「優しい雨の降る夜に4」
 
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帰る途中で、名前を名乗った。
「・・・…アキ、だよ」
「アキ?」
「そう、だだのアキ」
「俺は……コウイチ」
なんで名前なんて名乗ったんだろう?
僕は、誰かに呼ばれたかったんだろうか?
アキ、と。
もう一度呼んで欲しかったんだろうか…。
 

嘘をつけなかった。
いつものようにおちゃらけて、
コウちゃんと呼んで、とも言えなかった。
どうしてだろう…?

「はい、タオル」
アキが差し出したタオルをコウイチが受け取る。
やはり二人とも、かなり濡れてしまっていた。
髪を拭くコウイチに、アキは話かけた。
「お風呂入る?」
「お前がそうして欲しいなら」
「………」
 アキは、すぐには意味がわからなかった。
 
………ああ、そういうことだっけ。
 
アキは、違う話題を振った。
「いつも、こんなことしてんの?」
「いや、そうでもない」

自分で売っといて、聞くなよ。
 

コウイチは、タオルを投げてアキの体を引っ張った。
アキの小さな体が、コウイチの腕に
すっぽりと収まった。
「……あっ」
アキが拒むよりも早く、その唇を奪う。
 
柔らかく、その唇はコウイチを受け入れた。
「……っ」
アキの手が、ぎゅっとコウイチの腕を掴んでいる。
あまりに強く掴みすぎて、震えていることに気づいていた。
 
気づいていても、コウイチはアキの口内を
蹂躙することを止めない。
 
僕は、何をやってるんだろう。
ナオトへのあてつけ?
こんな僕でいいんなら、好きにすればいい。
どうでもいいんだよ。
いっそ、酷くしてくれればいいのに、
どうしてこんなにも……
 

お前らみんな、嘘っぱちだろ。
純情そうな顔して、コロコロと相手を変える。
人のいないところで、
何言ってるかわかりゃしねえ。
本気になったヤツがバカだろ?
どこにも、本当なんて、ないだろ!

でもそれは、なぜか、優しいキスだった。
 
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アキちゃんとコウちゃんの出会い編です。