんてぜいたくなんだっと思えてくるサスペンス映画。よるべない身の死肉を喰らうようなやつらがでてきてね。「戦争のはらわた」みたいな例のあのシーンもあって。それでもかすかに希望がみえる。登場人物達がみな個性的なの。それぞれが逆境の中それなりに勇猛果敢なのだ。娼婦のジュリエット、ドアマンのイヴァン、病院で働くグオイ。なかでもオクウェの静かな立ち居振舞いが、よい(インテリに弱いです。はい)。
おすすめ度★★★★1/2
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テイキング・ライブス Taking Lives ”乗っ取り本人に成りすます”

2004年 アメリカ 103分
監督 D.J.カルーソー
原作 マイケル・パイ 『テイキング・ライブス』
撮影 アミーア・モーグリー
美術 トム・サウスウェル
音楽 フィリップ・グラス
出演 アンジェリーナ・ジョリー(イリアナ)/イーサン・ホーク(コスタ)/キーファー・サザーランド(ハート)/オリビエ・マルティネス(パーケット刑事)/チェッキー・カリョ(レクレア捜査本部長「ニキータ」「キス・オブ・ザ・ドラゴン」)/ジャン=ユーグ・アングラード(「ニキータ」デュバル刑事)/ジーナ・ローランズ(アッシャー夫人)
メモ 2004.9.21 動物園前シネフェスタ
あらすじ
シリアルキラーの話なのね。カナダ・モントリオールの工事現場でショベルカーが持ち上げたのは白骨死体。手におえないと感じたモントリオール警察のレクレア(チェッキー・カリョ)はFBIに助けを求める。やってきたのは特別捜査官イリアナ・スコット(アンジェリーナ・ジョリー)。死体のあった穴に平気で横たわり、ベットルームには現場写真を貼りまくり、バスにつかりながらも食事しながらも白骨写真を眺めているというワーカーホリック。徐々に犯人は20年前からの未解決事件連にかかわっているらしいというのがわかってくる。それもやどかりが殻を変えるように、殺した人間になりすましているらしい。
感想
いきなり始まって、、、、新しい映画の予告編なんだと見てた。70年代か80年代かのノスタルジックな映画でね。風来坊のような若者ふたりが長距離バスで知り合って旅を共にしていく。ギターなんかも持っていて「ロードムービーかな? ミュージシャンの映画かも」と思っていた。しかしいくら鈍いアタクシでも長すぎる予告編だなあ。と思って。段々映画館間違ったかもとか心配になって。なにしろシネコンだから、、、、と思っていたら   きたー
 
このイントロはなかなか。ただ、、、これが続きゃもっとよかったんだけどねぇ。最期はまっ、多少盛り上がったけど。なにがよくなかったかと言うと「ガタカ」のイーサン・ホーク(コスタ)がケビン・ベーコンに見える。ほんでもってイリアナ(アンジェリーナ・ジョリー)とコスタ(イーサン・ホーク)がなにゆえ惹かれあうのかがさっぱりわからん。アンジェリーナ・ジョリーって美人か? 納得できない内にいきなりベットインで観客をおいてきぼりにする。そこまで男にウエテタンカイと思ったりしたり。フランス系のふたりの刑事の方がいいよな。レクレア(チェッキー・カリョ)でも、いい。「死んだはずの息子を見た。あの目は忘れない」と訴えるアッシャー夫人(ジーナ・ローランズ「グロリア」)がうますぎるからかもしれんけど、アンジェリーナ・ジョリーは演技うまくないような気がする。母性本能でまくりのところがデミ・ムーアにかぶるんだ。ただ、このひと悪役の方が才能を開花させるようなひたむきな、ちょっと狂った目をしている。
 
かといって面白くなかったという事もなかった。なぜなら映画館が恐いから。閉鎖された遊園地フェスティバルゲートの7階にあってね。たそがれの夕方EVで上がる時はたったひとり。ここで「殺しのドレス」みたいにマイケル・ケインがナイフふりかざして入ってきたらどうしようとドキドキ。映画館に入ったら観客はたったひとり。ふたりっきりでミステリを見るのはきついなあとこわごわ離れた席に陣取る。結局は5人になってほっ。帰りはEVはやめてエスカレータにしたら、これまた7Fから2Fまでまたひとりっきりで周りは閉鎖されたまっくらな遊園地なわけで何かがでそう。こわい〜
おすすめ度★★★1/2
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週末はマフィアと! THINGS CHANGE

1988年ヴェネチア国際映画祭 男優賞(ドン・アメチー/ジョー・マンテーニャ)
1988年 アメリカ 100分
監督 デヴィッド・マメット
脚本 デヴィッド・マメット/シェル・シルヴァースタイン
撮影 ファン・ルイス・アンシア
音楽 アラリック・ジャンス
出演 ドン・アメチー(ジノ)/ジョー・マンテーニャ(ジュリー)/ロバート・プロスキー(ジョセフ・ビンセント)/J・J・ジョンストン(フランキー)/リッキー・ジェイ(ミスター・シルバー)/マイク・ナスバウム(ミスター・グリーン)/ ウィリアム・H・メイシー(ビリー)/J.T.ウォルシュ(ホテルの支配人)
メモ 2004.9.12 ビデオ
あらすじ
ジノ(ドン・アメチー)はシカゴのしがない靴磨き。或る夜マフィアの家に呼ばれた。靴磨きの道具を持って訪れてみればマフィアのボスの言うことにゃ「友達が新聞に載っている殺人事件の犯人にされている。困ったもんだ。その冤罪を晴らすためにぜひ自白書にサインして裁判所に出頭して欲しい。なに3年勤めりゃでてこれるさ。何か夢があるだろう? シシリーに釣り船が欲しいって? いいだろう。3年後には船主だ。」
まあ所謂身代わりですな。ジノのお守り役に抜擢されたのはへまをしでかして謹慎中皿洗いシンデレラのジュリー(ジョー・マンテーニャ)だった。3日間しけたホテルに缶詰も息が詰まると行楽地夢のカジノにこっそり出かける2人組。マフィアの黒幕の黒幕のお忍びだから内密にとホテルにはいいふくめていたもんの、その手の事は秘密にすればするほどひろまるもんで。もうそれはそれはのVIP扱い。服の仕立ても最上階スィートのホテル代もカジノのお遊びもなんもかんもタダ。それ幸いといい思いするもんの地元のマフィアに招待される。やばい。しかもシカゴの親分も来るんだと。超やばっ。
感想
「天国は待ってくれる」「コクーン」のドン・アメチーが飄々とした靴磨きの役。激やばっの事態にも落ち着いて対処。危機に自分を見失わないという侮れない潜在能力を発揮する。大理石のお風呂で「アリとキリギリス」を語るシーンが傑作。
 
  昔々 アリとキリギリスがいました。その夏アリは懸命に働き、キリギリスはバイオリンを弾いて踊りました。
  冬が来てアリは太り 寒さに震えるキリギリスは・・・・・・・・・・・・・アリを食べました。
 
シビアな世の現実とこの映画のオチを示唆している〜。ラストの意外さは笑えるよ。
 
相棒のジュリーは「赤ちゃんのおでかけ」のジョー・マンティーニャ。ホテルの支配人役が「「カラー・オブ・ハート」の撮影の後、心臓発作で54歳で亡くなったJ.T.ウォルシュ。地元マフィアの子分役ウィリアム・H・メイシーはこの映画でカジノのワッカを回す賭けをしきっている美女のフェリシティ・ハフマンと結婚されたそう。
おすすめ度★★★★
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華氏911−それは自由が燃える温度 FAHRENHEIT 9/11

第57回カンヌ国際映画祭パルムドール賞、国際批評家連盟賞
2004年 アメリカ 122分 
監督・製作・脚本 マイケル☆ムーア
字幕翻訳 石田素子
出演 ジョージ★W★ブッシュ 他
メモ 2004.9.4 梅田ガーデン・シネマ
あらすじ
2000年11月アメリカ大統領選、民主党候補のアル・ゴア(副大統領)と共和党候補のジョージ・W・ブッシュ(テキサス州知事)がフロリダ州で接戦のすえ、再集計、ブッシュ大統領誕生(ちなみにフロリダ州はブッシュ大統領の弟が州知事という土地柄)。2001年1月20日第43代アメリカ大統領にジョージ・W・ブッシュ就任。それから8ヵ月後の2001年9月11日同時多発テロ発生。主犯をオサマ・ビン・ラディンと断定。アフガニスタンに空爆開始。すったもんだの末国連決議のないまま2003年3月19日米英軍バクダット攻撃。イラク戦争開始だ。2003年11月ティクリートでフセイン元大統領拘束(やっと捕まえる。大量破壊兵器はみつからない。)。2004年4月米CBSテレビ、イラク人虐待写真を放映。2004年6月1日イラク暫定政権発足。2004年6月米超党派の同時テロ独立調査委員会が「フセインとアルカイダの関係はない」と表明。大量破壊兵器はまだ見つからない。2004年6月末現在アメリカ人の戦死者851人、負傷者5200人。戦争開始後イラクの死亡者は1万人を超えるとか。そして2004年11月2日アメリカ大統領選投票日。
感想
アメリカ国民、特に恵まれない地域の恵まれない人々をこけにしているジョージ・W・ブッシュ大統領がマイケル・ムーア監督にこけにされている映画。
ジョージ・W・ブッシュ大統領を始めこのドキュメンタリーに登場している人々は映像が映画化されることを了承したんだろか。としたら勇気ある人々だな。戦争に懐疑的な戦地の兵士、もう2度とイラクにはいかないと断言する軍人、「テロリストの危険あり」と内偵されていたビスケットをつまむ平和主義者達、ジムの噂話でブッシュ大統領を批判したばかりにFBIの訪問を受けた人、「持てる人々、そしてさらに持てる人々へ」とにこにこして演説するジョージ・W・ブッシュ大統領。その中でも老人ホームみたいな所でブッシュ批判をぶちあげる年配の女の人がいいな。さぼてんもあんな頭のはっきりしたばっちゃんになりたい。どんな映像も切り張りしてつなげりゃ望む効果が得られるとはいえ、アメリカの上院議員の内息子娘がイラク戦争にいっているのはおひとりだけというのにアメリカ国民は納得できるのであろか。。またそのお一人が映像に出ないのはなぜなんだろ。
 
マイケル☆ムーア監督の奮闘努力にもかかわらずョージ★W★ブッシュ大統領は優勢のよう。対抗馬がいまいちなんだろうな。日本の首相がコイズミであろうがオカダであろうが世界情勢にさほど影響があるとは思えんが、4年に一度の大イベントとはいえアメリカ大統領というのは地球規模の影響力があるというをアメリカ国民は認識しているのであろか。日本とかイラクとかどこにあるか知っている?  有権者には登録の必要があり、国民の50%は選挙にいっていないとか。一方アメリカのエリートってのはすさまじくエリートで頭がよろしいらしくUSJ作るのに何年間か問答無用絶対服従でがんがんやられた人達の中には「ここだけの話、アルカイダの気持ちもわからんではない・・・」と言っているとかいないとか。
 
何ゆえこの映画を見に行ったかと言うと、前の晩夢をみたんだ。高いビルの屋上でGLAYとほたえていたら(遊んでいたら。鬼ごっこしてたんだ)旅客機がななめにおおきくかしいでゆらっと飛んでいてね。すごく近くを飛んでいて「なんやなんや」と思っていたら大阪ビジネスパーク(OBP)のツインタワーのMIDタワーの方に突き刺さった。目ぇ覚めても夢見ているみたいやった。
おすすめ度★★★★
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