このコラムは、川崎哲氏(ピースボート地球大学)によるもので、
「被団協」新聞に2004年6月から掲載されています☆☆
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高市政権は国家安全保障戦略など「安保三文書」の改定作業を進めている。与党である自民・維新からの提言と、政府の有識者会議からの提言が今後出て、政府が年末までに決定する。聞こえてくるのは、長射程ミサイルの配備や弾薬庫の整備、「継戦能力の確保」などといった、戦争をすることを前提とした議論ばかりだ。
核兵器をなくす日本キャンペーンは3月、市民からの提言をまとめた。「核兵器をなくす−−それが日本の安全保障」と題し、@核抑止のリスクを直視し「核軍縮は安全保障の手段」と位置づける、A「非核三原則の堅持」こそが日本の安全を守る、B「核兵器の非人道性の普及」が日本への核使用のリスクを下げる、C「東アジアの軍縮対話」で日本にとっての核の脅威を削減する、との4つの提言を出し、すでに与野党各党に提出している。
軍拡ではなく軍縮・核廃絶こそ真の安全への道だ。国会での真摯な議論を期待したい。
ロシアのウクライナ侵略、米国のイラン攻撃など核兵器国の横暴が続く中、NPT再検討会議が始まった。国際法秩序を取り戻し軍縮を進められるか。日本のNGO連絡会は5つの要求を掲げている。
第1に、核兵器の非人道性を再確認すること。第2に、過去の約束を守り核軍縮を進めること。とりわけ新START失効後の米ロ交渉、そして中国を巻き込んだ軍縮対話が重要だ。第3に、核実験に反対すること。トランプ米大統領は核実験再開を語っており、警戒が必要だ。第4に、核不拡散を強化すること。欧州では「核共有」の強化や「核持ち込み」を進める動きがある。これらは事実上の核拡散になる。日本国内の核共有論や核武装論も同様に問題だ。だからこそ政府が非核三原則の堅持を掲げる意義は大きい。第5に、核兵器禁止条約を含む核軍縮の国際構造を強めること。NPT再検討会議を成功させ、11月の核禁条約再検討会議につなげたい。
米軍がベネズエラを軍事攻撃しマドゥロ大統領を拘束して連行した。今後は米国が同国を運営し石油も管理するとトランプ大統領は公言している。国連憲章で定められた諸国民の自決権、主権平等、紛争の平和的解決、武力の使用・威嚇の禁止といった諸原則に違反する、帝国主義的侵略といわざるをえない。
マドゥロ政権は独裁や人権侵害が批判されてきた。だからといって他国が武力で政権を転覆してよいはずがない。そんなことが認められれば世界は無秩序となってしまう。
ピースボートはこれまでベネズエラを何度も訪問してきた。今回暫定大統領に就任したロドリゲス氏は、外相だった15年に被爆者一行を温かく歓迎してくれている。核廃絶への国家的関心は高い。
核武装した軍事大国による他国への侵略がくり返されている。これを止め、「法の支配」を回復し強化しなければならない。
2026年をどのような年にすべきか。昨年は、被団協ノーベル平和賞と被爆80年で、核の非人道性を改めて語り伝える一年だった。今年はそれを、法と政治に反映させる年にしたい。NPTと核兵器禁止条約の再検討会議が、それぞれ4月と11月に開かれるからである。
NPT再検討会議では「核兵器がもたらす壊滅的な非人道的被害」の再確認を何としても各国に求めたい。そのうえで核兵器国は核戦争をしないと誓約し、核軍拡ではなく核廃絶への約束の誠実に履行を表明すべきである。核実験再開など言語道断だ。
核禁条約においては、発効後5年で広がった支持を力にして、非人道兵器たる核兵器をあらゆる防衛・安保政策から排除する流れを作りたい。それこそが、厳しい国際情勢の中における真の安全と生存への道だということを、常識として確立していかねばならない。