追憶のミャンマー〜ポッパ山
 
Mt.Popa
 
 
ポッパ山
 

  バガン南東の平原に忽然とそそり立つポッパ山。ミャンマーの土着信仰であるナッ神の聖地を有名にしているのは、多くの参拝客というよりはむしろ、あまりに珍妙なその山体です。ヤンゴンからバガンへのフライトの途中にも見えます。  

 
タウン・カラッ
 


   
珍妙
写真の真ん中やや右寄り。なだらかに拡がる山麓の途中に、でべそのようにポコッと出ている岩がわかるでしょうか。これがナッ神の聖地タウン・カラッです。大昔の大噴火のときに山頂から吹き飛ばされた岩が山腹に突き刺さって形成されたという説が有力だそうです。
 

       
 
登山道
車窓が潅木の茂る草原へと変化してきたら、いよいよポッパ山の山域。緩やかに蛇行する道をだらだらと登っていきます。高原の趣が新鮮に感じられます。
 
スターヒル
おお!これはかつて少年ジャンプに連載していた「聖闘士星矢」に出てくる「スターヒル」ではないか!あ、それともギリシャのメテオラみたいって言った方がわかります?
 
拡大
そのタウン・カラッを近くで見るとこの通り。壮麗な神殿らしき建物が頂上いっぱいに。ここまで建築資材をどうやって運んだのでしょう。クレーンもなかったろうに。
 

 
参道
 


       
 
鏡細工
参道のふもとで靴を脱いだら、いざ参拝。まず右手に全面鏡張りの壁に覆われた建物が出迎えてくれます。ミャンマーの人ってこうした鏡モノのキラキラ感が好きですよね。
 
門前町
階段状の参道にはお土産屋が軒を連ねていて、まるで四国の金毘羅さんのようです。薬になる木や子宝祈願のお守り、子供向けのおもちゃまで売っていました。
 
団体さん
降りてくる集団とすれ違いました。団体で参拝するところもますます金毘羅さんっぽい。階段が何段あるか知りませんが、かご担ぎをやったらけっこう儲かるかも。
 

   
急階段
山頂に近づくにつれ、階段はいよいよ急になります。とは言うものの、登るのにそんなに苦労はしません。むしろ上に行けば行くほど視界には雄大なパノラマが開けてきて、うっすらと汗ばんだ身にとっては、すがすがしい気分になります。屋根の隙間から射し込む光も明るくなってきたぞ。
   

       
 
猿の天国
ポッパ山のもうひとつの名物は野生の猿。「参道の主は俺だ」と言わんばかりに、縦横無尽にのし歩いています。共存というより同じレベルで暮らしています。
 
いたずら大好き
大きいのから子供のまで、可愛い反面、悪戯好きなのが玉に傷。くれぐれも食べ物を見せて挑発したりなどしないように。すかさず襲撃されます。けっこう怖いです。
 
昼寝
日当たりの良い屋根は猿たちにとって格好のねぐら。いかにも気持ちよさそうにゴロゴロ。でも、熱帯の陽射しは強く、長い時間は辛そうですが。
 

   
モヒンガーもどき
ミャンマーの代表的な食べ物といえばモヒンガー。米の粉からつくる麺料理です。ここでは似て非なるチャーザーヒンガーの屋台が出ていました。食感としてはモヒンガーとほとんど同じ。香草とトウガラシを利かせた春雨のピリ辛スープという感じです。これは美味い。
   

       
 
家族
みんな並んでチャーザーヒンガーの朝食、というか昼食というか。サルたちも一人前に並んでいるのが面白いですね。分け前はいつもらえるのだろう。
 
遊びの時間
腹ごしらえが終わったら遊ぶぞーっ。動物園のサル山というよりは幼稚園児みたいで、見ていると飽きません。のびのび育っているんだね、みんな。
 
ナッ神
参道の中腹に設けられたナッ神の部屋。この神々の由来を伝える絵とともに、色鮮やかな服を着せられた人形が何体も置いてありました。ナッ神って、ひとりじゃないのね。
 

 
ナッ信仰の聖地
 


   
山頂
ついにタウン・カラッの頂上に着いたと思ったら、そこに珍妙なものを発見。ナッ神に捧げるモニュメントなのでしょうか。鳩がパゴダを背負うことにどんな意味があるのでしょう。などと考えること自体、既に参拝の趣旨を外しているのか。う〜ん、わからん。
   
複合建築
パゴダのようでパゴダじゃない。経典か何かを収める建物らしいです。山頂にはこのようないくつかの建物があり宗教コンプレックスを構成しています。しかし後で振り返ると、ナッ神に関係する建物があった記憶がない。何の聖地なんだ、ここは?
   

   
仏陀
で、建物の中に飾られているのは主に仏陀です。鏡張りの壁を背景に、金色に磨かれた仏像が鎮座ましましている様は、まるで成り上がりの富豪が言い訳のために寄付をした、といった感がぬぐえません。いや、馬鹿にしてるわけじゃないんですよ。ちゃんと拝んできましたから。
   

     
パゴダ
コンプレックスはいろいろあれど、山頂の中心にあったのは、やっぱりパゴダ。さすがに仏教国ミャンマー。あらゆる信仰は最終的に仏教に収斂するのかもしれません。ヤンゴンのシュエダゴオンを小さくしたようなフォルムは均整がとれていて美しく、見ていると安心感が湧いてきます。周りに高い建物がないので、360°太陽の光が降り注ぎ、青い空を背景にキラキラと輝いていました。そうそう、普通に写真を撮ると露出過多で白く飛んでしまい金色が美しく出ないので、補正した方がいいですよ。
     

   
聖人
仏像じゃないし、ナッ神にしては妙に人間っぽい。実はこれ、かつて実在した人物をモチーフにしたものでした。キリスト教的に言えば「聖人」といったところでしょうか。宗教施設だと思っている中での蝋人形館的な展示なので、思わず笑ってしまいました。きっと生前は偉い人だったんだろうけど。
   

   
民間信仰
ミャンマーの人々は信心深いため、仏教やナッ神だけでなく独特の民間信仰にも通じています。そのひとつとして、自分の生まれた曜日に対するものがあります。信仰というより一種の誕生日占いみたいなものと考えた方が合ってるかもしれませんね。
   
土曜日生まれ
というわけで、異国人である私も占ってみることにしました。土曜日生まれの私にとって縁のある方位は南西、星は土星、守護動物は竜だそうです。竜か。強そうでいいな。建物にはそれぞれ守護動物ごとに入り口が設けられており、そこから入ります。
   

   
リゾート
タウン・カラッから眺めるポッパ山。中腹にはリゾートホテルもあり、夏でも20〜25℃と、快適な高原ライフが楽しめます。下から吹き上げてくる風が心地よく、灼熱のバガンから来た身にはとても快適に感じます。「ミャンマーの軽井沢」と言ってもいいでしょう。別荘も多いようだし。
   

 
街角の風景から
 


       
 
ただいま建築中
参道の麓で新しいお堂が建築中でした。ゆくゆくはここにもナッ神が祀られることになるのでしょうか。削られた木の香りが清々しい現場です。
 
花屋
たぶん売り物だと思うんだけど。鉢植えの植物が路上を占拠していました。高原なので独特の植生があるのかもしれません。低地に持って帰って育てられるのかな。
 
カラオケ
ポッパ山の門前町を歩いていたら、突然大きな音楽。若い兄ちゃんが画面に合わせて歌っているではありませんか。ガイドさん曰く「カラオケですね」。まだ昼の11時なのに。
 


   

  (C)2000 K.Chiba & N.Yanata All Rights Reserved