日本被団協は昨年12月すべての政党と国会議員に対し、核兵器禁止条約に関するアンケートを実施しました。
政党では自由民主党を除く各党から回答がありました。問1の「核兵器禁止条約が発効することを貴党の国会議員は知っていますか」に対してはどの党も「すべての議員が知っている」との回答でした。問2と自由記述は表1のとおりでした。
国会議員は12月時点で703人のうち109人から回答がありました。「条約に参加しない日本政府の態度をどう思うか」の問いの選択肢「①もっともだ ②条約に参加すべき ③わからない」の回答は表2のとおり。自民党の2人と公明党の1人は無回答でした。
詳細は日本被団協ホームページに掲載します。
2月12日に核兵器廃絶日本NGO連絡会が開催した国会議員討論会で、核兵器禁止条約と核廃絶に対する各党の考えが更に明らかになりました。
テーマは①核兵器禁止条約に締約国会議へのオブザーバー参加を含めての対応について ②8月のNPT再検討会議への取り組みについて。全党ともオブザーバー参加はすべきと述べながら、核抑止論をはっきり否定したのは、共産・志位和夫委員長と社民・福島みずほ党首だけでした。
立憲民主・岡田克也常任顧問は、米国の核抑止に頼らざるを得ない現実があり、加盟できない、と述べました。自民・寺田稔副幹事長は、「衛星コンステレーション」など通常兵器の範疇での防衛システムを開発中で、完成すれば核抑止がいらなくなる、などと述べました。
出席した田中熙巳日本被団協代表委員は、「核兵器は存在させること自体あってはならないこと。守るべきものが何であるのか。核兵器を使えないようにするには、またどうやったらなくせるかの議論を政治家として考えてほしい」と怒りのコメントを述べました。
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ヒバクシャ国際署名連絡会は2月5日、「核兵器禁止条約発効へ貢献・被爆者がはじめた署名の力」をテーマに、2016年からの活動を振り返るオンライン集会を開きました。
中央団体からは、全日本民主医療機関連合会、日本反核法律家協会、新日本婦人の会、創価学会平和委員会、原水爆禁止日本協議会の各団体が活動報告。国内外の幅広い人々に広がった署名活動が報告されました。
地域からは、岐阜、千葉、北海道、宮城の各県連絡会の活動が報告されました。各地域では、ヒバクシャ国際署名に取り組む中で得られたつながりを今後も継続するため「核兵器廃絶ネットワークみやぎ」や「被爆者の願いを継承する岐阜県民の会」などに改組して、新たな活動に踏み出しています。日本被団協の「日本政府に核兵器禁止条約に署名、批准を求める」署名への取り組み開始も報告されました。
ヒバクシャ国際署名のキャンペーンリーダーを務めた林田光弘さんはまとめの発言で「ひとりひとりの署名を積み上げたこの運動が、世界の指導者の心を動かし、核兵器禁止条約実現の後押しとなった。このような歴史的転換点に核兵器廃絶をしたいという市民の声を可視化する大変大きな役割をみなさんと一緒に果たせたことを誇らしく思う。連絡会は閉じるが、私たちのつながりが切れるわけではない」などと述べました。
ヒバクシャ国際署名連絡会は3月17日の最終会合と、同日のIPBによるショーン・マクブライド平和賞授賞式(いずれもオンライン)で活動を終えます。
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広島の「黒い雨」訴訟を受けて昨年11月に発足した厚生労働省の「第一種健康診断特例区域等の検証に関する検討会」第2回会合が、2月18日東京都内で開かれました。
冒頭、厚労省事務局から「前回の指摘事項について」のまとめがあり、「本検討会の検証については、雨の色にかかわらず、またそもそも雨の有無にかかわらず、塵(ちり)としての沈着も含めた検証(気象シミュレーション等)を検討」することが確認されました。
構成員として出席した日本被団協の木戸季市事務局長と、気象学者の増田善信さんが発言。木戸事務局長は、「本検討会の基本的考え方で、原子爆弾被爆者対策基本問題懇談会(基本懇)意見に基づくとしていることについて、厚生相の私的諮問機関である基本懇ではなく法律に基づくべきではないか。核兵器禁止条約が発効した今、広島・長崎の原爆被害者に対する援護はこの新しい国際法に則り行われるべき時を迎えたのではないか」と述べました。
増田さんは、①被爆者の体験記を電子化し、検索機能によって原爆由来の雨、チリの降下範囲、および原爆由来の歯ぐきからの出血、下痢、嘔吐など急性疾患の発現範囲の推定に関する調査を行なうこと ②米占領軍が1945~50年に雨樋などの堆積物から採取した残留放射線の測定値を公表させること、の2点を提案しました。
私たち被爆者の長年の願いであった、核兵器禁止条約が1月22日に発効しました。「ふたたび被爆者をつくらない」ことを保証する核兵器の廃絶を目指すこの国際法は、世界の新しい規範となりました。
国内外各地で新たな出発を決意する集会が開かれ、多くの喜びが発信されました。広島・長崎を体験した被爆者と多くの日本国民も、条約の発効を心から喜び歓迎しています。
しかし、日本政府は条約に署名も批准もしないという方針を繰返すばかりです。「唯一の戦争被爆国」を自称する政府としては許せない、恥ずかしい態度です。
被爆者は黙っていることはできません。
日本被団協は、「日本政府に核兵器禁止条約に署名、批准を求める署名」を開始しました。日本政府の態度を変えることを求めて、被爆者がすべての日本国民に訴える署名です。
条約の締約国会議が今年12月か来年1月に開かれることが予想されるため、その前の11月末を第一次集約とします。
この署名を大きく広げてください。皆さまのご協力を、心からお願いいたします。
署名用紙は、日本被団協のホームページからダウンロードできます。また、オンライン署名もできます。
兵庫県被団協では、核兵器禁止条約への日本の参加を求める署名運動のスタートにあたって、理事長はじめ県下の被爆者連名の「お願い」を作成しました。
ヒバクシャ国際署名で県下の全自治体首長の署名がいただけた成果を活かす内容にと考え、国際署名が「核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶこと」を求めていたことに触れて、「国際署名が『核兵器禁止条約』に実ったこと」への感謝を述べ、「日本政府には、条約に参加し、核兵器の禁止から廃絶へ世界をリードするよう求める署名運動に取り組みます」と書きました。
2月8日に「お願い」を、全自治体首長さんや宗教団体、国際署名で賛同、支援いただいた方々などに送付したところ、さっそく毎日のように署名が届いています。
(副島圀義)
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岩手 |
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新潟 | 長野 |
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福井 | 千葉 |
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鳥取 | 愛知 |
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箕牧さん(広島) | 愛媛 |
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広島(1月23日) | 長崎(1月22日) |
【問】高齢の両親が夫婦ふたり暮らしをしています。父は被爆者で病気を抱え、足腰も弱ってきています。母が転倒し腰椎圧迫骨折の診断を受けました。布団から起き上がるのもやっとで痛みがあり辛そうです。認知機能もちょっと混乱してきていますし、食も細くなり近くのコンビニで買ってくる小さなお弁当を昼・夕食に分けて食べている状況です。
今は父が頑張って介護していますが、このままでは共倒れになりそうです。どういう手立てがありますか。
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【答】これまでおふたりで頑張ってこられたのですね。まずは介護保険の要介護認定を受ける手続きをしてください。お母さんの方が介護度は高いと思います。お父さんは要支援という結果がでるかもしれませんが、おふたりとも受けてください。訪問調査時にはあなたが同席して、認知機能の状態や排せつにかかわることをきちんと、話しづらければメモで調査員に伝えてください。お母さんが布団からの起き上がりができないことを伝えておくと、要介護1でも介護用ベッドが借りられます。今のままでは介助しているお父さんと一緒に転倒の危険もありますし、お母さんも起きることが不安になって寝たきりになりかねません。
介護保険サービスの内容はケアマネジャーと相談してということになりますが、福祉用具や訪問リハビリまたは訪問看護サービスを利用することをお勧めします。幸い主治医の先生が長年のお付き合いとのこと、よく相談してご両親に必要なサービスを決めていけばいいと思います。特に訪問看護を受けていると不安な思いにも丁寧に相談にのってもらえます。
高齢になっても「自分はまだ大丈夫」と、なかなか介護申請をしないものです。この機会にぜひ手続きをお勧めします。
入院したり体の具合が悪くなったとき、骨折、腰・膝や足首を痛めて歩行や動きが困難になった時が、介護認定を受けるいい機会です。介護保険は医療保険と違って保険証を持っていけばすぐにサービス開始とはなりません。認定調査など介護度が出るまで1か月くらいかかります。
ただし、お母さんのようにすぐに必要な場合、申請後に暫定で介護サービスが利用できます。
この4月から介護保険サービスのうち「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」と「介護予防認知症対応型生活介護」が被爆者健康手帳による助成の対象になります。それぞれ短期入所(ショートステイ)も対象に含まれます。これは2017年中央相談所東北ブロック講習会で、青森から要求が出されたのを機に、日本被団協が厚労省に要請、交渉を重ねて実現したもの。認知症グループホームは「認知症」との診断を受けていれば「要支援2」から対象になります。
また、長年要求してきた「希望する2世に手帳を」が実現しました。厚労省は「被爆2世であることを証明するものではない」としており医療助成にはつながっていませんが、「被爆二世健康記録簿」として希望者に届けられることになりました。昨年秋に厚労省から日本被団協に内容に関する打診があり、二世委員会を中心にやり取りを重ね、単に健康診断の記録だけでなく親の被爆状況や健康状況・兄弟等についても記載できるものとなりました。
これからも被爆者から寄せられた要望を日本被団協・中央相談所に寄せてください。被爆者の声として厚労省に粘り強く要請していきます。