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私は、シーナが目が覚めるまで付き添っていた。 ここの病院が付き添いOKで助かった。 ま、昔から何かとお世話になってるからね、妹の件で。 医者も看護士も、知り合いだし。 「えへへ……」 目が覚めて、一番最初にシーナが発した言葉だった。 私を見つけて、驚いたように、嬉しそうに笑った。 天使のように、綺麗な笑顔だった。 「バカだな、シーナ。早く治して家に帰るぞ」 「えへへ……」 小さく舌を出してみせた。 ゴメンねって、合図。 この日は一人でトイレも行けたのに、次の日から歩けなくなった。 立てなくなった。 日に日に、私が側にいてもぼんやりするようになった。 私もコウイチも、毎日シーナのところへ行った。 着替えさせたり、水を飲ませたり。 トイレと身体を拭くのは私がやった。 これはコウイチにはさせられないってーの! 体力に自信があってよかった。 そんな日々を過ごすたび、ふと気がついたことがあった。 シーナの親は、どうしたんだろう…? その疑問は、解けないほうがよかった。 シーナの着替えを取りに、彼女の家にコウイチと向かった時のこと。 一歩家に入って、私は唖然とした。 散乱した物物物…。空き巣にでも入られたのかと思った。 「これでも、綺麗になったほうなんだけどな」 コウイチが、頭をかいた。 「俺、掃除ってあんまり得意じゃないし」 「なんでアンタが掃除してるのよ。親はどうした!」 「もう何年も帰ってきてないってさ。他にも家を持ってるらしい」 「え?」 よく見れば、シーナが使ってたんだろうなっていう物しかここにはない。 散らかってるのも一室だけで、他には何にもなかった。 がらんどうの家。 「シーナさ、一人で住んでんだよ」 「できるわけないでしょ。金は?」 コウイチの指さした引き出しに、現金が溢れんばかりに入っていた。 「たまに、郵便で届けられるんだってさ。親から」 「………」 理解できない。 シーナは、ずっと……。 「シーナ、買い物はできるから。といっても料理できないから弁当しか買わないらしいけど」 電子レンジも使ってる形跡がない。 冷たい弁当を、毎日一人で食べてたのか? 「なんで……」 教えてくれる人もいなくて、 誰にも何も聞けなくて、 わからないまま時間だけ過ごして、 どんなイジメにあっても、学校を休まないシーナ。 夜の街を彷徨っていたシーナ。 私の服を、掴んで離さなかったシーナ。 「コウイチ、私が着替え探すから。帰っていいよ」 「そうか」 コウイチの手から、シーナの家のカギをもらった。 ここで、一人になってみたかった。 あの子と同じ時間を過ごしてみたかった。 シーナ、あなたが感じていた寂しさは……………… ……どれだけの闇に、人は堪えられるっていうの? NEXT |
