「優しい雨の降る夜に10」
 
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
アキは走った。
立ち止まってなんていられなかった。
まだ雨の降り続いている街中を、
彼を探して走った。
 
似ている人はたくさんいるのに。
彼がいない。
見つからない。
どこにもいない。
まるで最初から、そんな人はいなかったかのように。
 
走り抜けるアキを、迷惑そうに見る人の
視線なんて気にしていられなかった。
 
もう一度、会いたい。
できることなら。
最初から、出会いから…
やり直せないの?
こんなにたくさんの人の中で
彼だけが、いない……。
 
誰かにぶつかって、傘が飛んだ。
冷たい雨に、体を打たれる。
頬を伝う雫は、
強張っていた心を優しく包んで。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
 
届かない想いを、どうすればいい?
伝えられない心を、どうすればいい?
 
雨は激しさを増していった。
 
NEXT

 

アキちゃんとコウちゃんの出会い編です。