浜野氏

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パックマン・トミーFL濱野氏インタビュー付録:トミーLSIゲームスカタログ

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スペースレーザーウォーズ眼鏡の中の仮想世界で電子ゲームを遊ぶという3D立体グラフィックシリーズ。詳細は本文の通り(⇒7p)。ディズニーランドのめがねがその発想の原点だが、3Dジョーズの映画や立体番組の試験放送など、この頃は3Dに追い風が吹いていた頃だった。

初期3作(スペースレーザーウオー、コスモルマン、宇宙壮絶戦車戦)は、同時期の映画「トロン」に代表される、ワイヤーフレームの仮想世界で行われる3D視点のレースやシューティングゲーム。しかしゲーム内容は単純で、本体の立体視装置ほど奥行きの見られないものだった。gamenn
僕は発売まもないスペースレーザーウォーをバイト代で買ったユーザーだったが、買う前にプレイしていたので内容にはさして期待していなかった。新しい体感性を楽しむもうと早くから割り切っていたもんだ。それも飽きてしまうと片目でプレイしたり、分解して立体視の構造を楽しんだりしていた(で、壊してしまったが)。
シリーズ第二弾の3-Dジョーズもスペースレーザーウォーのソフトの使いまわし。話題性はともかく、この頃のゲームは内容的進歩に乏しかった。

それは、キャラクターの重ねあわせができずなめらかな動きが困難という電子ゲームの構造上の問題にぶつかっていたことにあるんだと思う。確かに、コストをかけて2層液晶や鏡を使って(!)重ね合わせをつくっても、普通の電子ゲームと比べてとびぬけて売れるというわけでなかったかもしれない。メモリだって高かったはずだ。しかし、ハードごとゲーム、いや娯楽の手法を根源からひっくり返せるのが電子ゲームの特徴ではなかったか。華やかな概観や構造に比べて、肝心のゲーム内容が置き去りにされていたように思えてならない。 あまりに売れていたか、得意分野でなかったからか、ほとんどがそこに気づかずに、83年初頭の在庫過多を迎えてしまったのは残念なことだ。こうして、83年6月のおもちゃショーを区切りに、大人向けの「馬ノ介」などをのぞいて、新機軸の電子ゲームはいったん凍結されてしまうのである。

しかし、トミーファンは胸を張ってもいい。最後の最後の電子ゲームでトミーはやってくれたのだ。ドッグファイト3-D立体グラフィックシリーズの最終商品 シャーマンアタックとドッグファイト(キャラを変えただけのバリエーションで、内容はまったく同じ)は、スピーカーが左右についたステレオタイプという、一見すると今までとさして変わらない商品に思える。
ところが、だ。このゲーム、初期シリーズと比べて内容が格段に進化してる。奥行きのある空間で戦闘機や戦車を走らせながら、穏急をつけて敵の背後に回りこみ撃破していくという内容で、燃料補給のタイミングも重なって、リアルタイムパズルのようで実にスリリングなのだ。そしてこのゲーム最大の特徴が、自機キャラの進行コースの中にgamenn、画面から出て行く(!)コースがあることだ。画面から消えると当然キャラは見えなくなる。だからそのコースにいる間、プレイヤーは見えない自機を、自キャラのエンジン音、つまり”音だけ”を手がかりに操作するのだ。左右のスピーカーは伊達ではない。

ゲームのおもしろさ、玩具の楽しさ、バーチャル感覚、技術力、発想の斬新さ。これぞトミー電子ゲームの集大成だ。いや、もっともっと進歩できるはず。だから、集大成だけど最高峰とはあえて言いたくない。「ドッグ・ファイト」を越える電子ゲームの登場を、21世紀・タカラトミーの世代に期待したいと思う。

おわりに::未完成という名のバトンNEXT

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