「優しい雨の降る夜に6」
 
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寒いんだ。
ずっとずっと寒いんだ。
 

優しくしてやるから。
忘れたい思い出があるんだろ?
全部消してやるから、お前の熱を分けてくれ。

愛してたのか、わからない。
でも、特別な人がいた。

アイツの死顔を見た時から、
冷たい雨に打たれ続けているみたいだ。

丁寧に、少しづつ開かれていく身体は、
自分のものではないみたいで。
アキは、足に手を掛けられて開かれても、素直にしたがった。
夢のように、現実味がなかった。
 
「あぁ…」
自然に漏れた吐息にも気づかない。
 
ナオトを重ねたくてもまるで違う。
この人は、優しい。
どうして……
こんなに優しいの?
 
傷を癒すかのように、
手のひらが、舌が、アキの上を滑る。
心地よさに溺れそうだ。
 
その時、ふとコウイチの手が脚に触れた。
「!!」
アキはビクリと身を竦ませた。
そこは、あの事故の時に自分も傷を負った場所だから。
よく見なければわからないほどに、
傷は完治しているはずなのに。
「いっ……」
ズキンと、脚が疼いた。
「どうし…?」
不審に思ったコウイチが顔を上げると、
真っ青なアキが動けないでいた。
「おいっ!」
 
息が出来なかった…。
心臓が痛む。
チカチカと、目の奥で瞬くものが幻覚を連れて来た。
 

どうしたんだよ!
お前も……アイツと同じなのか?
俺の手の中で……。

『逃がさない』
アキは、声を聴いた。
 
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アキちゃんとコウちゃんの出会い編です。