• 脳内出血(脳出血)は、出血の原因、出血を起こした部位とその大きさ、患者さんの年齢および合併した病気などによって、症状はさまざまで、治療方法も異なってきます。
  • 出血によって破壊された脳組織自体は、どんな治療によっても、もと通りに回復させることはできません。そこで脳内出血の治療は、再出血による血腫の増大を防ぐこと、血腫による脳内の圧(頭蓋内圧)の上昇を防ぐこと、さらに血腫周囲の脳浮腫の進行を抑えることなどが重要となっています。
  • ここでは、最も頻度の高い高血圧性脳内出血の治療について解説します。治療の基本は、手術をしない内科的な保存的治療と呼ばれるものです。出血部位とその大きさ、そして患者さんの状態によっては、外科的手術を選択する場合があります。
  • 手術を行わず、点滴や内服薬で治療することです。
  • 再出血の予防のための治療
  • 血腫の増大は、発症後数時間まで、長くても6時間程度と考えられています。血圧が高い場合には平常時の血圧にまで下げる必要があります。
  • 但し急激な降圧は、脳の血液循環を悪化させるので、20%以内の緩徐な降圧がよいとされています。
  • 脳浮腫に対する治療
  • 血腫周囲に出現する脳のはれ(脳浮腫)は、脳のはたらきを悪化させ、生命に危険を及ぼすこともあります。脳浮腫は、脳出血の発症から数時間後に出現し、3-6日後に最大となり、2-3週間持続します。
  • 治療としては、抗浮腫薬(グリセオール、マンニトール)といわれる点滴を、浮腫の程度にあわせて、1日に数回施行することです。
  • 全身性合併症に対する治療
  • 脳内出血に伴う合併症としては、肺炎、胃腸管出血(胃潰瘍)、尿路感染症などが多いとされます。
  • 脳内出血に対する手術の適応は、比較的限られており、血腫の部位と大きさおよび意識状態によります。そして出血によって破壊された脳組織自体は、手術によっても回復させることはできません。すなわち手術によって、半身不髄などの神経症状を直ちにもと通りに改善させることは不可能なのです。手術には以下の3種類があります。
  • 開頭による血腫除去術
  • 全身麻酔下に、頭蓋骨を一部はずして脳を露出させ、顕微鏡下に脳内血腫を除去する治療です。直接的に出血している血管を処理することができます。
  • 定位的脳内血腫吸引術
  • 局所麻酔下に、定位脳手術装置に頭部を固定し、CTにて3次元的に血腫の位置を計測します。そして、頭蓋骨に小さな穴をあけ、穿刺針を挿入して血腫を吸引する方法です。手術手技が簡単で低侵襲であり、高齢者でも手術できるため、この手術は日本において普及しています。
  • 脳室ドレナージ術
  • 血腫を除去する手術ではありません。出血が脳脊髄液の貯流した脳室というところに大量に流れ込むと、脳脊髄液の循環を障害する急性の水頭症と呼ばれる状態になり、脳内の圧が急激に上昇します。そんな場合に、脳室内の血腫の除去と脳圧のコントロールのために、脳室内に細い管を挿入する手術です。局所麻酔下に、頭蓋骨に小さな穴をあけ、細い管を脳室に挿入します。視床出血の場合に行われることが多いです。

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