浜野氏

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パックマン・トミーFL濱野氏インタビュー付録:トミーLSIゲームスカタログ

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   マルチカラーレーザー6000シリーズ
   -Mr.DO!/モンスターバーガー/ウイリークロッサー(1983年)

1image983年、電子ゲームの製造技術は円熟期を迎えていた。対面プレイができるようになったエイリアンチェイスなど、こんなこともできますよ、と、電機メーカーの押しも盛んで、最新技術を子供たちにおもちゃで届けるという濱野氏の言葉にあるように、古くはスーパー大回転ロボットから、この時期のアームトロンKI・KU・ZOぴゅう太、そしてZOIDSなど、トミーは最先端デバイスへの取り組みには昔から有名なメーカーだったのである。

その究極形態は次ページの3-Dグラフィックゲームシリーズだろうが、この一歩手前がマルチカラーレーザー6000シリーズだ。コンパクトなのにカラー液晶より美しい色彩秘話(⇒6p)。増強されたであろうメモリ。全3商品のうち、僕がリアルタイムでプレイしたのがモンスターバーガーとこのMr.Do!だが、アーケード版にはまっていた僕にとって、この家庭版のこだわりは涙ものだった。

4種類もの面クリア方法、飛び回るパワーボールの再現、規定点ごとのエクストラモンスター、サクランボ、まさかまさかのダイヤモンドターゲット、そしてだめ押しにハイスコアを獲得したときだけに流れるメロディ、手のひらサイズによくもこれだけのフィーチャーを詰め込んだものだ。小さな画面用にうまくアレンジされているゲームも最高で(本番は11面からだけどね〜)、電子ゲームというメディアにこだわっているデザイナーの意気が伝わってきてうれしかった。こういうゲームの存在こそ僕たちの誇りだったのだ。電子ゲームがつまんないっていうなら、これやってみなよ、と言えるハードの存在が。

MUlticolorLeser6000けど、同じマルチカラーレーザー6000シリーズのモンスターバーガーウイリークロッサーの方はどうだったか? パステルカラーのデザインと独特の丸っこいサウンド、ブーメラン式ファイヤー連射などが楽しかったモンスターバーガー、横スクロールアクションのウイリー。両方とも確かにおもしろいのはおもしろい。だけど、浅いというかゲームウォッチ的というか、Mr.Do!ほど興奮をいざなうものではなかった。
  マルチカラー以外で言えば、ゲームが作れるという触れ込みのプログラミングデジプロアスレチックランド、次ページのスペースレーザーウォーズ。いずれもハードウェアの新鮮さやガジェットとしてのおもしろさは与えてくれたんだけど、悲しいかな、どんな画面だったか思い出せない。どれもなけなしのバイト代はたいて買ったゲームのはずなんだけど。
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ハードウェアの進歩には目を見張ったが、逆にソフトウェアの作りこみの弱さが浮き彫りになってきた電子ゲーム。一方、100円が入れられなければ終わりという生き馬の目を抜くゲームセンターで生き残ってきたMr.DOは、四半世紀たった今なおケータイなどに移殖され続け、世代を越えて愛され続けている。
日本中の子供がはまった電子ゲーム・・・のはず。なのに、熱き思いを紹介するファンサイトの少ないこと少ないこと。皆、「電子」は残っているが、「ゲーム」の部分が見当たらないんじゃないか。それでは時代を超えられなかったんだろうというのが僕なりの考えである。

ソフトウェアの充実の重要性を確認する前に、作りすぎによる飽和状態をおこし、やがて日本の電子ゲーム市場は崩壊へ向かう。1983年初頭のことだ。

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