• 日本では、”脳循環代謝改善剤”という名前でたくさんの薬が使用されていました。これらは、脳卒中の再発予防目的ではなく、後遺症としてのさまざまな症状の改善に効果があるとされて、長い間使用されてきました。しかし、近年その効果が多くの医師から疑問視され、1998年にはそのうち4成分の薬が再評価された結果、効果が否定されて製造中止となりました。何千億円というこれらの薬に使われた医療費は、全く無駄だったのです。
  • さらに1999年1月には、やはりその効果が疑わしい同様な薬31成分の再評価を行うことが決定されました。これらのほとんどの薬は、偽薬との対照試験が行われておらず、海外では”脳循環代謝改善剤”としては使用されていません。
  • そのうちの単味剤29成分の薬とそれらの代表的な商品名は下記の如くです。そして、厚生省の指導による各製薬会社の対応は下記の如くです。多くの薬が、販売中止、あるいは脳梗塞や脳出血後遺症に対する様々な有効性が削除されました。

    有効成分

    商品名

    状 況(1999年9月現在)
    アデノシン三リン酸ナトリウム アデホスコーワ 効能削除
    イソジラスト ケタス 新たな臨床試験が必要
    塩酸アマンタジン シンメトレル 有効性確認(抗パーキンソン剤)
    塩酸ジラゼブ コメリンコーワ 効能削除
    塩酸チアプリド グラマリール 有効性確認
    塩酸ニカルジピン ペルジピン 効能削除
    塩酸パパベリン 塩酸パパベリン10倍散 効能削除
    塩酸フルナリジン フルナール 販売中止
    塩酸メクロフェノキサート ルシドリール 効能削除
    塩酸モキシシリト モキシール 販売中止
    カリジノゲナーゼ カルナクリン 効能削除
    g-アミノ-b-ヒドロキシ酢酸 アミノキサン 販売中止
    g-アミノ酢酸 ガンマロン 効能削除
    牛血液抽出物 セルリール 効能削除
    シクランデラート カピラン 販売中止
    酒石酸イフェンプロジル セロクラール めまいのみに有効
    シンナリジン アプラクタン 販売中止
    チトクロームC チトクロン-S 効能削除
    トラピジル ロコルナール 効能削除
    ニコチン酸トコフェロール ユベラニコチネート 効能削除
    ニルパジピン ニバジール 新たな臨床試験が必要
    ビンポセチン カラン 新たな臨床試験が必要
    フマル酸ブロビンカミン サブロミン 販売中止
    フマル酸ベンシクラン ハリドール 販売中止
    ペントキシフェロン トレンタール 販売中止
    マレイン酸シネパジド ブレンディール 新たな臨床試験が必要
    マレイン酸リスリド オイナール 販売中止
    メシル酸ジヒドロエルゴトキシン ヒデルギン 効能削除
    幼牛血液抽出物 ソルコセリル 効能削除

  • 目 次

    脳卒中とは?

    脳卒中を起こしたら

    症 状

    予 防

    種 類

    検 査

    脳内出血の治療

    くも膜下出血の治療

    脳ドック

    リハビリ

    次 へ

    脳梗塞の治療

    急性期の治療

    再発予防(薬物)

    再発予防(外科的)

    再発予防(脳血管内治療)

    その他