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え?今、声が…… 幻聴じゃなく、自分を呼ぶ声が。 辺りを見回すけれど、知り合いがいるわけでもない。 「耳もおかしくなったのか?」 「コウイチ!!」 また聞こえた。 コウイチはゆっくり振り向いた。 全速力で、息を切らして、 まっすぐ駆けてくる小柄な彼は。 「……どうして?」 ばかばかばかばか。 「コウイチのばかぁ」 アキが、コウイチの胸に飛び込んできた。
まさか、俺を探してた? 「なんでって……」 アキは言葉に詰まる。 迷惑をかけたし。 それに、 もう二度と会えなくなりそうだったから。 「セキニン?」 真っ赤に、口ごもっているアキが面白い。 コウイチがニヤニヤと笑う。 その笑い方が、アキの気に触った。 「途中で止めた責任を取れっ」 お礼とお詫びのつもりだったのに。
コイツ……… 「………」 マヌケな沈黙を破ったのは、 街中に響くほどの、コウイチのバカ笑いだった。 「あっははははは!」 コウイチが笑い続ける。 「わははっははは。ひーひー」 「……ちょっと」 「ひゃっひゃっひゃっ」 「もう!そろそろいい加減にしなよ」 アキは、注目を集め始めたコウイチの手を引いた。 「帰るよっ」 まだ笑い続けながらも、大人しくアキについていくコウイチ。 傘はなかったけれど、 雨は柔らかな霧雨へと変わっていた。 雨が温かい 「で、俺の3万返してくれるの?」 「もう僕のだもん」 「…じゃあ、続きを」 「途中で逃亡したのはそっちでしょ」 「えーーー!」 コウイチが抗議の声を上げる。 アキが笑った。 それは、東京に来て初めてみせるアキの笑顔だった。 優しい雨が降る街で、 もう一度、 ここから始めてみるのも いいかもしれない。 俺は |
