セミ・エヴォリュダー

 機界司令パスダーによって種子を植え付けられたミコトZマスター、すなわち機界昇華マスタープログラムの消滅をも超越した無敵の機会生命体、機界新種となった経験を持つ。覚醒した新種はGパワーをも吸収、昇華し機界昇華を上回る物質昇華をもって、全宇宙の生命体に終焉をもたらすべく、猛威を振るった。結果的に機界新種はガオガイガーとの激闘に末に浄解され、ミコト、そしてガイまでもが生身の肉体を取り戻し、ガイは生機融合体であるエヴォリュダーへと「進化」したのである・・・。この事実はミコトのGGGへの残留及び任務の継続に大きな影響を与えた。彼女が人類、否、生命そのものの敵となったことが問題視されたのではない。それがミコトの本意でない事は誰の目にも明らかであったが、彼女が本当に浄解されたのか、疑問視されたのはまさにその一点であった。Gパワーをも超越した機界新種にはたしてGストーンの浄解がどれほど有効といえるのか?あの「奇跡」を目の当たりにしたごく少数の人々にとってミコトの浄解が成功していたことは疑いようの無い事実であったが、「機界新種」事件がZマスター殲滅という吉報の直後であったことが、国連最高評議会に大きな危惧を抱かせる一因となっていたのである。機界新種は本当に浄解されたのか?新たな新種が発生する可能性は?そうした不安はミコトの処遇に対する多くの厳しい見解や通達となっていったのである。評議委員の中には新種は依然消滅しておらず損耗したエネルギィをミコトに「擬態」することで再びチャージしているのではないか、と推測しミコトの免職及び隔離と監視を要求する者も現れた。
 大河長官、ロゼ事務総長らの尽力によってミコトは任務継続を了承され、数週間の休養ののち再びGGG機動部隊専属オペレーターとして復帰したのであるが、その際、ミコトの精密検査主任であったパピヨン・ノワールはある事実に到達していた。
 機界新種はミコトの中枢神経に擬態する事でその存在を隠し、Gパワーに耐えながら成長を続けていた。新種が浄解された事でミコトの神経組織からも新種の痕跡は完全に除去されたが、新種の寄生によって強化された神経組織は恐るべき自己再生修復能力を獲得していたのである。麻薬や化学物質などによる不自然な神経組織の失調なども、自力で再生し健全な状態を取り戻す事ができる。ガイが生機融合体として神経組織を含む全身の身体組織における機能向上、およびGパワーの自律制御能力を獲得した一方で、ミコトは肉体的な強化こそ起らなかったものの、神経組織においてはガイをも上回る「進化」を遂げていたのである。
 ミコトはこの能力により通常の人間であれば過剰睡眠状態に陥ってしまうほど高濃度のパレッス粒子に晒されながら、自我を取り戻すことができたのである。