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シーナの葬式には、たくさんの人が来ていた。 担任がクラスのヤツラを連れてきていたんだけど、この中の何人が本当に悲しんでいるんだろう。 「終わったらドコ行く〜?」 そんな声が聞こえた。 初めて見たシーナの両親は想像よりずっと若くて、とても子を持つ親とは思えなかった。 涙ぐみながら弔辞を読み上げる父親。 「こんなにたくさんの人に支えられて、あの子は、幸せです…」 ……シーナは、お前に支えて欲しかったはずだ。 私は葬列を離れた。 空は青く、遠い。 タバコを取り出して吸ってみたけど、あまりの不味さにゴミ箱に捨てた。 私は泣けなかった。 もう一人、泣けないやつがここにいた。 「サボリ?」 私は、同じように空を見上げていたコウイチに声をかけた。 「アイツさ、最後に何て言った?」 コウイチが訊いて来た。 「あの、【綺麗な虹の向こうで、またね】って聞こえたんだけど、自信ないや」 「そっか、俺は【綺麗な星の向こう】って聞こえた。……どっちみち、空には違いないな」 「うん」 あの空に、シーナがいるんだ。 それから。 私はダンスを最初から打ち込みなおし、次のコンクールで妹とペア優勝することができた。 学年があがり3年になっても、コウイチとの奇妙な友情は続いていた。 周りは付き合ってるんだと誤解したままだったけど、面倒だったのでそのままにしといた。 その冬、違う県の高校生が事故った話を噂で聞いたり。 何かあるごとに、コウイチは空を見上げるようになったり。 あ、もう一つ変わったこと見つけた。 シーナがいなくなってから、コウイチは自分のことを【コウイチ】と呼ばせなくなった。 「コウちゃんと呼んでくれ」 「……コウちゃん??」 みんな戸惑ったけど、ヤツの好きにさせてやった。 コウイチ……じゃなくて、コウちゃんはコウちゃんなりに感じたこともあったんだろう。 理由は聞かない。 きっと、こっちが恥ずかしくなるようなことを言うに決まってるから。 そして、私は、やはりこの町を離れようと思う。 都会で妹と二人生きて行くんだ。 反対する父親を母が説得してくれた。 『二度と暴力をふるわないこと』を条件に、春から東京で暮らす。 新しい私になるんだ。 旅立ちの日、駅までコウちゃんが見送りに来てくれた。 いろんなことがあったね。 私達は、シーナの話はあの時以来していない。 私にとってもコウちゃんにとっても、シーナは特別な人だった。 もうちょっと一緒にいられたら、二人で本気で取り合ってたかもね。 認めたくないけど、私とコウちゃんの趣味は似てるようだ。 「じゃあ、ね。たまには帰ってくるから。コウちゃんも元気でね」 「ん?ああ。またな」 そう行って別れた。 はずなのに……。 ばったり新宿で、コウちゃんと再会しちゃうんだから!! もう!! 「なんであんたがここにいるのよ!」 「またなって言ったじゃん」 「バカ〜!私は生まれ変わるのよ!昔のことばらしたら、ただじゃおかねえからなっ」 「【天使のナッツ】って呼ばれてんだって?ナッツ。プププっ」 笑うコウちゃんの首をキュっと締め上げた。 そして、今日まで本当に奇妙な友情は、続いていたりする。 END |
